個性使ってヒーローのラブドール作ってみた   作:マイティP

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エロはもうちょい時間かかるよ


幕間 悪の会話

 オールマイトの肉体を作るという依頼を達成してしばらく後。

 作間は店でビデオ会社の社長である夜見からの電話を受けていた。

 

『いやー素晴らしいとしか言いようがないね!』

「随分上機嫌だな」

『こんだけ売れて上機嫌にならないはずがないさ! 笑いが止まらないってやつだよ!』

 

 二週間ほど前に発売したミルコのビデオは、ちょうど今日で週間売上ランキング連続1位を達成していた。

 既にその売り上げ数は一万本に達しており、通常三千本売れればヒットと言われる業界の中では正しく異常とも言える売り上げである。

 作間が『理想郷』の客に向けて情報を発信した影響も多少はあるだろうが、これだけ売れたのはミルコというヒーローに元々話題性があった証拠だろう。

 おかげで経営難だった夜見の会社は一気に黒字になっていて、かつての栄光を取り戻した夜見は笑いが止まらない状況だった。

 

『ファンメールもどしどし送られてきててね。次はどんなビデオを作るんですかっていう期待の声も高まってるよ』

「だが、アンチの意見もすごいんじゃないか? 何しろ女性のトップヒーローだ。ファンも多いだろう」

『そっちもすごいよー。でもまぁ、ちゃんとフィクションとして楽しむ人の方が多いんだろうね。ファンたちの反応も半々といったところかな』

「ウチの客も満足する出来だ。義爛も裏じゃかなり儲けたと言ってたし、やはりミルコにしたのは正解だったな」

 

 夜見の言う通り、ネット上に見られるミルコのファンたちの反応はだいたい半々に分かれている。

 かっこいい彼女に憧れる女性を中心にしたファンは、ビデオの発売が噂になった当初から非難を続けている。

 しかし、その強さに憧れつつも彼女のある種煽情的なコスチュームに惹かれた男性を中心にしたファンは、偽物だと割り切った上で背徳感を抱きながらもビデオを楽しんでいる者も多いのだ。

 

『だからこそ! この流れを途絶えさせないうちに! 早急に次を作る必要があると思うんだよ!』

「そうだな。当然そう言うと思って次のヒーローも決めてある。この前にデビューした新人だ」

『新人?』

 

 新人という言葉を聞いて疑問の声を上げる夜見に向かって、作間は手元のタブレットを操作しながら言う。

 

「知名度は確かにないが、間違いなく今後売れるだろうビジュアルと良い個性を持っていた……今、資料を送った」

『確認するよ……へぇ、Mt.(マウント)レディか! ニュースで見たよ。そうか、彼女か。いいかもね!』

 

 タブレットから送られたMt.レディの資料を見た夜見は、それを見て賛成の声をあげた。

 まだデビューしたばかりの新人ヒーローではファンの影響を利用した集客はあまり見込めないが、今はミルコのビデオを出したことで既に流れを作っている状況だ。

 それを考えれば後はヒーローのビジュアル、キャラクター、そして今後ヒーローとして人気が出ることを見据え、二本目以降の作品が出しやすいように先取りする価値があるかどうかだ。

 デビュー当初から積極的に目立とうとし、ファンの獲得のためにセクシーポーズをすら取るMt.レディは、夜見にとってその価値があるように見えたのだろう。

 

「じゃあ決定だな。内容はどうする?」

『んー、ウチはヴィランものでも別にいいけど……やっぱり別パターンも今後欲しいから、別のがいいかもね』

「だが、裏で流す時にあまり温い内容だとこっちが困る。何かちょうどいいのはあるか? 俺はそういうのにはあまり詳しくないんだ」

『そうだねぇ……」

 

 うーんうーんと電話越しに悩む声をあげる夜見。

 彼にとって作品を作る際に必要なものは、ある程度の馬鹿馬鹿しさと、同等のリアリティだ。

 ありえない、ありえそう、それらを両立させてこそ売れる作品に仕上がる。

 そんな夜見がやっとひねり出したアイディアは、作間にとっても驚くべきものだった。

 

『ナンパ&ハメ撮りモノなんてどうだろう?』

「いやお前……前にリアリティが全然ないヤツは売れないって言ってなかったか?」

 

 思わずツッコミを入れる作間に、ちっちっちとわざわざ声で言いながら夜見は理由を説明する。

 

『確かにリアリティは必要だけどね。別にそれを順守する必要はない。それに、ある程度の説得力があれば馬鹿馬鹿しい内容でも問題ないんだよ』

「そういうものなのか?」

『うん。それに今は【明らかにフィクションだろ】ってのをちゃんと作らないといけないからね』

「あー、なるほど」

 

 流石にそれについて言われたら作間も頷かざるを得ない。

 ミルコが人質を取られて調教される、なんてアホみたいな内容でも文句が出たのだ。

 ここでまた同じ展開のものも作りたくないし、かといってリアリティがあるものも作りたくないということだろう。

 

『それに彼女、建てたばかりの事務所を巨大化で壊しちゃったみたいだからね。資金繰りで困っているのは事実だから、その線でビデオにって流れならこっち側も台本を作りやすい』

「普通に考えればそんなんで出るわけないんだがな」

『ま、そこはフィクションだからって事でね』

 

 そう言い切る夜見の言葉を受けて、作間はその案で行くことに頷くことにした。

 プロである夜見が言うのだ。素人である作間が考え付く不安は織り込み済みだろうと判断したのである。

 

『名前を隠して本名で出演。でもヒーローコスは似てるからって理由で着てもらう。そんな感じでいこうか』

「ひっでぇ台本だな」

『大事なのは【ヒーローとヤッてる】って絵であって、そこの過程は見てる人はあまり気にしないものだよ』

「そういうもんか……ま、売れる作品を作ってくれるならそれでいい。台本が完成したらまた連絡をくれ」

『わかった。それじゃあまた』

 

 作間は夜見との電話を打ち切ると、スマホを懐へとしまい込んでタブレットの操作を行った。

 画面に映るのは、先日()()から送られた一件のメールだ。

 

「新しい依頼、ねぇ」

 

 先日の依頼達成時の金である五百万円はちゃんと表の口座に振り込まれていた。

 その点で見れば、黒霧からの依頼は受ける価値があるし、成功報酬もちゃんと期待できるものなのだろう。

 しかし、今回ばかりは内容が内容だった。

 前回のオールマイトの肉体を踏まえて考えると、大して学のない作間でも、黒霧の裏にいる人間の狙いは見えてくる。

 

「困ったな。どうしようか」

 

 本気で頭を抱える作間は、庵が買い物から帰ってくるまでずっと悩み続けた。

 タブレットの画面に映る依頼対象物は、『雄英学園教師の肉体』。

 誰を作っても一体五百万円で買い取るというものだった。

 

 

 

 

 

 

「結果が出たよ先生。やはり予想は正しかったようじゃな」

 

 暗闇で、何かを操作し続ける老人の声が響く。

 上機嫌に体を揺らしながら、その老人は食い入るように操作する機械の電子画面を見つめていた。

 

「呼吸器官はボロボロ、胃袋は無し。手術痕をもっと調べればより多くの事がわかるじゃろう」

「そうか。やっぱりあちらも満身創痍だったわけだ。朗報だね」

 

 暗闇に、もう一人の男の深みのある声が響く。

 男は椅子に座ったまま、老人が解剖結果について話すのに耳を傾けていた。

 

「それで、例の特性の方は?」

「結論から言うと、彼の作ったこの体は『個性因子以外を再現した完全な肉体』じゃ。実に興味深い! 既に彼の作った作品は何体か手を回して入手したが、いずれも同じ結果がでておる!」

「ほぅ……それは異形型もなんだろう?」

「もちろんじゃ!」

 

 興奮しながら語る老人は、既に解剖を行った何体もの人形を画面に映し、その解剖結果を声高に男へ語る。

 

「本来なら個性があるからこそ持っている体質が、個性なしの状態でも再現されておるのじゃ! 実に興味深い!」

 

 火を放つ個性を持つ人間が、自分の放つ火ですぐ死んでしまわないように。

 翼を生やす個性を持つ人間が、その翼に神経を通わせて動かす事ができるように。

 個性は体の在り方に影響を及ぼす。

 しかし老人が手に入れた幾つかの『作品』には、個性が無いにもかかわらずそういった常人との体質の差異が発見されていたのだ。

 

「聞けば聞くほどに惜しいね。僕の目が見えれば迷わなかったものを」

「うむ。しかしまぁ、勝手に動いてこっちに役立ってくれる方が便利とも言える。先生も一々ヒーローの顔など見に行きたくはないじゃろ?」

「そうだね。そんなことに時間を使っている余裕は僕にはない」

 

 解剖が一段落した老人は、再びウキウキしながら機械を操作して画面を切り替える。

 そんな老人の背に、男は今思いついたと言わんばかりに一つの提案をした。

 

「ところでそのオールマイト、()()には使えるのかな?」

「元の個性が無いから最上位には使えんが……下位、中位には問題ないじゃろ。意思なき人形なのは変わらんのじゃし」

「なら、それを最初の一体としてあの子にプレゼントしようか」

 

 暗闇の中で男は嗤った。

 老人はその提案を受け、さっそくプレゼント作りに取り掛かった。

 

 




次回、ちょっと時間飛ぶかも?


老人
ウキウキものの個性に大興奮

???
怪我が無かったら躊躇していなかった


最後に出たオールマイトボディの再利用先は、原作で最初に登場したオールマイト級のパワーを持つ脳無ってことに
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