ひどく散らかった部屋、その一角に。
げんなりした顔の男と、悪びれる様子も見せない部屋の主がいた。
「ちょっと前に一緒に片付けたばっかでしょーが」
「どうにもな、仕事とシャンフロを両立させようとすると私生活が疎かになりがちなんだ」
「ゲーマーとしてダメなタイプの人じゃん」
「むしろ、通学も勉学も私生活もきちんとしながら最前線にいる君のほうが不思議なんだが」
「まぁ、そこは慣れってことでなんとか。……いや、一応心配にもなりますって」
自室だからとラフな格好の恋人は、正直なところ目の毒だ。
ブラ破壊、二玉のメロンと揶揄されるソレを隠そうともしない。
そんな《恋人》の気を知ってか知らずか、主──斎賀百は自身のVRシステムのクリーニングを続ける。
「そういえば君は、ヴォーパルバニーや征服人形と同行しているんだろう?浮気はしていないな?」
「言いたくないですけど、ゲームのデータに嫉妬はやめてほしいかな……」
「そうはいってもな」
クリーニングの手を止めることなく、百は思い返す。
ジークヴルム討伐戦の際に羨んだ、彼だけの物語が紡がれている事。
そして正典とされるオルケストラ戦の配信動画で見た、征服人形と重なっている心、想い──絆。
妬むべきではないと、知っている。
羨むべきではないと、知っている。
疑うべきではないと、理解している。
それでも、自分はあんなに可愛くはなれない。
あんなに真っ直ぐに愛の歌を奏でることは出来ない。
あぁ────恋愛はなんて難しくて。
そして、自分はなんて醜いのだ。
溜息をつきそうな時、恋人の笑い声が聞こえた。
「む?何かおかしいか?」
「いや、斎賀姉は完璧超人だって思ってたから」
「完璧なんかじゃないぞ。どうしようもなく情けない女さ」
「まぁ、そのほうが付合う身としては気も楽になるってもんで」
「……そうか、それは……良かった」
「まぁ、デートの度にガン見されるのは必要経費ですかね」
「………嫌か?嫌なら削ぎ落とす手術とかも探すが」
「探さなくていいです。俺は……まぁ、嫌いじゃないですし」
ゴミ袋を締めながら、照れくさそうな声。
百の恋人殿は、ゲームでの印象と違って純朴な面もあるらしい。
コンプレックスと呼ぶのも烏滸がましいモノさえ、彼は恥ずかしがりながらも受け入れてくれる。
メンテナンスを終えた百は、嬉しそうに頬を緩めて。
VRシステムのメンテナンスを終えて、休憩のひととき。
二人で遅めの昼食を食べる部屋は、随分と奇麗に片付いている。
「なぁサンラク──楽郎。私は仕事を辞めるつもりはない」
「そうなんで?」
「子供を授かりでもすれば考えるが。それに、君も進学してすべきことがあるだろう?」
「ま、そりゃ親と約束してますし。大学を卒業して、働いて。ゲームは辞めませんけど、私生活もきちんとしないといけないですから」
「楽郎が大学を卒業した後で入籍するとしても、二人共がゲームと仕事を両立させるには金もいる。子を授かれば尚の事だ。……私は先のことも考えて、稼げる時に稼ぐのは間違いでないと思っている」
「そりゃ、まぁ正解でしょうね」
「だが、働くのはストレスが付き物だ」
「あー、ペンシルと関わるんだったらそりゃそうでしょうよ」
百の怜悧さが滲む顔が緩む。
「だから、せめて週末の一日ぐらいは二人きりでいたい」
「ダメか?」
そこでダメと言うほど、楽郎は酷薄な男ではなく。
自分一人が独占出来る満開の笑みを前に、首肯を返すのだった。
百の姉貴は露出少なすぎて描写しづらい
でも自分、サンラク合わせて未来のことをしっかりと考えて行動とかしてそうな感じはする
オフ会名義で水着回とかやるとカオスなんだろうな……