全員まとめて幸せにしたい〜百股男の恋愛無双戦〜   作:讃岐うどん屋さん

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【第11話】愛城恋太郎は鍛えたい②

「それじゃあまずは、体を温めましょう。そこのランニングマシンに乗ってください」

「8分間、軽く走ってもらいます。無理をせずに、少し息が切れる程度の速度を保ってくださいね」

「付属のイヤホンを繋げば、好きな音楽を聴きながら走ることもできますよ」

 

指示に従い、ウォーミングアップをする一同。

 

「体が温まったら、こっちに来て。このビデオを見ながら、準備体操をしましょう」

「筋肉の調子を整えるのが目的ですから、無理に伸ばしすぎる必要はありません」

「気持ちよく体が伸びているのを感じる程度にしてくださいね」

 

映像の通りに、アップドッグ、ダイナミックチェストストレッチ、ニーハグなどを行っていく。

 

「もう既に結構きついわね」

「今日が初めてだと、一つ一つの動きがきつく感じるはずです。トレーニング本番も含めて、決して無理はしないでくださいね」

 

 

「それでは、マシンを使っていきましょう」

「鍛える部位を決めるためには、目的を意識することが必要です」

「野球がやりたいのか、サッカーがやりたいのか。力を強くしたいのか、足が速くなりたいのか」

 

「鍛え方を間違えると、鍛える前よりかえって体の動きが悪くなってしまう場合もあります」

「例えば、愛城くん。君は何のために体を鍛えたいのかな?」

 

「俺は」

「何か、上達したいスポーツがあるわけではありません」

「ただ、大切な人を守れるようになるために」

「そのために、力が欲しい。そう思って、体を鍛えることにしました」

 

(素敵……)

(かっこいいなぁ)

(イケメンすぎんのよ)

(抱いて欲しいのだ)

(好き)

(びしょびしょ)

(何だコイツ。アツいなぁ)

(なかなか見込みのある筋肉ね……♡)

 

「私は、恋太郎君のメニューについていければそれでいいです」

「”「「「私も!」」」”」

 

口を揃える恋太郎ファミリー。

 

「わかりました。紗倉さんと、奏流院さんは?」

「私は、効率よく体重を落とせたら嬉しいかなって」

「私は健康的に暮らせるなら何でもいいです」

 

「オーケー!それじゃあ今日は、下半身と背中のトレーニングをしましょう」

「筋トレは、大きい筋肉から手をつけていくのが基本です。下半身を鍛えれば、全身のバランスが良くなりますし」

「背中を鍛えれば、姿勢の改善やヒッティングマッスルの増強に繋がります。大きい筋肉から鍛えれば、代謝も良くなりますよ」

 

「よろしくお願いします!」

 

 

ま~ちおっのっき・ん・に・く・こ~う~ざ~♪

 

 

「ハイ!まずはレッグプレスマシンの使い方から。シートに腰掛けて、背中を背もたれにしっかりとつけてください。お尻が浮かないように気をつけて」

「両足を、足下の板、プラットフォームにつけて。膝の角度は90度より小さくならないように。太ももとプラットフォームが平行になるように、背もたれの位置を調節します」

「この位置の具合が一番大事なので、しっかりと調節してくださいね」

 

「準備はできましたか?」

「これから、プラットフォームを足で押して、元に戻す動作を繰り返してもらいます」

「ゆっくりと限界まで押したら、3秒間静止してからゆっくりと元に戻します。押す時は、膝がピンと伸びきらない程度にしてください」

 

「ウェイトは、20回繰り返して限界が来るような重さに設定するのがミソです。今日は初回ですから、軽めから始めて、手探りで重さを設定していきましょう」

「2、3回動いて軽すぎたり重すぎると感じたら、ウェイトを調整しましょう」

 

「押す時に息を吐いて、戻す時に吸うよう意識してください。それでは、スタート!」

 

説明通りに、マシンを使って下半身を鍛えていく面々。

 

「やっぱり……結構、きついわね!」

 

「レッグプレスで鍛えられる筋肉は、主に大臀筋、ハムストリング、大腿四頭筋、内転筋です」

「お尻から太ももにかけての筋肉が、しっかり動いているのを意識しましょう。意識してやることによって、より効果的に筋肉を鍛えることができますよ」

 

各自マシンを動かしながらウェイトを調節し、最適な重さを試行錯誤する。

20回やりきった結果、それぞれのウェイトは。

 

恋太郎、105kg。羽香里、25kg。唐音、100kg。静、10kg。凪乃、35kg。楠莉、15kg。眞妃、30kg。ひびき、35kg。朱美、70kg。

 

「すごいすごい!初めてで100kgを超えるウェイトで20回できるのは、かなり体力がある証拠だよ!」

「一応、家で鍛えてますから」

「その褒め言葉、私に刺さるんだけど」

「院田さん、凄いわ!以前からトレーニングしている私よりも上だなんて!マッスルクィーンの才能があるわよ!」

「全然嬉しくない!」

 

「でも、これはウェイトの重さを競う競技ではないからね」

「自分に合った強度で根気強く続けて、次第に上げていくのが大事なんだ」

「それじゃあ、1分休憩してもう1セット。今日は2セットやったら、背中のトレーニングに移るよ!」

 

 

「ハイ。これが背中を鍛えるマシン、ラットプルマシンだよ!」

「このトレーニングで鍛えられるのは主に、広背筋、僧帽筋、上腕三頭筋。背中から二の腕の後ろ側にかけてだね」

 

「今日教えるのは、フロントラットプルダウン。まず椅子に座ったら、両手でバーを持つ。この時、手は肩幅より少し広めにすること」

「胸を張り、背中は反らして上半身をやや後ろに傾ける。この姿勢が一番大事だよ!」

 

「それから、息を吐きながらバーを胸に向かって、ゆっくりと引き下ろしてくる」

「肩甲骨を寄せるよう意識して、肘は肋骨につけるよう、閉じるような軌道で動かすんだ」

「首の付け根の少し下まで引っ張ったら、素早くバーを元の位置に戻す。この時に息を吸うんだよ」

 

「ウェイトは、15回で限界が来る程度に設定しよう!全部で3セット行うよ!それじゃあ、スタート!」

 

ここでも恋太郎に迫るウェイトの設定を見せる、唐音。

そんな彼女に、朱美は熱い視線を送る。

優れた筋肉を持つ者ならば、男女問わず大好物なのだ。

 

「院田さん……是非一度一緒に、お茶でも……我が家でじっくり、しっぽりと……()()をしませんか……?」

「身の危険を感じる!遠慮しておくわ!」

 

 

そんなこんなで、トレーニング終了。

 

「街雄さん、今日はありがとうございました!やっぱりマシンを使えると、鍛えられたなぁって感覚が全然違いますね」

「自重を使ったトレーニングもいいけど、どうしても余計なところに力が入ってしまうからね。効率良く筋肉を鍛えるなら、マシントレーニングだよ!」

 

「その他にジムならではのプログラムとして、うちではダンス教室もやっているよ!」

「曜日ごとにテーマが違うから、興味のあるものを体験してみるといいよ。今日はエアロビクスの日だね」

 

「そうなんですね!せっかくだから、今日参加させてもらいましょうか」

「おっと、それはやめておいた方がいい。今は筋肉に負荷をかけて、繊維を引き裂いた状態だからね」

「しっかりと休ませて、回復してやることが肝要なんだ。ダンスはまた別の日に、再度挑戦すれば……」

 

「そう、再度挑戦……再度……サイド……」

 

バリバリバリ。音を立てて裂けていく、彼の衣服。

 

 

「はい!!サイドチェストォー!!」

 

 

弾け飛ぶジャージ!隆起する筋肉!

痩身の爽やかイケメンは眼前から消え去り、合成写真みたいなゴリマッチョボディの持ち主がそこには立っていた!!

 

「何だコレ!?楠莉、何か変な薬でも飲ませたか!?」

「酷いのだ!何でもかんでも楠莉のせいにしないで欲しいのだ!」

「素敵……♡眼福すぎてイッちゃいそう……♡」

 

絶頂に達する朱美であった。

 

 

「まぁ、今日はダンスをしないにしても、見学だけはしておいてもいいかもしれないね」

「こっちがダンスルームだよ!ちょうど今から、休憩時間に入るみたいだけど」

 

そう説明する街雄の前で、部屋の扉が開かれる。

中から出てきたのは、長い黒髪を軽くまとめた、漫画に出てくるような大きな丸眼鏡をかけた少女であった。

 

 

「大仏さん!お疲れ様。今日の調子はどうだい?」

「街雄さん、お疲れ様です。無料体験キャンペーンのおかげか、まぁまぁの客入りですね。あと、暑苦しいので服を着てもらえませんか?」

「これは手厳しい」

 

そんな彼女を見て、眞妃が声をかける。

「あら、アンタ。大仏、だったっけ?こんな所で何をしているの?」

「四条先輩。奇遇ですね」

 

「私、ここで臨時のアルバイトをしているんです。無料キャンペーン中で人手が足りなかったのに便乗したんですけど」

 

そう答える大仏。額にはしっとりと汗が浮かんでいる。

 

「そうだったの。正直、アンタに運動できるイメージなかったけど。ちょっと意外ね」

「実を言うと、筋トレは苦手なんですけど。こう見えても、歌とダンスはちょっとかじっていましたから。多少教えられるぐらいにはできますよ」

 

「眞妃さん。知り合いの方ですか?」

「えぇ、私と同じ学校の1年後輩で、風紀委員の……」

大仏こばち(おさらぎこばち)です。大仏と書いて、おさらぎと読みます。是非覚えてくださいね」

 

恋太郎一行に向かって、軽く頭を下げるこばち。

 

「大仏、こばち……?」

 

顎に手を当てて、何かを思い出そうとする羽香里。

 

「羽香里、知り合いか?」

「あぁいえ、そういうわけでは。少し聞き覚えのある名前だと思ったんですけど」

 

思い過ごしか。でも、そんなに良くある名字ではないし。

考えている間に、話題が先へ進む。

 

 

「でも、風紀委員がアルバイトしてて良いの?」

「校則には違反してませんから。ウチ、ちょっと今家計が苦しいんですよね」

 

「彼らも今日、無料体験入会券を使って筋トレをしに来たんだ。あと3回分残っているはずだよ」

「そうだったんですか。ダンスも楽しいですから、是非キャンペーン中に体験に来てくださいね」

 

愛想笑いを浮かべるこばちだが、その目元はレンズに隠され、恋太郎たちからはよく見えない。

 

「それじゃあ、次の時間もあるので私はこの辺で。四条先輩もお疲れ様です」

「えぇ、お疲れ様。頑張ってね、大仏」

 

 

そんな会話を交わし、適当にエアロビを見学してから、その場を後にする一同。

帰りに受付で週間スケジュールを確認し、次はどの曜日に来ようかなと考えながら、それぞれ家路につくのであった。

 

 

なお翌日、初めてのトレーニングを終えた彼女達の体を激烈な筋肉痛が襲ったことは言うまでもない。

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