個性使ってヒーローのラブドール作ってみた   作:マイティP

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いよいよ原作に突入です。
R-18版も投稿し始めましたのでよければどうぞ。


第7話 U・S・J襲撃 前編

 オールマイト殺し。

 それは雄英高校で教師を務めるようになったオールマイトを、その高いセキュリティをかいくぐって殺す事を目的とした計画だ。

 作間はこの計画への参加を依頼された時にすぐに断った。そんなものに参加するのはあまりにもリスクが高すぎると思ったからだ。

 

 そして今、()()()()()参加をする事ができる庵から計画の概要を聞き、作間はやはり参加しなくてよかったと安堵のため息を吐いていた。

 

 この計画のメインでもあるオールマイト殺しは、脳無とかいう改造人間を用いてオールマイトの拘束を行い、黒霧のワープゲートへ引きずり込んで体を引きちぎる事で為すのだという。

 実際は他にも考えはあるのだろうが、とりあえずはそれがメインらしい。

 黒霧が集めたらしい有象無象のチンピラたちの役目は、黒霧のワープによって分散させた生徒たちを殺す事なのだとか。

 そんな行き当たりばったりかつまともなサブプランすらない杜撰なやり方が、今回の計画の全てである。

 脳無がなんなのか作間にはわからないが、確かに黒霧のワープなら侵入は簡単だろう。どうやってか事前のカリキュラムの把握もできており、侵入後の連絡網を遮断できる個性の持ち主を用意しているらしく、準備もしっかり行われてはいる事はわかる。

 だが庵から概要を聞いた作間にしてみれば、まるで失敗する事を前提としているかのような計画に思えたのだ。

 実行側の自分たちの準備だけやって、相手側の戦力把握をやっていないのは、正しく片手落ちというべきだろう。

 

「……まさかな」

 

 作間は軽く頭を振って、ふっと浮かんだ考えを振り払う。

 どこの誰が失敗を前提に、雄英なんて危険地帯への襲撃を行うというのか。

 黒霧がいればいつでも逃げられる、なんて考えでやっていい事ではない。

 

「しかも、リーダーは失敗する気ないらしいしなぁ」

 

 そう呟く作間の脳裏に浮かぶのは、死柄木弔という男の名前だ。

 庵曰く、黒霧に指示を出しているのはその死柄木という若い男であり、彼は計画の成功を微塵も疑っていないように見えたらしい。

 もちろん庵の言葉にどこまで信憑性があるかは疑問の余地はあるのだが、作間は彼女の観察力には一定の信頼を置いている。

 それを踏まえれば、死柄木という男が計画に自信を持てる()()があるという事になるのだが――

 

「ま、終わった後でどう動くかを聞けば目的も見えてくるだろ」

 

 今回の事は全て庵に任せると決めた作間は、窓の外を眺めながらそう呟く。

 彼は今、義爛経由で来た成功報酬20万ドルの大きな依頼を受けて飛行機で海外へと向かっていた。

 その内容は、ある二名の人物の人形(ドール)作成。

 以前のオールマイトの時と同様、厄介な事に使われること間違いなしの重要人物たちが標的(ターゲット)である。

 

『当機はまもなくI・アイランドへの着陸態勢に入ります』

「おっと、もうすぐか」

 

 飛行機内にアナウンスが流れ、作間はシートベルトを締める。

 学術人工移動都市『I・アイランド』は世界中の研究者・科学者が集まる場所であり、その分セキュリティも非常に厳重だ。

 故に本来なら作間が入れるはずもないのだが、顧客のコネと自らの個性を用いることでこの問題をクリアーしていた。

 具体的に言うと、作間と同じ身長を持つ『科学者』を用意してもらい、その『科学者の顔』を自らに張り付けることで。

 

「こんだけの労力をかけさせたんだ、きっちり仕事して金をもらわないとな」

 

 今回の依頼の標的である親子が映った二枚の写真を懐へとしまい込み、作間はグラスに残った酒を一気に飲みこむのだった。

 

 

 

 

 

 

 その日、雄英高校1-Aの生徒たちは救助(レスキュー)訓練を行うために学園の敷地内にある『嘘の災害と事故ルーム(U・S・J)』へとやってきていた。

 初めての救助訓練に誰もが胸を躍らせ、担当のスペースヒーロー『13号』の話を聞いて気を引き締める。

 そして1-Aの担任である相澤が指示を出そうとした所で、異変は起きた。

 

「一かたまりになって動くな! 13号は生徒を守れ!」

 

 一番最初に()()に気づいたのは相澤だった。

 入り口付近で生徒たちと共に13号の話を聞いていた彼は、一人だけU・S・Jの中央広場を見下ろせる端の方に立っていたのだ。

 だからこそ、宙にじわりと滲み出るようにして出現した黒い霧と、そこから覗いた手に気付くことができたのだろう。

 そして全身に掌を纏った一人の男が完全に姿を現したのを皮切りに、広がった霧の中からは次から次へと悪意に満ちた者たちが姿を現していく。

 

「何だアリャ!? また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

「動くな! あれは(ヴィラン)だ! 」

 

 状況を把握しきれていない生徒を背にした相澤は、姿を現したヴィランたちの中でも特に異様な雰囲気を纏う者たちに警戒を抱く。

 全身に大量の掌をしがみ付かせた男。

 黒い霧のような頭部を持つ男。

 脳を露にしている黒い巨体を持つ男。

 そして――全身にツギハギの跡が見える女。

 

「13号に……イレイザーヘッドですか。先日()()()カリキュラムとは違いますね。オールマイトがいるはずなのですが……」

「ったくどこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れてきたってのに……」

「んんんんん? んん! んふふーん?」

「ハァ……チャックを外せよ馬鹿」

「んん! ぶはっ! そうでしたぁ! 全くいくら私がおしゃべりだからって物理的に口にチャック付けるとか酷すぎません?」

「良い判断だと思います」

「全くだ」

「あれェ~!?」

 

 ツギハギ女の口にはチャックがついていて、それを開いた女は現状をも気にせずにベラベラと喋り続けている。

 そんな女の口のチャックをもう一度閉じた掌の男は、入り口付近に立つ生徒たちを見上げながらこう呟いた。

 

「オールマイトがいない……なら、子供を殺せば来るのかな?」

 

 狂気に満ちた笑い声による宣言に、その場にいる全員が総毛立つ。

 侵入者用のセンサーは作用せず、少人数しかこの場にいない状況を狙われたのは明らかだ。

 そんな状況でも冷静に判断を下し、速やかに行動する事ができたのはやはり二人のプロヒーローたちだった。

 

「13号は生徒を連れて避難開始。学校に連絡を試せ。センサーの対策もしている敵ならそっちも妨害されている可能性もある。上鳴お前も個性で連絡を試せ」

 

 的確に指示を出した上で、相澤はプロヒーロー『イレイザーヘッド』として敵に攻撃を仕掛けるためにゴーグルをかける。

 たった一人で足止めを行おうとしている姿を見て、生徒の一人が声をかける。

 

「先生は!? 一人で戦うつもりですか!?」

 

 その生徒はイレイザーヘッドの個性や戦闘スタイルについて、本来はこのような場で戦うものではないと知っていた。

 

「あの数じゃいくら『個性』を消すって言っても……! イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ! 正面戦闘は……」

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号! 任せたぞ」

 

 生徒の心配を押し切る様に、イレイザーヘッドは中央広場へと飛び降りる。

 そんなヒーローの姿を見た敵たちの中で、射撃を行える個性を持つ者たちが迎撃を行おうとしたが、既に個性が消されていたのか発動せず。

 逆にイレイザーヘッドが首元に巻いている布によって引き寄せられ、頭同士をぶつけさせられて気絶することになった。

 その後はただ一人で大衆の中に降り立ち、四方八方から仕掛けられる攻撃をいなし、捌き、逆に隙を見て行動不能にさせていくイレイザーヘッド。

 そんなヒーローの活躍を死柄木は忌々し気に眺め、そしてその横に立つ女はいつの間にか口のチャックを開けた状態で楽しそうに眺めていた。

 

「嫌だなプロヒーロー。有象無象じゃ歯が立たない」

「うん……うん……動きに無駄が全然ないねぇ。やっぱりすごいね本物って」

 

 感心するように頷いているが、実のところあまり良い状況ではない。

 このまま足止めされ続け、生徒たちにあっさり逃げられましたでは困るのだ。

 そう思った黒霧が死柄木へと声をかけようとした所で、女が黒霧に声をかけてきた。

 

「ねぇ黒霧さん」

「何ですか? ()()()()()

「遊んで来てもいい?」

「……えぇ。私が動くために気を散らしていただけると助かります」

「りょうかーい♪」

 

 空気を読んだ……わけではないのだろう。

 ここ数日の間にあの少女……今はジェスターと名乗っている女性の気まぐれな所は黒霧と死柄木の知るところとなっている。

 だから今回も、()()()()()()()()()()()()()とか、そんな理由のはずである。

 

「あっはぁ~っ!」

 

 狂った笑顔を浮かべたジェスターが奇声をあげながら突撃し、イレイザーヘッドに向けて()()()()()()()()太い腕を振り上げる。

 その異常な速度の攻撃を何とか回避したイレイザーヘッドだが、同時に黒霧の姿が中央広場から消えたことに気付いて舌打ちをした。

 絶えず気を配っていたはずの相手をまんまと逃がしてしまい、案の定その姿が生徒たちの前にワープしていたからだ。

 

「まずいな……」

 

 本来なら救援に行くべき状態でも、今のイレイザーヘッドは足止めを担っているためそれはできない。

 ここで一瞬でも隙を見せれば、それは状況をより悪化させることであるとわかっているのだ。

 故に、いくら不安であっても同僚の13号と生徒たちを信頼するしかない。

 

「あははははっ!」

 

 そんな胸の内を察して、ジェスターは嗤う。

 唇の端についたチャックの金具を揺らしながら、()()()()()()()()を引きつらせながら笑い声をあげる。

 そのあまりの不気味さに周りのヴィラン達すら鳥肌を立たせる中、ジェスターはレイザーヘッドに再びの攻撃を仕掛けた。

 

「そらそらくーらえっ!」

「ぐっ……!」

 

 短いジーンズから伸びたツギハギだらけの足から恐ろしい速度で蹴りが放たれ、回避しきれなかったイレイザーヘッドの肩を打ち抜く。

 そこで体勢を崩したイレイザーヘッドもなんとか蹴りを放って距離を取るが、彼の受けたダメージは甚大だ。

 何よりも問題なのが、既にジェスターに対して『個性を消す』個性を発動しているということ。

 それなのに異常なほどの速度とパワーを発揮し続けているジェスターは、素でそれだけの能力を持っているという事になるのだ。

 そんなのを相手にしながら周りのヴィランも抑えきらないといけないというのは、戦闘経験豊富な彼にとっても初めての経験だった。

 

「つらそうだなぁイレイザーヘッド。個性が通じなきゃそんなものか」

 

 戦闘経験の差では圧倒しているにも拘わらず、単純なスペック差のみで蹂躙されそうなヒーローを見て死柄木は嗤う。

 ジェスターの中身が戦闘技術なんて欠片も持たない少女だと知っているからこそ、余計におかしくてたまらない。

 そうやってひとしきり嘲笑った後で、出入り口付近で行われる黒霧の様子を伺った死柄木は目元を擦ってから口を開いた。

 

「さて……そろそろトドメといくか」

 

 オールマイトというメインが来ていない以上、生徒の抹殺が第二目的。

 故に愉しむのもここらで終わりにしようと、死柄木は自らの隣に立つ黒い巨漢に向かって指示を出す。

 

「行け、脳無」

 

 蹂躙しろ。

 そんな合図が出されると同時に、意思なき改人が既に手一杯のイレイザーヘッドに向かって飛び掛かった。

 

 




ヴィランネーム:ジェスター
全身ツギハギで丈の短いシャツとジーンズ姿。
ツギハギは主に関節部分に多く、腕の太さなどが左右非対称だったりする。
顔はどこかで見たような釣り目気味の顔だが、瞳の色が左右で違ったり、顔の皮膚もツギハギだらけで色が微妙に違ったりする。
その正体は~?


Q:イレイザーの個性で憑依は解除されないのか?
イレイザーの個性ではトゥワイスの『二倍』の分身が消えないのと同じで、庵ちゃんの『憑依』も本体を見ないと解除されません。

個人撮影ビデオに出たら売れそうな1-A生徒

  • 麗日お茶子
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