ウチの駄メイドをよろしく   作:倉崎あるちゅ

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 お待たせしました、二話目です。
 今回はとあるソシャゲをやっている人達ならすぐわかる話です。


 


にわ

 

 とある平日。

 私はいつも通りに会社に出勤し、山積みの仕事を淡々とこなしていた。そろそろお昼の時間だと思っていたその時、机の上に出していたスマホが振動した。

 もうお昼だし出てもいいか。……それにしても、Aちゃんから来るなんて珍しいな。

 

「はい、もしもし」

『もしもし! 私です、友人Aです! ご主人さん、大変です!』

「え、何がですか」

 

 なんだなんだ、そんなシリアスな声を出して。

 

『事務所ごと……あくあさん達が消えました!』

「……はい?」

 

 珍しい、Aちゃんがこんな冗談を言うとは。もしかしたら、日々ぶっ飛んでるメンバー達の後処理や作業に追われて疲れているのかもしれない。

 

『そらとフブキさん、ミオさんやまつりさん、シオンさんもあやめさんも消えてしまったんです!』

「……えっと、Aちゃん落ち着こうか」

 

 あまりに大きな声だったのでスマホを離してそう言う。

 その大きな声が上司に聴こえたのか、上司が私の方を見てくる。

 

「消えるなんてあるわけないでしょ? Aちゃん疲れてるんだよ」

『違うんです、本当なんですよ……!』

 

 Aちゃんの声が震える。その言葉の後にメッセージで写真が送られてきた。その写真には、ホロライブの事務所があるはずの場所がごっそりなくなっていた。

 

──いや、有り得ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

 

 声に出さなかった私を褒めて欲しい。いや、マジで有り得ないでしょ。つか、あの、おかゆさん? なに楽しそうにころねさんと写真撮ってるんですかね。

 

『ぶっちゃけると、そら達が消えたことは良いんです。どうせ戻ってくると思うので。私が困るのは、仕事ができないことなんですよ!!!!!!』

「うん、結構ぶっちゃけたね」

 

 まぁ、確かにホロライブのメンバーなら無事に戻ってくるだろう。

 どうやら他のメンバーは無事のようで、自宅にいたり収録していたりしていたらしい。社長も無事だったようだ。ただ一人、星街すいせい──すいちゃんは一緒に行きたかったようなことを言っていたらしい。

 諸々のことを聞いて電話を切る。すると、電話中ずっと私を見ていた上司が、私の机まで移動してきた。

 

「同居人が消えたって?」

「え、あはい。ほか数名と一緒にどこかへ行った、と」

「ふむ……」

 

 答えると上司が顎に手を添えて考え込む。

 あれっすね、イケメンがそんな仕草やってると様になりますね。

 

「よし、午後休をとって家に帰れ」

「え」

「同居人が消えたんだ。仕事に集中できないだろうし帰って大丈夫だ。仕事なら俺がやろう」

「いえ、あの」

「なに、気にしなくていい」

 

 別に仕事は集中できますが。あくあ達はどうせ無事に戻ってくるだろうし。

 

「いや、帰ってくれ。……そして、あくたんが無事に帰ってきたら教えてほしい……!!」

「あー」

 

 そういやこの人、ウチの駄メイドのファンだったな。

 紹介をしろ、とは言われていないので線引きができる人だと言うのはわかる。

 

「わかりました。では、お言葉に甘えて」

 

 と、いうわけで私は会社を出てファストフード店へ。

 会社の食堂で食べてから出ていっても良かったのだが、人が多いので某バーガー店に来た。お気に入りのダブルチーズバーガーを食べて満足。

 ふぅ! チョコシェイクが身に染みるぜ!!

 

「あ、そういやアズレンがイベントあったな」

 

 複数やっているソシャゲの一つ、アズールレーンを開いて、追加データをダウンロードする。

 今回のイベントはどんな感じなのだろうか。楽しみだ。

 そう思いながら、ダウンロードを終えてメイン画面に移った。すると、

 

「んん??????」

 

 イベント告知のバナーには見慣れた顔があった。

 ゲームのキャラではない。見慣れたその顔はいつもうるさいウチの駄メイドとホロライブのメンバー達。

 そう、事務所ごと消えたホロライブメンバー達の顔だった。

 

 ──なにやってんのこの人達????

 

 疑問符しか浮かばない。本当になにをしているんだこの人達は。

 いやまて、たまたまこのイベントはホロライブとコラボであって、今回の消えた云々は別なんじゃ……。

 

「……」

 

 シナリオを進めれば進めるほど、こっちと現状が重なっていて別だと考えられなくなった。

 頭痛い、なんとかして。

 頭を抱えていると突然肩に手を置かれた。振り返って手を置いた人物を見ると、そこには死んだ魚のような目をした大空スバルさんが立っていた。

 

「スバルさん……」

「ご主人さん、大丈夫ッス……スバル、わかってるッスよ……」

 

 あぁ、この人もアズレン開いたんだな。

 そのあと、スバルさんの他に二期生のちょこ先生と合流し、私とあくあの住む家まで来た。

 みんなでアズレンのコラボイベントを進めて騒いでいた。終いにはTNTで事務所を爆破する、という時は唖然とした。

 

「あくあ様……」

「流石ホロライブレジスタンス……」

「闇だな」

 

 やっぱりホロライブ一の闇だよね、あくあは。つか、頼む、ミオさんだけでもこっちに帰ってきて。ツッコミが間に合わない……!!

 

 

 

 

 ▷

 

 

 

 

 あくあ達が消えて一日経ったこの日。休日だったので、私はソファに座ってソシャゲのログインボーナスを回収していた。

 

「ふぁあ……」

 

 眠い。

 昨日の夜は上司のメッセージに追われていたためまともに寝ていない。とりあえずアズレンをやれと言って会話を終了させたが、どうなったのだろうか。限定キャラであるホロライブメンバーを全員入手できたのか。

 私はスバルさんやちょこ先生と一緒に全員入手した。ガチャを回しているうちに、あくあだけが五回出てきた時はスマホを叩きつけたくなったが。

 どうしてフブキさんは一回しか出てくれなかったのに、お前は五回も出てくるんだ。

 

「たっだいまー!」

 

 昨日のイラつきを思い出していると玄関のドアが開く音と可愛らしい声が聴こえてきた。

 ほら、思った通り、無事に戻ってきた。

 

「ただいまー」

「おかえり、あくあ。どうだった、アズレンの世界は」

「あ、流石にわかっちゃったか……流石しきっ、じゃなかったご主人」

 

 そりゃぶっ飛んだホロライブメンバー達と接してたら察するに決まっている。それにしても、なぜ私を指揮官と呼ぼうとしたのか。

 

「ふっふっふ、ご主人。わたしは以前のわたしとは違うんだから! ロイヤルメイドの特訓を受けた、本格ロイヤル紅茶を淹れてあげる!」

「へぇ、紅茶習ったんだ。じゃあお願いしようかな」

 

 ロイヤルメイドと言えばベルファスト。ベルファストが教えたなら変な味にはなっていないはず。

 淹れてもらった紅茶に口をつけ、私は硬直した。

 

「あれっ、ご主人?」

「……ホントに特訓したんだよね?」

「え、うん」

「味が変」

「ええっ!? 味が変!? んな馬鹿なぁ!」

 

 なんとも形容し難い味だ。渋いのは確かだが……本当に特訓したんだろうなこいつ。もしかして、ロイヤルメイドも投げ出すくらいだったのか……?

 残すのもアレなのでティーカップに入った紅茶を飲み干し、おかわりする。

 

「ご主人……?」

「せっかく淹れてくれたんだし、残すのもったいないでしょ」

「っ! ありがとうご主人!!」

 

 まったく、そんなに目を輝かさんでも……。

 昨日とは違ってうるさくなりそうだな、と私はあくあが淹れてくれた紅茶を飲み続けた。

 

 

 

 

 




 あくあが五回出たのは私情です。フブキが一回しか出なかったのも私情です。他のメンバーは二回くらいでたのに!

 ロイヤル紅茶、飲んでみたいですね。

 感想、評価お待たせしております。

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