機動戦士ガンダム 紺碧の空へ   作:黄昏仮面

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第49話 いつか運命と呼んだ出会いに(前編)

「……やっぱりアムロは天才だったな。」

 

 アンゼリカに戻った俺達はアンゼリカのラウンジでアレックスについての話題で盛り上がっていた。

 

「あの機体凄いですね、攻撃動作は何とか行けましたけど戦闘機動で動かした時のあの動き方……素直過ぎて僕は気持ち悪く感じてしまいましたよ。」

 

「アタイらがザニーなんかを動かしてた時と比べるとホントに人間みたいに動くんだもんねぇ、テンポの良さもあれだけ良ければ逆にこっちが追いつかないね。」

 

 グリムとララサーバル軍曹の意見に同意する、マグネット・コーティングで滑らかに動くようになった機体はそれまでの既存の機体と違い、より人間的に動くようになっており、それまで動かして来た機体よりも更に柔軟に動かせるようになっている、だが肝心のパイロットがその動き過ぎる挙動に困惑してしまう事態になっていた。

 

「ヴァイスリッターもOSが調整されてない時は動かすのに無理があったけど、あれは単純に直線的な動きが早かっただけだからなぁ。」

 

 四方八方にヌルヌル動いてくれる機体は何というか動きが良すぎてゾワッとする感覚だ、これもコンピューターが適宜補正してくれるようになれば楽なんだろうが今のままでは俺達では扱いきれない。

 

「だからこそアムロ少尉の腕前には恐れ入りますね。もしかしたら本当のニュータイプなのかもしれません。」

 

 アーニャの言葉にみんなが頷く。アムロも最初こそ戸惑いはしても、数分後には自分の手足のように動かしていた。これにはテストパイロットであったクリスも、横から見ていた俺達も驚きであった。アムロなら余裕だろうと分かってはいても、実際に自分で動かして、こんなの無理だろって思った機体を余裕で動かすのは普通に驚愕する。アムロと今から戦うであろうジオン兵達が不憫でならない。

 

「アムロが天才だとしてもニュータイプだとしても、アイツは俺達より年下なんだ。しっかりサポートするのも俺達大人の務めだぜ?」

 

 孤独になりがちなニュータイプであるからこそ、せめて精神的なサポートくらいはしてみせなければ。

 

「ふふっ、ジェシーは本当にアムロ少尉の事を気に掛けているのですね。まるで弟のように。」

 

「まぁな、実力は遥かに劣るけどそれでもアイツは本当なら戦場にいるような年頃じゃないんだ。精神的には相当辛い筈だ。」

 

「格好は良いですけどねぇシショー、それを言ったらウチの隊長もボーヤとは年齢は変わらないんですから。そんな事を言うならシショーはそっちも気に掛けないと。」

 

「……ん?言われてみればそうだな。」

 

 アムロが15でアーニャはもうすぐ16になるって言ってたし同い年か一歳違いなんだな……うーん言われて見るとアムロより守ってやらないといけないんだよな、見た目的にも。

 

「……ジェシー。今失礼な事を考えていますね?」

 

「そ、そんな事はないぞ!」

 

「ハハハッ!焦ってるのが自分で告白してるようなものじゃないかシショー!」

 

 大声でケラケラと笑うララサーバル軍曹のせいでアーニャが更にイライラしそうなのが予想出来てしまう……!こう言う時は話題を変えないと後が怖い……!

 

「あー、そうだアーニャはもうすぐ誕生日だって前に言ってたよな?いつなんだ?」

 

「え?そう言えば……あっ!明後日には誕生日ですね……!」

 

 おいおい、幾ら戦いばかりで休む暇がないとは言え誕生日を忘れているなんて……いや仕事人間なアーニャならあり得るか。

 

「じゃあ誕生日パーティーでもしないといけないな。」

 

「そんな……、戦争の真っ最中だと言うのにそんな事をしている場合では無いと思います。」

 

「いや、そういう時だからこそ祝い事はするべきだと思いますぞ。」

 

 話を聞いたのか、親父とジュネット中尉がラウンジに入ってきた。

 

「なんだよ、盗み聞きしていたのか?」

 

「いや。上層部からの指令があった、その報告に来たらちょうど話が耳に入ってな。」

 

「上層部からの通達ですか?ジャブローですか、それとも……。」

 

「連邦宇宙艦隊、第一艦隊旗艦タイタンのティアンム大将からの連絡ですエルデヴァッサー中佐。……ジュネット中尉。」

 

「ハッ、我々第13独立部隊は補給と整備の完了後ソロモン宙域に進路を取り、第三艦隊と合流後ソロモン攻略作戦である『チェンバロ作戦』に参加せよとの通達が来ている。詳しい詳細は第三艦隊合流後に説明があるとの事だ。」

 

 来たか……ソロモン攻略作戦。連邦軍のジオン本土攻略に向けたソロモン攻略だ、もしかしたらサイド6寄港の流れでグラナダ攻略もあるのではないかと思っていたがそうはならないようだ。

 

「いよいよですね……。それでアンダーセン提督、アンゼリカの修理はいつ完了するのでしょうか?」

 

「被弾したエンジンの交換に少なくても丸一日以上、その他の修理やホワイトベースの補修に我々のMSの方もテム博士の方で調整したいとの事で少なくても3日はかかりますな。」

 

「3日か……その間俺達は何をすれば良いんだ?」

 

「何も戦争ばかりが軍人の仕事ではない、宇宙に出てから気を休める暇も無かっただろう。殆どのクルーには休養を取ることを指示してある。パイロットも同様だ、日頃の疲れを癒すと良いだろう。」

 

 成る程、つまり今日の残り時間も含めれば約4日も休みが貰えるって事か。普段仕事と戦いばかりだし今後の事も考えれば戦争が終わるまでは最後の長期休暇になりそうだ。

 

「よっし!それなら今日と明日でアーニャの誕生日プレゼントでも買って明後日は盛大にパーティーでもするか!」

 

 タイミング的にもアーニャの誕生日を祝うには最高の場面だ。軍事行動中ではまともに祝えないがこれなら気持ち的にもみんな楽しめるだろう。

 

「良いですねえシショー!みんなにはアタイから伝えておくよ!グリム、アンタも手伝ってくれるだろ!?」

 

「分かってますよカルラさん、こんな時ですからね最高の誕生パーティーにしましょう!」

 

「み、皆さん……!そんなに私の為に頑張らなくても!?」

 

「ハハハッ、普段からの人徳ですな中佐。こういった時は素直に受け止めておくべきですぞ。」

 

 和気藹々と盛り上がる中、アーニャの誕生パーティーの準備が開始されたのだった。

 

 

 

「さて、誕生祝いと言ったらどんなプレゼントが良いんだろう。」

 

 パーティーの準備はララサーバル軍曹とグリムが胸を張って任せろと言って、俺にはちゃんとしたプレゼントを買わないと怒るぞと忠告され、追い出されるような形で港の外にいるのだが……。

 

「女の子に贈るプレゼントなんて子供の時くらいしか無かったからな……。」

 

 それもクラスの女の子にハンカチとかそんなレベルだ、まともなセンスはハッキリ言って無いのだが……、そう思い悩んでいると偶然にもララァが一人で歩いているのを見かける。

 

「ララァさん。」

 

「あら、アンダーセン中尉じゃありませんか。」

 

「珍しいですね一人で歩いているなんて、キャスバル総帥はどうなさったんですか?」

 

 基本的にシャアと一緒にいる姿しか見ていなかったのでこの光景はかなり珍しいものだった。

 

「総帥は今アムロさんのお父様がお話があるとの事で、そちらにいますわ。総帥は私まで軍事的な話に付き合わなくても良いと此方まで戻っていろって。」

 

「そうなんですか、あっ!そうだララァさん、明後日アーニャの誕生日なんだ。パーティーをするから貴方も来てもらえないですか?」

 

「アーニャさん……?あぁ、エルデヴァッサー中佐の事ですね。私も参加してよろしいんですか?」

 

「勿論ですよ!もし可能ならキャスバル総帥だって来て欲しいくらいさ!」

 

「ふふっ、総帥までいらしたらエルデヴァッサー中佐も気が気でない様に思いますけれど想像すると楽しそうですね。」

 

 ニコニコと談笑を続ける俺とララァ、まさかこんな場面でのんびり彼女と雑談をするなんて思ってなかったが。そうだ、ここは一つ彼女に聞いておこう。

 

「そうだララァさん、アーニャにプレゼントでも買おうかと思ったんだけど何を贈れば良いんだろうか?女の子のプレゼントには疎くてさ。」

 

「あら、アンダーセン中尉は女たらしだと以前聞きましたけど違うのですか?」

 

 ……おい、誰だそんなデマをばら撒いたのは……脳裏に割腹の良い連邦軍大将がまず浮かんだが今はそれどころじゃない。

 

「ち、違いますよ!まだ女の子と付き合った事すらないのに!」

 

「あらあら、てっきり私はもうエルデヴァッサー中佐とは深い関係だと思っていたのに。」

 

 うーむ、やたらとそういう認識をされることが多いが実際に付き合ってる訳でもないしアーニャもアーニャで俺のことをどう思ってるのか分からないし……俺だってアイツのこと本当はどう思っているのかよく分からないし……。

 

「それを言ったらララァさんだってキャスバル総帥と深い仲だと言われたら困るでしょう。」

 

「何故?私は嬉しいけれど。」

 

 うぐぅ……まぁ端から見たら勘繰られそうな雰囲気があるだけに……。

 

「まぁそれは置いておいて、プレゼントを買うなら何が良いですかね?参考までにララァさんみたいな女性なら何が欲しいですか?」

 

「そうね……、けれどこういうのは渡す人の気持ちが全てだと思いますよ?貴方がエルデヴァッサー中佐にどんな気持ちがあるか、それを表した気持ちが込められたプレゼントなら何であっても嬉しいと私なら思うわ。」

 

「はぁ……。」

 

 何とも言えない意見をもらってしまった。自分の気持ちが篭ったプレゼントねぇ……。

 

「ありがとうございました、自分でなんとか探してみますよ。」

 

「えぇ、それが良いと思うわ。『もう一人の自分なら』とか考えずに今ここにいる貴方の気持ちに素直な物を贈るといいですよ。」

 

 その言葉にギクリと心が反応してしまう、やはりこの人は俺がジェシー・アンダーセンに憑依しているのを気づいているんじゃなかろうか。

 

「ははっ……そうしてみます。」

 

 話を切り上げ逃げるように港から出て街に向かう、これ以上話していると本当に何もかもバレてしまいそうだもんな。

 

 

 

「はぁ〜、凄いなこりゃあ。」

 

 サイド6のリボーコロニー、ポケットの中の戦争の舞台となっているコロニーだ。外観的には大都市と比べるとそこまでなのだろうが何に感慨深くなってるのかと言えばこの都市を覆うコロニー自体にだ。

 アニメやゲームなんかでよく見るコロニーは外側からばかりだし、実際にこの中で地上と同じように暮らしているなんて実物を見るとやはり驚きだ。

 

「取り敢えず買い物しなきゃな……マーケットは何処だろうか。」

 

 ここに憑依してきてから買い物なぞ、以前地獄のドライブをした時以来なので土地勘もない外国風の街並みでは迷う迷う。地図を見ながら歩いているが今いる地点が合っているかすら怪しい……。

 

「せめて誰かと一緒に来るべきだったかな……ん?」

 

 歩いていると良い匂いがしてくる、どうやら商店街では無く飲み屋街に足を突っ込んでるみたいだ。しかしこの匂いを嗅いでいると食欲がそそられる……先に飯にするか。

 

「へえ……こういうのは何処も似たような感じなんだな。」

 

 飲み屋でどんちゃん騒ぎをしているオジさん達を見ると日本の風景と重なる部分がある、万国共通なんだろうなこういうのは。

 色々と見て周りどの店にするか決めかねている……うーん、ここはやっぱり肉だな。普段ガッツリと肉を食べる機会がないし。

 

 そうと決まれば鼻を頼りに香ばしい匂いのする店を探してそこに入る、店は若干古風で所謂旧世紀風の居酒屋だった。こういうレトロな雰囲気のお店……イエスだね。

 

「兄ちゃん……見ない顔だが旅行客かい?」

 

 マスターと思わしき老齢の男性が話しかけてきた、連邦軍というのも気まずいし旅行客として振舞っておくか。

 

「えぇ、少しこのコロニーに用がありまして。観光がてらに立ち寄らせて頂きました。」

 

「……そうかい。」

 

 マスターは無愛想ながらもお通しのような軽食と水を配りメニューを渡した。取り敢えず適当に飯と飲み物を注文するか……。

 メニューを見ながら食べるものは決まったのだが、飲み物をどうするか悩む。居酒屋なのもあり見るからに酒っぽい名前の奴ばかりで酒なんて普段飲まない俺には合わないだろう。そもそも宇宙世紀での酒の飲酒はいつから可能なんだ?OVAとかでは結構誰でも酒を飲んでる印象があったけど……。

 

「うーん、このカルーアミルクってので良いかな。ミルクって言うくらいだし酒ではないだろ。」

 

 まず飯を食いたいし飲み物は二の次だ、俺はマスターに注文をすると店に置いてあるテレビを注視した。

 

『これは先日サイド6の領空外で行われた連邦軍とジオン軍との戦闘の一部です。領空外とは言えサイド6の近辺で戦闘が行われたのは初めての事で…………。』

 

 どうやら先日の戦闘を放送しているニュース番組のようだ、コメンテーターや専門家みたいな人が話し合っている。こういうのはいつの時代でも同じ風な放送なんだな。

 

「あいよ兄ちゃん。……この前の戦闘のニュースか、こればっかりで飽きてくるな。」

 

 料理を手渡した後でそんな愚痴を吐きチャンネルを変える、ニュースから映画に変更したようだ。

 

「頂きます。んぐ……んぐ……!う、美味い!」

 

 頼んだのは鳥の串焼き、所謂焼き鳥と鶏肉のハーブ焼きだ。西洋風の味付けだがいい感じにスパイスが効いているし肉汁も滴り野郎飯なら上出来も上出来だ、バクバクと食いながら飲み物を口に入れる。

 

「ん……?何か変な味の飲み物だなぁ。」

 

 見た感じカフェオレみたいな色合いだが何か喉がむせる様な感覚だ。まぁ腐ってる訳ではないしおかわりを頼みながら更に追加注文を頼む。普段レーションばかりなので本当に飯が美味すぎて感動してしまっている。

 

「注文してくれるのは嬉しいけどねぇ兄ちゃん、今日は大事な客が来る予定なんだ。食い終わったら早く出てってくれると助かるんだが。」

 

「うぃ〜ヒック、分かったよマスタ〜。取り敢えず飲み物おかわり!」

 

 なんだか気分が良くなってきた、周りもなんかキラキラしてるし。

 

「おい兄ちゃん……アンタまさか酔ってんじゃないだろうな?」

 

「酔う〜?らいじょーぶらいじょーぶ!酒は飲んでないし!」

 

「……まさか酒だと思わず注文してたのか兄ちゃん。」

 

 なんだぁ……?まさか酒を飲んで……たのか……?うー……なんか眠くなってきた……。

 

 

ーーー

 

「勘弁してくれや……もうすぐ客が来るってのに。とは言っても今はお上がうるせえしほっぽり出す訳にも行かねえしなぁ。」

 

 酔い潰れた青年を取り敢えずソファーに移すも扱いに悩んでいた。この間の戦闘以来色々と政府の目も厳しくなっている。少しの揉め事も起こしたくはないのだが……そう思っていると店のドアを開ける音が聞こえる、どうやら追い出すのに間に合わなかったようだ。

 

「チッ……相変わらずの収穫無しとはねぇ、このリボーに隠しているのは間違いないみたいだが。」

 

 妙齢の女性、背丈も高く妖艶な雰囲気を漂わせる女性だ。

 

ーーー

 

 

「シーマ様、ちょっとお待ちを。酔い潰れたガキがいまして。」

 

「なんだい?外に捨てちまえば良いんだよそんなのは。」

 

「今はサイド6もうるさいので……揉め事が起こればシーマ様にも不便があると思いましてな。」

 

「成る程ねぇ、見たところ完全に潰れてるじゃないか。放っておいて問題ないんじゃないかい?」

 

「シーマ様がそれで良いなら……それで、首尾はどうでした?」

 

「ダメだね、工業地帯で間違いはないがセキュリティレベルが高くて近づけたもんじゃない。とてもじゃないが破壊工作はまず無理さね。」

 

 うーん……、なんか声が聞こえる……、何処かで聞いたことのある声だ……、誰だろ……。

 

「んん〜〜。」

 

「なんだい、目を覚ましちまったか?おい、さっさと起きな!此処はもう店じまいだよ!」

 

「んんん〜〜〜?シーマさまじゃないれすか〜!」

 

 目の前にいるのはあの悲劇のヒロインみたいな経歴しかないシーマ・ガラハウ中佐、通称シーマ様だ。シーマ様がいるなんて俺は夢でも見てるんだろうなぁ。

 

「驚いた……顔見知りだったんで?」

 

「いや……初対面の筈だがね……おい!アンタ誰だい!」

 

「俺ぇ……?俺は……俺は誰だぁ……?」

 

 頭がクルクルしてて何がなんだか分からない、でも何か凄い楽しい!

 

「アタシの名前を知ってるって事は海兵隊かい!しらばっくれるとタダじゃすまないよ!」

 

「うぅ……揺らさないで……っ!気持ち悪い……!」

 

「チッ、調子が狂うガキだね……!おい!水を持ってきな!」

 

「へ、へぇ……。」

 

「シーマさま……やっぱり優しい人じゃん……!めっちゃ感動する……!」

 

 やっぱ毒ガスとか汚い任務とかで心が病んでしまっただけで素はめっちゃ優しいんだろうなぁ。俺的には連邦に寝返り成功して幸せになって欲しかったからなぁ……。

 

「さっきから変な事ばっかり言って……!ちゃんと質問には答えな!お前は海兵隊出身か、それともマハルかどっかで会った事があるのかい!?」

 

「マハル……?」

 

 マハルと言えばサイド3にあるコロニーの一つだ、治安はあまり良くないらしいがシーマ様含むシーマ艦隊のメンバーの多くの出身地であるのだが……。

 

「うぅっ……シーマ様が帰る場所のマハルもあんな兵器にされて……!」

 

 悪魔の兵器ソーラ・レイ、コロニーを丸々兵器に変えた超兵器だ。宇宙移民の住む場所である筈のコロニーがあんな虐殺の道具に成り果てるなんてあんまりだ。

 

「おい……どう言う事だい!マハルが一体どうしたって言うんだ!さっきから含みのある言葉ばかりで要領が掴めないんだよ!」

 

「シーマ様、お水をお持ちしましたが。」

 

「寄越しな!ほら、さっさと飲むんだよ!」

 

 水を飲み干し少し気分が良くなる、けれどさっきから夢うつつで何が何やら未だに良く分からない。

 

「ラチがあかないねぇ。ちょっとコイツは借りていくよ、此処だと周りに聞き耳されても困るからね。」

 

「分かりました、お気をつけてシーマ様。」

 

 グイグイとシーマ様に力強く引っ張られて外に連れて行かれエレカに乗せられる俺だった。

 

 

後年、俺はこの数日においての巡り合わせの全てに感謝する事になるのだった。


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