個性使ってヒーローのラブドール作ってみた 作:マイティP
今回、作間が取るプランは単純なものだった。
まず初めに、招待客の一人として会場へと潜入。
そこで気月たちからの依頼である『招待客たちの
ただ、そこにいてはならない人物がいるのを見た作間は眩暈を起こしそうになった。
「オールマイトがいるじゃねえか」
「あら、本当ね。あとで取材してみようからしら」
「動かれたらまずいが……テロリスト連中の働きに期待しよう」
流石に今から何か手を打つこともできないので、作間はテロリストに対応をぶん投げた。
周りには大勢の人がいるのだから、人質を取って動けなくさせるくらいできるだろうと思うことにしたのだ。
そして時間も迫っているので、次の行動に移ることにした。
「あー、いたたたた。お腹が……トイレに行ってきます」
「早く戻ってきなさいよ」
そんな露骨な会話を周りに聞こえるように気月とかわし、作間は会場を離れてトイレへ向かう。
このフロアの非常階段のすぐ脇にあるトイレだ。
トイレに入った作間は中に誰もいないことを確認すると、その場で個性を発動させた。
作り出したのは、現在作間が姿を借りている『坂上』という人物の肉体だ。
「あとは服脱いでこいつに着せないとだな……めんどくさ」
ぶつぶつと文句を言いながら、服を脱いで坂上へと着せていく。
そしてそれが終わった途端、作間は作り出した『骨の槍』を服の上から何度も突き刺していった。
「これでよしと」
実はこの坂上という人物、何日か前にもう殺されている。
気月は自身の部下であるこの人物を『異能解放軍』の仲間の手によって殺させ、作間がこの島で坂上として動くことができるようにしたのだ。
そして今このI・アイランドで坂上の死体が生まれたことで、作間の存在は完全にフリーになった。
「うわっ! ちょっとなんで裸なの!?」
ちょうどそこへ気月が現れた。
平然と男子トイレへと入ってきた彼女だが、これも計画の通りだ。
『帰りの遅い同僚を心配して見に行った気月が死体を発見する』という流れである。
「服はこいつに着せなきゃならないんだからしょうがないだろ」
「なんでもいいからさっさと隠しなさいよ」
「うるさいな全く……わかってるよ」
作間だって別に裸でいるのを女に見られる趣味なんてない。
個性を発動させた作間は、全身に人の皮膚と大量の骨を組み合わせたようなグロテスクなコスチュームを作り出した。
事前に庵とトゥワイスの二人と一緒に映画を見ながら考えておいたものである。
「これで俺は正体不明のヴィラン、ボーンズってわけだ」
「骨を纏ってるからその名前なの? ちょっとネーミングセンスがないんじゃない?」
「余計なお世話だ」
作間の計画は、架空のヴィランを作り出してそれになりきる事だった。
《脱出手段と脱出時間は既に決まっている》ため、上手くテロリストやヒーローたちを混乱させるにはどうすればいいのか考えた結果がこれだった。
「それで、私はこのトイレにしばらくいればいいわけ?」
「あぁ。会場にテロリストが来た後でそっちに戻ってもらう。女優並みの演技を期待しとくよ」
「あなたがこれからやる事の方が面白そうだけど……まぁついていけそうもないし、仕事だものね。わかったわよ」
渋々納得した気月を置いて、作間はトイレの外に出て非常階段へと向かった。
この非常階段へ続く扉は普段は開かないはずなのだが、作間が手をかけるとあっさりと開いた。
どうやらすでにテロリストたちの作戦は開始しているらしい。
「やっぱりな。あとは200階まで上るだけか」
そもそもの話。
多くのヒーローが集まっている時にタワーの襲撃を行うのなら、まずタワーのセキュリティシステムを掌握する必要がある。
そうすれば警備システムを用いて島中の人間を人質に取ることができるからだ。
つまりテロリストが間違いなく狙うポイントとしては、セントラルタワーの
もしそこに奇襲を仕掛け、テロリストの一部を皆殺しにできたらどうなるだろう。
もしそこで作間の個性を用い、『部下の声』で『リーダー』を呼び出したらどうなるだろう。
「依頼内容その1、テロリストのリーダーの確保もしくは殺害。案外簡単にできそうだな」
AFOから頼まれた依頼は複数あるが、そのうちの1つがそれだった。
即ち、有用な個性を持ち、AFOと接触した情報を持つ人間を捕らえる事だ。
更に言うなら、それはヒーロー側からすれば主犯を取り逃がすという大失態でもある。
嫌がらせというのも頷ける依頼だった。
一度も休まず200階までたどり着いた作間は、そこでやっと足を止めていた。
ぜぇはぁと荒い息を吐く彼の下方からは、何かが閉まるような音が聞こえてきている。
どうやらテロリストグループが非常階段に設置されている隔壁を閉じたらしい。
「ハァ……隔壁閉まったか。マジで、ギリだったな。ハァ、ふぅ……」
しかし既に作間がいるのは200階。
既に彼を止めるには手遅れである。
「よし……いくかぁ!」
息を整えた作間は、非常階段からフロアへと続く扉に手をかける。
そして勢いよくその扉を開け放った。
何者かが200階に侵入してきた事はすぐにテロリストたちに伝わった。
非常階段からフロアへの扉を開けたことが、セキュリティシステムに感知されたのだ。
「なんだ? なんでいきなり200階に?」
「警備員が残ってたのか? って、これは……いったい……?」
「どうした……は?」
管制室で防犯カメラの映像を目にしたテロリストたちは、自分たちの目を疑った。
恐るべき速さで移動する不気味な人型の物体が、何かを発射してカメラを破壊しながら管制室へと近づいているのだ。
すぐさまリーダーであるヴォルフラムへと連絡をした彼らだが、事態はその間にも深刻さを増していく。
「ヤバいボス! 何か変な奴が管制室に向かってくる!」
『どういう意味だ? しっかり報告しろ。対処可能かどうか言え』
「無理だ! こいつとんでもない速度で……」
『わかった。応援を送る。少し持たせろ』
応援が来るという言葉を聞いて安堵するのも束の間、一瞬後に管制室へ飛び込んできたものを見たテロリストたちは顔をひきつらせた。
そこにいたものが全身から白い骨を生やした赤黒い皮膚の化け物だったからだ。
「なんだお前!?」
「撃て! 集中攻撃しろ!」
その時管制室にいたテロリストはセキュリティシステムをハックしていた人員を含めて三名。
彼らは飛び込んできた化け物を一斉に銃で撃ち始めた。
しかし銃弾のすべてはそれが全身に纏った骨に弾かれてしまう。
「随分と面倒な計画立てさせやがって」
「喋った!?」
「そりゃ喋るさ。一応人の姿はしてるだろ?」
突然喋りだした相手に呆然とするテロリストたちは、銃を構えながら様子を伺うことにした。
銃弾が通用しない相手をどうにもできない以上、彼らにできるのは応援が一刻も早く到着してくれるのを待つことだけだ。
それでも相手がどういう存在なのかだけでも知ろうと、テロリストの一人が口を開く。
「お前は何者だ。なんでここに来た!」
「俺は……ボーンズだ。ここにきたのは仕事だよ」
「仕事?」
ボーンズと名乗った相手の言葉に、テロリストたちは首を傾げた。
何か嫌な予感がして仕方なかったが、そんな動揺を隠して銃を向け続ける。
しかし次の瞬間、彼らはこの場にいることを後悔することになった。
「随分と面倒な計画を立てなきゃならなかった憂さ晴らしだ。派手にやってやるよ」
そう言ったボーンズが両の手首から骨でできた槍を取り出したからだ。
二本の槍を手に取ったボーンズは、浴びせられる銃弾をものともせずに、テロリストたちへと近づいてくる。
応援が来る前に自分たちはこいつに殺される。
その事を悟ったテロリストたちは、悲鳴を上げながら銃を乱射し始めるのだった。
色々忙しくて気力が尽きて書き方も忘れてました。
でも今週の初めから「小説家になろう」の方でオリジナル小説を書き始めていたら、書き方のコツを思い出しました。