男が歩む永遠《とわ》の道   作:シベ・リア

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どうもみなさん!シベ・リアです!
去る日曜日、蓮ノ空のラブライブ!決勝プレーオフの生配信がありまして、とてもとても興奮し、今後の展開にも良い参考になりましたね!まだご覧になってない方は、YouTubeにアーカイブも残ってるので是非見てみてくださいね!
さぁて、今回は前回の続きで、ダイヤ達Aqoursの2話目になります!
アニメをご覧になったことある方ならどんな話になるかおわかりになるかもしれませんね!
それではどうぞ!!!





EP.3「ある夏の記憶」

 

 

 

━━━━ファーストライブから数週間後。

 

 

ダイヤ達Aqoursはファーストライブを終えた翌日から、正式に学校公認となったスクールアイドル活動を本格的に行っていった。さらには体育館横の部屋を活動拠点として生徒会から提供され、そこを部室のように毎日使っていた。

 

まず3人が行ったのはファーストライブの時に録画していた映像を編集し、全国のスクールアイドルのランキングが掲載されているサイトにアップすることだった。このサイトではランキングを決めるためにMVをはじめとした動画のアップロードが認められていて、かのμ'sもこのサイトにアップされた動画がきっかけでその人気を上げていっていたこともあり、他のスクールアイドルもここで所謂"バズ"を狙っている。

 

「い、いきますわよ……?」

「も〜!ダイヤ、早くボタン押してよ〜!緊張で心臓が破裂しちゃうよ〜!」

「そうよ!もうかれこれ30分はそうしてるわよ!」

 

しかしダイヤは中々動画をアップロードをせず、果南や鞠莉は待ちくたびれた様子を見せてダイヤに早くエンターキーを押すように迫っていた。

 

「急かさないでくださいまし!このボタンを押すということはすなわち私達Aqoursが日本の数多に存在するスクールアイドルの海に飛び込━━━」

「━━━Go〜〜〜〜!!!!」

「ああああ〜〜〜!!!!!?????」

 

ダイヤが早口で講釈を垂れていると我慢できなくなった鞠莉がエンターキーを横から押し、ダイヤの悲鳴と共にファーストライブの動画はそのサイトに公開されてしまった。

 

「はぁ……やっと進んだ」

「ど、どどどどどどどどしましょう?!μ'sのファンの方々の目に止まって『全然ダメだ』などと言われてしまったら……!」

「No problemよ、ダイヤ!きっとみんなGood!って言ってくれるわ!」

「そうだよ。練習してきた私達自身を信じてあげないと……でしょ?」

「………そうですわね。私としたことが、つい冷静さを欠いてしまいま━━━」

「━━━あ、コメント来たわよ」

「━━━なんですって!!!???」

「元気だねぇ……」

 

ドタバタと大騒ぎしてノートパソコンの画面に顔を近づけるダイヤを、果南は頬杖をついて若干呆れながらも微笑んで見つめた。鞠莉はコメントが来たことを通知で確認するとタッチパッドで操作してコメント欄に画面をスクロールさせた。

 

「え〜っと………『この子達何者!?ヤバすぎ!』だって」

「ヤバすぎ……とはどういう意味なのでしょう?」

「そりゃあ、すごいってことじゃない?」

「あ、またコメントよ。『ダンスも歌も完璧すぎる!』『これで1本目??まさに超新星だ!』『ここまで完全再現してるスタダ久しぶりに見た!』」

「………まだまだコメントが来てますわ。どれも私達のパフォーマンスを褒めてくれています」

「え、ちょっと怖いんだけど……」

 

最初に鞠莉が確認したコメントを皮切りに、3人のパフォーマンスを絶賛するコメントが多数投稿され、さらには高評価と視聴数も止まることを知らずぐんぐんと伸びていた。

 

「どんどん数字が増えて……!?パソコンが壊れてしまいますわ!」

「Unbelievable……!こんなに一瞬でバズるなんて……」

「やっぱりμ'sの曲を選んで正解だったってことかな?」

「どういうこと?果南」

「μ'sの曲は人気だから沢山カバーされてるでしょ?それにμ'sの曲だからって偶々見る人も多いってことだよ」

「ですがこれは諸刃の剣でしたわ。数が多い分埋もれてしまう可能性もありましたし、完成度が低いとすぐに見られなくなったりします。ですがこの高反応を見るに……」

「っ……!!私達のパフォーマンスが納得いくものだった?!」

「……だと思うよ」

「や、や…………やりましたわぁ〜!!!」

 

3人は伸び続ける数字やコメントを見ながら喜びを露わにして手を取り合って笑顔を浮かべた。そしてその話題はサイト内には留まらず、SNSでも話題になっていき、Aqoursの名は瞬く間にスクールアイドルファンに知られるようになった。

 

 

 

 

 

━━━━数時間後。S.I.C.社長室。

 

 

「社長、少しよろしいでしょうか?」

「はい。どうかされましたか?」

「先程、サイトにアップされたスクールアイドルの動画が話題になってまして、それを確認していただきたいと思いまして」

「わかりました」

 

社長室で書類に目を通していた社長であるナオキに、その秘書を勤めている新戸 美書子(あらと ひしょこ)がタブレットを差し出し、ナオキはそれを確認して目を丸くした。

 

 

━━━って、投稿されたのはたった数時間前!?なのにこの再生数……!!

 

 

「サイトだけではなく、他のSNSでもこの動画は話題になっています」

「凄いな……!しかも動画はμ'sの曲のカバーじゃないですか?!それでこの数字って、一体どんなスクールアイドルが…………!」

 

 

━━━このセンターの子って……ダイヤちゃんか?!

 

 

ナオキは動き続ける数字やコメントから動画自体に目を向けると、そのセンターでパフォーマンスをする子が数年前に出会ったダイヤであるとわかると、さらに目を見開いてその動画を見つめた。

 

「………社長?」

「あぁ……すみません」

「何か気になることが?」

 

美書子はそんなナオキを不思議そうに見つめ、その原因が気になってそれを問うと、ナオキは椅子の背もたれに体重をかけて懐かしむような表情を浮かべて口を開いた。

 

「……前に話しましたよね、会長に連れて行かれたパーティーで出会った当時中学生の子の話を」

「はい、覚えております。確か、社長の"自身の目で色んなスクールアイドルを見たい"という志のきっかけになったという」

「はい。それこそがこのセンターの子なんです」

「っ……!?そんなことがあり得るのですか!?」

「僕も驚きましたよ……!そうか……ついに始めてくれたんだ、スクールアイドルを……!」

 

ナオキは再びタブレットの画面をとても嬉しそうな表情で見つめ、そんなナオキに釣られるように美書子も微笑んでしまっていた。

 

「嬉しそうですね、社長」

「えぇ、こんなに嬉しいのは久しぶりです!しかもこのダンス……僕の目からも見て完璧だ。

"Aqours"か………いい名前だ」

「どうやら、静岡県の田舎にある高校だそうで」

「静岡ですか………なら、東京へも比較的来やすいかもしれませんね。しかもタイミングなんて、この子達は運が良い……!」

「社長、このグループの名前を例のリスト(・・・・・)に加えておきますか?」

「はい。そうしてください」

「かしこまりました」

 

美書子はそう言うと胸ポケットからメモ帳を取り出して『リスト追加 Aqours』と素早く書きいてからそれを胸ポケットにしまった。

 

「会えるのが楽しみだよ、ダイヤちゃん……いや、Aqours……!」

 

 

━━━君達の輝きを、おれに直接見せてくれ……!!

 

 

ナオキは今後実現するであろう未来を想像してワクワクした表情を浮かべながらAqoursの動画を見つめ続けていた。

 

 

 

 

 

 

━━━━2日後。浦の星女学院。

 

「東京?!」

「そうですの!東京のイベントに、私達が呼ばれたんですのよ〜!!」

「ダイヤ、随分鼻息がvery hardよ」

 

果南はホワイトボードに黒ペンで文字を書く手を止めて、踊るように喜んでいるダイヤをきょとんと見つめた。

 

ファーストライブが終わってから、μ'sの曲を聞いて作詞に魅力を感じた果南はオリジナル曲を作るべく、部屋のホワイトボードにワードや歌詞となる詩を書いていた。そして鞠莉は自身で作曲に関しての勉強を意欲的に進めていて、自分好みの曲を作り始めていた。ダイヤはそんな2人に早く曲を作ってもらうために生徒会の仕事を2人の分も負担していた。スクールアイドルの頂点を決める大会"ラブライブ!"に出場するにはオリジナル曲が必要不可欠。だからこそダイヤは2人に早く曲を作って欲しかったのだ。

 

話は戻るが、鞠莉も椅子に座りながらあまりにも興奮しているダイヤに引き気味でそう伝えると、ダイヤはまるで興奮する自分を落ち着かせるように鼻を両手で覆って、この"チャンス"を2人に理解させようと言葉を続けた。

 

「兎に角チャンスですわ!このイベントでさらに有名になれば"ラブライブ!"にも一歩近付きますし、きっと浦の星に入学を希望する生徒がジャンジャン増えますわ!!」

「……そうだね。やってみる価値はありそうだね」

「そうね!私達のPerformanceを、沢山の人に見てもらいましょう!」

「決まりだね!」

 

ダイヤの言葉に2人も特に異論はなく、この学校に興味を持つ生徒を増やすため、そして自分達のパフォーマンスをより多くの人に見てもらうために東京のイベント………"TOKYO SCHOOL IDOL WORLD"への参加を決めたのであった。

ダイヤはそう決まると生徒会室へ急いで戻り、美春達にイベント参加のための申請書を提出して、先程S.I.C.のイベント運営から届いた出演依頼に返信をした。

 

 

 

━━━そして、その日は訪れた。

 

 

 

━━━━━数週間後。東京。

 

 

ダイヤ達Aqoursはイベントに参加するために東京へ訪れ、本番前最後の練習をスタジオで終えて、その近くにあるホテルで休んでいた。

イベント参加者は当日に東京に来るグループもいれば、ダイヤ達のように前日までに東京入りして練習をするグループもいた。その人達のためにS.I.C.が旅館やホテルを手配してくれるという手厚いサポートをしてくれており、ダイヤ達は3人同じ部屋に泊まることができていた。

 

そのホテルの部屋の中で、シャワーを終えた果南はあるノート(・・・・・)を見つめていた。そのノートには"Aqoursダンスフォーメーションアイデアノート"と書かれていた。

果南は作詞以外にも、μ'sの綺麗なフォーメーションダンス、そして他のスクールアイドルの様々なダンスを見て興味を示し、自分で曲に取り入れたいフォーメーションやダンスを記していた、最初のページには他のスクールアイドルのフォーメーションも描かれていて、ファーストライブの時もそれを参考に3人はダンスを覚えていた。あの時の完璧なダンスやフォーメーション等のパフォーマンスはこのノートの存在も大きな理由のひとつだろう。

 

「また見ているのですか?」

「ダイヤ……!」

「ふふっ、こういう時もイメージトレーニングを欠かさないのも、果南さんの良いところだと思いますわよ」

 

シャワーを終えてタオルで髪を乾かしながら出てきたダイヤは、そんなノートを見てイメージトレーニングをしている果南に声をかけた。果南はイメージトレーニングをしているところを見られて少し恥ずかしくなり頬を赤らめた。

 

「……こうしないと落ち着かないんだよ」

「明日のライブは必ず成功させたいからですか?」

「まぁ、それもあるけど……学校を救うためには、明日のライブが1番大事なところだと思うから」

「……そうですわね。それに、ラブライブ!に出場するためにも」

「うん。あの舞台に……私も立ってみたいしね」

「同感ですわ。

………必ず、成功させましょうね」

「勿論だよ」

 

2人は静かに闘志を燃やしながらそのノートを見つめ、果南が見ているページに『Miracle wave』という名前と共に描かれているあるフォーメーション(・・・・・・・・・・)を提案した日のことを思い出していた。

 

 

 

 

━━━数週間前。

 

『『オリジナルのフォーメーションを取り入れる〜!?』』

『うん!昨日思いついてね!これが出来たら絶っ対に1位になれると思ったんだ!』

 

イベントに向けての練習を始める前、果南はダンスフォーメーションノートのあるページを見開いて2人に見せていた。

 

『確かにこれなら大丈夫だと思いますが……』

『かなりvery hard……』

『確かにそうだけど、東京のイベントで注目を浴びるためにはこれぐらい必要だと思うんだ!』

 

果南の提案したダンスフォーメーションを見て自信を失う2人だったが、それを鼓舞するように果南はそんな2人に熱弁をした。2人が自信を失うのは無理はなく、その難易度はかなり高いものであったからだ。

そんな果南が提案したものとは、まず左から順番に立った状態から腕立て伏せをして、片足を上げて腕立てをして頭からつま先まで順に降ろし、その状態から少し跳んで足を着かせずイルカの尾びれみたいに足をくねらせる、所謂"ドルフィンウェーブ"と呼ばれるものだ。次にセンターが右の人の向こうに移動して、側転よりもさらにひねった動きをするロンダートからの、後ろ向きで少しジャンプして回転をして手を床に付き、さらに大きく後ろ向きでジャンプをするバク転。そしてそれらに加えて順番に体をくねらせながらしゃがみながら横を向き、さらにその逆順で後ろを向いて腕を突き立てて回転していくものもあった。これらは難易度は高いが成功すれば盛り上がり、確実に注目を浴びることができるダンスだった。

しかし、ダイヤと鞠莉はそうはわかっていてもやはり不安そうで表情からもそれは明らかであった。

 

『やってみる価値はあると思いますが……』

『う〜ん……』

『それにね、名前も考えたんだ〜!』

『名前……ですか?』

『うん!その方が必殺技みたいでかっこいいでしょ?』

『「Miracle wave」……ねぇ……』

『どうどう?かっこいいでしょ?!だからやってみようよ!!私達ならきっとできるって!』

 

そんな果南の言葉を聞いた2人の表情は徐々にやる気が満ち溢れるようなものになっていき、果南が2人を引っ張りながら3人はその日からダンス練習を中心に特訓を始めた。

このパフォーマンスは難易度こそ高いが成功させてさらに注目を浴びて、Aqoursや学校の名前をさらに世間に知らしめるために、そしてこの学校を廃校から救うために━━━。

 

 

 

━━━それから練習を重ねて現在に至る。

完璧……とは彼女達は100%言い切れないが、見ている人を興奮させるには充分なほどの完成度にはなっていた。

 

「あれだけ練習したんですから、きっと大丈夫ですわよね。でもバク転などもする果南さんが1番負担がかかってしまいますが……」

「それは前にも大丈夫だって言ったじゃん。バク転はやったことがあるし、ロンダートもしばらく練習してできるようになったし……まぁ、ドルフィンウェーブは結構苦戦したけどね」

「それは私もですわ……あんなダンスをしたのは初めてでしたが、不思議と学校のためを思うと力が沸いてきてできるようになりました。勿論、鞠莉さんも」

「そうだね……」

「それに"リーダー"の果南さんが私達を引っ張ってくれましたから」

「うぅ〜……そのリーダーっていうの慣れないなぁ」

 

2人は練習の日々を思い返しながら話していたが、ダイヤが"リーダー"と言うと果南は照れくさそうに笑って頭の後ろあたりを手でかいた。

そう、ファーストライブの後から1番ダンスが上手く、昔から2人を引っ張ってきた果南をAqoursのリーダーに決め、さらには今回の曲のセンターもそのリーダーの果南が選ばれていた。

 

「ふふっ、そんな果南さんも可愛いですわよ」

「も〜う!やめてよ〜!」

 

2人の笑い声がその部屋に響き、さらにそんな話を飲み物や食べ物を買いに出て行ってた鞠莉はドアの向こうから聞いていた。果南やダイヤの思いを聞いて、鞠莉は胸の前で拳を握って深呼吸してやる気に満ちた表情を浮かべてからそのドアを開けた。

 

「果南、ダイヤおっ待たせ〜!明日の英気を養うためにお菓子パーティーするわよ〜!」

「もう鞠莉さん!そろそろ寝る時間だからお菓子はいけませんって言いましたわよね?!」

「Oh!?そんなに怒らないでよ〜!こういう時ぐらい大丈夫だって〜」

「鞠莉さん……!!」

「まぁまぁ、偶には良いんじゃない?前夜祭ってことで」

「さっすが果南〜!」

「………もう、仕方ないですわね。少しだけですわよ」

 

そして3人は鞠莉の買ってきたお菓子を食べながら明日の本番のために英気を養った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『━━━勇気で未来を見せて』

 

Aqoursが披露する曲……μ'sの『No brand girls』は間奏に差し掛かり、いよいよ練習を重ねたオリジナルの振り付けを披露するタイミングになった。3人はμ'sの『START:DASH!!』で一躍人気が上がったこともあり、さらには果南の提案したダンスに合わせるためにその曲を披露することを話し合って決めていた。

そんな果南達の狙いは的中し、観客達はその曲が披露されることを知ると、Aqoursの完璧な再現度に期待し、そして感動していた。

その間奏部分が中盤の盛り上がりを見せるところで、ダイヤ、果南、鞠莉の順番でドルフィンウェーブ。さらに果南は素早く鞠莉の向こうに移動してロンダートからのバク転を成功させると、観客達は難易度の高いダンスだがその完成度とそれを実現させたAqoursに驚愕し、今日1番の歓声があがった。そしてラスサビ後の『Oh,yeah!』に合わせてダイヤ、果南、鞠莉の順でしゃがみ、その逆順で腕を突き上げて回転して、そして最後の決めポーズをしてその曲は終わりを告げた。

曲が完全に終わると観客達はスタンディングオベーションをしてAqoursのパフォーマンスを讃え、それを聞いた3人は感動して客席を見つめて顔を見つめ合って笑顔を浮かべた。

このイベントの1位はAqoursで間違い無いだろうと誰もが確信していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん………んんっ……?夢、か………」

 

果南はゆっくりと目を開けて、先程まで見ていたものが夢だと理解して息を吐きながら体を起こした。起床予定時間よりも早めに目が覚めてしまい、このまま起きていようと先にシャワーを浴びるためにベットから出てシャワー室へと向かった。

 

「っ……!」

 

「鞠莉………?」

 

すると先に起きていたのか鞠莉がシャワー室の前……2人のベッドからは見えにくいところでしゃがんでいたのを見つけて果南は声をかけたが、そんな鞠莉は驚いて静かに体をビクつかせた。

 

「か、果南……Good morning……!」

 

「?鞠莉どうかし━━━」

 

果南が声をかけると鞠莉は顔を引き攣った笑顔で挨拶をしていたが態勢はしゃがんだものから変えようとはしなかった。それを不思議に思った果南は鞠莉に近付いた。

 

━━そんな果南の目に湿布とテーピングのゴミが目に入り、果南は目を見開いて驚きを露わにした。

 

 

「━━━っ……鞠莉!!!!????」

 

「ん……うるさいですわよ……?」

 

そんな果南の声で目が覚めてしまったのか、ダイヤも目を擦りながら体を起こしてその声の方を見つめた。徐々に意識がはっきりしてくると、鞠莉はしゃがみ込み、果南はそんな鞠莉を心配するように肩を掴んでいて、ダイヤは何をしているのかわからず首を傾げた。

 

「か、果南落ち着いて……?大丈夫だか━━━」

 

「━━━全然大丈夫じゃないよ!!この怪我、昨日はなかったよね?!まさか、今まで練習してたの?!私昨日言ったよね?今日に備えてしっかり休んでって!」

 

「っ……それは……!」

 

「怪我……?!鞠莉さん、大丈夫ですの!?」

 

鞠莉は右足首にテーピングをしていて、それを見た果南は声を張り上げ、ダイヤもそれに驚いたことで目が完全に覚めて2人に駆け寄った。

果南が察した通り、鞠莉は果南の言い付けを破り早朝から1人自主練をしていたのだ。その結果、鞠莉は右足首に怪我を負ってしまった。所謂オーバーワークによるものだった。

そんな鞠莉の表情はまだ激しい痛みが残っているのか片目を瞑って歯を食いしばる仕草を見せていた。

 

「ダイヤまで……だから大丈夫だって!これぐらい……っ!」

 

「……そうは見えないけど?」

 

「本当に大丈夫だから……!心配しすぎよ」

 

「ですがこの足で踊るのは……」

 

「……ダイヤの言う通りだよ。無理して悪化させるわけにはいかない。だから今日のイベントは棄権━━━」

 

「━━━それはダメッ!!!!!」

 

「っ……鞠莉さん……」

 

果南が真剣な表情でイベントの参加を棄権することを提案すると、即座に鞠莉は声を張り上げて反対した。ダイヤはその声にびっくりして、少し身を引いて鞠莉を驚いた表情で見つめた。

 

「鞠莉、でも………」

 

「私なら大丈夫だからッ!今日、このイベントを棄権なんてしたら絶対後悔する!このイベントには私達の思いも、今までの練習も……浦の星のみんなの思いもかかってる!辞めれるわけない……っ!!」

 

「っ………!」

 

ダイヤと果南はそんな鞠莉の必死な思いに返す言葉を見つけることはできなかった。それは2人も同じものを持っていたからだ。

ダイヤは頭の中で鞠莉の足の怪我を見て出場は絶対に止めなければいけないと思っていたが、その中でも、ほんの僅かでも、出たいという思いもあったため、まるで渦巻きのように思考を巡らせていた。

 

しかし、果南はそんな鞠莉をどこか不気味な雰囲気を放つ表情を浮かべて静かに見つめていた。

 

早朝の3人の部屋に沈黙が続く中、そんな表情を浮かべる果南のひと言がそれを破った。

 

「………わかった。出よう」

 

「っ……果南さん!?」

 

「果南……!」

 

「ただし、痛みが出たら途中でもパフォーマンスを辞めること。無理をして続けないこと。そうなっても私がカバーするから。だから絶対に約束して」

 

「果南さん……なにを……?!」

 

「わかった。約束する」

 

「決まりだね」

 

「………わかりました。鞠莉さん、果南さんが言ったこと、必ず守ってくださいね」

 

「任せてよ!」

 

「……テープとか無くなってるじゃん。下手くそなのに自分だやるからだよ」

 

「oh……果南、辛口ねぇ」

 

「兎に角!私、コンビニで新しいの買ってくるから大人しく待ってて。ダイヤ、鞠莉を見張ってて」

 

「えぇ、任されましたわ」

 

「私、犯罪者みたい……」

 

果南は鞠莉の言葉に説得は出来ないと判断したからかイベントの出演を許可し、それを聞いた鞠莉は今度こそ果南との約束を守ると誓った。ダイヤは最初は驚いた表情を浮かべていたが果南がそう言うならと引き下がって、果南が無くなった湿布やテープを買いに部屋を出るのと同時に鞠莉の肩を持って椅子まで運んだ。

 

「鞠莉さん、本番までは大人しくしててくださいね」

 

「もう、わかってるわよ〜」

 

「……その言葉に信用がないのはわかってますわよね?」

 

「はーい……」

 

「……………………」

 

そんな2人の会話を扉の向こうで聞いていた果南の表情はどこか暗いもので、その表情のまま足早にコンビニへと足を進めて行った。

 

「………鞠莉さん、どうして自主練なんてしたんですか?明らかにそれはオーバーワーク過ぎます」

 

ダイヤは果南が去ったのを足音で察すると鞠莉が勝手に自主練をした理由を問い詰めた。鞠莉も果南には(・・・・)聞かれたくなかったのか、その理由をすんなりと話し出した。

 

「……追いつきたかったの」

 

「……果南さんに、ですわね?」

 

「うん。果南は昔から運動神経も良かったから、私達より難しいダンスのはずなのにあんなに完璧にマスターしてた。それに比べたら私はまだまだで………このままじゃ本番もセンターの果南に任せることになる。だから、一歩でも果南に追いつきたかった。あのダンスを100%のものにしたかった。だから早く起きて、練習を……」

 

「……やはり、そういうことでしたか」

 

「ダイヤにはお見通しだったみたいね……ごめんなさい。本番前の大事な時にこんな怪我しちゃって……私も反省してる」

 

「もう起こってしまったことは仕方ありません。次はもう、こんなことしないでくださいね」

 

「うん、わかってる。約束する」

 

ダイヤは鞠莉のオーバーワークの原因を察しており、落ち込む鞠莉を優しく諭していた。

何故ダイヤはその理由を察せたか……それはダイヤも同じ思いを持っていたからだった。果南をセンターにしたのは、果南のセンスは2人とも認めていて、果南がセンターであればAqoursのパフォーマンス全体に大きな"バフ"になるからだった。そして果南をリーダーにしたのも、昔から過ごしていた時に自分達を引っ張る存在であったこともあるが、スクールアイドルとして、その果南の能力で自分達を鼓舞するためでもあった。そんな果南に負けじと2人は今日まで練習を重ねていたが、果南ほど完璧に仕上げることは出来ていなかった。その現状に鞠莉は納得しておらず、この愚行とも呼べる行動に出てしまっていたのだ。

鞠莉は今回のことを本当に反省しており、それからひと言も話そうとはしなかった。ダイヤも鞠莉の心情を察して備え付けられていた飲み物を用意し始めた。

 

そうしている最中、ダイヤはあることを考えていた。

 

 

━━━私が鞠莉さんのオーバーワークの原因がわかったのなら、きっと果南さんも………

 

 

 

そんなダイヤの勘は当たっていて、果南は素早く足を進めながら考えを巡らせていた。

 

 

 

━━━私のせいだ私のせいだ私のせいだ。

 

私があんなダンスパフォーマンスを考えたから、提案したから……!

 

私の安易な考えが、行動が……

 

そうだ。私が…………

 

 

鞠莉を追い詰めた(・・・・・・・・)

 

 

果南は下を向いて歯を食いしばり、拳を握って、進める足の力を入れて、その色んな考えや感情が混じる思いを地面にぶつけるように歩きながら、目から少しの涙を落とした。

 

そんな果南は部屋で引き下がらない鞠莉を見て、その言葉を聞いてある考え(・・・・)を思い付いていた。

 

 

「………だから私が、ちゃんと責任(・・)を取るよ」

 

 

果南はエレベーターに乗ってボタンを押すと壁にある鏡の方を向いて、持っていたヘアゴムで寝るために解いていた髪を慣れた手つきでポニーテールに括り、覚悟を決めたように鏡に映るを見つめた。

 

 

 

 

━━━こうする(・・・・)しか、ないんだ。

 

 

 

「だからごめんね、鞠莉、ダイヤ……それに、みんな……ごめんなさい」

 

 

果南はエレベーターが止まるまで、そう静かに呟いて自分の顔の額を鏡に引っ付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━秋葉ホール。

 

 

ついにTOKYO SCHOOL IDOL WORLDの本番の時が訪れた。

会場となる秋葉ホールは、ラブライブ!がμ'sがA-RISEやナニワオトメ等沢山のスクールアイドルと共に"スクールアイドルフェスティバル"、通称"スクフェス"と呼ばれるイベントを開催した後に"ラブライブ!運営委員会"の時に建設の計画がされ、最近になってついに完成したイベントホールだ。この会場は主にスクールアイドルのライブができるような設備が整えられており、キャパも他のホールと比べれば明らかに大きいものになっている。勿論それ以外にも演劇物等に使用されることがあるのだが、現時点ではほぼ全てと言っていいほどスクールアイドル関連に使われている。

 

そこに備わっている各グループがパーテーションで区切られている合同控え室の隅の方で、Aqoursの3人はファーストライブでも使用した衣装に着替え、メイクなども済ませて準備を完了させていて、その部屋に備え付けられているモニターに流れているライブの映像を見ながら自分達の出番を待っていた。

 

「……すごい」

「これが、ランキング上位のスクールアイドルのライブ……」

 

鞠莉と果南はランキング上位のスクールアイドルのパフォーマンスを見て緊張している心情を露わにしていた。

 

「そうですわ。昔と比べてスクールアイドルの人口も増え、そのレベルの要求も上がっています。ラブライブ!に出るには……そして、学校の名前をこの界隈で広めるために有名になるには、これぐらいのレベルに届かないといけないのですわ」

「「……………」」

 

ダイヤは冷静に言葉を紡ぎ、その思ったよりも"大きな壁"に他の2人は言葉を失ってしまった。そんな2人を見て、ダイヤは笑みを浮かべて言葉を続けた。

 

「……ですが、私達なら大丈夫です。そのためにあのフォーメーションも練習してきたのですし、その"壁"を壊すためにあの曲(・・・)を選んだのですわ。この曲とダンスがあれば、きっとこのイベントでもきっと好成績を残せます!」

「……そうね!ダイヤの言う通りだわ!」

「えぇ!」

「………うん、そうだね。私達なら大丈夫」

「……?果南さん?」

 

鞠莉はそのダイヤの言葉に鼓舞されて表情をやる気に満ちたものに変えていたが、ダイヤは言葉では前向きになっていたが表情はどこか暗めなものにしていた果南を不思議そうに見つめた。

 

「なぁ、あんたらAqoursやんな?」

『っ……!?』

 

そんな時、突然誰かに呼びかけられた3人は驚いてその声がする方を見つめた。

そこには茶髪のサイドテールで小柄な少女が腕を組んで仁王立ちしていた。さらに衣装も着ていてスクールアイドルであろうということは容易に想像できた。

 

「貴女は……?」

「ウチか?ウチの名前は浅野 千羽(あさの ちわ)!大坂学園のスクールアイドルや」

「っ……大坂学園!?」

「有名な学校なの?」

「勿論ですわ!大坂学園といえば、あの"ナニワオトメ"が所属していた高校ですわよ!」

「あの……?!」

 

そう名を名乗った少女の言葉を聞くと果南と鞠莉は黙っていたが、ダイヤは驚いた表情を浮かべて声を上げた。鞠莉はその学校名にピンと来ていなかったが、あのμ'sやA-RISEと並ぶ"三大スクールアイドル"とまで呼ばれた"ナニワオトメ"の所属していた学校だと知ると驚いた表情を浮かべた。

 

「その通りや」

「……で、その大坂学園のスクールアイドルさんが私達に何か用?」

「ちょっと果南さん……!」

 

ダイヤはどこか警戒し、交戦的な表情を浮かべている果南を諌めたが、そんな果南を見た千羽は大きな笑い声を上げた。

 

「アハハハハ!ええなぁ、自分!いや、松浦果南」

「……知ってるんだ?」

「勿論や。他の2人も知ってるで……黒澤ダイヤに小原鞠莉。静岡の田舎のスクールアイドル、Aqoursのこともな」

「………ふーん」

「そんな睨まんといて〜や。これでも自分らのパフォーマンスを楽しみにしとるんやで?」

「っ……私達の!?」

 

どこか嫌味な言い方をする千羽に果南はより不信感を強めていたが、千羽がAqoursへの期待について話し出すとダイヤはさらに驚いた声を上げた。

 

「そりゃそうやろ。あのμ'sの『スタダ』をあんな完璧に再現したんや……ウチも、他の人らも楽しみにしてると思うで?」

「それはどうも」

「なんやお前!?仲良くしていこーや!」

「そうですわよ果南さん……ドウドウ……」

「でも、それだけじゃないんでしょ?何か他に話したいことありそうだけど?」

「おぉ!察しええなぁ〜自分!」

 

ダイヤはそんな果南を諫め続けていたが、千羽はそれを面白がるような仕草を見せていて、果南に自分の考えを見抜かれると一旦目を瞑ってから言葉を続けた。

 

「他の、話……?」

 

「そうや。さっきも言うだけど、自分らには期待しとるんや。松浦果南のダンス能力、小原鞠莉の歌唱力、それに黒澤ダイヤの綺麗な動き……自分らのパフォーマンスならお客さんも満足してくれるやろ……でもな……」

 

 

━━━浅野さんの目が変わった……!

 

 

ダイヤはそう話す千羽の目がこちらを睨むようなものに変わったことで一気に緊張感を感じた。それは他の2人も同じであった。

 

 

「でもな……自分らはウチらには敵わへん。ウチらは本気でこのイベントの1位を……ラブライブ!優勝を目指しとる。ラブライブ!に出て学校を宣伝したいだけの自分らとは違うんや」

 

「っ……別に、そういうわけじゃ……!」

 

「ほんまか?さっきの話聞いてたらそういう風にしか思わんかったけどな?」

 

「……盗み聞きしてたの?」

 

「偶々耳に聞こえてきただけやよ。

それに、この"TSW"はラブライブ!と同じぐらい注目されとるイベントや。ここでの1位はラブライブ!の優勝に限りなく近づくっちゅうことや。勿論ウチらも1位を目指しとる。出れたらええ……パフォーマンスを見せれたらええってだけの自分らとは違うんや」

 

 

━━━なにも、言い返せませんわ……!

 

 

「もし自分らが本気でラブライブ!優勝を目指しとるなら、今日のパフォーマンスでウチに証明してみーや。もし自分らが本気なのがわかったら、靴でもどこでも舐めたるわ!」

 

「ちょっとcreepyね……」

 

「栗?何言うとるんや自分……?」

 

 

━━━あ、この子英語が苦手なのね……

 

 

「……まぁ、ええわ。兎に角、自分らとは違うっていうの証明したるからよう見とき!ウチらの出番は自分らの前……ステージ横でビビらせたるわ!」

 

そう高々に宣言した千羽に3人は萎縮して何も反論はできなかった。彼女から溢れる自信や圧は本気でスクールアイドルをする人のものであり、それがひしひしと3人に伝わってきたのだ。

 

「……千羽さん、なにしてはるん?」

 

「っ……舞子(まいこ)先輩……ただちょっとAqoursの人らと話しとっただけですよ?!」

 

3人が何も言葉を返せない中、千羽の背後に"舞子"と呼ばれた人が立って声をかけると、千羽は少し萎縮するようにその人に弁明をしていた。

 

「はぁ……ちゃんと聞こえとったで?ほんま自分はすぐ勝手に他の子らに喧嘩売って……!

Aqoursの皆さん、ウチの千羽さんが申し訳ございません」

 

「い、いえ……!」

 

ダイヤは千羽とは違ってお淑やかな雰囲気を漂わせる黒髪のロングヘアーの舞子と同じようにお辞儀をした。

 

「申し遅れました。私は大坂学園の鶴城 舞子(つるぎ まいこ)……この千羽さんと同じスクールアイドルをしてます」

 

「「ど、どうも……」」

 

果南や鞠莉はその大人っぽい舞子に思わず姿勢を正して頭を下げてしまっていた。

 

「この千羽さんは本当に貴女方のパフォーマンスを楽しみにしているだけなのです……ちょっと、いや、かなり言葉遣いは荒いですが」

 

「そ、そうなのですね……」

 

「はい。それに、私も楽しみにしておりますわ。貴女方には私も期待しておりますから」

 

「期待……?」

 

「はい。私達は、貴女方Aqoursがラブライブ!で倒すべき相手になるかもしれないと思ってますから。さ、行きますわよ、千羽さん」

 

「え、あの……」

 

「ゆっくり、お話しましょうね?」

 

「ヒィ……!」

 

そう言い残してその場から千羽の首根っこを引っ張りながら去っていく、千羽よりも堂々と怖く感じる雰囲気を感じさせた舞子の言葉にも何も返せず、そんな2人を見つめていた。

 

 

━━━大坂学園スクールアイドル……ナニワオトメ。

その名はあのナニワオトメの頃から受け継がれているもので、その当時1年生だったメンバーも昨年度で卒業していた。それ故、舞子や千羽など今年度からのメンバー達はそんな先輩達に恥ずかしくないようにとプライドや理想を高く持ち、必ずラブライブ!で優勝しなければならないと志を強く持っていた。

特に1年生の千羽はその偉大な先輩達と入れ替わるように入学し、この学校に入学した理由もナニワオトメに憧れたことであるため、そこの部内でも強いプライドと誇りを持っている人物だ。

3年生の舞子に関しては、昨年度は言うなれば黄金期のナニワオトメのメンバーのリーダーだった香川(かがわ) マチコと1年間共にスクールアイドル活動をしていた。そのためその先輩から受け継いだもの、そしてその無念(・・)を晴らすべく、自身にとっての最後の1年である今年に全てを賭けている。しかしながら、何故3年生の舞子が1年間しかマチコと共に活動できなかったのか?これらは少し複雑な事情が絡んでいた。

黄金期のナニワオトメはマチコを含めて当時の生徒会長で、ナオキが大坂学園を退学することになった問題やその後ナオキの周りで起こった様々な問題で裏から糸を引いていたマチコの兄ミツヒデが選んだ5人でのみ構成されていた。しかし、μ'sと戦い敗れたラブライブ!決勝を機にミツヒデも改心し、ナニワオトメは翌年から新規メンバーを入れることになっていた。マチコが2年生、舞子が1年生の時である。しかし舞子はその当時に入ることはなく、加入を決意したのはナニワオトメが史上初のラブライブ!連覇を達成した時だった。直接見に行った決勝でそのスクールアイドルの魅力に気付いて入部を申し出て、1年間全力でスクールアイドル活動に身を投じた。

しかし、その次の夏のラブライブ!ではμ'sから受け継がれた音ノ木坂学院のスクールアイドル……"Shooting Stars"に前回大会のリベンジを達成された。さらにはマチコにとって最後のラブライブ!であり、リベンジを誓った冬のラブライブ!でも同じShooting Starsに連覇を達成されて負けてしまった。これがマチコの無念であり、舞子がこの1年間に賭ける理由であった。

舞子や千羽をはじめとした現在のナニワオトメのメンバー達は、強敵となるのは昨年2度敗れたShooting Starsのみと思っていた。しかし、突如と現れた新人スクールアイドルのAqoursの動画を見た時にその意識は変わった。その完成度の高いパフォーマンス、再現度が高い振り付けてその人気は急上昇し、ラブライブ!に出れば確実に強敵になるだろうという期待を持った。

 

 

『続いては!関西No.1の座は今年からも譲らない……ナニワオトメ!!』

『ワァ━━━━━!!!』

 

ナニワオトメの名が告げられると、千羽達がステージ袖から現れて観客達は大きな歓声をあげた。その背中をこの次の出番であるダイヤ達Aqoursは緊張した面持ちで見つめていた。

 

 

━━━よう見とけよ、Aqours……!

 

これがウチらナニワオトメの……

 

"本気でラブライブ!優勝を目指すスクールアイドル"の実力や……!!

 

 

照明が消えたステージの舞台袖に近い方でスタンバイした千羽はチラッとダイヤ達の方に目をやって、眼力でその決意を伝えるとまた下を向いて目を瞑り曲の開始を待った。

 

スタンバイしていた7人をギターのチューニング音と共にいくつもの線上の照明が照らし、本格的にイントロが始まるとその7人は激しいダンスで観客達を一瞬で釘付けにした。

 

━━━披露した曲は今年度が始まって7人で初めて披露した新曲『RE:V』。

 

リベンジと再びラブライブ!で優勝するという決意がこもった曲で、マチコがいなくなったナニワオトメを「もう終わった」等優勝や好成績から遠ざかったという声が多く存在していたが、この曲とパフォーマンスを見てそんな意見はごく僅かまでに減ることになった。そんな世間に衝撃を与えた曲で、さらに現在のナニワオトメの代名詞とも呼べる曲であった。

そんな曲を目の前で見た観客、そしてAqoursの3人や他の参加者はナニワオトメから目が離せなくなってしまった。それ程このパフォーマンスは素晴らしく圧倒的であったのだ。

その中でも特に目を引いたのは間奏での千羽のソロダンスパートであった。ナニワオトメの中でダンスが抜きん出ている千羽はその実力を思う存分に発揮し、間奏の時間をまさに自分の独壇場だと言わんばかりにそのキレのあるダンスで見る者達を魅了した。この千羽のパフォーマンスを目立たせるために敢えて端の立ち位置にしていたナニワオトメの作戦は成功したと言えるだろう。

 

『━━━再び勝利を 栄光を』

 

そして7人が握り拳を挙げて決めポーズを取って曲が終わると大きな歓声と拍手が会場を包み込んだ。それからも分かる通り、ナニワオトメはパフォーマンスの数分間を自分達のものにして、見る人達の脳内に自分達の姿を焼き付けた。

 

『以上、ナニワオトメのパフォーマンスでした〜!』

 

司会者がそう告げると、大きな歓声を受けながらナニワオトメの面々はステージ袖に下がっていった。その直前、千羽は振り返ってこちらを見続けるダイヤ達を見てニヤリと笑った。

 

 

━━━さぁ、次はあんたらの番や。うちを失望させてくれんなよ?

 

 

『っ……?!』

 

ダイヤ達はその千羽の視線から感じる威圧感を体全体で感じ、一気に緊張感を増していた。

 

収まることを知らない歓声と熱気。

 

それはダイヤ達の緊張感、スクールアイドルへの期待感、そして現在のスクールアイドルと自分達との差を嫌でも彼女らに感じさせるものであった。

 

「……鞠莉さん、本当に大丈夫ですの?!」

 

「全っ然……!っ……!」

 

そんな出番を目前に鞠莉が怪我をした足首のテーピングをしっかりと留め直すと、ダイヤはそんな鞠莉を心配し姿勢を低くしてその顔を見つめた。鞠莉は笑顔を浮かべはしたが痛みを感じるようで少しだけ顔を歪めると、ダイヤの中の不安な気持ちはさらに増し、それはその表情からもわかるぐらいであった。

 

 

━━━やはりこのまま続けるのは危険なのでは……?果南さん、貴女は何を考えて……?

 

 

「……果南!やるわよ!」

 

「……………」

 

「………果南?」

 

「果南さん……?」

 

鞠莉の怪我の具合を見ても尚ステージに出ることを選んだ果南の考えがわからなかったダイヤ、そして怪我をしていても尚意気揚々とステージへ挑もうとする鞠莉は、ステージ開始を目前に長年一緒にいた果南の様子がおかしいことに気付かないはずはなかった。

 

『さぁ、続いては!瞬く間に話題を掻っ攫って人気を急上昇させた……Aqours!!』

 

『ワァ━━━━!!!』

 

そんな果南の様子を2人に本人から聞かせることをさせないかのように司会者がAqoursの出番を告げ、観客達もその登場に期待して大きな歓声を上げた。

 

 

━━━そしてAqoursはステージの中央へと足を進めた。

 

 

 

 

 

「……流石はナニワオトメだ。マチコ達が抜けても尚、その実力は変わらないのだと示すいいパフォーマンスだった」

 

「ランキングも上位をキープしているのも納得ですね」

 

ステージの様子を別室でモニター越しに見ていたナオキと美書子はナニワオトメのパフォーマンスに感動していた。

そしてナオキはモニターから机の上に置いてあった出番順が書いた紙に視線を移すと口角を上げて、次の出番のグループであるAqoursのパフォーマンスを楽しみな気持ちを滲み出した。

 

「……さぁ、このパフォーマンスを見てどうなるかな?楽しみにしてるぞ、Aqours」

 

「社長が推薦したのですから、それ相応のパフォーマンスをして欲しいですね」

 

「厳しいなぁ……新戸さんは」

 

「当然です。彼女達はライブ経験も少ない中の出場ですから」

 

「確かに……ですが、彼女達なら良いパフォーマンスを見せてくれると思いますよ?」

 

「何故です?」

 

「ん〜……そんな予感がするんですよ、彼女達を見てると」

 

Aqoursの評価が厳し目な美書子とは別に、ナオキは期待の目を彼女らに向けており、2人はそんなAqoursのパフォーマンスを見届けるべくモニターへと視線を移した。

 

『さぁ、続いては!瞬く間に話題を掻っ攫って人気を急上昇させた……Aqours!!』

 

そうモニターから司会者の声が聞こえてくるとステージ袖からそんなAqoursの3人が現れ、2人はジッとモニターを見つめ続けた。

 

 

━━━しかし、ステージ中央に移動してきたAqoursの1人が目に入るとナオキの表情はムッとしたものに変わった。

 

 

「………ん?あの子……」

 

「どうかされましたか?」

 

「………いえ、あの金髪の……小原さんが少し気になりまして」

 

「奥様と同じ金髪だからですか?」

 

「ち、違いますって!少し、様子がおかしいな……と」

 

「……?私にはそうは見えませんが……」

 

「……………」

 

ナオキはステージ中央に移動してくる鞠莉にどこか違和感を覚えていたが、美書子は何も感じなかったことで勘違いかと一瞬思ったが、どうしてもそれが頭に引っ掛かるような感覚を感じていた。

 

 

━━━しかしその予感は、別のカタチ(・・・・・)で当たってしまった。

 

 

 

 

そのステージで起きたことに困惑し、ざわざわとした雰囲気が会場に瞬く間に広がった。

 

「お、お〜い……大丈夫ですか〜……?」

 

司会者も思わずギリギリ中央にいる3人に聞こえるぐらいの小さな声で呼びかける。Aqoursからの合図がなければ曲もかけることができない。

 

 

「っ……!?」

 

別室でモニター越しに見ていたナオキは思わず驚いた表情を浮かべて勢いよく立ち上がり、表情をあまり変えない美書子も珍しく驚いたものを浮かべて画面を見つめた。

 

 

「何やってるんや、あいつ……!!」

 

ステージ袖からステージを見てきた千羽は拳を強く握って大きく目を見開き、驚きと怒りに満ちた表情を浮かべていた。

 

 

「果南……?」

 

鞠莉は微動だにせず立ち尽くす果南に何が起きているのかわからず、ただ困惑した表情でそんな親友を見つめていた。

 

「果南さん……?」

 

ダイヤはスタッフに合図を出す役割を任されていたが、果南が立ち尽くしてスタンバイしないためその役目を全うできず、様子がおかしい親友を困惑した表情で見つめていた。

 

「果南、どうしたの?」

 

「果南さん、早くパフォーマンスの準備を……」

 

そして2人は果南から反応がなく状況が理解できないため、そんな彼女の肩を持って呼びかける。

 

それに気付いた果南は観客席の向こうを見つめて動いてなかった体を動かし、そして俯いて、2人に衝撃的な言葉を放った。

 

 

 

 

「…………ごめん、私………

 

 

歌えない(・・・・)……!!」

 

 

 

 

 

 

「「っ……!?」」

 

その言葉を聞いた2人は驚いた表情を浮かべ、ダイヤはこうなってはステージの続行は不可能で、他の参加者やスタッフにも迷惑をかけてしまうため、鞠莉に向けて首を横に振ってから、スタッフの方に歩いて行った。

鞠莉はダイヤの意図することを表情と仕草から察して残念そうな顔を浮かべたが、果南がこうなっては仕方ないとそんな果南を連れてダイヤと同じ方向に歩いて行った。

 

 

「どうかされましたか!?」

 

「あの……お呼びいただいて大変申し訳ないのですが………」

 

「……………」

 

「……ごめん、鞠莉、ダイヤ……」

 

ダイヤがスタッフと話す傍ら、鞠莉に支えられてその場に歩いてきた果南は呟くように言葉を出した。鞠莉はそれに何も言わず、ただ優しく首を横に振った。

 

ダイヤはそんな中、申し訳なさそうに、そして残念そうにスタッフにこう伝えた。

 

 

 

「Aqoursは、このイベントを………棄権します」

 

 

「………わかりました」

 

そんなダイヤの言葉を聞いてそのスタッフは司会者に伝え、司会者がAqoursの棄権を告げる中、無線で機材担当や照明担当などのスタッフ、そして別室にいる美書子にその旨を伝えた。

 

 

「棄権……!!!???」

 

「はい、先程スタッフから連絡がありました。Aqoursは松浦果南(メンバー)の不調により、棄権すると……」

 

「………………そうですか」

 

ナオキは美書子からそのことを聞くと息を吐いて残念そうに椅子に座り込み、肘を机につけてその組んだ両手を口に当て考え込む様子を見せた。

 

 

ステージ袖では棄権することになったAqoursの3人は次のグループの人達やスタッフの視線を感じながらゆっくりと控え室に戻っていき、その反対側で一部始終を見ていた千羽は他のメンバーを他所に早足でどこかへ歩いて行った。

 

こうして、Aqoursの"TOKYO SCHOOL IDOL WORLD"は思わぬ幕引きを迎えたのだった。

 

 

 

 

 

 

━━━━合同控え室。

 

「っ……?!」

 

「果南さんっ!」「果南っ……!」

 

「ちょっと千羽!それはまずいって!」

 

「うるさいわ!!うちはこいつが気に食わんのや!!」

 

「だからってそれはダメだって!先輩に怒られるよ!?」

 

「うるさいッ!!そんなんどうでもええわ!!!」

 

「っ……!」

 

Aqoursが控え室へ戻ったすぐ後、怒りを露わにしながら千羽が入ってきて果南の胸ぐらを掴むと周りに人達はみんな驚いた表情を浮かべていた。そんな千羽を同じナニワオトメのメンバーで同い年の土井(どい) フレンと柴田 高嶺(しばた たかみね)は諌めようとするが、その勢いは止まらずに果南に詰め寄っていた。

 

「……離してよ」

 

「離さんッ!!お前、舐めとんのか?!なんやあれは!!??説明せんかいッ!!!」

 

果南は静かに睨みながらそう言うと千羽は怒りを露わにしながら睨み返し、先程のステージでの出来事を問い詰めるように胸ぐらを掴む力を強めた。その控え室には緊迫した雰囲気が漂っていて、誰もがその行く末を心配そうに見守ることしかできなかった。

 

「説明……か……」

 

「あぁそうや!言うたよな?自分らの本気見せてみーやって!なのにあれはなんや!?」

 

千羽の怒りの籠った強い言葉はその部屋に響き、一時静寂な空気が漂っていた。

果南はそんな千羽の言葉を聞いて少し間を空けてから視線を彼女から離し、誰も開けることはできなかった口を開いた。

 

「………ビビったんだよ」

 

「はぁ?」

 

「ビビったって言ったんだよ。貴女達ナニワオトメや、他のスクールアイドルのステージを見て……そして今まで立ったことがない大きなステージと会場にね」

 

「果南さん……」「果南………」

 

果南の言葉にダイヤと鞠莉は共感し、そしてあの(・・)果南からそんな言葉が出るのは思わず驚いていた。そんな果南を問い詰めた本人の千羽は力を緩めずにずっとその顔を睨みつけていた。

 

「これで満足?良かったね……貴女の言う通り、私達とは違うってところが証明できたんだから」

 

果南はそんな千羽に不気味に微笑みながらそう伝えると、千羽はその怒りが収まらない表情を浮かべて果南を睨み続け、またもやその部屋に静寂な時間が流れた。

 

「っ〜〜〜!!!!もうええわッ!!!」

 

「っ……!」

 

「自分には失望したで!松浦果南ッ!自分のダンス力には期待してたけどウチの勘違いみたいやったな!」

 

「ちょっ……千羽!」

 

すると千羽は果南を押し出すようにその胸ぐらを掴んでいた手を離し、そう言い残して怒りを込めて足をドタバタさせながら控え室を出て行こうと出口へ向かった。

 

「………ラブライブ!は……スクールアイドルは、そんな生半可な気持ちで挑むものやない……!!これは遊びちゃうんやッ!!!」

 

千羽はそう言い捨ててから控え室を出ていき、そんな彼女をフレンは追いかけて控え室を出て行ったが、高嶺は千羽の行動を謝るように頭を果南達に下げてからそこを去って行った。

 

「果南さん……」

 

「ごめん……本当に……」

 

「果南……!」

 

そんな千羽達が去った控え室は嵐の後のような空気が漂っており、ダイヤは騒がせたことを他の参加者に対して謝っていった。

 

そしてそんな空気の控え室にある人物(・・・・)が訪れた。

 

 

「失礼します。Aqoursの皆さん……ですね?」

 

「あ、はい……あの、失礼ですが、貴女は?」

 

「私はS.I.C.社長の秘書を務めております、新戸美書子と申します」

 

「秘書……?」

 

「はい。黒澤ダイヤさん、小原鞠莉さん、松浦果南さん……Aqoursの皆さんを社長がお呼びです。付いてきていただけますか?」

 

そこへ訪れたのは美書子であり、社長のナオキにAqoursの3人を彼がいる部屋まで連れてくるように頼まれていた。

3人は制服に着替えてから美書子と共に、他の参加者達の困惑した声を背に受けながらその社長がいる部屋へと向かっていた。

 

 

 

 

━━━社長控え室。

 

その部屋の目の前に着くと、Aqoursの3人はその扉の横に貼られていた『社長控え室』という文字を見て緊張感を高めていた。しかしその中でダイヤは違う緊張を感じていたことは言うまでもないであろう。

 

「はい、どうぞ」

 

「社長、失礼します。Aqoursのお三方をお連れしました」

 

「ありがとうございます」

 

その部屋の奥にはライブの様子が映っているモニターを見ていたナオキがいて、Aqoursの3人が来たことを知ると立ち上がってその3人を見つめた。

 

『し、失礼します……』

 

「ごめんね、急に呼び出して。それと……」

 

「っ……!」

 

「……久しぶりだね、ダイヤちゃん」

 

「は、はい……!お久しゅうございますですわ……!」

 

「ダイヤ、どうしたの?言葉がcrazyよ?」

 

ナオキに名前を呼ばれたダイヤの様子はおかしく、他の2人は困惑してそんなダイヤを見つめていたが、即座にダイヤは2人の方を向いてその理由を話した。

 

「鞠莉さん果南さん!こ、この方は……!!」

 

「そうか。自己紹介がまだだったね……

僕の名前は香川ナオキ。スクールアイドルカンパニーの社長を務めていて、元μ'sのメンバーだ」

 

「へぇ、μ'sの……」

 

ダイヤがナオキの自己紹介を聞いてむんっとした表情を浮かべて首を縦に振っている中、鞠莉と果南は"元μ'sのメンバー"という単語を聞いて理解をするのに時間がかかっているかのように固まってしまった。

 

『μ's!!!!??????』

 

「そうですわ!!この御方こそっ!!!あのスクールアイドルにとって神にも等しい存在μ'sのサポートをされていた香川ナオキさんですわ!」

 

「あの神曲の数々生み出した……!?」

 

「はい!」

 

「μ'sの曲の歌詞も書いていた……!?」

 

「はいっ!!」

 

『あのμ'sの香川ナオキさん!?』

 

「そーーーうですわぁ!!!!!!」

 

「ははは……相変わらずだなぁ、ダイヤちゃん」

 

作曲をし始めている鞠莉、歌詞を書き始めている果南は、そのことを始めるきっかけでもあった存在……μ'sのナオキを前にとても驚き、ダイヤもまるで自分のことのように鼻を高くしており、そんなダイヤを見たナオキは以前会った時のことを思い出しながら苦笑いを浮かべた。

 

「でも、ダイヤはどうして知っていたの?」

 

「数年前、東京でのパーティーで奇跡的にお会いしたのですわ!」

 

「へぇ〜流石は黒澤家だね」

 

「まぁ、とりあえずそこに座って……と言いたいところだけど」

 

「……What's!?」

 

ナオキはそんな興奮が冷めやらない3人を椅子に座るように促そうとしたが、その視線を鞠莉に向けると彼女は驚いた表情を浮かべた。

 

「…………足、怪我してるよね?」

 

『えっ……!?』

 

「………ど、どうして……?!」

 

そしてナオキがスタッフや他の参加者の誰にも言っていない鞠莉の足の怪我について触れると、3人はさらに驚いた表情を浮かべて、鞠莉は隠していたのもあって他の2人よりも戸惑いの表情も浮かべていた。

 

「どうしてわかったのかって?そりゃあ僕はμ'sやShooting Stars……音ノ木坂のスクールアイドルのことをずっと見てたんだ。さっきのステージや歩き方とか見てたらわかるさ」

 

「流石はナオキさんですわ……」

 

「色々聞きたいことはあるけど、とりあえずちゃんと診てもらった方が良い。新戸さん、彼女を医務室へ」

 

「かしこまりました。小原さん、ご自身で歩けますか?」

 

「は、はい……」

 

怪我を長年スクールアイドルを見てきたナオキに見抜かれた鞠莉は、秘書の美書子に肩を支えられながら医務室へ連れて行かれた。その光景を果南やダイヤは心配そうに見つめていて、鞠莉達が去ると訪れた静寂に気不味そうな表情を浮かべた。

 

「……さて、とりあえず座ってよ。冷たい飲み物も用意しよう。スポーツドリンクで良いかな?」

 

「「は、はい……!」」

 

そんなダイヤと果南はナオキに促されると部屋の中央付近に用意されていたパイプ椅子に座り、ナオキはスポーツドリンクをコップに入れると2人の前に置き、長机を2つ挟んだ向かいに座って緊張する2人を見つめた。

 

「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

 

「い、いえ!そんな……!」

 

「……折角呼んでいただいたのにあんなカタチになってしまって、謝るのは私の方です……すみません」

 

「あっ、果南さん……」

 

ナオキが軽く呼び出したことを謝ると、果南は呼んでもらったステージで歌えなかったことを詫びて頭を下げ、そんな果南をダイヤは心配そうに見つめた。

 

 

━━━本当は、私も何故歌わなかったのかと問い詰めたかった。あの方……浅野さんのように、とはいきませんが、その理由が知りたかった。

 

ですが……果南さんはきっと………

 

 

ダイヤはそっと果南を見つめていた視線を下げ、果南があの時歌わなかった理由(・・)を察するように下唇を噛んだ。

そんな2人をしばらく見つめていたナオキは、鼻から息を出してから微笑んで優しい目で見つめ直した。

 

「松浦さん……いや、果南ちゃんでもいいかな?」

 

「は、はい……!」

 

「ありがとう。果南ちゃん、君は………」

 

「っ……!」

 

ナオキが笑顔でお礼を言った直後、その目つきが鋭いものに変わったことに果南は心臓をキュッとさせ、先程よりもさらに緊張した表情を浮かべた。

 

「君は歌えなかったんじゃなくて……歌わなかった(・・・・・・)んだよね?」

 

「「っ……!?」」

 

そんなナオキの言葉に2人は驚いて言葉を失った。その理由は勿論、それが……歌わなかったということが"真実"だったからであった。そして同時にナオキが何故それをわかったのかが不明であり、2人は動揺していた。

 

「なんでわかったのか?って言いたそうな顔だね。まぁ、わかったというよりは予想が当たった(・・・・・・・)だけだよ」

 

「……予想が、当たった?」

 

「うん。鞠莉ちゃんの怪我に気づいて、幼馴染の君達2人にそれを隠せることは出来ないだろうなと思って、そうだとしたらその怪我を悪化させないために果南ちゃんはわざと歌わなかったんじゃないか?って予想したんだ」

 

「果南さん……やはり……」

 

「……ダイヤも薄々気付いていたんでしょ?私はナオキさんの言う通り……歌わなかったんだよ」

 

「それなら今朝止めていれば……!何故こんな、果南さんが傷付くカタチで━━━」

 

「━━━私が責任を取らなきゃいけなかったんだよッ!!私のせいで……鞠莉は……っ!!」

 

「━━━っ……果南さん……」

 

薄々果南が歌わなかったということを察していたダイヤの言葉に、果南はつい声を張り上げて反論してしまい、それを受けたダイヤは少し怖気付いてしまった。

 

「……もしかして、ダンスを考案してるのは果南ちゃんかな?」

 

「……はい」

 

「なるほど……果南ちゃんは鞠莉ちゃんの怪我を『自分のせい』って言ったよね?もしかして鞠莉ちゃんの怪我の原因は"オーバーワーク"かな?」

 

「……そこまでわかっちゃうんですか?」

 

「流石はナオキさんですわね……」

 

そして果南の言葉から鞠莉の怪我の原因がオーバーワークであると見抜いたナオキに、果南はここまで当てられると逆に面白くも感じて苦笑いを浮かべ、ダイヤは改めて憧れのナオキの洞察力の高さに感心した。

 

「果南ちゃんのダンス能力の高さは3人の中でもかなり高い。だから鞠莉ちゃんはそんな君に追い付こうとオーバーワークしてしまうのも理解できるよ」

 

「それに今回の振り付けは私のアイデアでオリジナルのパフォーマンスを採用したんです。それがあって鞠莉は……」

 

「オリジナルのパフォーマンス?もしかして『ノーブラ』にアレンジを加えたのか!?」

 

「も、申し訳ございませんっ!!」

 

「いやいや、責めてるわけじゃないよ?!ただ、嬉しいんだよ。僕達μ'sの曲やダンスを、君達のように受け継いで(・・・・・)くれてるんだなって」

 

「ナオキさん……!」

 

ナオキはとても嬉しそうに、そして感慨深そうな表情を浮かべていて、それを見たダイヤは安堵感と嬉しさが交わるような表情を浮かべた。

 

「でも、そのダンスのせいで……」

 

「ですが、決めたのは私達3人ですわ!どれだけ難しくても学校のため、ラブライブ!のため必ず成功させると!」

 

「でも……ッ!」

 

「……気になるな、そのダンス。教えてもらえる?」

 

「……わかりました」

 

ナオキは話に出ていたオリジナルのダンスが気になると、そんなナオキにお願いされた果南は鞄からダンスの案が書かれたノートを取り出して、今回踊るはずだった"Miracle wave"が描かれたページを開いてナオキに手渡した。

 

「ありがとう」

 

 

━━━こ、これは……?!ドルフィンウェーブにロンダート、それにバク転も……!?

 

 

「これを、やるつもりだったのか……!?」

 

「はい。毎日練習して完璧に……とはいきませんでしたが」

 

「でもそれが、鞠莉を追い詰めた……っ!」

 

「でもでもでもと……もう聞き飽きましたわ!」

 

「だってそれが事実なんだよ!」

 

「まぁまぁ、2人とも落ち着いてくれ」

 

「「っ……!」」

 

「果南ちゃんの鞠莉ちゃんの怪我の責任を負おうとする気持ちもわかるし、ダイヤちゃんの果南ちゃんを思う気持ちもわかるよ。それに、それは2人もわかってることだよね?」

 

「「……はい」」

 

ダイヤと果南が言い合いになりそうになったところをナオキが静止し、その言葉に2人は荒ぶる気持ちを落ち着かせて椅子から立ち上がる勢いだった体を抑えた。

 

「……方法は強引だったけど、果南ちゃんが歌わなかったことで鞠莉ちゃんの怪我も酷くならなかったし、事故にもならず最悪の事態は避けられた。もし事故になってたらイベントが中止になってたかもしれないしね。そのことは僕からお礼を言わせて欲しい。ありがとう」

 

「っ……はい」

 

「確かに、そうですが……」

 

「でも確かに『Aqoursとして正解だった』とは言い切れないかもね。だからちゃんと話し合って、これからもスクールアイドル活動を続けて欲しい……と僕は思ってる」

 

「それは勿論です」

 

「果南さん……!」

 

果南の真っ直ぐな目を見たダイヤは、スクールアイドルを辞めるつもりはないのだと知って安堵した表情を浮かべた。そしてナオキは果南の視線からスクールアイドル活動に対する熱が消えてないことを確認すると、優しい微笑みを浮かべながら頷いた。

 

「その言葉を聞けて安心したよ。君達の"輝き"はまだまだこれからなんだからさ。期待してるよ、Aqours」

 

 

 

それから鞠莉が医務室から帰ってくるまで様々な話をして時間を過ごし、鞠莉が帰ってくると早く家で体を休めさせるために早々に3人は帰って行った。

そんな3人が去った控え室ではナオキはライブが中継されているモニターを見ながら何か考え込む表情を浮かべていた。

 

 

『お願いがあるんです。このことは……私が歌わなかったことはここだけの秘密にして欲しいんです』

 

 

━━━果南ちゃんはこの"嘘"をずっと抱え込むつもりなんだ。鞠莉ちゃんのために。でも、本当にそれで良いのか……?

 

 

「………答えは神のみぞ知る、ってやつかな?」

 

「……?どうかされましたか?」

 

「い、いえ!それより、そろそろ集計でしたよね?」

 

「はい。終わり次第こちらに報告が来ますので、社長はその後にステージで発表していただく形になります」

 

「わかりました」

 

 

━━━とりあえず今は目の前の仕事に集中だ。

 

 

ナオキは3人のことが気になりつつも、この後の結果発表という大事な仕事のためにその考えを一旦頭の隅に置いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━翌日。

 

 

「━━━以上が、昨日のイベントの報告になります」

 

「そう、松浦さんが……」

 

「松浦は大丈夫なのか?それに小原の足も」

 

「はい。鞠莉さんは大事を取って本日は欠席していますが、しばらく安静にしていればすぐに。果南さんは…………」

 

「……どうしたの?」

 

生徒会室で美春と燐花にイベントの報告を済ませたダイヤは2人から質問をされ、それに対して冷静に対応していったが、果南のことになると言葉を詰まらせてしまい、そんなダイヤに2人は疑問を抱いた。

しかしそんなダイヤの脳内では昨日ナオキを含めた3人で話したこと、そして地元に帰ってきてから果南に話されたことが思い出されていた。

 

 

『このことは、秘密にしておいて』

 

 

「………いえ。果南さんは、ショックを受けたようですが、しばらくすればまた立ち上がります。果南さんはそういう人ですから」

 

「確かに、松浦はどんな仕事で失敗しても諦めずにやり遂げていた。心配の必要は無さそうだな」

 

「そうね。あの松浦さんのガッツは私も見習うとこがあるわ」

 

燐花と美春もダイヤの言葉で先程までの疑問は消え、この失敗を特に気にすることはなく、逆にそれがバネとなってさらなる活躍を期待していた。ダイヤは嘘をついていることを内心申し訳なさそうにしていたが、それは悟られぬように表情には出さなかった。

 

「そうだ。そういえば、Aqoursにライブのオファーが来ていたぞ」

 

「ライブ……ですか?」

 

「えぇ。夏休みに行われる花火大会の実行委員会からね。そこでAqoursにライブをして欲しいって依頼が来ているの。期限はまだ先だから、ゆっくり考えて頂戴」

 

「はい、かしこまりました」

 

ダイヤは美春から花火大会のチラシと共にライブの出演依頼を受け取り、昨日のイベントから気が休まる暇もなく動き出す日常を感じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそんなことがあった日も風のように過ぎ去り、鞠莉の足も完治し、果南も問題を引きずることなく、Aqoursの3人は花火大会のライブへ向けての準備に取り掛かっていた。

そのライブでは今まで披露したカバー曲ではなく、作曲は鞠莉、歌詞は果南と初のオリジナル曲を披露するべくその準備を進めていた。ダイヤは2人に曲作りに集中してもらおうと生徒会の仕事を引き受け、衣装も前回使用したものに少々アレンジを加えるだけにしていた。

曲作りも順調、ダンスパフォーマンスも固まっていて、衣装は言わずもがな仕上がっている。果南はイベントで歌えなかったが、その失敗をバネにするように練習に励んでいて、次のライブを成功させ、必ずラブライブ!に出場すると皆が意気込んでいた。

 

 

━━そんな、1学期も終わりが見えてきたある日だった。

 

果南は提出物を職員室へ届けようと廊下を歩いていたが、担任の教師の大きな声が聞こえてきて職員室の入り口で息を潜めるようにして足を止めた。そんな職員室をこっそり覗くと、その教師と鞠莉が何か話している光景が目に飛び込んできた。

 

「本当に断るの!?」

 

「はい」

 

「だって、ご両親も先方も是非っておっしゃってるの!もし留学先の高校で卒業すれば大学の推薦だって……!」

 

「いいんです。私、School Idol始めたんです……この学校を救うために」

 

 

━━━やっぱり、私が……スクールアイドルが、鞠莉から未来を、夢を奪っていたんだ。

 

 

果南は鞠莉がハッキリと真っ直ぐに留学の話を断っていたのを聞いてから、何か考えるようにその場を去っていき、その後の2人の会話を聞くことはなかった。

 

「それは知っているわ。貴女達は学校のために頑張ってくれているわ。でも……」

 

「それに、一緒にしてる果南達を置いては行けません。これから一緒に頑張ろうって決めてるので」

 

 

━━━あの果南が歌えなかったんだ。そんなの、放って置いて行けるわけがない。

 

 

「……本当にいいのね?この留学を受ければ、貴女の未来の可能性も拡がるのよ?」

 

「はい。私にとっては"いま"が、3人でこのSchool Idolをしているこの時が大事なので」

 

 

以前から鞠莉は留学の話を断っており、そことを果南とダイヤは心配していた。その中での今回の職員室での会話を聞いて、その気持ちは果南の中でさらに大きなものになっていたのだ。

その気持ちを整理するべく、果南は夜に1人外を歩きながら考えていた。その時の空はまるで果南のモヤモヤを表すような曇り空であった。

 

 

 

 

━━━━━黒澤家。ダイヤの部屋。

 

ダイヤは部屋で衣装の手直しをしながら東京でのイベントの後、ナオキからの掛けられた言葉を思い出していた。

 

『期待しているよ、Aqours』

 

「んんんん〜〜〜!!!!あのナオキさんから期待されてるなんて……!!恐悦至極ですわ〜!!」

 

そうダイヤが嬉しそうな悲鳴を上げると、まるでその声を掻き消すかのような大雨が降り、それが窓に激しく当たる音が聞こえると、ダイヤは窓に近付いてそこから外を見つめた。

 

 

━━━雨、ですか……

 

 

「ん?あれは………?!」

 

そして窓の外に何か見つけたダイヤは驚いた表情を浮かべながら勢いよく部屋の外へ出て行った。

 

「ピギィ!?お、お姉ちゃん……!?」

 

「ルビィ!すぐにお風呂の支度を!」

 

「お、お風呂……?」

 

ダイヤは部屋を出ると通りかかったルビィに風呂の支度をお願いし、急なお願いに困惑するルビィを他所に急いで階段を降りていき、そしてバスタオルを取って傘を持って外へと走り出した。

 

「っ……果南さんッ!!」

 

「…………ダイヤ」

 

「何しているんですの!?こんな雨の中、傘を刺さずに……!」

 

ダイヤが見たのは傘を刺さずに大雨の中歩いていた果南で、外へ出てそんな果南を傘に入れてバスタオルを差し出すダイヤを果南は暗い表情で見つめた。ダイヤはそんな果南の表情を見て何かあったに違いないと確信した。

 

「………ごめん」

 

「話は家でゆっくり聞きますわ。だから早く」

 

「…………うん」

 

果南はダイヤからバスタオルを受け取って頭から被り、ダイヤに連れられて黒澤邸へと足を進めて行った。

 

 

 

 

「………着替え、ここに置いておきますわね」

 

「ありがとう、ダイヤ」

 

ダイヤは風呂場に学校のジャージを置いてドア越しに声をかけると、湯船に浸かりながら果南は弱々しい声で返事をした。そんな声を聞いたダイヤは只事ではないとその場から離れることはできなかった。

 

「……何か、あったのですね?」

 

「……………」

 

「答えてください。もしかして、まだ東京のことを気にしているのですか?」

 

ダイヤが重々しい声でそう言うと、果南は考え込むようにしばらく黙っていたが、ダイヤは果南から言葉が出るのを待った。

 

「………鞠莉が、また留学の話を断ってたんだ」

 

「っ……!また、ですか……」

 

「うん……」

 

ダイヤはやっと口を開いた果南の言葉に目を見開いて、ドアに映る湯船に浸かる果南の姿を見つめた。ダイヤも勿論、以前から何度も鞠莉が留学の話を断っていることを知っていたのもあって俯いてしまった。

そしてしばらく2人とも沈黙してしまい、その耳には激しい雨音のみが聞こえていて、重苦しい空気がその場に流れていた。

 

「……ですが、鞠莉さんはスクールアイドルをしたいから何度も断っているんですわよね?だったら……」

 

「それじゃダメなんだよッ!」

 

「っ……果南さん……!」

 

「それじゃ……ダメなんだよ。留学したら、鞠莉の未来の可能性は大きく拡がる。そのチャンスをスクールアイドルが、私達が壊しちゃダメなんだよ」

 

「そ、れは……そう、ですが……」

 

すると果南は湯船から上がり、風呂場のドアを開けてダイヤの顔をじっと見つめ、ダイヤもその音に反応して顔を上げて果南の目を見つめた。そしてそんな果南の表情は先程まで浮かべていた迷っているようなものではなく、ハッキリと考えをまとめたようなものであった。

 

「………私に、考えがあるんだ」

 

「考え……?」

 

「うん。だからダイヤにも協力して欲しい。

鞠莉の、未来のために……」

 

「鞠莉さんの未来……の前に、果南さん、服を着てください……!」

 

「あ……うん」

 

ダイヤは裸で自分の前に立つ果南に服を着させてから改めて果南の言う"考え"を聞き、しばらく2人で話し合った末にある決断(・・・・)をした。

 

 

その決断とは━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━翌日。

 

体育館横にあるスクールアイドル活動の拠点としている部屋では、ダイヤが手直しした衣装が机に並べられており、果林は考えた歌詞や詩をホワイトボードに書き込んでいた。ダイヤは生徒会の仕事が終わったばかりで、衣装を手に取る鞠莉を部屋の外から見つめていた。

 

「Wow! これが新しい衣装!?」

 

「は、はい……少々手直しをした程度ですが」

 

「イイじゃない!ねっ、果南もそう思うでしょ?!」

 

「……………」

 

「果南………?」

 

鞠莉は衣装を手に取って覚えた感動を果南と共有しようと声をかけたが、反応がイマイチだったことに違和感を覚えて不思議そうにペンを進める果南を見つめた。

 

「…………鞠莉、あのね━━」

 

「っ……」

 

ペンが止まったキュッという音と共に果南は顔を下に向けて口を開いた。ダイヤは果南が話し始めると拳を強く握って気まずそうに視線を下に落とした。

 

その部屋は、果南のひと言によって異様で静寂な雰囲気に包まれ、鞠莉もそれを感じ取って妙な胸騒ぎを感じながら果南の言葉の続きを待った。

 

 

「━━スクールアイドル、もう、おしまいにしよう……」

 

 

「……………………へ?」

 

果南の予想外で衝撃的なひと言に鞠莉は静かに驚きの声をあげて、あまりの衝撃に衣装を持つ手の力が抜けて衣装が落ちそうになったが、鞠莉の指に引っかかって落ちずにその手の中に収まっていた。

 

「私、スクールアイドル……辞めようと思うんだ……」

 

「なんで?まだ引きずっているの?東京で歌えなかったぐらいで……」

 

「鞠莉、留学の話が来てるんでしょ?鞠莉のために、行くべきだよ」

 

鞠莉はすぐさま「辞める」と言った理由を問い詰めたが、果南もそれに負けない早さで言葉を続け、ペンの蓋を閉めてから机の上に立ててその部屋から去ろうとダイヤの立つ出口に向かって行った。

 

「どうして!?冗談は辞めて……?前にも言ったたでしょ?そんな話は断ってるって。ダイヤもなんか言ってよ……!」

 

鞠莉は抜けていた力を再び入れて衣装を抱きしめながら去ろうとする果南を止めようと足を前に動かし、その衝撃で机に立てられたペンがバランスを崩して床に落ちてしまった。

 

「……………」

 

「っ……………ダイ、ヤ……?」

 

さらにそんな果南を説得してもらおうと部屋の外に立ったままのダイヤにも声をかけたが、スクールアイドルが誰よりも好きで、そして最初にスクールアイドルをしようと立ち上がったダイヤが果南が辞めるということに抵抗することなく諦めて残念そうに目を瞑って何も言わない彼女を疑問と驚きの表情で見つめた。

 

「ダイヤも同じ意見なんだよ。もうスクールアイドルを続けても意味がない(・・・・・)……」

 

そして果南はそう言い捨てるように鞠莉に背を向けて部屋から出て、ダイヤと共にその場から去ろうと足を進めだした。

 

「っ……果南!ダイヤ!」

 

鞠莉はそんな2人をなんとか引き留めようと大きな声を出し、手に持っていた衣装を2人に見せるように前に出した。

言葉では語らなかったがその動作からは「3人でライブがしたい」「スクールアイドルを続けたい」という意志が感じられ、ダイヤはそれを感じ取ってさらに申し訳なさそうな表情を浮かべたが、果南はそれを感じ取っても自分の考えを揺らがらせることなく真っ直ぐと鋭い眼差しで鞠莉を見つめた。

 

「終わりにしよう。スクールアイドルを……Aqoursを」

 

 

 

 

━━━━━廊下。

 

 

「……これで、良かったんですわよね?」

 

「これで良かったんだよ、鞠莉のためにも。昨日話したでしょ?」

 

「それ、は………」

 

ダイヤは果南と共に部屋から離れて廊下を歩きながら昨晩に自宅で2人で話したことを思い出していた。

 

『学校のためにっていうのはわかってる……でも、私には、鞠莉の未来もそのことと同じぐらい大切なんだよ……!』

 

『それは、私も同じですわ……でも………』

 

『ダイヤ……!』

 

『っ……わかり、ました。廃校はまだ決まったわけではありません。他の方法(・・・・)を探っていかねばなりませんね』

 

『………ありがとう、ダイヤ』

 

そんな会話を思い出したダイヤはずっと夢見ていたスクールアイドルを諦めることを自分の心に言い聞かせるように唇を噛み締めてから軽く深呼吸をした。

 

「………そうでしたわね。これから忙しくなりますよ?」

 

「覚悟の上だよ」

 

「では、私は生徒会室に行ってから帰りますわ」

 

「うん。それじゃ……また明日」

 

「はい」

 

そしてダイヤは果南が校舎から出ていくのを見送ると、1人静かに生徒会室へと足を進めた。

 

 

 

 

━━━━━生徒会室。

 

 

「━━ということがあり、スクールアイドル活動は本日をもって終了させて頂くことになりました」

 

ダイヤは美春と燐花に深々と頭を下げてスクールアイドル活動を終了する旨を告げた。2人は予想外の報告に戸惑いを隠せず、驚きの表情を浮かべて下げた頭を上げようとしないダイヤを見つめていた。

 

「やはり、あの時の失敗が堪えられなかったということか……」

 

「………本当に、いいのね?」

 

「……はい。果南さんが続けられないとなると大きくAqoursのパフォーマンスのレベルが激減いたします。それに、鞠莉さんにも留学の話が来ていますし……私1人では浦の星の廃校を阻止できるような活動はできませんわ」

 

ダイヤはお腹の辺りで組んだ両手の力を強めながらそう語り、美春もそんなダイヤの声色等で様子を伺うように見つめ、その決心が変わらないことを悟ると浅い深呼吸をしてから沈黙を破る声を出した。

 

「わかったわ。残念だけれど、仕方ないわね」

 

「美春……本当にいいのか?黒澤も……!」

 

「燐花、黒澤さん達が決めたことよ。その決意は揺らがないわ」

 

「っ……そう、だな……黒澤、本当にいいんだな?」

 

「………はい」

 

「………わかった」

 

燐花はスクールアイドルがあれだけ好きなダイヤのことを気遣いながらも、ダイヤのはっきりとした返事を聞くと諦めたように椅子の背にもたれて息を吐くようにスクールアイドル活動の終了に賛成した。

 

「黒澤さん、今日はもう疲れたでしょ?先に帰っていいわよ。花火大会の実行委員会の方には、私から断っておくから」

 

「会長、お手数お掛け致しますわ。申し訳ございません」

 

「いいのよ、気にしないで。しっかり休んで、明日からまた頑張って頂戴。廃校を阻止する為に忙しくなるわよ」

 

「はい。ではお言葉に甘えて、失礼致します」

 

そして精神的に疲れたであろうダイヤを家に帰した美春は、ダイヤが去った生徒会室のドアの方を静かに見つめ続けた。

 

「……まさかこんなことになるとはな。私は黒澤達であれば、Aqoursであれば、もしかしたら廃校をなんとかできるかもしれないと思っていたんだが」

 

「そうね……私もそう思ってたわ。でも仕方ないわよ、あの子達がそう決めたのなら」

 

「あぁ……」

 

「こうなったら、黒澤さんにはさらに頑張ってもらわないとね。次期生徒会長として(・・・・・・・・・)……」

 

 

 

 

 

 

━━━━━小原家。鞠莉の部屋。

 

 

鞠莉はあれからしばらくして帰宅し、両親に留学をする旨を話してから部屋に篭って制服のままベッドにうつ伏せになって顔を枕に埋めていた。

 

「なんでよ……なんでよ……果南、ダイヤ……ッ!!」

 

鞠莉は枕を力強く握って涙で濡らしながら溢れる気持ちを絞り出すように叫びながら、泣くことによって行く先を無くした気持ちを枕にぶつけて、いつもよりも、今まで過ごした中で1番長く感じる夜を過ごした。

 

 

━━━そんな鞠莉を夜空に輝く月は見守るように見つめていた。

 

 

 

━━━━松浦家。果南の部屋。

 

 

「………果南、本当に晩ご飯は大丈夫なの?」

 

「うん、大丈夫。ごめん……」

 

「……お腹が空いたら言うのよ」

 

「うん」

 

果南はドア越しに母親とやり取りをすると、電気もつけずに月明かりのみがその部屋を照らす中、近くにある海の波音を聞きながらベッドに寝転んで天井を見上げていた。

 

 

━━━そんな果南を月は寄り添うかのように見守り続けていた。

 

 

 

 

━━━━黒澤家。和室。

 

 

ダイヤは生徒会室を後にしてから帰宅し、いつもの様に先に居間に入ると妹のルビィがスクールアイドルの雑誌を鼻歌を歌いながら読んでいた。

 

「ルビィ……」

 

「あ、お姉ちゃん!おかえりなさ━━━」

 

「━━━片付けて」

 

「━━━え?」

 

それ(・・)、見たくない」

 

「お姉……ちゃん……?」

 

ルビィは自分以上にスクールアイドルが好きだったダイヤが、普段はとても優しいダイヤが不機嫌そうにその雑誌を片付けてと言ったこと、そして何よりも大好きなスクールアイドルを"それ"と言ったことに驚き、居間から去って行くダイヤを目をうるうるとさせて見つめた。

 

━━その日からルビィはダイヤの前でスクールアイドルの話を一才せず、そして雑誌などのグッズもダイヤの前では出さない様に隠れて見るようになった。

 

その後、自分の部屋に戻ったダイヤは荷物を置くと壁に貼ってあったポスター、棚などに飾ってあったアクリルスタンド等のグッズ、そしてスクールアイドル活動に使っていたノートや練習着等を段ボールにまとめていた。

ダイヤは今回の果南や鞠莉との1件から、己を律するため……スクールアイドルを好きだという気持ちを押し込んで、もうやりたくならないように、このようなことは2度と浦の星女学院で起こらないようにするために身の回りでスクールアイドルを見ないようにすることを決めたのだ。

そしてダイヤは全てのスクールアイドル関連の物をしまったか確認するために一度立ち上がって部屋を見回した。すると壁に付け加えた棚に丁寧に置かれた色紙が目に入った。

 

「ナオキさんとエリーチカのサイン……」

 

それは数年前に両親や妹と共に参加した東京でのパーティーで、憧れであったナオキと絵里から貰ったサインが描かれている色紙で、ダイヤはそれをまるで神棚のように部屋に飾っていた。

 

━━━これだけは残しても………いやいや、いけませんわ黒澤ダイヤ!貴女は決めたのですわ!大好きなスクールアイドルからは距離を取るのだと……!でもこれぐらいなら……って、いけませんわ〜〜〜!!!!

 

そんな宝物をダイヤは手に取って心の中で葛藤を繰り返し、それは陽が落ちるまでその葛藤は続き、ついにダイヤはその色紙を段ボールにしまって気持ちが変わらないうちにそれをガムテープで頑丈に留めて、他のスクールアイドル関連の物が入った2、3個の段ボールと共に押入れにしまった。

そしてダイヤは閉め切った押入れの扉に手を掛けながら下を向いて目を瞑り、大きく深呼吸をしてから表情をキリッとしたものに切り替えた。

 

「…………もう、迷いはありませんわ」

 

 

━━━そんな新たな決意を強固にしたダイヤを月はただ見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━数日後。S.I.C.社長室。

 

 

「Aqoursの名前がランキングにない!?」

 

社長室のドア越しに急に聞こえてきた声に廊下を歩いていた社員がびっくりするほどの大きな声をナオキはあげていた。

 

「……はい。あのイベントから順位は落ちるであろうと思っていましたが、先程確認したところ『浦の星女学院スクールアイドルAqours』の名前がランキングから消えており━━」

 

「━━スクールアイドルの一覧からは!?」

 

「━━はい、そちらも確認しましたが……」

 

「っ……どうして……ッ!?」

 

ナオキは美書子から受け取ったタブレットを確認すると、ランキングに載っているスクールアイドルの名前が検索できる画面に『Aqours』という名前が存在しなくなっていたことに頭を抱えた。

 

「原因は不明なのですが、恐らくはイベントの後に何かしらのトラブルがあったものと思われます」

 

「トラブル………」

 

 

━━━トラブル?あの後話し合って解決できなかったのか?いや、だとしたらあの後すぐにランキングから名前が消えるはずだ。歌わなかった果南ちゃんも続ける気はあったから何も問題ないと思っていたけど…………

 

 

「社長?如何されましたか?」

 

「え!?いや……なんでランキングから名前を消したのか気になりまして……」

 

「私は、イベントで歌えなかったことから立ち直れなかった……とは思っていますが……」

 

「っ……そう、かもしれませんね」

 

果南が"歌えなかった"のではなく"歌わなかった"ということはあの時いたナオキと果南とダイヤしか知らず、勿論その時にした約束を守ってナオキは誰にも話していない。秘書である美書子もその例外ではなかった。

 

 

━━━でも、おれは今は社長だ。いちスクールアイドルのためだとは言ってもそこまでまだ介入したらダメだろうな……

 

 

「……見守るしかないか」

 

 

そしてナオキはその理由を聞いたりしにAqoursの元へ行きたいという気持ちを抑え、またいつの日かAqoursの名前がランキングに載ることを祈りながら見守ることに決めた。

 

 

 

 

 

 

━━━━━浦の星女学院。

 

 

「今日、鞠莉学校に来なかったね」

 

「何か、あったのでしょうか……?」

 

果南とダイヤは放課後、生徒会室へ向かいながら今日朝から学校に来なかった鞠莉を心配していた。担任の先生から朝のホームルームで欠席とは聞いていたが、自分達に連絡がないことに2人は違和感を感じていた。

Aqoursを終わらせたあの日から果南とダイヤ、鞠莉は前みたいにいつも一緒になるということは限りなく少なくなってしまっていた。しかし3人とも互いを信頼していることは変わりなく、いつもなら何かあれば連絡があるからこそ今回感じた違和感に繋がっていた。

 

「あれ?黒澤さんに松浦さん?」

 

「先生、何か御用でしょうか?」

 

すると2人を見かけた教師が声をかけ、ダイヤは生徒会への用事だろうかと足を止めてその教師の方を向いた。果南もその教師を不思議そうに見つめていると、2人はその言葉を聞いて驚きを隠せなくなってしまった。

 

「2人は小原さんの見送り(・・・・・・・・)へ行ってると思っていたのだけれど……大丈夫なの?」

 

「…………今、なんと……?!」

 

「見送りって………まさかッ!?」

 

「果南さん……!あっ、失礼致しますわ」

 

「あ、2人とも廊下は………!」

 

果南はその教師の言葉を聞いて現在の状況をすぐに察して走り出し、それを見たダイヤも遅れて状況を察して教師に一礼してから珍しく廊下を走り出した。

 

 

 

━━━━小原家。

 

 

「鞠莉お嬢様、お忘れ物はございませんか?」

 

「えぇ、大丈夫よ。お見送りありがとうね」

 

「お嬢様、あちらでもどうかお元気で」

 

「貴女達もね。Ciao!」

 

鞠莉は日本に残る使用人達と別れを告げ、ヘリに乗り込んで留学先の海外へと向かうために空港へと向かうところであった。

 

 

━━━学校のみんな、果南、ダイヤ……何も言わずに海外に行くこと、許してね。

 

 

鞠莉はヘリに乗り込んでから浦の星女学院のある方向を悲しそうな顔で見つめて、皆に黙って出発することを心の中で懺悔した。このことは担任の教師にのみ電話で伝えており、きっと学校の中で知っているのは教師だけであろうと思っていた。

 

「……果南、ダイヤ。こんな別れ方になったけど……元気でね」

 

「お嬢様、発進致します」

 

「えぇ、よろしくね」

 

鞠莉はヘリのパイロットにも聞こえないほど小さな声で幼馴染の2人に届かない別れを告げ、ヘリは準備を完了して発進した。窓の外には手を振って見送る使用人達が見え、中には涙を流す者もいた。そんな使用人達に鞠莉は片手をお淑やかに振って、その手はその人達が見えなくなるまで収めることはなかった。

そしてヘリは空高く上がり、小原家の屋敷や鞠莉が長年過ごしたこの内浦もどんどんと小さくなっていっていた。鞠莉は留学でしばらく見えなくなるこの土地を目に焼き付けておこうともう一度ヘリの窓から下を見下ろした。

 

 

━━━その時だった。

 

 

小原家の屋敷のある淡島(あわしま)。そこにある屋敷裏手の山の頂上にある少し開けたところに小さな灯りが輝いていた。

 

「あれは………!」

 

鞠莉にはその光に憶えがあり、窓に手を付けて顔を覗かせるように近付けた。パイロットもその光には気が付いており、鞠莉の反応を見ると彼女を気遣って山の頂上が見えやすいように操縦した。

 

その光は忘れたくても忘れられない……大切な幼馴染である果南とダイヤとの思い出。

鞠莉が屋敷から抜け出して2人と遊ぶ時に、外から屋敷内の鞠莉を呼び出すために果南は懐中電灯を鞠莉の部屋に向かって照らしていた。

 

今、淡島の山の頂上から見えているのはまさにその光だった。忘れるわけがない。見間違えるはずがない。その光の主はきっと、いいや絶対に果南とダイヤだ。

 

 

果南とダイヤは、誰にも留学するために旅立つことを学校内で教師陣以外には話していなかった事情を知らない教師によりそのことを奇跡的に知り、Aqours解散の一件から直接会うことは避けて淡島の山の頂上で鞠莉を見送るためにそこへ急いで向かっていた。

 

「鞠莉さん、お元気で………」

 

「鞠莉………」

 

果南とダイヤはこんな別れ方になってしまったことを申し訳なく思いながら、幼い頃からずっと一緒にいた鞠莉と別れることへの寂しさを表情に浮かべてていた。

 

「果南、ダイヤ……ッ!!」

 

鞠莉はそんな2人を見て顔を窓に引っ付けて大粒の涙を流し、幼馴染2人との別れを惜しんだ。

 

 

━━━必ず、帰ってくるから……!そうしたら、また、3人で……ッ!

 

 

鞠莉が心にそう決意すると、ヘリはいつも一緒にいた3人を引き離すようにどんどんと内浦から離れていった。果南とダイヤはそのヘリの姿が見えなくなるまでその場にいて、ついにそれが見えなくなるとそれぞれの家へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━そして現在。浦の星女学院。生徒会室。

 

 

「……そんなことも、ありましたわね」

 

3年生になり生徒会長になっていたダイヤは果南が出した休学届を見ながら、約2年前のことを思い出していた。

あれから廃校阻止のために生徒会活動を続ける日々を過ごし、翌年の入学希望者はAqoursの活動もあって1クラスの定員の人数は確保できなんとかすぐの廃校は阻止できていた。3人の活動は少なくとも意味のないことではなかったのだ。しかし、油断はできない状況は変わらないままだった。美春からその年度末に生徒会長を受け継いで果南と共に続けていたが、そんな果南も家庭の事情でしばらく休学することになり、ダイヤは1人でこの学校の生徒会を担うことになっていた。

そしてそんな物思いにふけるダイヤを風が優しく撫でるように窓から入ってきて、ダイヤはその長い髪を押さえて目を瞑った。目を開けると部屋の中に何枚か桜の花びらが入ってきており、ダイヤは春の訪れを感じて強張った表情が少し和らいだ。

 

 

━━━もうすぐ、入学式ですわね。

 

 

来年度もなんとか学校の存続は決まっていたが、入学者の人数は昨年より半分程になっており、ダイヤはその現状をよく思っておらず、来年度こそ統廃校に向けていよいよ本格動き出すかもしれないという危機感を感じていた。

勿論その新入生の中には妹のルビィもいて心配ではあるが、中学校で仲良くなった子も一緒に進学しているらしいのでその点は安心していた。

 

「………今年が、正念場ですわね」

 

ダイヤはまさに兜の緒を締める気持ちで書類に向かい生徒会の仕事を黙々と終わらせていった。

 

 

━━今も変わらぬ、学校存続の決意を胸に。

 

 

 

 

 

━━━次回へ続く。






読んでくださりありがとうございました!
この回、というかこの3人のエピソードは個人的に好きなので結構力を入れて書かせていただきましたが、これはプロローグです!今後の展開にどう関係してくるのか、お楽しみに!さらに前回もですが、オリジナル要素としてAqoursの披露曲としてμ'sの曲を選ばせていただきました。μ'sが活躍した後なら、必ずカバーをするスクールアイドルは多いだろうなぁという考えからこのような形になりました!自分も書きながら、書いた後も、該当曲を聞きましたが……やはりいいですね、μ'sは。
さてさて、実はプロローグ………まだ続きます!どんなけやるねーーん!ってなるかと思いますが、プロローグは本編に入る前の前日譚……大事に進めて参ります。お楽しみに!
感想などどしどしお待ちしてます!それではまた次回お会いしましょう!
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