個性使ってヒーローのラブドール作ってみた   作:マイティP

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平和回
あとタイトルですが、(仮)を取ることにしました。
今後ともよろしくお願いします。


第10話 報告会

 I・アイランドでの仕事を終えた作間が帰ってきたのは、庵が敵連合の一員として雄英高校に襲撃を行って十日後の事だった。

 

「やっぱりオールマイトを殺すのは失敗したわけか」

「そーなんですよ。やっぱ№1ヒーローは違いますね」

 

 作間はまず最初に庵から襲撃についての顛末を聞いていた。

 失敗することは予想できていたので特に驚くことはないのだが、それでも気になることは幾つもある。

 まずは自分の作品についての事だ。

 

「それで? お前が憑依した試作品3号はどうだったんだ?」

「すっごい快適でしたよ! あれだけ気持ちよく体を動かせたのは久しぶりでした!」

 

 雄英高校襲撃時、庵がジェスターと名乗って憑依していたツギハギの肉体。

 あれは端的に言えば、複数のヒーローの肉体からより優れた部位を寄せ集める事で作間が作り出した合成人形(キメラドール)である。

 作間には特別優れた医学の知識などないのだが、個性を用いる事で神経や筋肉などの接合を行うことができるのだ。

 表面に見えたツギハギは、それをより強固にするための補強跡だった。

 

「だが、ヒーローをゴリ押しで倒せるほどではない、か。まぁ中身が戦闘経験ゼロじゃ無理があるか」

「でもパワーもスピードもすごかったと思いますよ?」

「そりゃまぁ今回のベースはミルコを使ってるからな。動物系の個性を持ってる奴は肉体も強固で使いやすいんだが……根本的に見直す必要があるのかもな」

 

 庵から聞いた脳無のスペックを聞いた作間としては、自分の作品(キメラドール)に力不足を感じざるを得なかった。

 ベースをミルコに据え、オールマイトを始めとしたヒーローの優れた筋肉を体内に圧縮して詰め込んだ事で高めた身体能力は、トップヒーローにも通じると予想していたものだったのだ。

 たとえ中身が庵であるとはいえ、抹消という個性が機能していないイレイザーヘッドに苦戦するのは想定外であり、そんなイレイザーヘッドを身体能力のゴリ押しで瞬殺した脳無もまた想定以上のものだった。

 

「俺もヒーローを甘く見てたって事だな。今度は脳無とやらと同じくらいのスペックは目指さないと通用しないってわけだ」

「見た目があの筋肉達磨みたいになるのは嫌なんだけどなー」

「贅沢言うなよ。ま、あまりデカくても邪魔になるから少しは考えるが……脳無が持ってた個性は『ショック吸収』と『超再生』でいいんだよな?」

「さっきも言った通り、私が知ってるのはそれだけだよ?」

 

 脳無の驚異的なスペック以上に、強力な二つの個性を併せ持っていることについて、作間はどうしても気になることがあった。

 

「ぶっちゃけその二つだけでもおかしいんだけどな……」

「オールマイトに相性良すぎですよね! 負けちゃったけど!」

「それなんだよなぁ」

 

 脳無の身体能力は改造か何かしたにしても、二つ持っている個性はどう考えてもおかしかった。

 『ショック吸収』と『超再生』は相手が肉弾戦に頼るヒーローなら正しく最高の相性となる個性だが、そんな都合のいい個性の複数持ちがいるはずがない。

 仮にいたとしても、それをこんな計画で使い捨てるような真似はありえないのだ。

 つまり、個性を後から付け加えた事が考えられる。

 作間もヒーローの優れた肉体を組み合わせて人形を作っているため、その考えに至るのは早かった。

 しかし単純に肉体をツギハギしただけの作間と違い、個性を取ったり付けたりするのはまた別次元の話だ。

 そして作間は、そんな事ができる人物についての噂を義爛から聞いたことがあった。

 

「思った以上にヤバい連中かもな。目玉についての交渉もよく考えないとまずいか……」

「ねぇ店長。そんなことより体育祭の事で聞きたいことがあるんですけど」

「そんな事ってお前……いやまぁ体育祭も重要か」

 

 そこで庵から体育祭の話が出たため、作間は一度思考を切り替えることにした。

 作間が雄英高校の生徒を見ることのできる機会である『雄英体育祭』はもう四日後に迫っている。

 いつまでも敵連合の黒幕について考えているわけにもいかない。

 

「庵、お前は雄英体育祭についてはどのくらい知ってる?」

「でっかいお祭り?」

「……まぁ正解だ。その通り、日本最大級のイベントだな。俺たちにとって重要なのは、そのイベントに大勢の人間が集まるってことだ」

 

 雄英高校の体育祭は、日本においては今や衰退したオリンピックに変わるほどの一大イベントだ。

 在籍する生徒にとっては、多くの人々とヒーローからの知名度を得ることができる絶好の舞台である。

 とはいえ、そこらへんの事情について作間に興味はない。

 作間にとって重要なのは、一般人が雄英高校の敷地内に入って()()()()()姿()()()()()()()()()()()()数少ない機会であるということだ。

 

「なるほど! そこで一般人に紛れて潜入して、学生のドールをいっぱい作っちゃうんですね!」

「大正解だ。それでまぁ潜入方法についてだな」

 

 作間は庵に雄英体育祭への潜入方法について説明した。

 とはいえそこまで特別な事をしなければならないわけではない。

 庵は一般人の肉体に憑依し、作間は一般人の顔を作って自分の顔に張り付けるだけだ。

 

「ただ今回は敵連合のおかげでセキュリティが強化されてるだろうからな。それに加えて身分証などもキッチリ用意していくつもりだ」

「そんなものどこで用意するんです?」

「庵、お前が思ってる以上に雄英高校の生徒って存在には価値があるんだよ。その人形(ドール)を作るためには協力も惜しまないっておっさんが名乗り出てくるぐらいにはな」

 

 作間は以前からこういう潜入を行う際の保険として、顧客から偽造された身分証を受け取っていた。

 今回もそれと同じだ。

 雄英高校のドールを欲しがる顧客から、予備も含めて五つの身分証を用意してもらっていた。

 

「まぁ庵だけが潜入するなら憑依すればいいからこれもいらないんだろうが、こればっかりは俺が直接見ないと意味がないからな」

「当日は私もついていくんでしょ? 好きにしてていいの?」

「一度セキュリティを通れば後はよほど変な事しなきゃ大丈夫だろうし、普通に体育祭を楽しんでていいぞ。出店もあるみたいだからな」

「いやったー! 店長大好き!」

 

 飛び跳ねて喜びながらそんな事を言う庵だが、屋台について思いを馳せている内に何かを思い出したらしく、作間へと向き直った。

 

「そういえばさっき言いかけてた事なんだけど~」

「なんだ?」

 

 もじもじと言いづらそうに言葉をつまらせる庵に、作間は猛烈に嫌な予感がしていた。

 思わず顔を歪ませる作間に向かって、庵は既に約束してしまった事を申し訳なく思いながら()()を口にした。

 

「あのね。死柄木さんも連れて行くってことになっちゃった。体育祭に」

「……はぁ!?」

 

 

 

 

 

「雄英体育祭……こんな糞みたいな祭を見る意味なんてないだろ」

「そうでしょうか。今回の失敗は子供を甘く見て情報収集を怠った事でした。そういう意味では無駄ではないと思いますが……」

「そんなもんテレビで十分だろ。だいたい、あのイカレ女にまともな侵入手段なんて考え付くのか?」

「そこは店長の作間が用意していると思いますが……」

 

 拠点であるバーのカウンター席に座り、死柄木は黒霧に対して愚痴を漏らしていた。

 結果的に庵からの誘いに乗ることにはなった死柄木だが、彼本人としては直接体育祭を見に行くことの意味はよくわかっていない。

 ただ、そうした方がいいと言われたから従うだけだ。

 

「だいたい――」

『意味はある。そういったはずだよ、弔』

「……先生」

 

 そんな死柄木に声をかけてきたのは、彼の体育祭見学を決定した本人である『先生』だった。

 最初に庵からの誘いを即座に断った死柄木は、拠点に戻ってすぐ先生にその誘いに乗る様に言われたのだ。

 

『幸い、襲撃の際に負った怪我は軽傷だ。暇つぶしと思ってでも行くといい』

「あんなの見てて不快になるだけだ。先生だって……」

『見たくないものと見なければならないものは別だよ。あれは今、君が見なければならないものだ』

 

 尚も不満を漏らす死柄木に、先生は諭すように告げる。

 

『今回、襲撃を失敗した事で君が覚えた苛立ちの正体、それを探るためには必要な事だ』

「………」

『弔、己が躓いた存在(ヒーロー)がどういうものか。直接目で見て、肌で感じてくるといい。君ならそれを飲み込み、糧にしてくれると私は信じている』

 

 偽りなく信頼を向けるようなその言葉を聞いて、ふてくされる様に考え込んでいた死柄木が顔を上げる。

 その顔には先ほどまでの不満はなく、澱んではいるが確かな輝きが瞳に宿っていた。

 

「わかったよ、先生。まぁ、つまらなかったらストレス解消はするかもしれないけどな」

『それもまた一つのやり方ではある。でも、仲間に迷惑はかけないようにね。これからも付き合いは続くのだから』

「あぁ……それもそうか。作間ってのには会った事ないけど、あの馬鹿(ジェスター)よりマシかもしれないからな」

 

 死柄木が知る作間の情報は、理想郷の店長であり、あのふざけた商売を始めた男であるという事だけだ。

 その時点でなかなか面白そうなイカレ野郎とは思えるのだが、ジェスターの上司であるという点でちょっとマイナス補正がかかっている。

 現状、作間という人物は死柄木の中では割と微妙な評価だった。

 

「社会のゴミとクズが集まる博覧会だ。そう思って楽しもう。それでいいんだろ? 先生」

『……あぁ。それでいい。楽しんでおいで』

 

 気持ちを切り替えた死柄木は、こうして理想郷の二人と共に雄英体育祭の場に赴くことになった。

 果たしてこの行動は、敵連合の行く末にどのような変化を齎すのだろうか。

それはまだ、誰にもわからない。




というわけで雄英体育祭の見学に死柄木が参加します。
次章あたりからどんどん変化起きる予定。

アンケートは今後の作中のお話にも出るかもしれないアレについて。
R-18版もできれば休み中に更新したいです。

個人撮影ビデオに出たら売れそうな1-A生徒

  • 麗日お茶子
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