どうやら俺の親友は主人公らしい   作:湖森生気

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ヒロインに取り合いされるのは主人公の特権

ここに来て早くも三日目。

今日から最終日まではレジャー、俗に言うキャンプだ。

キャンプと言っても、喜納家の私有地である山の中なのでそんなに離れてない。

お風呂だけ入りに帰るのが苦じゃない程の距離だ。

 

「さて、昨日遅かったみたいだけど大丈夫か勇希?」

「大丈夫だ、朝食を食べたら流石に目が覚めた」

「どっちかと言うと空さんの行動に目が覚めたんじゃないの?」

「………の、ノーコメントで」

 

またヘタレと言ってやろうか…。

空さん朝から飛ばしてたもんな、勇希に付きっ切りであーんしてたし。

まあ俺的には、今までのキャラが作ってたモノってのが一番驚いた。

勇希を本気で狙いに来た結果だとは思うが、それだけじゃないだろう。色々吹っ切れたみたいだし。

 

「何にしても、空さんの悩み解決した様でなによりだ」

「…そうだなって、景も気づいてたのか!?」

「昨日空さんが中庭に居る所を見た時にやっと、だけどな」

 

そうこう言いながらのキャンプの準備を進める。

とは言え、ほとんどは喜納家の人たちが用意してくれてるので、俺が持ってくのは遊び道具程度しかないのだが。

 

「よし…準備完了」

「こっちもできたぞ」

 

それじゃあ早速…行きますか!

 

 

 

玄関で海未さん達と合流して早速キャンプ場と言う名の河原へ向かう。

上流の様で広くは無いが泳ぐには十分だ。

とは言え、泳ぐにはまだ早い…やるべき事は色々有る。

 

「よし、それじゃあテント組、調理の準備組、食材組に分かれるぞ」

 

そう、先にテントと昼飯の準備が先だ!

食材は最悪、準備してくれた物を使えばいいが。せっかくの機会だ自分たちで取った食材を使いたい。

 

「因みに勇希の取り合いに成るのが目に見えてるので、勇希には先にどこに行くかこの紙に書いてもらってます」

「…なるほど」

「…純粋な運の勝負ですね」

「…乳女と野蛮女に出遅れた分はここで取り戻す」

 

空さん、朝から毒舌が全力っすね。

何でも家族の言葉が移ったらしい…どんな家族だ本当に。

そう言えば俺、空さんの家族に会って無いな。

 

「それじゃあ希望を聞こう、因みに俺も既に紙に書いてある」

「ならまずは私から……料理の準備組です!」

「それなら私は食材組だ」

「………テント」

「了解だ…それでは結果発表!」

 

テント組、勇希と空さん。

調理の準備組、海未さん。

そして食材組、俺と地華さん。

こうしてチーム分けは完了した。

 

「よろしく、地華さん」

「こちらこそよろしく、因みに何か案は有るのかい?」

「魚釣り、泳ぎ始めたら魚は逃げるだろうし、その前に釣っちゃおうかと思ってる」

「良いね、私も賛成だよ」

「それじゃあ釣り竿借りてくるね。因みにルアーと餌どっちが良い?」

「ルアーでお願い、私は釣りに良さそうな場所を探しておくよ」

「了解」

 

待たせるのも悪いのでさっさと釣り竿を借りて戻る。

どうやら地華さんも丁度良い岩場を見つけたようで直ぐに釣りを始められた。

にしても、釣りをする地華さん絵になる…いや何か違うな。

…うん、様になっているが一番しっくりくる。

 

「もしかして地華さん経験者?」

「いや、今日初めて…ただ心を落ち着けるのは得意だよ」

「なるほどね」

 

因みに俺は餌派なので地華さんと少し遅れて釣り始める。

釣りは良い、心が落ち着くし何よりトラブルがほとんど無い。

勇希と安心して遊べる数少ないものだ。

何て思ってたら早速、地華さんの竿にヒット。

 

「お、来たね」

「……思ったより落ち着いてるね」

「言っただろう、心を落ち着かせるのには慣れてる……ってね!」

「おお、釣り上げた」

 

結構大きなイワナだ。

これなら塩焼きで美味しく頂けるだろう。

 

「初めて魚を釣ったけどなかなか面白いね」

「それは上々、この調子でみんなの分も釣っちゃおう」

「よし、ならどちらが多く釣れるか勝負しよう」

「乗った」

 

そんな訳で二人で勝負した事もあって、お昼までに目標の数を釣り上げる事が出来た。

俺も久々に魚を釣り上げられて満足だ。

勝負の結果は……うん、俺は頑張った。

 

「ただいまー」

「大量だったよ」

 

無事にテントも二つ完成しているな。

どうせこの間にも色々イベントが有ったんだろうな。

海未さんも準備できてるみたいだし、時間もいい感じだ。

 

「そんじゃ早速塩焼き作りますか」

 

因みに何度か作ったことが有るので失敗はしないだろう。

そんな訳で、俺が魚を焼いてる間に他の四人はご飯を炊いたり食事の準備をしている。

何やらワイワイやってるがどうせ勇希を取り合っているのだろう。

だが、肝心なのはこの後。川遊びの段階だ。

ぶっちゃけよう、水着だ。

勇希の前だと女の子も気合入れた水着の時が多い。

勇希の親友やってて明確なメリットの一つである、当然期待している。

そんな事を考えてたら火加減を間違えかけたけどどうにか無事に完成した。

 

「さてと…勇希誰の水着が楽しみ?」

「お前は何で爆弾を嬉々として投げつけてくるんだ」

「嫉妬半分、普段の意趣返し半分。大丈夫、彼女達には聞こえないよう注意してるし」

「そういう問題じゃない」

 

さて、着替えと言っても男どもは早く終わるので必然的に女の子を待つ形になる。

まあ待つ時間も楽しいのだけどね。

 

「お、お待たせしました」

「こうゆう格好は…やっぱり慣れないな」

「……ど、どう?」

 

ふむふむ。

海未さんは王道のビキニですか…胸が強調されていてグット。

地華さんはパレオですね、健康的な体のラインがグットです。

空さんは…フリルが付いてる水着ですね、自分だけの武器をよく理解しているようです。若干照れてるのがグット。

で、彼女たちの恋愛的な感情が俺に向かないのは分かり切ってるので俺はある程度で大丈夫だったが。

勇希のやつは魂抜けてるな、仕方ないのでひじ撃ちで再起動させる。

 

「さ、三人とも可愛いよ。な景!」

「完全に同意するが語彙力溶けてるぞ」

 

その後は皆で楽しく泳いで遊んだのだが。

ぶっちゃけて言おう!

疎外感が半端ない。

あの三人は勇希にかかりっきりだし勇希は三人の相手に手一杯だし。

こう言うのが頻繁にあるから、遊びや娯楽は俺が仕切れないと俺はポッチになるのだ。

今回は失敗したんだけど。

 

「……仕方ないゆっくり川の流れを楽しみますか」

 

流されない程度に川の流れに身を任せる事にする。

十分気持ちいいし癒されるので良しとしよう。

と思いながらふと森の方に顔を向ける。

 

 

狐が居た。

 

 

何かデジャブだなー。

あ、狐と目が合った。

何となく狐の眼に理性的な物を感じた俺は誰も聞いていないしダメ元で言ってみた。

 

「何やってんですか玉様」

「………」

 

あれ、反応が無い。

やっぱりただの狐だったのか?

と思っていると狐が飛び掛かる体制に移って。

逃げようにも川の中ではとっさに移動できないわけで。

飛び掛かって来た狐は空中で人型になるとそのまま俺の近くの水面に着地でする。

そのまま俺の腕と掴むと再び水面をジャンプして岩陰に連れ込まれた。

 

「…なぜ気づいた」

「ごめんなさい、ぶっちゃけダメ元の勘です」

「………」

 

あ、沈黙が辛い。

話を、話を逸らさなければ。

 

「で、どうしてココに。来れない事情があったはずしゃ」

「い、いやそれはな……えっと…」

「嘘でしたか、大方俺に気でも使いました?」

「い、いや嘘ではないぞ、ちゃんとその事情は解決させてから来たわけじゃし」

「なら後から来るってあらかじめ言っておいてくれれば…」

 

俺がそう言うと玉様は気まずそうに眼を逸らす。

無言で先を促すとばつが悪そうに話し始めて。

 

「最初は来る気は無かったのだがな……その、広い家に一人だとな……アレでな」

「寂しくなって来ちゃったと」

「………うむ」

 

で、合流しようにも恥ずかしくて見てるだけになってしまったと。

もしくは見るだけで満足してたと。

………やるか。

 

「玉様、ちょっと狐になってくれません?」

「?」

「ほら早く」

「別に良いが……」

「それではちょっと失礼しますね」

 

狐に縮んだ玉様を両手で持ち上げる。

さて、勇希たちはあそこに居て、聞こえない様に注意しながら。

俺は玉様を持ったまま大きく振りかぶった。

そして……

 

「玉様を勇希たちにシュート!!」

「―――!!?」

 

玉様が声にならない声出してるけど無事に勇希に直撃した。

念の為、皆が落ち着くまで岩陰に身をひそめる。

その後、勇希に親戚の子も来た事を教えられた。

 

 

余談だが。

玉様からの抗議の目が凄かった。

因みに、玉様がこっちに来た理由は修行を良い訳にして誤魔化したらしい。

 

 

次の日。

なし崩し的に修行を始めた勇希たち。

まあ半分遊びみたいな物だったけど。

俺は参加できないので小さいながらも町へ繰り出す事にしたのだが。

其れはまた別の話だ。




勇希のヒロインは海未、地華、空の三人が居ますが。

メインヒロインは神薙さんです。

玉様?
彼女はお母さん枠でサブヒロイン枠です。

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