個性使ってヒーローのラブドール作ってみた   作:マイティP

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あくまで本筋はアダルトショップです


第2話 新店員と新事業

 時は流れ、世界は変わった。

 中国にて光る赤子が生まれた時を境に、人々は漫画やアニメの中に出てくるような超常能力を持つようになっていった。

 そして世界中の人々がそうした『個性』を持つ事は、世界に大きな変革を齎す。

 自らに備わった個性で悪意を振りまく悪人(ヴィラン)に対し、コミックスさながらに個性を奮って戦う人々が登場したのだ。

 それこそまさしく『ヒーロー』、人々を超常や悪意から守るヒーローたちの活躍する今の世は、正しくヒーロー社会と言うべきだろう。

 

「そんな輝かしい活躍をするヒーローを自分の好きにできる。これで売れなきゃよっぽど商才のないアホですよ」

「違いねぇな。だが、他に色々やり方あるにも関わらずにそれに拘るってのは十分アホだぞ」

「ははは。面白い冗談ですね、師匠」

「師匠なんて呼び方はやめろ。先に言っとくがさん付けもすんなよ」

「あー、はい。了解です。()()

 

 作間がゴミ捨ての途中で少女を拾って一週間後。

 彼は自分が裏社会に足を踏み入れて以来ずっと世話になっている恩人、大物ブローカーとして広く知られる義爛という男を店に招いていた。

 今も二人の間には繋がりがあり、偶にこうして直接会って話をしているのである。

 

「それで、報告ってのはなんだ? 新しい事業がどうとかって話だったな」

「あぁ。それなんですが。実は今度、アダルトビデオ業界に手を出そうと思いまして」

「……はぁ?」

 

 真面目な顔で妙なことを言い出した作間に、義爛は自分の耳を疑った。

 そんな義爛の様子を見ながらも、作間はそのままの調子で口を開く。

 

「知っての通り、俺の個性『人体創造(ライフメイカー)』は目で見た人体を自在に作り出せる個性です」

「知ってるよ。それであんなラブドール作って売ってんだから意味不だけどなぁ。だが、『作った人体に意識と個性は付随しない』だろ? どうビデオに収めるつもりだ?」

 

 今も作間の個性を臓器や四肢の売買に利用している義爛は、その個性についてよく知っている。

 ヒーローの肉体を作ってラブドールとして売り出すなんてトチ狂った商売を始める前に、店舗の調達をしてやったのも義爛なのだ。

 しかしだからこそ、その意図がさっぱりわからない。

 いくら本物と同じ肉体とはいえ、意識がない状態のそれとヤるだけじゃビデオとして成り立たないのは自明の理だ。

 

「えぇ。でも、そこを補う人材が超偶然に手に入りまして」

「それでやる事がアダルトビデオか?」

「別に稼げりゃ何でもよかったんですけどね。そいつがアダルトビデオを作りたいなんて言うもんで、考えた結果それもアリかなと」

「そりゃ……変わったやつだな」

「そうでしょう。というわけで……おーい、入ってこい!」

 

 義爛がアダルトビデオのカラクリに少々納得した様子になったのを見て、作間は店の奥に向かって声を張り上げた。

 するとすぐに「はい、今行きます」という声が聞こえ、店の奥から一人の女性が姿を現した。

 その女性の姿を見た義爛は一瞬硬直して手に持ったスマホを落としかけ、慌ててそれを掴みなおして口を開いた。

 

「オイオイ、わかっちゃいたが驚かせるなよ」

「こういうドッキリの方が効果的だと思いまして。どうです?」

「どうもこうもねぇだろう。なぁおいそこの『リューキュウ』もどき」

「何でしょう。義爛さん」

「声までか……なるほど、声帯も一緒だもんなぁ。こりゃヤベェ」

 

 その場に姿を現したのは、リューキュウという名の女性ヒーローだった。

 彼女は国内のヒーローの順位を様々な方法で決める『ヒーロービルボードチャートJP』というランキングにもランクインするほどの超人気ヒーローである。

 当然テレビでの露出も多く、義爛もその姿だけでなく声も聞いたことがある。

 いくら事情を知っているとはいえ、いきなりそんなヒーローが歩いてきたら動揺しそうなものだが、一瞬でそれを立て直して煙草を吸い始めた義爛は流石と言えるだろう。

 

「で、どういうカラクリだ? 説明してくれるんだろ?」

「えぇ。もちろん。庵、本体でこっち来てくれ」

「わっかりましたー。それじゃこっちは解除しますねー」

 

 本人とは似ても似つかぬ口調で返事をしたリューキュウは、すぐにその目から光を失って近くのソファに倒れこんだ。

 そしてすぐ、作間に庵と呼ばれた存在が店の奥から姿を現した。

 長く伸びた赤髪が印象的な、制服を身に着けたかなりの美少女である。

 

「どうもー。憑城(つきしろ)(いおり)でーす。新しく「理想郷」の店員になった拾われ系JKでーす」

 

 頭のネジがニ、三本抜けてるかのような調子の挨拶をかました少女を見て、作間は深くため息を吐いた。

 そしてそんな挨拶を受けた義爛はといえば、今まで色々な人間(ヴィラン)と接してきた経験か、白けた目をしながらも普通に対応した。

 

「嬢ちゃんの個性で動かしてたのはわかってるぜ。なんて個性だ?」

「店長、本当に言っちゃっていいんです?」

「その人は大丈夫だ。秘密を漏らすような人じゃない」

「了解でーす! 私の個性はぁ~『憑依』! 以上!」

「以上じゃねぇもっと説明しろ!」

「冗談なのに~」

 

 作間に怒鳴られた庵はぶーたれながらも説明を始めた。

 個性『憑依』。

 意識を失っている肉体と手を繋ぐ事で、その肉体に憑依して動かすことができる。

 憑依中に元の肉体の意識が目覚めるか、自身の肉体がエネルギー不足を起こして気絶すると憑依が解除される。

 彼女が作間に拾われた時は、ちょうど個性の使い過ぎで気絶したタイミングだったのだ。

 

「でもおかげで店長と巡り会えたんですからこりゃもう運命ですよ! 運命!」

「そういう単語はメチャ嫌いだが……まぁそういう事です。こいつの『憑依』は俺の作った肉体を『意識を失った肉体』と認識し、それに憑依することができる」

「なるほど、そういう理屈か」

 

 作間の『人体創造(ライフメイカー)』は目で見ただけでどんな肉体でも作り出すことができるが、そこに意識と個性は付随しない。

 逆を言えば、意識のない肉体を作り出す個性でもある。

 だからこそ庵の個性で『憑依』できたのだろう。

 

「もったいねぇなぁ。この個性の組み合わせなら他にいくらでも使い道があるだろう」

「趣味も兼ねてないとこんな町で仕事なんてできませんよ。それに、元々はこのバカのアイディアですから。俺が悪いんじゃありません。このエロ娘が悪いんです」

「エロ娘とは言いえてミョーですね。まぁ実際他人の体でする無責任プレイは最高に気持ちいい! と思ってる私ですからなんとも言えませんけど」

「お前そんな事してたのか……」

「今度はヒーローの肉体でプロの男優とパコれると思うと胸が高鳴ります! 演出はヒーローなのにヴィランにヤられちゃーうって感じにしてほしいですね。どう思います?」

「知るか」

 

 口から欲望を垂れ流す庵に辟易する作間をしばらく見ていた義爛だったが、その手の中にあるスマホが振動したのを感じて立ち上がった。

 どうやら別の用事のために移動する時間が来たらしい。

 

「それじゃあ俺は帰るぞ。作間、その庵とかいう嬢ちゃん上手く使えよ。あと、ビデオができたら一枚回せ。ヒーロー嫌いの連中に流す」

「わかりました。期待して待っててくださいよ」

 

 カランカランと入り口の扉についた鐘を鳴らし、そうして義爛は去っていった。

 

「面白いおっちゃんでしたね。あれが大物ブローカーですか」

「そうだ。気安くしてもいいが礼儀は忘れるなよ。俺の恩人なんだからな」

「うぇーい!」

 

 適当だが一応返事をした庵を少し睨みながらも、作間はタブレットを取り出してソファへと腰かける。

 すぐにタブレットを操作した作間は、隣に座る庵にも見やすいようにその画面を傾ける。

 そこには、仰々しい字体で描かれた『RoD』のロゴが映っていた。

 

「ナニコレ?」

「潰れかけてるアダルトビデオ会社だ。昔はそれなりに人気作を作ってたらしいが、今は鳴かず飛ばずらしい」

「ふーん……へぇ! ヒーローのコスプレものじゃん! こんなのあったんだぁ!」

 

 タブレットを操作してその会社の過去のラインナップを見た庵は、大はしゃぎで飛び跳ねる。

 彼女は知らなかったが、『ヒーローのコスプレAV』は現在のヒーロー社会におけるアダルトビデオの中でも安定した人気を誇っている。

 現代のヒーローはヴィランとの戦いや災害からの救助だけを行うのでなく、商品のCMやテレビ番組出演などの芸能人的活躍を行っているため、ビジュアル面を重視した女性ヒーローの活躍が増えてきたからだ。

 故に作間は、アダルトビデオに出たいという庵の提案を聞いた時、すぐに合法的に金を稼ぐ方法に気づいたのである。

 

「俺たちが作るのは『コスプレもの』なんて低次元な商品じゃない。『ヒーローそっくりさんモノ』だ」

「あぁ、なるほどー! ていうかそっくり率100%じゃん!」

「そうだ。見た目が同じ、声も同じ、そしてお前が憑依すれば操り人形ではなく『生きた人間』としての反応も行う……売れないはずがない!」

 

 個性を用いたアダルトビデオは数あるが、中でもレアな変身系個性を用いた『ヒーロー変身AV』は常に高い人気を誇る。

 もちろんその個性のレアさや練度の問題で殆ど世には出ないのだが、そんな業界に全女性ヒーローのAVを用意できる状態で殴りこもうというわけである。

 

「既にこの会社との交渉は終わってる。社長がウチの店の客だから話は早かった」

「じゃあもうすぐヤれるってこと! やったー!」

「一週間後に撮影予定だ。それまでは無駄に体力使わず、ついでに色々我慢しとけ。撮れ高がよくなるだろう」

「オナ禁しろってこと? セクハラじゃない?」

「その発言の方が女子高生的にまずいだろう」

「それもそっか。じゃあ私ちょっとジュース飲んでくるね」

 

 楽しみ楽しみ~♪と変な歌を歌いながら店の奥へと歩いていく庵を見送り、作間はまたため息を吐いた。

 少女につられてテンションが上がってしまった自分はまだまだ義爛のようにはいかないと自嘲し、そして冷酷かつ冷徹な態度でビデオ会社の社長に電話をしようとした所で少女が戻ってきた。

 

「ビデオできたらヒーローの裸姿で宣伝とかしてもいい!?」

「ダメに決まってるだろ!」

 




憑城(つきしろ)(いおり)
路地裏に連れ込んだムカつく同級生を気絶させ、憑依してそこらの男とヤりまくってネット上に動画をあげるという凶行を繰り返していた準ヴィラン。

義爛
裏社会の大物ブローカー。原作キャラ。
主人公の個性に目をつけて色々と親しくしていた。

ヒーロー社会におけるアダルトビデオ人気(独自設定)
殿堂入り:変身系個性によるヒーローAV

作中でAVに出たら盛り上がりそうなキャラは?(ミルコ以外)

  • ウワバミ
  • マウントレディ
  • バーニン
  • マンダレイ
  • ミッドナイト
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