機動戦士ガンダム 紺碧の空へ   作:黄昏仮面

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第54話 悪鬼

「馬鹿な…… 。」

 

 要塞の第6ゲートが正に消失と言っても過言ではない程に消え去っている、核や大量破壊兵器の類とは違う何かの新兵器によってこうなったと言うのか……。

 

「閣下、攻撃はサイド1の残骸があった方角からです!映像出ます!」

 

 映像は鮮明では無いが、其処には夥しい数のミラーが列を成していた。これは……コロニーを原動力にしてはいない故にソーラ・レイとは微妙に異なるがそれと似た兵器を連邦も準備していたと言うことか……!

 

「あの方角にはガトルの第2、第6戦隊とグワランを向かわせていた筈だ!どうなっておる!」

 

「いずれも応答ありません……!恐らくは既に……。」

 

「ちぃ!残っているMS部隊を呼び戻せ!敵は要塞に侵入を試みる筈だ!コンスコンも防衛に呼び戻せ!」

 

「閣下!コンスコン少将のチベとも先程の攻撃直後から途絶えております……!」

 

「馬鹿な……!あのコンスコンがやられたと言うのか……?くっ!ラコック、女達は既に退避カプセルへの避難は済んでおるのか。」

 

「ハッ、後は護衛を回し退避させるだけとなっております。」

 

「よし、そちらは任せたぞ。……MS部隊はミラー破壊に向かわせる一部を除き呼び戻せ!ソロモンの水際で防衛する!ビグ・ザムの出撃準備も急がせよ!俺も出るぞ!」

 

 

ーーー

 

「撃て撃て!撃ちまくれぇ!」

 

 焼かれたスペースゲート跡に大量のバズーカが撃ち込まれる、要塞内部への突破を試みる部隊が既に幾つも現れていた。

 

「フゥーーー!これが主力艦隊の連中かい!こんだけいりゃあ後は楽勝だねえ!」

 

 かなりの数の主力艦隊を前に楽観するララサーバル軍曹、確かに数だけ見れば優勢にはなっているがまだビグ・ザムがいるし先程のゲルググの事もある、別の新型だっていてもおかしくはないんだ。

 

「気を抜くなよララサーバル軍曹、窮鼠猫を噛むって言葉もある。追い詰められた敵ほど厄介なもんはないぞ!」

 

 実際に要塞内部には未だにかなりの数の防衛部隊が存在している、此方が優勢と言えどまだまだ気は抜けない。それにしたって既に1時間近くの戦いなのだ、疲労の方も少しずつだが溜まって来ている。

 

「ジェシーの言う通りです。要塞内部にも防衛機構は存在するでしょうし、この手の侵攻戦と言うのは古来から防衛側の方に地の利があります、要塞内部を網羅している敵の方が侵攻してくる我々に対して多くの手を打つことが可能なのです。」

 

 流石に戦術論を書き上げる事だけはある。この優勢の状況でも敵の動きに慎重さを持ってくれている、俺達としては頼もしい限りだ。

 

「だが孟子で言う所の天の時、人の和ってのは俺達の側にある。勢いがある内に攻勢を掛ければ敵も地の利を活かす前に倒れる筈だ。」

 

「やっぱり、変な所で博識なんですねジェシー。」

 

 クスクスと笑うアーニャに状況が状況なのに思わず照れてしまう、そりゃガンダムの歴史とか調べてるといつの間にか実際の戦史とかも興味持ってそれから得た何ちゃって知識なんだがな。

 

「ホラ!イチャイチャするのは後だよ!敵は待ってくれやしないんだからさぁ!」

 

 要塞の影から多数のザクとドムが現れる。どうやら防衛部隊のお出ましのようだ。

 

「わ、私達そんなにイチャイチャしていましたか……!?」

 

「何真面目に受け止めてるんだ……ほら、来るぞ!」

 

 アーニャの天然ボケに少し気が抜けて、ある意味ではリラックスできた。ビームライフルで冷静に敵を撃ち抜き次々と敵を撃破し徐々にだが要塞内部を進んでいく。俺としてはビグ・ザムさえ出て来なければ何とかなるとは思っているがそれは期待するだけ無駄だろうな……流石にビグ・ザムの代わりに大量のゲルググを送ったとかそんな事でもない限りは。

 そう考えながら進んでいるとビームが横を掠る、慌てて反応するとそれはザクやドムではなく味方のジムの小隊だった。

 

「よせ!こっちは味方だぞ!」

 

「すまん!どうやら道が合流したみたいだ、敵と思って撃ってしまった!」

 

 直撃しなかったから良かったものを下手したら味方に撃たれて死ぬ所だった……要塞戦は混戦になるとは思っていたがやはりアクシデントは発生するものだな。

 

「ジェシー、気が立っているとは思いますが冷静に。味方とルートが合流したと言うことは此処は中継地の筈です、何か敵の罠があってもおかしくはありません。」

 

「そうだな……。」

 

「すまんな新型さん達!さっきの詫びとは言わんが此方が牽制をかけよう。君らは援護を頼む!」

 

 中々肝の据わった人達だ、お言葉に甘えてこの場は任せよう。

 

「オラオラ!道を開けやがれ!」

 

 味方のジムが手当たり次第にバズーカやビームスプレーガンを撃ちまくる、崩落とかしないんだろうかとも思ったが進行ルートは塞がってしまえば敵も通れないしその点は気にしなくても良さそうだな……埋もれさえしなければ。

 

「このまま敵の中枢を叩ければ良いんですが……。」

 

 グリムの心配もごもっともだ、ドズルがいてもいなくても司令室さえ押さえれば敵の動きはかなり制限されるだろうからな。

 

「焦るなよグリム……深く奥へと入り込めば込むほど敵のテリトリーなんだ。今は慎重に慎重に……。」

 

 その時だ、味方のジムが動きを止める。

 

「な、なんだ!コイツは!?」

 

 其処にはMSが通れるほどの大きな道となっている要塞内部をまるで狭く感じさせる程の大きさを持った機動兵器が立っていた……!これは……!

 

「撃て!取り敢えず撃ちまくるんだ!」

 

「よせ!ソイツには!」

 

 俺の制止など聴こえていないのかジムの小隊はビームスプレーガンを撃ちまくる、しかし……。

 

「なっ……!ビームが効いていないだと!?」

 

 ビームからバズーカへと装備を変えようとするもビグ・ザムのメガ粒子砲がジムの小隊を一気に消滅させた。

 

「アーニャ!全員に撤退命令だ!コイツは……コイツは危険だ!」

 

「……ッ!全機退却!一旦要塞の外へ出て体勢を立て直します!」

 

 全速で元来た道を引き返す、その間にもビグ・ザムはメガ粒子砲を放ち次々と別の場所から現れた味方の部隊を壊滅させていく。

 

「なんて圧倒的なんだ……!」

 

 敵に回して初めて分かるこの絶望感、ゲーム等とは比較にならない程の化け物具合を感じ取れる。サイズもそうだがこの圧倒的火力、気を抜いたら一瞬で殺されてしまうんじゃないかと言う恐怖、今までのどの戦いよりも『死』をイメージさせられる。

 

「あれは……要塞防衛用のMAなのでしょうか……!?」

 

「恐らくはな……!あの火力だけじゃない、ビームを弾くバリアーも厄介だが実弾に対しても恐らく対空迎撃出来るだけの装備がある筈だ!俺達だけじゃ倒せない、ホワイトベース隊……いや味方の大隊と合流しないと!」

 

「チキショー!今程機体にもっと早く動けって思った事はないよ!」

 

「もうすぐ要塞の外の筈ですよカルラさん!外の敵にも注意を……!ーーーッ!」

 

 グリムの声が遮られると同時に、要塞の出口からとてつもない光が放たれているのを確認する、ソーラ・システムの第二射がどうやら要塞の外に展開していた艦隊に向けて放たれたらしい。

 

「対要塞兵器の二射目……?」

 

「ソロモンの敵艦隊に放たれたものだろう、これでこっちの勝利は確定した……って言いたいところだが……。」

 

 実際にはまだビグ・ザムやドロス辺りがまだ残っている、ドロスは史実通りなら退却をするだろうがビグ・ザムはそうはいかない。現在進行形で此方は襲われている最中なのだから。

 

「いずれにせよこれで本隊との合流は容易になります、このまま要塞の外まで駆け抜けます!」

 

「了解!」

 

 一気に要塞ゲートを駆け抜けて宇宙空間へと舞い戻る。追いかけてくるビグ・ザムから隠れる為、一旦要塞の影に全機が隠れる。

 

『ぬぅ……!まさか此処まで追いやられるとは……!状況はどうなっておる!』

 

『ハッ、先程の攻撃で主力艦隊の殆どが壊滅状態!残った艦は敵主力への特攻を試みております。』

 

『よし!ビグ・ザムは後方の指揮艦を狙う。雑魚には目もくれるなよ!』

 

 要塞から出たビグ・ザムは俺達を探す事なくティアンム提督率いる主力艦隊の方へ進路を取る。

 

「……マズイ!」

 

「まさか特攻……!?行かせてはなりません!」

 

 行かせはしまいと攻撃を仕掛けるも、既に実弾装備の殆どはビーム撹乱幕下での戦闘で使い切っており、サブアームに残したバズーカを発射するもビグ・ザムの火器によって迎撃されていく。

 

「クソッ!やっぱりこう動くかよ!」

 

 ドズルの艦隊特攻は予想出来た事だ。しかし史実より優位に保ちながらの攻略戦での慢心、更にビグ・ザムの実力を甘く見ていたツケが回った。まさに悪鬼と言う他ない化け物だ。

 

「ホワイトベース隊は……!他の部隊は間に合わないのか!」

 

 間に合っていない訳ではない、既に多くの部隊がビグ・ザムの迎撃に回っているが圧倒的火力を前に次々と撃破されて行くのだ。

 それにあれほど巨躯であるのにかなりの機動力だ、ヴァイスリッターですら追い付けない。

 

「クソ……!クソォ……!」

 

 レビル将軍に続きティアンム提督まで死なれては……!焦りだけが募る中、非情にもビグ・ザムは主力艦隊をメガ粒子砲で薙ぎ払って行く。

 

『フハハハハハ!ソロモンを陥してくれた礼だ!1人でも多く地獄に引きずり込んでやるわ!』

 

「くっ……やらせは……!」

 

 アーニャのフィルマメントによる高出力ビームライフルが放たれるもビグ・ザムのIフィールドバリアの前に雲散させられてしまう。やはりビーム兵器では歯が立たない。

 

「その為の……その為の新兵器だろうが……!」

 

 一気に懐に入り込みビームルガーランスを叩き込めれば、しかしあの弾幕を掻い潜り攻撃できるのか……!?

 

「アンダーセン中尉!」

 

 突如レーザー通信が入る、この声はキャスバルか。

 

「キャスバル総帥!それにアムロも!?」

 

 別の戦域に移っていたホワイトベース隊も本隊の危機を察知して此方に駆けつけたようだ。

 

「味方部隊の通信で異常な敵の存在を感じたが……あれがそうなのか?」

 

「えぇ。恐らく敵の拠点攻略、或いは拠点防衛用に作られたモビルアーマーだと思われます。破壊しようにもビームの類は無効化されてしまうし、かと言ってバズーカは対空迎撃されてしまいますし。」

 

「なら急接近し弾幕を掻い潜りながら近接攻撃を仕掛けるしか手段はあるまい。」

 

「そんな簡単に……。」

 

「だがこれしか手段はない、でなければティアンム提督率いる主力艦隊は全滅を待つだけだ。」

 

「やるしか無いですよジェシーさん。ありったけの武装を当てれば幾ら敵の防御が硬くても突破は可能な筈です。」

 

 覚悟を決めて行くしかないか……、ビグ・ザムの稼働時間を見ても動かなくなる頃には味方の損害も大きくなっているだろうしMSで止めるしか手段はない。

 

「アンゼリカ隊、そしてホワイトベース隊のみんな聞いてくれ。今からあの化け物に一斉攻撃を仕掛けてティアンム提督の旗艦が撃沈させられる前に破壊する。」

 

「何か策はあるのですかジェシー?」

 

 策と言えるほどの案ではないが、今は恐らくこの手段しか方法はない。

 

「ご覧の通り敵はビームを弾く、恐らくビームサーベルなんかに使われるIフィールドの応用で此方は収束に使われるのに対して向こうは斥力、つまり弾く方に使っているんだろう。だから基本的には遠距離からのビーム攻撃は無意味だ。」

 

「しかしよジェシーさん、俺達も長丁場の戦いで殆ど実弾系の装備は使い切っちまってる。どうするつもりなんだい?」

 

 カイからの疑問。そう、長い戦いの中で実弾系の装備は殆どの機体がバズーカやマシンガンと言った実弾装備は使い切っている。それに仮に残っていてもあのビグ・ザムの対空能力は高い、簡単には当たらないだろう。

 

「だからこそ取れる手段は一つだけ、さっきもキャスバル総帥が言っていたが近接攻撃で破壊するしかない。敵のバリアも接近されれば威力が減退されず攻撃が通る筈だ。その役目を俺が引き受ける。」

 

「なんだって!?無茶だよシショー!」

 

「黙っているんだララサーバル軍曹、俺のビームルガーランスはこの手の大型兵器用に開発された装備だ。これなら奴の装甲を突破して攻撃する事が可能だ、だから俺が奴に接近できるようにみんなの協力が必要なんだ。」

 

 言ってて震えが止まらないがこれしか方法はない、原作みたいにコア・ブースターを特攻させてなんて犠牲前提の攻撃なんてやりたくはないし。

 

「まずリュウさん。」

 

「おう!」

 

「コア・ブースターで奴の目を引いてください、ミサイルなどで牽制してから速攻で敵の射程から逃げるくらいで構わないです。」

 

「了解だ!」

 

「ハヤトとグリム、ララサーバル軍曹の三人は残った武装で中距離支援だ。リュウさんが敵を引きつけたと同時に反対方向からの攻撃で敵が打つ手を増やして精神的に疲弊させる。」

 

「分かりました。」「了解です!」「分かったよ!」

 

「そしてガンダム3機はそれぞれ連携して攻撃してくれ。バリアーが突破可能であればそのまま撃破してくれれば助かるがそうじゃない場合は俺に攻撃のチャンスを作って欲しい、キャスバル総帥はそのカラーリングから敵に優先的に狙われるだろうから何とか回避を頑張ってください。」

 

「やれやれ、中々無茶を言ってくれる。」

 

「シャアと連携ってのは気に食わないけどジェシーさんの頼みなら断れねえなぁ。」

 

「やれるだけやってみます。」

 

 よし……これで殆どの人員配置が完了だ。……一人を除いてだが。

 

「ジェシー、私はどうするつもりですか?」

 

「アーニャ……お前は後方からビームライフルで援護を……。」

 

「ジェシー。貴方は私を危険な場所に行かせたくないと思っていますね?先程の人員配置なら私も近接からのビームライフルでの攻撃の方が敵に対して有効な筈です。」

 

 間違っちゃいない、だが相手はビグ・ザムだ。生き残れる保証なんて何処にも無い。

 

「お前は指揮官だ……だから……。」

 

「私も、貴方の隣で戦います。それこそが指揮する者の務めです。」

 

 はぁ……こうなると頑固だからな、引きはしないだろう。俺としては安全なポジションにいて欲しかったが。

 

「分かった……アーニャはヴァイスリッターの援護だ。目眩しでも良いからビーム攻撃で敵の意表を突いてくれ。」

 

「分かりました。行きましょうジェシー。」

 

 大きく深呼吸して意識をハッキリとさせる。此処がこの戦い一番の正念場だ。

 

「行くぞ!全機フルブラスト!」

 

『了解!』

 

 全機が散開すると同時に勢いよくリュウさんのコア・ブースターがビグ・ザムに攻撃を仕掛ける。

 

『ちぃ!ちょこざいな!』

 

「よし、食いついた。行けハヤト!」

 

 リュウさんの声と同時にハヤトを始めとするグリムとララサーバル軍曹の3機がありったけの火力をぶつける、残念ながら全て防御され有効打になるような結果には至らないがそれでもビグ・ザムの動きを緩める事に成功した。

 

「くそぉ!もう弾薬もビームも空っぽだカイさん、アムロ、後は頼んだ!」

 

「やっちまえガンダム達!アタイらの分まで!」

 

『ぬぅ、此方の動きを止めるつもりか!だがビグ・ザムの火力を舐めるなよ!』

 

 全方位から放たれるメガ粒子砲が行く手を遮る、何度も予想の上を行く化け物だ。

 

「だが当たらなければどうと言う事はない!」

 

 キャスバルのガンダムが見惚れるような回避行動を取りながら距離を詰めて行く、射程距離からビームを放つも未だにバリアーの範囲内なのか雲散してしまった。

 

『赤い機体……!シャアか!』

 

「その声はドズル・ザビか!」

 

『目を掛けた恩を忘れガルマを誑かしおって!貴様も冥土に引きずり込んでやるわ!』

 

「貴様とて父の仇!やらせはせんよ!」

 

『ビグ・ザムを舐めるなよ!』

 

 ビグ・ザムの足の爪先からミサイルが放たれる、咄嗟の出来事に反応し切れずキャスバルにミサイルが直撃しそうになるが……。

 

「シャア!危ない!」

 

「油断しちゃいけないでしょ!」

 

 アムロとカイが何とかミサイルを破壊する、危機一髪となった所に今度は此方が仕掛ける。

 

「よし!今なら!うおおおお!」

 

 ヴァイスリッターのバーニアを全開にし一気にビグ・ザムの懐へと切り込む。

 

『むぅ!まだムシケラが残っておるのか!ええい!』

 

 バルカン砲による迎撃をシールドを使い捨て何とか防御する、ビームルガーランスを持つ右腕さえ残っていれば後は何処が破壊されたって良い!

 容赦無く叩きつけるバルカン砲にシールドが破壊される、今度は左腕を盾にしてそれでもなお突っ込む。

 

「ジェシー!貴方をやらせはしない!」

 

 フィルマメントのビームが一筋の道を切り開く、これなら!

 

「うおおおお!」

 

 ビグ・ザムにビームルガーランスが突き刺さる、後は装甲をこじ開けて……!

 

『やらせはせん!貴様らみたいな雑兵にこのソロモンを!このビグ・ザムを!ドズル・ザビをやらせはせんぞ!』

 

 それはメガ粒子砲でもバルカン砲でも、ミサイルでも無く、大きく振りかぶるような体当たり。しかしその巨体の質量はバカにならずヴァイスリッターが大きく跳ね飛ばされてしまう。

 

「ぐぁぁぁぁ!」

 

 後一歩……後一歩の所を不意にしてしまった……。

 

『ゴミ共が……消え去るがいいわ!』

 

 ビグ・ザムのメガ粒子砲が収束されて行く、先程の体当たりでヴァイスリッターはボロボロになりまともに動ける状況ではない。流石に死を覚悟した、その瞬間だった。

 

「消え去るのは貴方です!ドズル・ザビ!」

 

 アーニャのフィルマメントがビグ・ザムに突き刺されているビームルガーランスを握る。

 

『何ィ!?』

 

「これで……終わりです!」

 

 刀身が展開しビグ・ザムの装甲をこじ開けた、そしてーーー

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 こじ開けた装甲にビームが放たれる、少しの間の後少しずつビグ・ザムが爆散して行く。

 

「やった……のか……!」

 

 一時は完全に負けたと思ったが何とかなった、あの化け物を多くの味方を犠牲にしたが漸く討ち取れたのだ。

 

『やらせはせん……。』

 

 爆発して行くビグ・ザムからとてつもないプレッシャーが放たれる。これは……。

 

『やらせはせん!やらせはせんぞぉぉぉ!』

 

 ビグ・ザムの頭部からパイロットスーツを着たドズルが人間用のライフルをMSに向けて発射している。その光景は無意味であるにも関わらず俺達に異常な感覚を覚えさせた。

 

『貴様ら如きにジオンの栄光をやらせはせん!この俺がいる限りはやらせはせんぞぉぉぉ!』

 

 それは悪鬼と言う他ない禍々しいプレッシャーだった。ドズルの妄執、ザビ家の栄光、それ以外の様々な想いが集まった歪んだ感情が形成したビグ・ザム以上の化け物がそこにはあった。

 

「な、何者なんだ……!」

 

 爆散していくビグ・ザムと共に消えて行くドズルを見つめながら、俺達全員がそんな感情を胸に抱いていた。

 

 そして、多大な犠牲を払いながらも何とかティアンム提督の旗艦であるタイタンの防衛を完遂し、此処にチェンバロ作戦は連邦軍の勝利を持って終了したのであった。

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