個性使ってヒーローのラブドール作ってみた   作:マイティP

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第15話 個性を生かした健全なお仕事です

「ちゅっ……んふっ、んんんっ♥️」

「んっ♥️ ちゅっ、ちゅっ……んふふ」

「ちょちょちょっと待てよ庵ちゃん! もっとやれ! ちげぇだろもう見てらんねぇ!」

 

 トゥワイスを雇った次の日の事。

 いつも通りの時間に同ビルの二階にある自室から降りてきた作間が目にしたのは、ソファの上で絡み合う()()()()と、紙袋を被った頭を大げさに抱えているトゥワイスの姿だった。

 

「何やってんだお前ら」

「「あっ店長!」」

「おはよう店長! いい朝だぜ! 最悪の天気だ!

「……うん、仲良くなったのはわかった。わかったがちょっと待て。状況を報告してくれないか?」

 

 庵たちは元気に挨拶をしたのだが、起きたばかりの作間には少々理解しがたい状況だったらしい。

 どこか疲れたような顔で椅子に腰かけた作間へと、庵とトゥワイスは現状の説明を開始した。

 

「先日紹介してくれたトゥワイスさんと夜遅くまでゲームをやったんです」

「一緒に楽しく遊びながらお話ししてたら、朝になったら面白そうな個性を試してもらおうという事になって」

「今日の朝、押し掛けてきた庵ちゃんの体のデータを取らせてもらって、俺の『二倍』で増やしたわけよ」

「そしたらすっごい美少女が現れたから我慢できずに押し倒しちゃった」

「すごい美少女に迫られたから押し倒されちゃった」

「俺は止めたんだぜ。むしろ見たくて煽ったけどな。いやちゃんと止めたんだマジで!」

「わかったわかった。まったく……」

 

 代わりばんこに説明を行った三人に、作間は深くため息を吐いた。

 そしていつまでも絡み合ったままの二人の庵を引き剥がすと、押し倒されていた方の庵の首根っこを掴み、彼女をもう一つのソファに座っていたトゥワイスの隣に移動させた。

 

「んもぅ! もっと触りたかったのに~!」

 

 庵は不満げな顔でそうぶーたれるが、作間が来ても乳を揉む手を止めなかった彼女が悪いのだ。

 作間はそんな彼女を一睨みして黙らせると、トゥワイスの方へと向き直った。

 今日の予定は、トゥワイスへの仕事の説明を兼ねた、今後『理想郷』で取り扱う新しい商売の紹介だ。

 

「さて、トゥワイス。昨日簡単に説明したウチの商売についてはわかってるよな?」

「もちろん。この……周りにあるヒーローのラブドール売りつけんのと、それを使ったアダルトビデオの販売だろ?」

「概ねその通りだな。ただ今後仕事してもらう以上、この商売のことについてもっと知っておいてもらう必要があるわけだ」

 

 昨日トゥワイスを雇うと決めた時、作間は仕事についてはそこまで詳しく説明することができなかった。

 それよりも、ちょっと聞いただけでも有用なトゥワイスの個性の事が気になり、本人からどういう事に使えるのかの話を細かく聞くことに時間を使ったからだ。

 おかげでトゥワイスが知っているのは『理想郷』の仕事の本当に基本的な部分だけだが、作間は一日の間に新しい商売を幾つか考え付く事ができたのである。

 

「いいか庵。眠そうな顔してるがお前も話を聞いておけよ。確認の意味を込めてな」

「わかってますー。ちゃんと聞いてますー」

「それならいい。あと、そっちのコピーの方の庵は冷蔵庫から適当な飲み物を持ってきてくれ。人数分な」

「りょーかいでーす」

 

 コピー庵が店の奥へと消えていくのを見送ると、作間は一息吐いてからトゥワイスへ『理想郷』の仕事についての説明を始めた。

 

「さて。まず一つ目、ラブドールの販売についてだ。簡単に言うと、俺の個性を使って作り出した人形を売り捌いてるんだ。だからこっちの仕事に関してはそんなに手伝ってもらう事はない」

「こいつらをその個性で作ったって事か?」

 

 そう言って店内に並ぶ人形を見回すトゥワイスに、作間は頷きを返す。

 

「そうだ。俺の個性なら直接目で見た相手の体なら、たとえ服を着た状態だろうが寸分違わずに作り出す事ができる。まぁ、これだけのヒーローを直に見るのはかなり面倒だったけどな」

「それでも俺の『二倍』はコピー作るのに一々測定がいるんだぜ? 十分楽でいいじゃねえか。チートだチート!

「それに関してはその通りだが……昨日聞いた通りなら、『二倍』は本物とまるっきり同じものを作り出せるんだろ? ならクオリティはそっちが上さ。俺のはただの肉人形だからな」

 

 作間の個性である『人体創造(ライフメーカー)』が作り出せるものはあくまで個性を除いた人体のみ。

 意識、個性、ついでに服を作り出す事は出来ない。

 販売しているラブドールに着せているコスチュームの模造品も、義爛経由で裏のアイテム屋に注文して用意しているのだ。

 それに対してトゥワイスの『二倍』が作り出せるものは、耐久性以外は完全に本物(オリジナル)と同じコピー。

 作り出す条件や数などに細かい違いはあるため単純に比較はできないが、一体の質が上なのは『二倍』のコピーの方であると言えるだろう。

 

「とにかく、ラブドールの販売は俺しかできない仕事だ。まぁ、やってもらうとしたら人形に服を着せたり接客してもらったりくらいかな」

「雑用だな! 任せとけよ! 面倒くせぇ仕事だな!

 

 そう言いながらも上機嫌に親指を立ててサムズアップするトゥワイス。

 何故雑用にそこまで喜べるのかわからないといった顔の庵が変な物を見るような目でトゥワイスを見つめる中、作間はもう一つの主要な仕事であるアダルトビデオ商売についての話を始めた。

 

「で、もう一つのアダルトビデオの販売の方。こっちにはしっかり手を貸してもらうぞ」

「おう! それで、具体的には何をすりゃいいんだ?」

「簡単さ。お前が今日既にやった事だよ」

「え?」

「お待たせー。飲み物持ってきたよー」

 

 トゥワイスが首を傾げていると、そこへお盆に人数分のコップを載せたコピー庵が戻ってきた。

 彼女からコップを受け取った作間は、それをグイっと一息に飲み干してトゥワイスに彼女を指し示す。

 

「庵を増やす。仕事ってのは主にそれだな。庵の個性についてはもう話しただろ?」

「……あっ! はっははははは! おいおい店長天才かよ! 発想が馬鹿過ぎるだろ!

 

 どうやらトゥワイスにも作間の考えている事がわかったらしい。彼は作間の肩をバンバンと叩きながら大爆笑していた。

 庵の個性が憑依である事も、彼女が作間の人形に憑依できる事も既にトゥワイスは聞かされていた。

 そして一緒にゲームをしている時に、彼女のアダルトビデオでの体験談も聞かされた。

 そこに『庵を増やす』という仕事を教えられれば、当然答えには辿り着ける。

 

「庵ちゃんを増やせば、一度に動かせる人形も増やせるって事だよな!」

「そうだ。それはつまり、一度に複数のヒーローを出演させられるという事だ。チームアップで動く事の多いヒーローを、より効果的に利用することができるようになるはずだ」

 

 プッシーキャッツを始め、単体ではなく同時に出演させた方がビデオの売れ筋が向上しそうなヒーローは多い。

 トゥワイスの『二倍』があれば、そんなヒーローを同時に出演させることも可能となり、ビデオの種類に幅を持たせることができると作間は企んでいた。

 しかも、彼にとって更に都合がいい事があった。

 『二倍』で作り出せるコピーのネックは耐久力で、二つ目の耐久力は一つ目よりも更に低い。

 ダメージが少し蓄積しただけで、すぐに崩れ去ってしまうだろう。

 しかし庵の『憑依』なら、その耐久性の欠点を無視できる。

 動くのもヤるのも戦うのも、憑依した先の肉体で行うのなら本体の耐久力は関係ないのだから。

 

「最近はちょっと売り上げが伸び悩んでてな。それでもかなり売れてるんだが、ここらで一つ起爆剤が欲しいと思ってたんだ。ちょうどいいタイミングだよ」

「ほー。そういやどんなもん売ってんのか聞いてなかったな」

「あぁ、それは……こういうのだな」

 

 トゥワイスに商品の事について聞かれ、作間は机の引き出しの中からDVDケースを二つ取り出した。

 そのパッケージに描かれているのは共にヒーロー、ミッドナイトとピクシーボブである。

 ミッドナイトの作品の名前は『密着しながらの執拗な淫語で中出しをねだる美人女教師ミッ●ナイトのヒミツの個人授業』。

 ピクシーボブの作品の名前は『欲求不満のピクシー●ブ、隣に住んでる大学生と汗だくでヤリまくる昼下がりの既成事実作成セックス』。

 ネットで大盛り上がりになり、何故かミッドナイトとピクシーボブのファン数が千人単位で増加したという逸品である。

 

「こりゃすげぇや。正気を疑うぜ

「言っとくがタイトルを付けたのは俺じゃないからな。これは発売元をやらせてる『RoD』の社長の発案だ」

「ちなみにあの人、外見変えられるから子供姿の竿役とかできるんですよ。アレだけ大人サイズとかにできてですね……」

 

 話が自分の出演したアダルトビデオの事になったからか、つまらなそうにしていた庵が話に入ってきた。

 彼女も今回のトゥワイスの個性による自身の増殖に乗り気なようで、机の中から取り出した過去作のパッケージを見ながら嬉しそうにしていた。

 

「それにしても私が増えるなんて夢みたいだなぁ……色々してみたかったんだよね。3Pは当然でしょ? 4Pもできるみたいだし、百合プレイも面白そうだし、なんなら私が竿役ってのもできるんでしょ? すっごく楽しみだよね!」

 

 口から欲望を駄々洩れにしながらはしゃぐ庵は本当に楽しそうで、しかしそれを見たトゥワイスは若干引いていた。

 

「庵ちゃん、自分で自分を……?」

「気にするなトゥワイス。こいつはそういう奴だから」

「あ、あぁ……気にするに決まってんだろ!

 

 いつまでも妄想を捗らせている庵を無視する事にして、作間は紙袋をずらして水を飲んでいるトゥワイスに一つの提案をした。

 

「ビデオ撮影中の仕事についてだが、カメラを持ってみる気ないか?」

「カメラ?」

「あぁ。増やすだけだと暇だろ? ならやる事が何かあった方がいいと思ってな」

 

 それは作間なりの気遣いだった。

 せっかく一緒に仕事をするって時に、庵を増やすだけで仕事が終わるなんてのは扱いが悪すぎると思ったのだ。

 もちろん、一般に売り捌く撮影用のカメラを任せるわけではない。

 後に義爛を通して裏に売り捌くためのカメラを用意しようと作間は思っていた。

 

「お、おぉ! 任しとけよ店長! バッチリ撮ってやるって!」

「あぁ。任せる。あと最後に……今後の商品展開についてちょっと話しとくか。庵もトリップしてないでちゃんと聞く様に」

「あふっ」

 

 庵の後頭部を叩いて正気に戻した後、作間は店の奥から大きな段ボール箱を運んできた。

 それをソファの前に下した作間は、箱を開いて片手で持てる大きさの直方体の箱を取り出した。

 

「なんだこれ?」

「エログッズですか?」

 

 興味深そうに顔を近づけてくる二人に、作間はその箱を開いて中身を取り出す。

 それは筒のような形をしていて、その片側は女性器を模した形状をしていた。

 

「庵は正解。これはな……再現オナホってヤツさ」

 

 本来、絶対に知ることのできないヒーローの女性器の再現なんて、『本当に再現されているのか』と思う人間ばかりのはずだ。

 しかし現在、既に異常に質の高いヒーローそっくりのビデオが世に出回ってしまっている。

 そんな中で、そのビデオを出している会社から再現オナホールが発売されたらどうだろうか。

 一定数はこう思うだろう。『本当に再現されているのかもしれない』と。

 

「既に売る準備はできてる。会社で手渡しの発売会をする予定だ。庵にはミッドナイトとMt.レディに憑依してもらう。トゥワイスにもさっそく働いてもらうからな」

「やった! すっごい面白そう! 頑張りましょうねトゥワイスさん!」

趣味悪いな庵ちゃん! 頑張ろうぜ!  任しとけよ店長!」

 

 自分を信頼して仕事を任せてくれる作間と笑顔で声をかけてくれる庵に応え、トゥワイスはさっそくの仕事に気合を入れるのだった。

 




トゥワイスさん再現難しすぎっすよ。
最後に出た商売については後に解説が出ます。
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