機動戦士ガンダム 紺碧の空へ   作:黄昏仮面

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第41話 第13独立部隊、始動

 ジャブローに集まってから早数週間、未だに宇宙艦隊の編成は決まっていないのか、打ち上げ準備は整っているようだが宇宙侵攻作戦の発令などは未だに出されていない。此方としては毎日ホワイトベース隊の人達と関わったり訓練したりと充実はしているのだが軍人が戦争中に充実していてもなぁ……と感じてしまっている。

 

「ジェシーさん、それでこのガンダムの動きについてなんですけど……。」

 

「あぁ、映像だけ見てるとそこまでおかしくは感じないけど実際に操縦してる人間からしたら反応が鈍く感じるんだろ?」

 

「そうなんです、贅沢と言われるかもしれませんがガンダムの反応速度に少し不満に感じる事が増えて。」

 

 今アムロと話しているのは、本来原作なら少し後に発生する筈のガンダムの反応速度に不満を感じているという内容だ。流石はアムロ……原作と違いシャアやランバ・ラルとの戦闘回数が減っている状態にも関わらず成長具合は原作とほぼ変わらないようだ。

 自慢に聞こえるかもしれないが原作とは違い俺達との関わりのおかげで原作よりリラックス出来てるのも一因かもしれない、原作だと脱走するくらいには鬱憤溜まっていたりしたし。厄介者扱いされていたホワイトベース隊を普通に受け入れてくれる年長者達がいるってのもストレスにならない要因になってるのかも、そう言った点ではマチルダ先輩もそれを狙っていたのかもしれんな。

 

「ある程度駆動系を調整すれば少しは処理速度は上がるだろうけど根本的な解決にはならないな、機体自体に何らかのアプローチを与えないと。」

 

 マグネットコーティングはまだテスト段階なんだろうか?そもそもマグネットコーティングのテストヘッドがG-3ガンダムだった気がするが……それにブルーもマグネットコーティングが使用されていた筈だけど……んんん……仕様書をちゃんと見てないから思い出せん……。

 

「ジェシーさん?すいません考え込ませてるみたいで。」

 

「ん?あぁ良いんだよ、ちょっと俺の不勉強さを思い知っただけだ。」

 

 ブルーのデータは基本的に機密性が高そうだしデータベースから仕様を調べるのは無理だろうから普通にメカニックに聞いた方が良いな、クロエ曹長は何処だろう。そう考えながらアムロを連れて整備ハンガーへと向かうも……。

 

「クロエ曹長ですか?最近こちらでは見かけていませんが。」

 

「えぇ?3度の飯よりMSの整備が好きそうなのに?」

 

「クロエ曹長に失礼ですよジェシーさん。」

 

 うーむ……いないなら仕方ない、普通に此処にいるメカニックから知っているか聞いてみよう。

 

「すいません整備士さん、マグネットコーティングって知ってますか?」

 

「マグネットコーティング?あー……どっかで聞いた事のある単語だけど思い出せんなぁ、開発室の連中なら何か知ってるんじゃないかな?」

 

 MS開発室か、確かにメカニックよりもそっちの方が情報持ってるのは当たり前だよな。メカニックの方も単語自体には聞き覚えあるみたいだし何とかなりそうだ。

 

「マグネットコーティングって何なんですか?」

 

「簡単に言えば関節部を磁力でコーティングして摩擦を減らす事で運動性をあげる技術だよ。開発段階か完成してるかは分からんけど。」

 

「そんな話を何処から仕入れて来るんですかジェシーさんは?」

 

 思わずギクリとしてしまう、そりゃアニメからだぜ!とは言えんし完成してるかどうかも分からん技術をなんで知ってるのかと言われても返答に詰まってしまう。

 

「ふっ、男はなアムロ。一つや二つ秘密を持ってるって事さ。」

 

 ドヤ顔でキメているが実際はただのハッタリである。問題なくMS開発室に到着した俺達は手の空いていた研究者に話しかけたのだが……。

 

「一パイロットを相手にしている暇は無い、他を当たれ。」

 

 話しかける研究者が態度の差はあれど殆どこんな感じで無碍に扱ってくる。確かに1人2人のパイロットにかまけている暇は無いとは思うが……。

 

「おい、アンタら。いつまでも其処にいたら邪魔だ。こっちに来い。」

 

 1人の研究者がそうやって外へ手招きする、収穫も無さそうなので大人しく着いていく事にした。

 

「悪いな、みんな悪気はないんだがお前らゴップ閥と旧レビル閥の部隊だろ?此処でお前らに何か加担したのが上にバレるとあんまりよろしくないのさ。」

 

 ハァ……と溜息を吐く、ここはジャブローだし色んな所で策謀の目が光ってる事を今更自覚した。そりゃ余計な揉め事に巻き込まれたく無いんだろうが……。

 

「行こうかアムロ、ガンダムについては俺から何とかならないかアーニャやクロエ曹長に打診してみるよ。」

 

「すみません、僕の我儘でご迷惑をおかけして。」

 

「何言ってんだ、こんな時くらい先輩面させてくれよ。それにパイロットが機体に不満があるなんて本来はあってはいけない事だからな、命に直結する要素だし。」

 

 とは言ってもまだニュータイプとして完全覚醒してない筈なので手遅れになる程の追従性にはまだならないと思いたい。少しは猶予があるたろうからその間に何とかマグネットコーティングを済ませてやりたいけど。

 しかしジャブロー内じゃあんまり期待できそうにないし原作通りサイド6辺りでやってもらうしかないのか?

 

「サイド6か……いつになったら宇宙侵攻は開始するんだ?」

 

 艦隊編成や人員物資の配置などで時間がかかるのは分かるが時間を与えると言うのはジオンもそれだけ軍備を整える時間が発生するのと同じ意味だ、下手をすれば原作離れした超兵器も出てきてもおかしくはない。

 なんたって地上戦の早期終結で地上用機の生産数は減っている、ジオン水泳部も必死こいて制海権握る必要性が無くなったので大量に生産していない筈だ。それらのおかげで宇宙に割くリソースが増えたのとオデッサから得た資源で原作以上に宇宙戦は難儀しそうではある。下手すれば熟練兵のリックドムやゲルググの慣熟が済んでるなんて事もあり得なくはないし……。

 そう考え込んでいると慌てた様子でジュネット中尉が走り込んできた。

 

「やっと見つけたぞアンダーセン中尉にレイ少尉!」

 

「どうしたんですジュネット中尉?そんな慌てて。」

 

「1400に宇宙艦隊編成の通知が行われる、中佐から急いで君達を探してくれと頼まれたんだ。レイ少尉はホワイトベースに戻ってくれとの事だ。」

 

「了解です!」

 

 まさか思ってたらホントに宇宙侵攻が整っていたとは、とは言えやっと決まったんだ、後は命令に従い戦うだけだな。

 そして第774独立機械化混成部隊に割り当てられている部屋に到着する、既にみんな揃っているようだ。

 

「やっと来ましたねジェシー。」

 

「すまない、ちょっとアムロの事で開発室に行ってたんだ。収穫は無かったけど……。」

 

「その件は後で確認します。数刻後に宇宙艦隊の割り振りが決まる訳ですが、私に事前に叔父様から連絡がありました。」

 

「ゴップ将軍から?」

 

「はい、我々第774独立機械化混成部隊はこの日を以て解散し、新たな独立部隊として行動せよとの事で今回の宇宙艦隊には組み込まれないとの事です。」

 

 独立部隊?つまり原作のホワイトベース隊と同じ様に独自で動けって事か?

 

「我々は今後第13独立部隊としてホワイトベース隊と共に行動、その援護として行動する事に決まりました。ホワイトベース隊は東南アジア、そしてオデッサでの黒い三連星撃破と並々ならぬ戦果を挙げておりジオン公国内でも彼らを危険視する動きがあるようです。その為彼らを囮として本命である第一艦隊らが向かうルナツー方面とは逆のサイド6方面へ移動しジオンを牽制する形を取ります。」

 

 つまり原作のホワイトベースの進路に乗っかる形で俺たちは行動を共にするって事か、と言うか俺達が第13独立部隊入りとかガンダムファンなら胸が熱くなる展開だろ……!

 

「よっし!特殊部隊とは言わんが敵を引きつけるのは重要な役割だよな、それで俺達もホワイトベースに乗って行動する感じなのか?」

 

 ホワイトベースの搭載数ならまだ余裕がある筈だ、これでホワイトベースに乗り込めれば連邦好きなら死んでもいいレベルの僥倖だろう。いやまぁ実際に死ぬのは嫌だが。

 

「いいえ、あくまで我々はホワイトベースの援護という形で動きます。なので彼らとは別の艦艇を使用し随伴します。」

 

 むぅ、ホワイトベースには乗れないのか……ちょっと残念だ。

 

「じゃあサラミス辺りで追従するのか?」

 

「サラミスではホワイトベースの速さについていけませんから改マゼラン級を与えて貰いました。MS搭載数も4機と今の私達の使用している数と合いますしホワイトベースの航行速度にもなんとか対応できます。」

 

 MS4機……ジュネット中尉の方を見るととても残念そうな顔で「コア・イージーは宇宙では飛べない……。」と小声で呟いていた。可哀想に……。

 

「しかし船の乗組員はどうするんだ?艦長だって必要だしアーニャがやるのか?」

 

「いえ、私はあくまでMS隊の隊長ですから艦隊運用までは出来ません。ですので叔父様が人を寄越すと言ってくれたのですが。」

 

 流石は連邦軍大将だ、艦一隻と乗組員を簡単に手配してくれるとは。そう思っているとアーニャの端末に連絡が入る。

 

「はい、はい……了解しました。……どうやらもうすぐ艦長となるお方が此方に見えるそうです。」

 

 艦長か……誰なんだろう。シナプス大佐だったりヘンケン艦長だったりするとガンダム好きなら燃えるんだけどそこまで期待するのは無理があるか。とその時だ、部屋のインターホンが鳴る。

 

「お見えになったみたいですね。どうぞ、お入りください。」

 

 ワクワクしながら我らが艦長となる人の顔を見る、パッと見て全く知らない人だと思った……その瞬間だった。俺の脳内に強烈なフラッシュバック、ジェシー・アンダーセン本人だった男の記憶が俺の中に駆け巡ると同時に、俺は目の前の男に無意識に飛び掛かっていた。

 

「テメェ!なんで此処に!なんで此処にいるんだ!」

 

「ジェシー!?やめなさい!何をしているんですか!」

 

 アーニャの声すら耳に届かず頭の中が怒りに染まる、ジェシー本人の記憶が今までにないくらい強く混ざり目の前の男を強く許せないでいる。

 

「シショー!?なにやってるんだい!?やめなよ!」

 

「アンダーセン中尉!やめるんだ!……あっ!貴方は……アンダーセン提督……!?」

 

 俺を引き離したジュネット中尉に驚きの声と共に場は一層静まり返る、止められはしたが未だに頭に血が上り俺は冷静になれないでいた。

 

「お初にお目にかかりますエルデヴァッサー中佐、私はダニエル・D・アンダーセン。ゴップ将軍の推薦によりこの度第13独立部隊の改マゼラン級の艦長を任命され参上致しました。」

 

 飛びつかれた事がまるで無かったかのような綺麗な敬礼を返す老練な男の姿に部隊の面々もまた返礼を返していた。

 

「貴方はジェシーの……?」

 

「はい、父親であります。」

 

「やめろ!コイツは父親なんかじゃない!今更父親みたいな面しても俺はーーーッ!」

 

 不意に顔を叩かれる、一瞬何が起きたのか理解出来なかった。

 

「ジェシー・アンダーセン『中尉』、上官である私やエルデヴァッサー中佐の前で無礼が過ぎるぞ。」

 

「ッ!」

 

 また頭に血が上ったが、言っていることは間違ってはいない……。だがこの感情が整理できずに冷静にはなりきれなかった、父親らしい事を今までしてこなかったくせに……と。

 

「アンダーセン提督、お久しぶりであります。」

 

「ジュネット君か、元気そうで何よりだ。」

 

「提督は現役復帰なされたのですか?」

 

「いや、私は予備役招集の形での現役復帰になる。その為階級は当時の少将のままだが実際は飾りのようなものだ。部隊の指揮権限はエルデヴァッサー中佐が最高位のまま、私はあくまで艦長としてエルデヴァッサー中佐の補佐に回る様な形となる。よろしくお願いしますエルデヴァッサー中佐。」

 

「い、いえ!こちらこそよろしくお願いします!」

 

 深々と頭を下げるアーニャを見つめる父親の視線が何処か哀愁漂ったものを感じた、アーニャを通してまるで別の誰かをみているような。

 

「……アンダーセン提督殿は宇宙戦の経験はない様に思いましたが、ミノフスキー粒子下の戦闘もです。」

 

 皮肉を込めてそう発言する、だが間違ってはいない。連邦海軍として地上の海でしか経験の無い艦長が宇宙戦で通用するのか、それは疑問だ。

 

「ジェシー中尉の言うことは間違いない。だが事前にゴップ将軍に開戦から今までの宇宙艦隊の戦闘データ、それにMSの戦闘データを頂いたので独自に学習させて貰った。此処に来る前に現役の艦長とのシミュレーションを行なったが問題無しと判子を押されたよ。」

 

「ジェシー、お父様との仲がよろしく無いのは分かりましたが軍の命令による正式な配属なのです。能力がない方を呼ぶ程軍は愚かではありません、貴方も分かるでしょう。」

 

「あぁ……分かってる……分かっていますよ中佐殿……。悪い、少し一人にさせてくれ。」

 

 そう言うと俺は頭を冷やすために部屋を出る、こんな状況では頭に入るものも入らない。

 

 

ーーー

 

「申し訳ありません、いきなりお恥ずかしい所をお見せしてしまいました。」

 

 そう言うとアンダーセン提督は深く頭を下げて私に詫びた。

 

「何か過去にあったのですか?ジェシーがあのように我を忘れる姿は初めて見ました。」

 

 戦闘時以外は喜怒哀楽の怒は全く見せないジェシーがあれほどの怒りを露わにしたのだ、あまり聞くべきではないことだが気になってしまう。

 

「私は軍を退いた後、妻と息子を捨て一人遠くの地で暮らしていました。その時に妻の死に目にすら会わずにいた事で息子は強く私を恨んだのでしょう。先程はああ言いましたが息子が私を許せないのは当然の事です。軍人としてはともかく、父親としては最低な部類の男ですから。」

 

 その瞳には暗く沈んだ悲哀を感じた、これほどしっかりとした軍人でいらっしゃるのにそんな事があったなんて……。

 

「ヴァイスリッターのこと、中尉に言いそびれちゃいましたね。」

 

 クロエ曹長の言葉に少しの溜息をつく、本来ならこの後ヴァイスリッターが宇宙でも使える様改造中だと報告してジェシーを喜ばせようと思ったのだけど。

 

「ジェシーの事は気にしていても仕方ありません、アンダーセン提督との事は今後の活動に影響が出ない限りは今回は不問にしておきますが釘は刺しておきます、私達は戦争をしていて生きるか死ぬかの駆け引きをしている中で個人的な確執に時間を割く訳にはいきませんから。」

 

 出来れば仲直りをして欲しいけれど中々に難しそうだ、せめて戦闘に影響がない事を祈るしかないけれど。

 

「本当に申し訳ないエルデヴァッサー中佐、本来なら親である私が何とかするべきなのだが……。」

 

「……お互い生きてさえいればいつかはちゃんと分かり合えますよ、私はもう父と母とも分かり合うことは出来ませんから。」

 

「……。」

 

 アンダーセン提督は軍帽を強く下げ、再度頭を下げた。

 

「取り敢えずは以上で報告を終了します、艦の配備やMSの搭載など打ち上げに向けた準備に各々取り掛かる様お願いします。」

 

『了解!』

 

 一応の報告を終え、部屋を後にした私はジェシーを探す。色々と言いたいこともあるし、このままの状態で宇宙に上がっても良いことは無いはずだから。

 

 

ーーー

 

 リラクゼーションルームでグリーンティーを飲み干す、かつて日本人であった事を深く思い出させる味で自分の中にあるジェシー・アンダーセン本人の記憶を少しでも薄くしようとしたがあんまり効果は無かった。

 自分勝手な理由で軍を辞め、母と自分を捨てて遠い地に逃げて母親は苦労から死んでしまったのに奴はそれも知らずにのんびりと過ごしていたのだと怒りと悲しみが入り混じってこれが自分の感情なのかそうでないのか頭がおかしくなりそうだった。

 

「ジェシー、探しましたよ。」

 

「アーニャ……。さっきは悪かった。」

 

「謝っても許しません、私は今凄く怒ってますからね。」

 

 確かに怒ってる、顔には出ていないがオーラを幻視するくらい強い気を発してるのが今までの付き合いから感じ取れた。

 

「貴方のお父様との不仲な理由は先程本人から聞きました。貴方があれだけ怒るのも分かります、でも此処は軍で貴方は上官に向かって失礼な事をしたのです、分かりますよね。」

 

「あぁ、分かるよ……。でもあの時はーーーいや言い訳にしかならないな。」

 

 普通なら尉官が予備役とは言え将官に暴力を振るおうとするのは重罰物だ、そこに親子だからとかの理由は関係ない。

 

「今回は私の方から不問にさせてもらいました。でも今後同じような事があれば私は貴方を許しませんよジェシー。」

 

「分かってる、お前の名誉を傷つけないって約束したからな。」

 

「それ以上に、それ以上にですよジェシー。お父様は生きていらっしゃるんですから仲直りは出来るはずです。」

 

 あぁ……この子は本当に優しいんだな、とそう感じた。自分はもう親と何も話す事は出来ないんだからと生きてさえいれば分かり合える筈だと気を遣って……。

 

「ありがとう……お前には迷惑を掛けっぱなしだな。」

 

「全くもってその通りです、貴方は私の騎士の筈なのに主である私がどれだけ苦労していることか……。」

 

「……本当にすまない。」

 

 ジャパニーズドゲザで詫びを入れた方が良いかもしれん、ララサーバル軍曹なら感激してくれるだろうが。

 

「もうっ、ヴァイスリッターだってわざわざ改造して宇宙仕様にしてあげるんですから絶対に次からは問題起こさないようにしてくださいね。」

 

「分かってる、分かってるよーーーって、え?改造?」

 

 今改造って言った?宇宙仕様って単語が聞こえたけど?

 

「はい、私の持てるコネクションを利用して公私混同の宇宙仕様に改造中です。ヴァイスリッターは今後運用データ収集用MSから兵装試験用MSへと生まれ変わるんです。」

 

 ヴァイスリッター……俺の機体……俺の愛機……宇宙で戦える……!?

 

「ありがとうアーニャ!愛してる!」

 

 思わずアーニャに抱きつく、親父との不仲を吹き飛ばすくらいの感動を与えてくれた、ジェシー本人は多分何吹き飛ばしてんだ!もっと怒れよ!と思ってるだろうけど。

 

「ひゃっ……!あ、愛してるなんてバカ言わないでください!」

 

 顔を真っ赤にしながら引き離しにかかるアーニャを無視して頭をわしゃわしゃと撫でまくる。可愛い奴め!と遊んでいるとハリセンが頭をパシーんと打ちつける。

 

「シショー、それは絵面が犯罪だから流石にやめましょう!」

 

 あ、はい。と言うかそのハリセンどっから持ってきたの?と言うかグリムもいるけど君らいつから見てたの?

 

「相変わらず仲がよろしくて何よりです、心配して損しましたよ中尉!」

 

「いや、まぁ……すまんなグリム。」

 

 潔く謝る、完全に非はこっちにあるし……。

 そうやって仲間と談笑し次第に先程までの怒りの熱が引いていくのを感じる、やはり仲間という存在は俺にとって大切なものなのだ。

 

 

 

「良い仲間に恵まれたな……ジェシー。」

 

 その光景を遠くから見つめる父親の姿にジェシーは気づく事はなかった。

 

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