個性使ってヒーローのラブドール作ってみた 作:マイティP
いつものことですが、女性に対してキツイ描写があるので注意がいるかもしれませぬ
第11話 一般客の三人組
雄英高校の体育祭当日。
体育祭用に新たに設置された入場検査ゲートの前は、大勢のマスコミと一般の観客たちでごった返していた。
単純にそれだけ規模が大きく人気のあるイベント、というだけではない。
先日の
その場に集まった人々は多少不満な顔をしつつも事情を聴いて納得し、無事検査を終えた暁には浮かれた顔で屋台が立ち並ぶ敷地内へと足を踏み入れていく。
そんな浮かれた人々の中には、周りの雰囲気にしっかり溶け込んだ
「ほらな。特に問題なかっただろ?」
三人組の先頭に立つ男はそう言って後ろの二人を振り返る。
それは潜入のために自身の顔を別のものへと変えていた作間だった。
服装もいつものくたびれたスーツではなくジーンズにジャケットというありふれたものへと変え、完全に別の人物へと成り代わっている。
「あぁ。案外ザルなんだな。また何かに使えそうだ」
作間の言葉にそう返したのは死柄木弔。
彼の姿もまた、掌マスクを全身に纏った悍ましい姿ではなくなっている。
着ている服こそ上下ともに黒色のパーカーにズボンと怪しげだが、特徴的な白髪は黒髪へ、乾ききった肌も健康的なものへと変わり、『ちょっと陰気な青年』ぐらいの見た目になっていた。
ただ作間の個性では他人の目を変える事は難しいため、死柄木の赤い目だけはそのままである。
「店長! 私ちょっと行っていい!?」
「好きにしろよ」
「ぃやったー!」
そしてマイペースに屋台へと駆け出して行ったのは憑城庵。
今日の庵は目鼻立ちのはっきりした金髪美人の体に憑依しており、半袖のシャツにミニスカートという非常に活動的な姿をしている。
すらりとした体は非常に動かしやすいようで、屋台へと向かう足取りはとても軽やかだ。
そうして歩くたびにスカートから覗く健康的な太ももに視線を集めながら、庵は目をキラキラさせながら屋台の食べ物を物色していた。
そんな彼女を見た死柄木は思わず呟く。
「……いいのか? 結構目立ってるぞ、あいつ」
「いいんだ。あくまで客として目立ってるだけだからな。むしろ俺たちの隠れ蓑になってくれる」
「そうか?」
「そうとも。あいつが嘘偽りなく楽しんでる雰囲気を出してくれると、こっちはあいつに連れてこられた二人組を演じるだけで良くなるからな」
今回の潜入における作間の心配事は、もちろん死柄木弔だった。
事前に話した限りではちゃんと理性的で暴走するなんて事は無いように思えたのだが、彼が纏っている空気だけはどうにもならなかったのだ。
そこで悩みぬいた作間が考えたシナリオは、あえてテンション高めの庵を好き勝手に行動させて、自分と死柄木はそんな彼女に連れてこられた友人という立場を取る事だった。
実際それはこれまでのところ有効で、体育祭へと向かう人々で混雑する雄英までの道を歩いている間、庵と共にいた死柄木や作間に懐疑的な視線が向けられる事は一切なかったのである。
「まぁゲートさえ通ればそういうのも気にしなくていいと思うけどな。襲撃事件の影響もあって検査は厳しかったが、だからこそ検査を通った人間を疑おうって思う人間は少ない」
「でも実際こうやって俺たちの侵入を許してる。笑えるよな」
「そこは俺を褒めてくれよ。まぁ、ここの検査がザルであることは否定しないけどな」
二人して雄英の甘さを虚仮にして笑い、弾む会話を楽しみながら目的の場所に向かって足を進める。
彼らの目的地は『一年生ステージ』の舞台となる巨大なスタジアムだ。そこで今回見るべき対象である『1-A』の生徒たちが競技を行うことになっている。
そうして歩き出した二人と同じ方向へと進む人は多く、それだけ今年の一年生は注目されているのだろう。
その事実に作間はほくそ笑み、死柄木は舌打ちを漏らす。
そんな二人の元へ、両腕に大量の袋をぶら下げた庵が戻ってきた。
「お待たせしました!」
「いや、別に待ってない」
「えぇ!? そんな事言わずに見てくださいよ! たこ焼きでしょ? お好み焼きに焼きそばにかき氷にフランクフルトにチョコバナナに~、あとサイダー!」
「完全にお祭り気分だな」
「どんだけ買ってんだ……」
「ほらほらちゃんと二人の分も買ってありますから! さぁ行きましょう一年生ステージ、ほら行きましょう!」
はしゃぐ庵に引っ張られような形で、作間と死柄木はスタジアムへと足を早めた。
一年生ステージの舞台となるスタジアムの中には、既に大勢の観客たちがひしめいていた。
その中にはカメラを持っているマスコミ関係者やコスチューム姿のヒーローも多く、観客席の最前列はそんな人たちによって大半が埋まっていた。
そして作間たちは、一般客でありながら最前列にいる少数派の集団だった。
「んーかき氷美味し~!」
「ほどほどにしとけよ。また腹壊すぞ」
「それもそっか。じゃあはい、シガくんにこれあげる」
「いらねぇ。店長に食わせろよ」
「え~。店長食べます?」
「まぁ俺は腸内もある程度調整できるからね。しょうがない。食おう」
現在、作間たちは観客席の最前列に腰を下ろし、庵の買ってきた食べ物を消化中だった。
今回は庵が腹を壊したら面倒な事になるため、作間も協力して焼きそばなどを口にしている。
死柄木はたこ焼きなどを差し出された際に口にはしたが、それ以降はサイダーのみ受け取って知らん顔だ。
ちなみに、『シガ』とは今回の潜入における死柄木の偽名である。
作間は偽装証明書の通りなら『山田』だが店長呼びは変わらず、庵は『イオ』と呼ばれることになっていた。
『待たせたなお前らぁ! 雄英体育祭!! ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトルの始まりだぁぁぁ!!』
そして作間がサイダーを半分くらい飲んだ頃、スタジアム上空に大量の花火が上がり始めた。
それに伴ってスタジアム内にヒーロー『プレゼント・マイク』の声が響き渡り、体育祭の始まりを告げた。
そして、お目当ての登場を告げるアナウンスが流れる。
『さぁお前ら! こいつらを見たいんだろ!?
青地に白のラインが入ったジャージを着た生徒たちが、スタジアム内に姿を現していく。
アナウンス通り、観客たちの視線は入学早々に話題性抜群となった彼らにくぎ付けだ。
そんな、視線を向けるのが当たり前という状況の中で、作間はじっくりと彼らを視界に収めていく。
作間は今年入学した雄英の生徒の名前を、事前に貰ったデータによって把握している。
おかげで記憶上にある生徒たちのデータと、目の前にいる生徒たちの姿を記憶して照合させるのは簡単な作業だった。
まず、一番に目に留まったのは八百万百。
特待生の一人だというデータがあったこともそうだが、作間の記憶に残ったのはその見た目だ。
高校生離れしたそのスタイルの良さとモデル顔負けに整った容姿は、正しく衝撃的と言うべきものだ。
直接にその姿を見れば、その所作から垣間見える育ちの良さから、その実力からくる自信に満ちている態度もよくわかる。
作間の顧客は元から彼女を知っていてドールを欲しがっていたようだが、金持ちのお嬢様である彼女を以前から知っていたのかもしれない。
コスチュームのデータを貰った際も、胸元から臍まで丸見えの露出度が非常に高いものだったはずで、一部の顧客に売り出した時の事を思って作間はほくそ笑んだ。
他の女子もまたハイレベルだ。
ジャンルは違えど、みな一様に容姿が整っている生徒たちである。
芦戸三奈という少女はピンク髪にピンク肌、頭に触覚というかなり特徴的な姿をしていて、作間はすぐに彼女の事を把握した。
事前のデータでは見た目以外は普通の少女のように見えた彼女だが、実際に見て記憶してみると結構引き締まった体をしている。
また明るい表情も良く見せている事から、人気が出るであろうことが窺えた。
蛙吹梅雨という少女は蛙という個性を持つ、蛙っぽい少女だ。
事前のデータ上では見た目的にマイナーと思っていた作間だが、実際に見てみれば愛嬌のある容姿と優しい表情は、実際に見なければわからない魅力に満ちたものであるとわかる。
もちろん作間にとってはそんなもの自分の
耳郎響香という少女は耳から垂れる長いプラグが特徴的だ。
それ以外は、小柄でスレンダーな体形のクール系女子といったところだろう。
実際に見た場合とのイメージの差異はほとんどなかったため、クールな少女を虐めたいという客には売れるだろう、というのが作間の私見である。
麗日お茶子という少女には特徴的な見た目はなかった。
つまりは普通である。作間が抱いたイメージもまた『普通の少女』というものだった。
ただ、そういう普通の少女にこそ人気が出る事もある。そういう女の子が頑張る姿は人目を惹くものだ。
地味にスタイルが良い事も含め、作間は彼女のドールが案外人気が出るかもしれないと思っていた。
ただ、残念な事もある。
データでわかっていたとはいえ、透明人間の葉隠透という少女を見てもドールを作れない事が改めてわかったからである。
元々作間には『アレは作れる』『コレは作れない』というのはなんとなくの感覚としてわかるのだが、今回彼女を何回見ても作れるとは思えなかったのだ。
もっとも彼女のドールを作ったとしても、個性までは再現できない彼のドールでは『透明人間』という長所も消え失せてしまう上に元の葉隠少女と見比べる事も不明なため、需要は少なかっただろう。
一通り眺め終わった作間は、隣に座る死柄木へとこっそり目を向ける。
隣に座る彼が感情の籠った視線を生徒たちの誰かに向けている事を察知したためだ。
誰かはわからない。
だが、その視線が憎悪と嫌悪の入り混じるものである事に気付き、作間は急いで死柄木に話しかけた。
「どうだい、A組の生徒たちは。何か気になる事でもあったかな?」
「……別に? そっちこそどうなんだ? 目的は達成したんだろ?」
「あぁ。結果は大満足だよ。みんなヒーロー候補生じゃなくてアイドル候補生って感じで、こっちとしては嬉しい限りだね」
死柄木の注意が自分に向いたのを確認して、作間は正直な感想を口にした。
最近の女性ヒーローに容姿の優れた人が多い事は事実であり、将来ヒーローになろうという少女たちの容姿が皆優れているというのも事実だ。
周りに聞かれたら袋叩きにされてもおかしくない発言なわけだが、幸い今は周りの誰もが歓声を上げている。
この言葉が聞こえたのは隣にいる死柄木だけだった。
「ハハハハハッ! まぁ、確かにこんな観客どもに見世物にされてるのはそうだな。言えてるよ」
「楽しそうですねぇシガくん。やっとお祭り気分になりきりましたか?」
「ハハハ……そうだな。お祭り気分にはならないが、あいつらの楽しみ方はわかったよ」
「それはよかった! あ、たこ焼き食べますか?」
「いらねぇよ」
庵に喋りながら生徒たちに再び目を向ける死柄木だが、その視線にあからさまな嫌悪感は見えなかった。
安堵した作間はほっと息を吐くと、今度はB組の生徒たちにも視線を向けるのだった。
死柄木がやたら楽しそう・・・
ていうか原作282話で相澤先生の目がえらいことになってるっぽいんだけどどうなるんだろう
アンケート結果えらいことになってるなぁ。
でも気持ちはわかる
ちょっと前にR18版の更新もしましたのでそちらもどうぞ