8日目
俺たちがこの学園に来て一週間が経過した。それなのに助けらしい助けは来ない。昨日とは打って変わって朝食会の雰囲気はどんよりしていた。
絵馬「嫌ぁ!もう耐えられない!」
加賀美「一帆ちゃん……」
絵馬「一週間もアニメ見れてないなんてもう嫌!お家に帰してよぉ!」
式野「うるさい!僕だって早く外に出たいんだ!」
式野のその言葉で周りがどよめく。
香月「あら、あなた、殺人でもするつもり?」
式野「そういう意味で言ったんじゃねぇよ!なんでそうなるんだ!」
加賀美「やめなよ、2人とも」
岩田「そうだぞ、喧嘩はよくない」
監原「おいおいどうしたぁ?ピリピリしてるな」
メイビー「もう8日目だもんね。それはピリピリするよ」
加賀美「はいはい、喧嘩はそれくらいにして。それより、コンソメスープの味はどう?」
知念「どうって?美味しいけど……?」
上条「うん」
監原「濃い目だから俺はこっちの方が好きかなぁ」
加賀美「良かったね、籠森くん」
籠森「っ、おい!それは言わない約束だろ!?」
朝食を作る係である加賀美と将口と佐藤以外の視線が一斉に籠森に向いた。
式野「どういうことだ!」
佐藤「籠森くんが朝食の準備手伝ってくれたんだ」
将口「彼はコンソメスープを作ってくれたんだ。今まで自炊してたみたいだし、料理の腕は悪くないようだ」
岩田「籠森……」
籠森が俺たちに協力してくれたのか?
籠森「お前らのためじゃない!借りを返すだけだからな!」
岩田「籠森だって俺たちの仲間になったんだ!俺たちが喧嘩してる場合じゃない!」
籠森「だから仲間になった覚えなんて……」
星野「好きにすれば良いと思うよー」
上条「星野?」
星野「私は星さえ見れれば良かったから」
加賀美「星野さん!」
メイビー「俺も好きにさせてもらうよ」
式野「もういい、僕も好きにする」
知念「みんな……」
香月「自己中な方達ですね」
星野、メイビー、式野行ってしまった。クソ、籠森が来て団結したと思ったのに!
モノクマ「友情は線香花火より儚いものですなぁ」
上条「うわっ!何しに来たんだ!」
モノクマ「クマー!オマエラ、なんで殺人しないの!動機を出して2日も経ってるんだよ!」
佐藤「私たちは殺人なんかしない」
監原「言いたいことはそれだけかよ、帰った帰った」
モノクマ「僕の存在って……」
監原に言われた通り去っていった。
加賀美「とりあえず、今回も探索しようか。籠森くんも手伝うよね?」
籠森「探索なんて1人で出来るだろうが。俺はこれくらいにさせてもらう」
岩田「おい、籠森!」
籠森も行ってしまった。
香月「自己中な人ばかりですね」
監原「でも籠森の言う通り、探索自体は単独で出来るし、みんなそれぞれ探索すれば良いんじゃないか?」
加賀美「それもそうね。各自探索開始ね」
そして今日もまた収穫はなかった。
夕食には、式野も星野もメイビーも籠森もいなかった。
監原「おいおいこれだけかよ……」
知念「来ないね……」
岩田「籠森を誘ったんだが……」
絵馬「優子の料理が食べられないって言うの!」
香月「予想通りですね」
佐藤「……」
将口「料理が余ってしまうな」
上条「俺、みんなを呼んでこようか?」
加賀美「お願いね。足が速い人がいると助かるわ」
岩田「俺が待ってるって伝えてくれ」
加賀美「残りの人は盛り付け手伝って!」
俺はそれぞれの部屋に向かった。
旧校舎と本校舎を繋ぐ渡り廊下に星野がいた。
上条「星野!夕食だぞ!来いよ!」
星野「……あとで行く」
上条「あとでって……」
俺はメイビーの部屋に向かった。
上条「メイビー、夕食できたんだけど……」
メイビー「作ってくれたの?」
上条「うん」
メイビー「なら食べないのも悪いな。行くよ」
メイビー、悪い奴じゃないんだろうけど……。
次は籠森か。岩田か加賀美が行った方が良いのに。
上条「籠森ー?」
籠森の部屋のインターホンを鳴らした。
籠森「なんだ」
上条「夕食出来たからさ、食べない?」
籠森「フン」
上条「岩田や加賀美も待ってるよ」
籠森「借りは返したはずだ」
上条「加賀美がせっかく作ったのに、また借し作ることになるぞ?」
籠森「……仕方ないな」
籠森……!ダメもとだったけど来てくれるのか。
あとは式野か。
式野「わざわざ作ってくれたのか。行かないわけにいかないな。僕が悪者になる」
上条「式野……!」
とりあえず、星野以外は集まってくれた。
加賀美「籠森くん、来てくれたんだ?嬉しいな」
籠森「勘違いするな。勝手に作ったから食べるだけだ」
あー、そういうのツンデレって言うんだよな。
監原「ずっと加賀美たちに作ってもらうの悪いし、明日から俺が作る」
上条「俺も」
香月「私も作らせてもらいますね」
加賀美「みんな……ありがとう」
こうして夕食は終わった。
あっという間に夜中だった。
上条「うーん足らないな。ポテチとかあれば良いのに」
育ち盛りの高校生には辛い。うーん!空腹を紛らわすには……。
ピンポーン
インターホンを鳴らされた。
上条「誰だ、こんな時間に」
今0時だぞ。
9日目
将口「起きてたか?」
上条「将口!どうして?」
将口「睡眠薬を飲んでも寝れなくてな。どうだ?将棋やるか?」
上条「でもルールが……」
将口「教えよう。私は弟子もいるし、妹や弟たちに教えてるからな」
上条「確か将口は孤児院で育ったんだよな?」
将口「人に教えるのは慣れている」
将口は将棋のルールを手取り足取り教えてくれた。
将口「飛車は成ると龍になるし、角行は成ると馬になるのさ」
上条「成るとか難しいなぁ」
将口「歩を成ると、と金になる。金と同等に動けながら、相手に奪われた時のリスクも低いから安定している。まあ私は安定より攻めを取るな。私なら強い駒で一気に持っていく。相手の先の先を読めば、強い駒を取られるリスクなんてないからな」
上条「わ、わかったからさ!実戦しない?」
将口「私と実戦?良いだろう。なら19枚落ちで行こうか」
上条「19枚落ち?」
将口「私は王だけで戦う」
上条「は?……はぁぁぁあああ!?俺がいくらルール覚えたての素人で、お前が超高校級の棋士だからって」
将口「正式なルールだぞ?実際の棋士の対局にも段差があれば本当に19枚落ちもある」
上条「クソ、負けないからな」
上条「負けました」
将口「覚えたての割にはやるじゃないか。学級裁判で活躍しただけある。頭良いんだな」
上条「こんなハンデ貰ってそんなこと言われても……」
将口「私が見てきた素人の中ではかなり強い部類に入るよ」
上条「少し休憩な」
将口「わかった」
俺は少し目を閉じた。少し休憩、少し休憩……。
上条「はっ、今何時!?」
時計を見ると5時だった。熟睡してた。
上条「将口起きろ!」
将口「うぅ……上条……?」
上条「2人して寝落ちしたな。もう戻れよ5時だぜ?」
将口「熟睡してしまったな。私は帰るとしよう。付き合わせて悪かった」
上条「いや、楽しかったぜ」
将口は将棋盤を持って部屋を出た。
しかしすぐに戻って来た。
上条「将口?」
将口「……上条、一緒に外に出てくれないか?」
上条「ん?どうした?」
将口「廊下に血があるんだ」
上条「廊下に血!?」
将口「いや、まさかとは思うんだが……」
上条「血ったてそんな量は……誰かが怪我しただけだろ?」
将口「……とにかく来てくれ」
将口に言われて部屋に出ると血がポタポタと廊下に続いていた。
上条「これは……」
将口「渡り廊下に続いてるな」
俺たちはゆっくり血の跡を追った。
まさかまさか起きるわけないんだ。
起きる……わけ……
俺たちが渡り廊下前に見たもの、それは……
背中に包丁を刺されて大量の血を流しながら横たわる……
超高校級の天文部、星野のリコの姿だった。