お久しぶりです。お待たせ致しました!
この章のサブタイトルの数字部分を「第◯話」から「EP.◯」に変えさせてもらいました。よろしくお願いします。
さて、今回はプロローグ4話目!前回はダイヤ達Aqoursのお話でしたが、今回はナオキ達……μ'sがいなくなった後の音ノ木坂、アイドル研究部のお話です。
それでは早速、どぞ!
━━━━━これは、伝説に憧れ、伝説から受け継いだ場所で、自分達もその眩いぐらいの輝きを目指した少女達のお話である。
『今回のラブライブ!優勝は音ノ木坂学院!Shooting Stasだ〜〜!!史上2校目の連覇達成〜〜!!!』
『オオオオオ━━!!』
ナオキ達が卒業した翌年の3月に東京ドームで行われたラブライブ!決勝大会。大歓声を浴びながら、ステージの上でその声に応える4人の少女達がいた。
「やったのね、私達……!」
クールそうに気取りながらもその表情は満面の笑みを浮かべているのは、このShooting Starsのリーダーである福田 真癒美。ダンスのセンス、能力はピカイチで、その実力は現在のスクールアイドルの中でもトップクラスである。
「うん……!」
真癒美の隣で嬉しそうな笑顔を見せるのは奥村 瑞希。真癒美とは幼馴染であり、現在は作曲も担当している。いつか真姫やナオキ……μ'sを超える曲を作ってみせると張り切っている。
「っ……やば、泣きそう……!」
感極まって涙を目に浮かべるのは高坂 雪穂。アイドル研究部の部長で、μ'sの穂乃果の妹という世間からのプレッシャーを受けながらも、自分自身の輝きを示すために努力を続けている。
「本当に、ハラショー!だよ……っ!」
大きな歓声を聞き、海のように輝く客席を見ながら涙を流しているのは絢瀬 亜里沙。2年生の後期から姉の絵里や義兄のナオキと同じく音ノ木坂学院の生徒会長となり、生徒会業務とスクールアイドル活動を続けていた。
そんな4人は、1年生時代にナオキ達と共にできなかったリベンジであるラブライブ!優勝を今夏に果たし、そしてこの日、μ'sと肩を並べるほどの強豪ナニワオトメに続く史上2校目となる連覇を果たしたのだ。
「すごーい!連覇だにゃー!」
「あの子達……やるじゃない」
「ナニワオトメに続く史上2校目のラブライブ!連覇!しかも夏と冬の1年間のラブライブ!を制覇!これはもうこの1年はみんなの1年と言っても過言じゃない!」
「小泉さんは相変わらずやなぁ〜」
そんな彼女達を3年生になった凛、真姫、花陽、そして顧問である夕暮 童子も見届けていた。凛達は昨年度にShooting Starsから離れて3人で活動をすると決め、彼女達のサポートや練習を手伝いながらこの1年を駆け抜けた。ラブライブ!にこそ出場しなかったが、メディアやイベント等の様々な機会で活動を続けていた。
そんな連覇を果たした音ノ木坂学院のアイドル研究部。凛達がこの学校を卒業したことによって"伝説のスクールアイドル"とまで呼ばれたμ'sのメンバーがいなくなり、新たな形でのスタートを迎えたのだが、夏のラブライブ!が近づくにつれて"ある問題"を抱えていた。
それは……………
「新入部員入ってこないじゃん!!??」
雪穂は部室で頭を抱えて悲痛な叫びをあげていた。
そう、アイドル研究部が抱えていた問題とはまさに"新入部員が入ってこない"というものであった。しかも今年は3年生になったこの4人にとっては最後の年。去年入ってこなかったことは気にならなかったものの、今年になって危機感を感じていたのだ。このままでは来年度にこの部活は廃部になり、折角先輩達の功績で根付いてきた文化をこの学校から無くすことになってしまう。そんな不安が部員達の頭の中を駆け巡っていた。
「部員募集のチラシは受け取ってくれたし、説明会にも沢山来てくれてたのに……」
「反応も良い感じだったし、今年は豊作か!?って思ったんだけど……」
亜里沙と瑞希も4月に開いた説明会のことを思い出しながら頭を悩ませていた。
4月に部室で開いた説明会では、μ's達の奇跡な軌跡をみんなで話してスクールアイドルの素晴らしさを集まった新入生達に伝えた。この説明会は正に大成功であったが、何日待っても新入部員は入らず今に至っていた。
「……まぁ、こうなっちゃうわよね。なんとなく予想はしてたけど」
「え!?真癒美ちゃん理由がわかるの!?」
「あくまで予想だけどね」
「教えて教えて?!」
真癒美がボソッとそう言うと雪穂と亜里沙は食い付くように姿勢を前のめりにして、真癒美はそんな2人に少し驚いた様子を見せてからその理由を述べた。
「……覚えてる?1年生の時のラブライブ!で、私達はあの先輩達と一緒のステージに立つことに自信が持てなかったこと」
「……忘れるはず、ないよ」
4人が思い返すのは忘れもしない"あの出来事"だった。
━━━それは4人が1年生の時、μ'sのメンバーであった穂乃果、海未、ことり、凛、花陽、真姫そしてナオキと共に挑んだ冬のラブライブ!決勝で、惜しくも強豪であるナニワオトメに負けて準優勝になってしまった時であった。前々から思っていたことであったが、この出来事で4人は『先輩達の足を引っ張っているのではないか?』『自分達のせいで負けたのでは?』と強く思っていた。
そんな時ナオキ達から告げられたのは当時2年生であった凛、花陽、真姫と1年生であった4人のステージ対決であった。最初は悩み、諦めそうな時もあったが、その結果はまさかの引き分け。ナオキ曰く、自分達は2.3年生と肩を並べる程の実力を持っていたが、すでに"伝説のスクールアイドル"と呼ばれていたμ'sのメンバーである6人の存在がプレッシャーになっていた為に本来の実力を無意識に抑えていた……らしい。
そしてその対決を経て、2年生だった3人はShooting Starsを脱退して"まきりんぱな"として活動することとなり、1年生だった4人は夏ラブライブ!に挑み、そして見事昨年のリベンジとなる優勝を掴んで自分達の実力を証明した。さらには冬のラブライブ!でも強豪ナニワオトメに続く2校目の連覇と、その年のラブライブ!完全制覇を成し遂げたのだ。
しかしそんな輝かしい記録とは裏腹に、新入生は誰1人としてアイドル研究部には入っておらず、そのことに4人は頭を悩ましていて、真癒美が言いたかったことは、新入生と自分達が1年生の時の気持ちは一緒であるということだった。そのことを他の3人も痛いほど気持ちはわかって、その抱えている現状に納得してしまっていた。
「………つまり、他の生徒達は私達と一緒のステージに立つことを
「ちょっと嬉しいような、悲しいような……」
「そうだね……う〜ん、どうしたらいいんだろう……」
瑞希、亜里沙、雪穂、そして真癒美も頭を悩ませるが、良い案を誰も思いつかなかった。
「やっほ〜!みんなお待たせ〜………って、なんやこの空気」
そんな重苦しい空気の中、顧問である童子がいつもの様に入って来たが、4人が難しい顔で椅子に座っているのを見ると肩を落とした。
「童子先生……」
「もうどないしたんや4人とも〜?折角のべっぴんさんが台無しやで?」
「童子先生のところに来てませんか?入部希望の生徒とか……」
「入部希望……?あ〜わかった。新入部員が入ってこーへんからってみんな落ち込んどるんやろ?」
「……はい、その通りです」
「なるほどなぁ〜。去年も、それに今年も新入部員来てへんもんなぁ……」
「折角説明会で先輩達の奇跡や、私達にもできるってことを説明したのに誰も来ないなんて……」
「う〜ん、確かになぁ……このままやと来年は1人も部員がおらんくなって廃部の危機に……!」
『廃部〜〜!?』
亜里沙、雪穂、瑞希、真癒美は口々に落ち込んだ様子で話していたが、童子の放った「廃部」という言葉に驚いた様子で大声を出した。
「そりゃそうやろ?誰も部員のおらへん部活なんて、いくらアイドル研究部でも許してくれへんよ?」
「わわわ……どうしよう雪穂ぉ!お姉ちゃん達が頑張って立て直してくれたのにぃ〜!」
「おおおおおおお落ち着いてよ亜里沙!だだだだだだ大丈夫だって!」
「はいはい雪穂もね〜」
「でもなんとかしないと!」
「って言ってもねぇ……」
「ライブとか!?」
「この前やったでしょ?」
「そうだった〜……」
亜里沙や雪穂は明らか取り乱していて、瑞希は奮起していたが、真癒美は静かに案を考えており他の3人に比べたら冷静さを保っていた。
誰からも案が出ず沈黙が続く中、それを遮る様に亜里沙のスマホから着信音が鳴ったことにより、全員の意識は亜里沙の方に向いた。
「あ、ごめん……あれ?お義兄ちゃんから?」
「ナオキくんから……?」
その着信相手は亜里沙の義理の兄であり、このアイドル研究部の先輩であり、そして現在はスクールアイドルの会社の社長を務めているナオキからで、何の用事かと不思議そうにみんな亜里沙の方を見つめていた。
「うん、ごめんね。あ、もしもし?」
『あ、ごめん亜里沙。今大丈夫かな?』
「うん、大丈夫だよ!今部室だから!」
『部室か……ちょうどよかった!実はShooting Starsのみんなにお願いがあるんだ』
「お願い……?私達に?」
『うん。次のラブライブ!に向けて前回の優勝者である皆に宣伝ポスターの撮影をお願いしたくてね。童子先生含めてそのことを話したいから会社の方に来て欲しくてね。今みんなに頼めるかな?』
「わ、わかった!あのね、お義兄ちゃんがみんなで会社に来て欲しいって」
「会社に……?」
「うん!私達に次のラブライブ!のポスター撮影をお願いしたいらしいよ!」
「おぉ〜!やっぱり私達連覇しちゃったもんね〜!」
「……………」
「あれ?どうしたの、まゆちゃん?」
亜里沙が皆にナオキから聞いたことを伝えると喜んだ様子を見せていたが、瑞希は黙り込む真癒美を見て首を傾げた。
「……それだ!!!!」
『ワッ……!?』
『ど、どうしたんだ!?急に大声で……』
そして突如として大声をあげた真癒美に部室にいる他の皆が驚き、ナオキは電話先から聞こえてきた大声に驚いて声をかけた。
「亜里沙!ちょっとナオキくんに代わって!」
「え……うん……」
「ナオキくん!」
『お、おぉ……真癒美か。どうかしたのか?』
「あの!ポスター撮影はもちろんやるから、その代わり私達に知恵を貸して!」
『知恵……?』
「そう!今のアイドル研究部には新入部員がいないの。でもどうしたらいいのか私達じゃわからなくて……だからナオキの力を貸して欲しいの!お願い!」
『……そういうことか。いいよ。おれもアイドル研究部を廃部にしたくないしな』
「っ……ありがとう!」
『じゃあ、童子先生や他のみんなにもよろしく言っといてくれ。明日、会社で待ってるよ』
真癒美はナオキに電話口で、アイドル研究部の現状をなんとかする為にその知恵を借りる約束を取り付け、他の皆も驚いてはいたがその思い付きに感心もしていた。
そしてその流れで、次のラブライブ!に向けてのポスター撮影も受け入れることになり、5人は翌日ナオキの待つ会社……ラブライブ!運営委員会改め、"S.I.C."という名前に今年度から変わった会社に訪れていた。
「やぁみんな久しぶり!童子先生もお久しぶりです!」
「お〜!スーツ似合っとるや〜ん!流石はウチが育てた男やで〜」
「…………そうっすね。さぁさぁとりあえずみんな応接室へ。ポスター撮影の話と、勿論……"あの件"もね」
「よろしくお願いします!」
『よ、よろしくお願いします!』
「………なんか上手いことかわされたな?」
5人は久しぶりに再会したナオキに案内されながら応接室へと向かった。皆、この会社の空気感に緊張した様子を見せていたが、亜里沙は義理の兄と一緒だからかそんな様子は見せずにいつものように明るくナオキと会話をしていた。
応接室ではナオキと、ポスター撮影を担当するスタッフと共に話し合いが行われた。
その話し合いが落ち着くと、スタッフは退出してこの部屋にはナオキと童子、そしてアイドル研究部4人のみとなって、そこはナオキが在学している時のような空気感に満たされていた。
「……で、今のアイドル研究部について、だったよね?」
「はい、じゃなかった……うん。現状はこの前話した通り」
「そうか……新入部員が1人も来ないのは確かに問題だな」
先程の真面目な話し合いの緊張が抜けていなかった真癒美は一旦呼吸を整え、先輩であるナオキと話を進めた。
「そうなの……!説明会もした、チラシを作って勧誘もした、それにライブだってした。でも誰も来なくて……」
「……でも"その理由"は真癒美達が1番わかってる、ってことだよな?」
「流石……そう。私達が1年生の時のことと同じで、中々みんな入りにくいんだと思う」
「まぁ、そうだよなぁ……う〜ん……」
「ナオキは何かいい案思い付かない!?私達もいくら考えても思いつかなくて……」
ナオキはその現状を改めて真癒美の口から聞いて頭を悩ませ、他の皆も考えながらナオキから何か案は出ないかと心のどこかでは期待していた。
「………なぁ、みんなはなんでアイドル研究部に入ったんだ?」
「「「「え……?」」」」
「はい雪穂!」
「えっ!?わ、私は亜里沙と一緒にスクールアイドルをしたくて」
「亜里沙は?」
「私はお姉ちゃん達みたいなスクールアイドルになりたいから!」
「瑞希は?」
「私は……この高校生活で何か新しいことに挑戦したくて、まゆちゃんもスクールアイドル好きそうだったしそれもいいなって思って」
「うんうん。じゃあ、真癒美は?」
「私は勿論。ダンスには自信があったし、スクールアイドル自体に興味もあったから……って、なんで今更」
「確認だよ。みんな経緯は違うだろうけど、スクールアイドルに憧れて入ったんだろ?でも"あの時"にわかったように、みんなどこかで自信がなく、プレッシャーを感じていた。でもなんでアイドル研究部に入ったんだ?その背中を押した
ナオキの言葉に記憶を掘り返していく4人。そんな4人を童子は見守るように見つめて、真癒美の突然の行動ではあったが、ナオキを頼って良かったと心から思っていた。
「そうか、私は……!」
「うん、雪穂っ!そうだよね!」
「うん!」
雪穂と亜里沙は同じことを思い出したようで笑顔でお互いを見つめ合って頷いた。
「そうだ。スクールアイドルを選んだのは、ううん……スクールアイドルが良いって思ったのは……!」
瑞希も思い当たるところがありハッとした表情を浮かべた。
「………μ'sに、憧れたから。あの"輝き"を、手に入れたかったから……!」
そして真癒美もそのことに気が付いて自分の右手を見つめながら目を揺らした。
そんな4人を見たナオキは優しく頷いて言葉を続けた。
「そう。4人とも"μ's"という眩しいぐらいの"輝き"に憧れて、その輝きに背中を押されて、アイドル研究部に入ったんだろ?自分達もあの"輝き"を、
━━━輝きたい。
その言葉が4人の心の中で蘇るように児玉する。
そして自ずと、4人の真っ暗だった頭の中に一筋の光が差し込んで、導かれるように
「そうだ……これしかない!」
「「うん……!」」
「
「……正解だ」
ナオキは"答え"を見つけた4人に向かって優しく頷いた。そんな4人の目からは悩みは消え、まるで1つの方向を見るようにハッキリとしていた。
「じゃあやることは1つ……!」
「うん!」
「次のラブライブ!で」
「史上初の3連覇……ううん、前代未聞の
「おぉ〜そこまで行っちゃう?」
「そりゃそうでしょ!私達だってμ'sと同じぐらい輝いてるってところを見せつけるのよ!」
「言うようになったじゃないか……!これは今年のラブライブ!も楽しみだな」
次回のラブライブ!で3連覇をして、さらにその次のラブライブ!でも優勝して"2年完全制覇"の目標を決めた4人は、ナオキにお礼を言ってから会社を後にして練習に身を投じるのであった。
━━━それから時は流れ……
「ランニング行くよ〜!」
真癒美の掛け声と共にグラウンドでランニングをするアイドル研究部4人。ある生徒達はエールを送り、ある生徒達は憧れの目を向けていた。
「………あれは」
「あ〜アイドル研究部でしょ?この前の東京地区大会も圧勝して、全国大会優勝確実って言われてる」
「いやぁ〜すごいよねぇ〜」
「ふ〜ん……アイドル、ねぇ……」
「なに?もしかして興味あるの?」
「ちょっとそれは……!」
「あっ……ごめん……」
「ううん、いいよ別に。私には
そして他の生徒とは違った視線を送る生徒も遠くから4人を見つめていた。
━━━翌月。
『な、なんということでしょう!?なんと、音ノ木坂学院スクールアイドル"Shooting Stars"が……史上初!ラブライブ!3連覇ッ!!!』
『オオオオオオオオ!!!!!』
秋葉ドームで行われたラブライブ!決勝で、4人は宣言通りラブライブ!3連覇を果たして、会場は今までにない熱気と歓声に包まれていた。
そんな中継映像を自宅の暗い部屋で見つめる1人の少女がいた。
「………これが、スクールアイドル、か」
その少女はそう呟いてから自分の脚をさすって暗い表情で、だがどこか羨ましそうに画面を見つめていた。
涙を浮かべながら笑顔で優勝旗を掲げる真癒美。そんな彼女を見てその少女は歯を食いしばってノートパソコンを閉じてからベッドに寝転んだ。
「…………私だって、
少女の目からは大粒の涙が苦しそうな声と共に流れていた。
━━━数日後。
音ノ木坂学院では数日前に行われたラブライブ!でShooting Starsの4人はスター的扱いを生徒達から受けていた。連日サインを求められたり、同性ながらも熱狂的なファンが増えたりとしていた。しかしもうすぐ共学化も決まっている為、教職員の一部からは今後の風紀の乱れを心配する声もチラホラと上がっており、その対応の会議も開かれていた。
そんな興奮冷めやらぬ中ではあったが、未だに新入部員が訪れないアイドル研究部の面々は少し微妙な表情を浮かべていた。
「……そんな上手くは行かないか」
真癒美は1人、中庭のベンチに座って空を見上げながらそんなことを呟いた。
━━━そんな時だった。
「……ねぇ」
「ん……?貴女は……?」
「……やっぱりわからないか」
「は……?」
ある1人の少女がそんな真癒美に声を掛けたが、不敵な笑みを浮かべながらそう言う少女に真癒美は心当たりがなく不思議そうな顔を浮かべた。
「………福田 真癒美。昔から様々なダンスの大会で優勝し、現在はスクールアイドルの名門である音ノ木坂学院のアイドル研究部のエースとして名を全国に知らしめる」
「……ふーん、よく知ってるじゃない?貴女1年生よね?名前は?」
真癒美は敵意を向けながら立ち上がって少女に名を尋ねる。リボンの色で1年生と分かったが、先輩である自分に舐めた口をきくその少女に良い印象は持っていなかった。
「……私は
「っ……結城、舞里……!?でも貴女確かロングヘアで……いやでもその顔……確かに……」
「思い出したようね。少し嬉しいわ」
その少女は結城 舞里。数々の優勝を手にした真癒美に負け続けて準優勝しか取れていなかった少女であった。しかしその実力は確かなものであった。何故ならばどの大会でも3位以下は様々な名前が見られたが、この2人が出る大会はいつも1位が真癒美、2位が舞里と名前を連ねていたからである。
「……貴女はある時から大会に出なくなって、ダンス界から姿を消した……なんで今更?しかもこの私の前に」
「ちょっと気になっただけよ。ダンスで色んな人を惹きつけ、ダンスチームからスカウトまで受けていた貴女がアイドル?をしてるらしいから」
「………馬鹿にしてるの?」
「まさか……そう怒らないでよ。ほんと……羨ましいわよ」
「羨ましい……?」
「気になるんじゃない?なんで私が大会に出なくなったか」
「それは……そうね。貴女が出ない大会は正直つまらなかったもの」
「……つまらない?」
「だってそうでしょ?貴女はわからなかったかもしれないけど、私はいつ貴女に負かされるかヒヤヒヤしてたもの」
「ふっ、どうとでも……まぁ、いいわ。私はね……もう
「っ……!?それ、どういう……!?」
「そのままの意味よ。私は中学校の文化祭のステージの練習中に、パフォーマンス中に怪我をしたの」
「怪我……!?」
「えぇ……笑えるわよ?私に嫉妬したダンス部の先輩がステージにワックスを塗ったんだってさ」
「は?何よ、それ……でも今は大丈夫なんでしょ?」
「
「………笑えないわよ、全くね」
「……優しいのね」
「だったら、貴女がよければ━━━」
「━━━スクールアイドルならやらないわよ」
「━━━どうして?」
真癒美はそんな舞里の衝撃の過去と真実に驚愕し、そしてスクールアイドルにならないか?と誘おうとするが、それをわかっていた舞里は彼女の言葉を待たずしてその考えを否定した。
「どうして……って。わかるでしょ?私はもう、踊れない……踊りたくないもの。踊ろうとしてステージに立ったことはあるけれど、この脚は動かなかったわ。怪我はもう治ってるのにね……可笑しな話よ」
「そう、なのね……」
「……まぁ、貴女とまた話せてよかったわ。スクールアイドル、頑張ってね。応援してるわ。この学校の生徒としてね」
「結城、舞里……!」
「じゃあね、福田真癒美……先輩」
舞里はそれから振り返りもせず校舎の中へと足を進めていき、真癒美はただそんな彼女の背中を見つめることしかできなかった。
だが、そんな真癒美の中には今まで抱いたことがなかった"想い"が生まれていた。
「………やってやる」
━━━結城舞里を再びステージで
貴女は、こんなところで終わっていい人間じゃない。
━━━━時はさらに流れ………
「福田真癒美に言われたから来てみたけど……今更私にライブを見せてどうするのよ……」
舞里の姿はラブライブ!東京地区大会の決勝である特設ステージにあった。
Shooting Starsはその前代未聞の戦績から、この決勝大会にシード枠で参加しており、真癒美はかつてのライバルである舞里にそんなステージで自分の、自分達のダンスを見せようと招待していた。
「しかも『見に来ないと学校中に貴女のことを言いふらす』って……脅しじゃない」
舞里はそんな真癒美に呆れながらも、この決勝大会の大トリに出番を控える彼女達を待っていた。
『オオオオオオオ……!!』
「出てきたぞ……!」
「頑張ってーーー!!」
そして観客達が口々に歓声をあげる中、Shooting Starsの4人がステージに姿を現した。
『さぁ!いよいよ東京地区大会決勝も最後の1組になりました!最後にパフォーマンスするのは……前回のラブライブ!優勝校!そして、今回の大会で2年完全制覇を宣言しているスクールアイドル!音ノ木坂学院の"Shooting Stars"だ〜〜!!!』
『ウオオオオオオオオオ!!!』
司会者のアナウンスに会場のボルテージも待ってましたと言わんばかりの様子で最高潮に達していた。そんな歓声と拍手と熱気を客席で浴びる中、舞里はステージ上の真癒美と目を合わせた。
━━━見てなさい、結城舞里。私たちのパフォーマンスを!
━━━何考えてるのよ?
━━━見ればわかるわ。いいえ、嫌でもわからせるわ。私達のパフォーマンスで……"輝き"でね!
2人はそう会話するように目を合わせていると、ステージ上の真癒美が口を開いた。
『それでは聞いてください!私達の新曲!』
『Snow Shine!!!!』
そう4人が声を揃えて言うと観客達は期待と驚きの混ざった声をあげた。
その曲はどこかμ'sの名曲の1つで、ラブライブ!東京地区大会決勝で披露した『Snow halation』を彷彿とさせる様な曲調であった。しかしながらそれは全くの別曲で、μ'sにも負けない輝きを示すような曲であった。
そんな4人のパフォーマンスに、ある者は涙を流し、ある者は興奮し、ある者は圧倒されていた。
『━━━雪に反射する光』
落ちサビが終わるとステージを照らしていた白色のライトはオレンジに染まり、スクールアイドル界だけではなくダンス界からもその能力が評価されている真癒美がセンターでソロダンスを披露しながら、そんな彼女を囲むように踊る他の3人もダンスパフォーマンスをする間奏が始まり、それを見ていた誰しかもがその鍛え上げられたダンス能力に息を呑みながら衝撃を受けていた。
流石は2年完全制覇を狙う王者。流石はあの"μ's"のメンバーと共にステージに立った実力者。流石は"Shooting Stars"だと思わざるを得ないパフォーマンスだった。
『雪に反射して 輝きは光を増す』
『見せて』『魅せて』『見せつけて』『いま』
ラスサビが始まって曲が盛り上がりを見せると全員での綺麗な歌唱のあと、瑞希、亜里沙、雪穂、そして真癒美が歌い繋いだ。
『唯一無二の輝きを放つ』
『その輝きが届くように舞う』
それから真癒美と瑞希、雪穂と亜里沙が2人ずつ歌ってこの曲の終わりに向けての助走をつけた。
『Snow Shine!!!! きっと』『あなたへ』
そして全員で歌った後にセンターの真癒美が、まるで吐いた白く染まる息が冬空へと消えていく様に歌って曲を締めた。
それから会場は静寂に包まれていたが、しばらくすると拍手が1つ、また1つと巻き起こり、徐々に歓声もあがってきて、特に冷え込んでいた日であったがその会場はとても暖かい空気に包まれていた。
そんな中、1人ステージを唖然としながら見つめる舞里。
その視線の先には汗を垂らしながら息を荒く吐いて笑顔で客席の方を見つめる真癒美。
━━その2人の視線が合った時、舞里の暗く闇に染まっていた瞳は輝きを取り戻して、水分を含んだうるうるとしていた。
━━━どう?結城舞里!これが私の……スクールアイドル福田真癒美の"輝き"よ!
「……これが、スクールアイドル、なのね」
舞里本人は泣くつもりなど到底なかった。しかしそんな気持ちとは裏腹に自然と涙が目から流れ、彼女はそんな何故かわからず涙が流れている頬を触った。
━━━なんで、泣いてるんだろう……私……ッ!
わけもわからず涙を流す舞里。
そんな舞里の目には先程のパフォーマンスが焼き付いていて、そして心の奥から湧き上がっていた
━━━あぁ……そうか……そうだったんだ。
あの日からステージで踊れなくなって、それが嫌だったんだ。私は。
諦めたと思っていたけど、どうでも良いと思ってたけど、本当は……本当は……!!
「私も……輝きたい……ッ!」
舞里は右手でグッと服の胸元を掴み、憧れとも言える眼差しをステージに向けていた。
そしてShooting Starsは見事東京地区予選決勝を突破。4大会連続でラブライブ!本戦に駒を進め、目標である2年完全制覇もついに目前に迫っていたのだった。
━━━翌日。
アイドル研究部の部室では本戦決勝に向けたミーティングが行われていて、どんな曲や衣装にするのか、ライティング等の演出はどうするのか等話し合いが進められていた。
━━そんな中、唐突に部室のドアをノックする音が聞こえてきて、皆の意識は話し合いからそちらに向いた。
「どうぞ〜?」
皆が誰が来たのか気になる中、部長である雪穂が返事をするとゆっくりとドアが開き、ノックをした主の姿が現れた。
「失礼します……」
制服と青色のリボン。1年生であることはわかったが見覚えのない生徒に皆首を傾げた。
━━1人を除いては。
「っ……!結城、舞里……!?」
「真癒美ちゃんの知り合い……?」
「まぁ、そんなところ……」
「結城舞里って……もしかして
「あ〜そうそう。たまちゃん覚えてたんだ」
「へぇ〜!同じ学校だったんだ〜?!」
亜里沙は真癒美の反応から知り合いであることを察し、そして真癒美の幼馴染である瑞希はダンスの大会を見たことが何度もあったのでその名前に心当たりがあったのだ。
「それで……そんな結城さんがなんでここに……」
「っ……もしかして……!?」
「……まぁ、福田真癒美にまた負けたような気がして嫌だけど……これ」
雪穂は首を傾げていたが真癒美はその理由をわかったようで笑顔を見せると、若干不満そうな表情を浮かべていた舞里は肩からかけていた鞄から紙を取り出して近くにいた真癒美に手渡した。
「「「それって……!」」」
「えぇ……
真癒美は受け取った紙を広げて驚いた表情を浮かべる3人に見せると、その表情は徐々に明るくなっていった。
━━『入部届け』とその紙には書いてあったのだ。
「ということで……よろしくお願いします」
「「「やった〜〜!!!」」」
待望の新入部員に雪穂、亜里沙、瑞希は喜びをあらわにして舞里に駆け寄って挨拶を交わした。そんな様子を真癒美は心の中で大喜びしつつも静かに笑みを浮かべて見つめていた。
「……よろしくね、
「よろしく……お願いします、
「……あんたから敬語で話されると気持ち悪いわ」
「はぁ?」
「これからみっちり指導してあげるわよ?後輩ちゃん」
「言わせておけば……!」
「まぁまぁ……」
雪穂は入部直後から言い合いを始める真癒美と舞里をなだめながら、あと少しではあるが賑やかになりそうだと嬉しく感じていた。
━━そうしてアイドル研究部は5人になった。
その後亜里沙はラブライブ!本戦決勝を前に舞里のお披露目ライブを提案したが、舞里は自身の過去とトラウマを話したことによりその話は無くなってしまった。代わりに舞里の持つそのトラウマ克服のためのサポートやダンス等の練習をしながら本戦に向けての準備が進められ、ついに2年完全制覇がかかる決勝当日を迎えた。
『━━━優勝は……音ノ木坂学院"Shooting Stars"!!』
『オオオオオオオ!!!???』
『こんなこと誰が予想していたでしょうか!?前代未聞!なんとなんと!?Shooting Stars、ラブライブ!を2年完全制覇だ〜ッ!この前人未到の記録で、その名を歴史に刻んだ〜ッ!!』
そしてShooting Starsはその圧倒的なパフォーマンスで宣言通りにラブライブ!2年完全制覇を成し遂げ、μ'sにも負けない"輝き"を手に入れ、その実力を世間に見せつけた。
「先輩達、本当にやっちゃいましたね」
「ほんまにすごいわぁ〜!ウチも興奮しちゃうわ〜」
「……そうですね」
「そういう舞里はんも嬉しそうやで?」
「嬉しくないわけありませんよ。でも……」
「でも……?」
「私も先輩達に負けないぐらい輝きたい……って思いました」
「おぉ〜!ほんならまずはトラウマの克服からやね。一緒に頑張ろな」
「……はい」
客席からそんな4人の勇姿を見た舞里の闘志はメラメラと燃えており、顧問である童子もそれを感じて、彼女のサポートを張り切る様子を見せていた。
「━━━懐かしいなぁ」
アイドル研究部の部室で、舞里は1人でノートパソコンを開いて
2年生となった舞里は部長とリーダーを兼任してスクールアイドル活動に身を投じていた。
すると、部室のドアが開いて2人の生徒が顔を覗かせた。
「あ、やっぱりここにいた……」
「先輩〜!そろそろ行きますよ〜?」
「ごめんごめん、今行く」
舞里はそう言われるとノートパソコンを閉じてから立ち上がって部室の外へと向かった。
「挨拶の原稿は大丈夫?」
「えぇ。もう暗記してるから大丈夫」
「流石は舞里先輩です〜!」
「じゃ、行こっか」
舞里は前回のラブライブ!決勝の後に入ってきた同じく2年生の
━━伝説のスクールアイドルと呼ばれた"μ's"と、前人未到の記録を成し遂げた先代の"Shooting Stars"に負けぬよう自分達だけの"輝き"を求め、このスクールアイドルの名門とも呼ばれる音ノ木坂学院で活動を続ける舞里達。
そして彼女達もまた、その輝きを求めて先輩達と同じ
「よし、行くよ!みんな!」
「「うん!」」「「はい!」」
舞里、三玖、天音に加え、新入生歓迎会の後に入った2年生の
「1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「5!」
「輝こう!Shooting Stars!!」
『ミュージック……スタートー!!!!!』
それぞれ手をピースにしてみんなで合わせて星の形にしてから掛け声に合わせて天に掲げる、アイドル研究部でμ'sの時代から伝統になっている円陣をしてステージへと向かっていった。
━━彼女達だけの輝きを手に入れるために。
━━━次回へ続く。
ありがとうございました!
さて、今回から急に生えて来てなんか感動的にするやんこのキャラ!?ってお思いかと思います、私の随分前に投稿して、現在は削除しているもう1つのラブライブ!の2次創作作品『幻のメンバー』というものを知っておられる方なら「あ〜!」って思ったかもしれません。そう、実はこの結城舞里というキャラはその作品の主人公だったオリキャラなのです!その時も過去を暗くしたんですが、若干その要素も加えていました。そんな舞里を含め、今後本編でどんな活躍をするか……はお楽しみに!
あと、決勝で披露した曲の歌詞は既存のものではなく、創作して書かせてもらいました!如何でしたか?よければ今回のお話と合わせて感想をお聞かせいただけると幸いです!
さてさて、次回もまだプロローグを投稿します、が!なんと、次回が最後のプロローグになります!この流れ的にはつまり……?と、いうことで!次回をお楽しみに!