個性使ってヒーローのラブドール作ってみた 作:マイティP
エレベーター使えないはずなのに……
計画なら移送は部下に任せて彼自身はパーティ会場にいるはずだったのだが、侵入者の正体についての調査も兼ねて一度リーダーであるヴォルフラムが最上階の管制室へと行く事にしたのである。
「博士たちの仕事に影響はないんだな?」
『……あぁ。今も保管室で頑張って作業中だ。こっちの《ごたごた》にも気付いてないみたいだぜ』
「ならいい。そのまま続けさせろ」
ヴォルフラムはエレベーターの中で無線越しに部下から報告を聞いていた。
博士たちというのは、襲撃者が出現する少し前に最上階へと連れて行かせたデイヴィット・シールド博士とその助手のサムという研究者の事だ。
何故その二人の仕事ぶりをヴォルフラムが気にするのかと言えば、答えは簡単だ。
そもそもこの襲撃は博士たちが計画したものだからである。
博士たちは最上階に保管された【ある物】を取り戻すため、偽物のヴィランを雇ってこのタワーを占拠させる計画を思いついたのだ。
ヴォルフラムたちは二人に雇われ、だからこそ難なくタワーにも侵入できたというわけである。
尤もヴォルフラムは偽物ではなく本物のヴィランであり、最後まで博士たちとの約束を守る気もない。
そのためにヴォルフラムは、事前に『二体の人形』を手に入れていた。
「あとは襲撃者の正体か……なんだ?」
エレベーターが開いた瞬間、ヴォルフラムは違和感に気付いた。
自分を出迎えるはずの部下がいないのだ。
おまけに。
「おい。なんで誰もいない?」
『………』
「どうした。返事をしろ!」
つい先ほどまで話していた無線の先にいる部下との連絡も、突如として途絶えてしまった。
声を荒げつつ話しかけても一切の無音だ。
いよいよ怪しくなりつつある状況に警戒を強めながら、ヴォルフラムは管制室への道を進んでいく。
そして管制室に辿り着いたヴォルフラムは、無残な死体となった部下たちの姿を見ることになった。
彼らは全員が達磨となって壁に磔にされていた。
床には血に染まった何十本もの白い槍と、引き千切られた手足が散らばっている。
「まずい……っ!?」
咄嗟に無線を使って部下と連絡をしようとしたヴォルフラムだが、その瞬間に上から男が降ってくる。
手に持っているのは骨の槍だ。
それが既にヴォルフラムの顔面目掛けて迫ってきている。
「ぐっ……舐めるな!」
しかしヴォルフラムはそれにかろうじて反応すると、攻撃が顔を掠める中でその場にしゃがみ込んで地面に触れて個性を発動させた。
ヴォルフラムの個性は、触れた金属を操る個性だ。
一瞬にして床の金属が盛り上がり、目の前の男を弾き飛ばす。
「遅いよ」
しかし男は金属が体にぶち当たったにも拘わらず堪えていないようで、その勢いを利用して一瞬にして距離を取った。
そんな男へと、ヴォルフラムはいつでも個性を発動できるよう身構えながら問いかける。
「お前が襲撃者か?」
「あぁ。今はボーンズって名乗ってる」
「今はだと?」
「あぁ。それより連絡を取れなくて残念だったな」
最初の槍での不意打ちを受けた際、ヴォルフラムがつけていた仮面は半壊してしまっていた。
それ自体は大したことではないが、問題なのは仮面に無線が内蔵されていた事だ。
無線が破壊されてしまった以上、もう部下と連絡を取ることもできない。
「問題ない。お前を殺してから部下の無線を使うさ」
そう言ってヴォルフラムは個性を発動しようとする。
今度は床だけではなく、壁や天井の金属まで操って完全に押しつぶしてやるつもりだった。
そこまでイメージして個性を発動しようとして、しかしそれは叶わなかった。
「やっぱり殺す時はできるだけ楽して殺すに限るね」
謎のヴィラン『ボーンズ』に扮した作間はそう言ってヴォルフラムを見上げていた。
捕獲か殺害か、楽な方を選ぼうと思っていた作間は躊躇なく殺害を選んだのだ。
ヴォルフラムは個性を発動する瞬間、背後から体中を貫かれて死んでいた。
作間の個性による初見殺しにハマったのだ。
作間は人体を作り出した後、一度手を離した後であっても、もう一度触れればその人体を作り直すことができる。
例えば今回の場合、一度出しておいた骨の槍にもう一度触り、それをこっそり伸ばしたり。
その伸ばした骨を床に散らばっていた骨に触れさせ、一度にまとめて操作したり。
最初から殺す気満々で用意しておいたトラップに、ヴォルフラムはまんまと引っかかったわけである。
「さて、あとはもう一つの依頼をこなさないとな」
AFOから頼まれたテロリストのリーダーを殺すという依頼はこれで完了だ。
しかし作間はまだ依頼が残っている。
「まだ時間に余裕はあるし、大丈夫だな」
一応時計に目をやれば、事前に決めた
それまでに十分依頼をこなすことができるだろうと判断した作間は、管制室内にあるモニタールームへと向った。
ヴォルフラムが一階から消えた事で、何か変化はないかを確認するためだ。
200階の保管室で作業をしている博士たちの様子も見ておかなければならない。
「……特に何も起きてないな」
しかし、拍子抜けするほど何も起きていなかった。
オールマイトは1階でセキュリティシステムに捕らえられたままでいるし、博士たちも保管室での作業を一切止めていない。
入り組んだ廊下と保管室の分厚い壁のせいで、戦闘の音は博士たちには聞こえなかったようだ。
「これなら適当に指示を出しておくだけでなんとかなるか……ん?」
作間が自分の声帯をヴォルフラムのものに作り替えようとしていると、そこでモニターに映る変なものを見かけた。
自分と同じく、そこにいるはずのない子供たちの姿だ。
「何やってんだこいつら……」
モニターに映っていたのは、昼間にアイランド内で見かけた雄英高校の生徒たちと、メリッサ・シールドだった。
どうやら彼らはテロリストたちに拘束されずに済んだらしく、メリッサに案内されてタワー内の通路を走り続けている。
作間がモニターの情報を確認してみれば、現在は100階の通路を進んでいるとのこと。
制御室が作間によって制圧されたせいで、ほとんど妨害も受けずに順調に進んでこれたらしい。
「カモがネギしょってきたな」
オールマイトに引き続き再びのトラブル発生だが、作間はこれをチャンスだと考えていた。
何故ならメンバーの中にメリッサ・シールドがいる。
本来ならこの場にいないはずの彼女は、事件の中心人物であるシールド博士と違って手を出すことのできない存在だ。
それが、雄英高校とはいえまだ1年生の子供に守られて自分から近づいてきてくれている。
「そうと決まれば妨害といくか……」
そう呟いた作間は喉をヴォルフラムのものに作り替えると、テロリストたちに指示を出し始めるのだった。
透明人間ってエロいよね。
エロの可能性が詰まってるよね。
そう思ってたらヒロインにしたラブコメが書きたくなりました。