機動戦士ガンダム 紺碧の空へ   作:黄昏仮面

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第18話 決戦 阻止限界点①

 

 地球周回軌道、眼前に映る地球を目の前にしてエギーユ・デラーズは満足気に笑みを浮かべる。

 

「見よガトー、かつてジオン公国が総力を以って成し遂げたコロニー落としをワシはたったこれだけの戦力で成し遂げたのだ。」

 

「ハッ……!流石であります閣下……!この光景は死して尚ジオンの魂を輝かせている同胞達も喜んでいるでしょう。」

 

 ガトーは嘘偽りの無い本心でそう応える。

 

「だがこれで終わりでは無いぞガトーよ。我々の本懐を成し遂げねばな。広域回線を開け。」

 

「了解です!」

 

 通信士がオープン回線を開くと、デラーズは眼前に待ち構えている連邦艦隊へ向けて通信を発する。

 

「地球連邦軍に告げる、我々はデラーズ・フリート。これより最終通告を行う、今目前に迫るコロニーが貴軍らにも確認できるであろう。我々はこれを交渉材料に貴軍らが虜囚にしているギレン・ザビ総帥の解放を求める。拒否するのであれば、我々はこのコロニーを地球へ落下させる事を厭わないであろう。」

 

 少しの時間が流れ、その通信に連邦軍が応える。

 

「私は第1地球軌道艦隊司令代理バスク・オム大佐だ。我々はテロリストと交渉する意志はない。そして貴様らテロリストが要求するギレン・ザビは数年前に処刑されている。」

 

 淡々と回答をするバスク。そして……。

 

「そして我々には正統なジオンの血筋を持つ者がいる、貴様らテロリストに対して悲観しているのだ。」

 

 バスクはそう告げると、声の主がバスクから若い青年の声へと変わる。

 

「私はネオ・ジオン共和国共同代表キャスバル・レム・ダイクンだ。デラーズ・フリートと名乗る公国軍残党勢力へ告げる、今すぐコロニーの機能を停止し降伏せよ。そうすれば兵士達の身の安全は保証しよう。希望があるのならサイド3、サイド8への帰属も受け入れる。貴軍らが信奉するギレン・ザビが根差したジオン公国は父ジオンダイクンが掲げた平和とは程遠い優生思想に囚われた悪質なものだ、スペースノイドの自治権解放を掲げながらその実質は自身が主導する優性人類生存説という選民思想を加速させ、人類の半数が死滅してなお更に生贄を求めるかのように戦いを続けた、それに悲観した者は多かったからこそ我々ネオ・ジオンは立ち上がり、そしてギレン・ザビのやり方を良しとしない者が多かったからこそ今のジオン共和国はあるのだ。」

 

 キャスバルの演説を遮るように、デラーズは怒りを含んだ声で反論する。

 

「我々はジオン・ズム・ダイクンの遺児を騙る偽者の声は聞かぬ。シャア・アズナブル、元々はジオン公国の少佐であった男がギレン総帥の弟君であるガルマ・ザビ大佐を弄する為にその名を騙っている事は我々の中では最早常識である。我々は独立の意志を連邦と言う売国奴に預け、その庇護の中で寄生する事を選んだジオン、ネオジオン共和国をジオン公国の崇高な精神を継ぐ者と見てはおらぬ。」

 

 言葉を遮らせず、デラーズはそのまま発言を続ける。

 

「貴様ら連邦に属する俗物共に、我らは決して屈する事はない。ギレン総帥を死んだものとして解放しないと言うのであれば、連邦の恥部も曝け出す用意が此方にはある。」

 

「なんだと……?」

 

 バスク大佐が訝しむ、デラーズは嘲笑う様に続けた。

 

「オデッサでの戦いで、地球連邦軍中将であるエルラン将軍は我々の側についた事は周知の事実だろう。そして彼は言った、地球連邦政府は既に世界を統制する立場から離れ人々の心もまた同じであると、戦争で疲弊した者達の中にはエルラン将軍と同じく我々に呼応する者も現れ始めた。現在アクシズの艦隊が我々の援護の為に此方に向かっている、コロニー落としを見届けるのが理由ではあるが、彼らが此処に来られる理由もアクシズを監視していた艦隊が我々に寝返ったからこそだ。最早連邦政府を支持する者は少ない、そして我々スペースノイドは必ずや真の独立を果たす。最後にもう一度問おう、我らが総帥ギレン・ザビを解放せよ。さすればギレン総帥の手により、再び世界は平和への道のりを歩む事が出来るのだ。」

 

「えぇい!貴様らと話す舌など持たぬ!ソーラ・システムの起動を急がせろ!」

 

 バスクは通信を怒鳴りながら切るとソーラ・システムの起動を急かした。

 それを見ていたキャスバルは呆れるように溜息を吐く。

 

(このバスク大佐ではやはり無理があったか、アンダーセンの策に期待する他ない……か。)

 

 嫌な予感が過ったキャスバルは通信士に呼びかけ自身の機体の用意をさせる。

 

「私もデラーズ・フリートの掃討に向かいますバスク大佐。ネオ・ジオンは連邦軍には協力するが独自の命令系統だという事はお忘れなきよう。」

 

「ふん、それはこちらも同じだ。せいぜい我々の邪魔をせんようにするのだな。」

 

 この男はスペースノイド全体を憎んでいるようなきらいがある。あまり友好的な関係は築けそうにないという事をキャスバルは確信しカタパルトデッキへと向かった。

 

「私のガンダムは用意できているか?」

 

「ハッ、連邦式ではありますが整備も終わらせてあります。元が連邦の機体なので問題は無い筈です。」

 

「有難い、その厚意を無碍にはしないと誓おう。」

 

 コクピットへ入りシステムの調整に移る、メカニックの言う通り整備は行き届いているようで何よりだ。

 前大戦で私が乗っていたガンダム、近代化改修され今でも一線級の性能を誇る我が機体であれば敵に遅れを取ることはないだろう。

 

「この感覚……お前も来ているのかアンダーセン。」

 

 鈍い感覚ではあるが、彼の気配を感じ取る。だが何故だろうそれが()()ある様に感じるのは気のせいだろうか。

 

「発進準備完了、キャスバル代表出撃どうぞ!」

 

 気になることはあるが今はそれよりもコロニー落としの阻止に尽力せねばならない。

 かつてはそれを地上に落とした側ではあるが、人々をニュータイプへと導く為に、そして地球を水の惑星に戻す為に……それを願う仲間の為に戦わねばならないのだから。

 

「キャスバル・レム・ダイクン、ガンダム発進する!」

 

 赤い機体が宇宙(そら)を舞った。

 

 

 

ーーー

 

 

「グリム隊長!3時方向にドムです!」

 

「了解!」

 

 グノーシスのビームライフルの攻撃がドムを貫く、ソーラ・システムを視認したデラーズ・フリートの艦隊はミラーの破壊の為に戦力の多くを投入していた。

 その迎撃の為に曙光の部隊は出撃し、迫り来る敵と戦っていた。

 

「これが……デラーズ・フリートの総力……!まだこれ程の戦力を残していたなんて……!」

 

 セレナの言葉に同感する、地上での兵力もそうだったがここまでの戦力を温存していると言う事実は僕達を驚かせる。

 2号機の強奪、観艦式の襲撃も敵は残党と言うには程遠い堅実な軍を派兵していた。ここに来て敵の練度は更に上がっている。

 

「だけど……やらせる訳にはいかない!」

 

 堅実に敵を撃破していく、今は敵を進ませないことを優先にしなければ……。

 

「……数年前を思い出すな。」

 

 あの時、ソーラ・レイを止める為に戦った僕達……。その時と同じ様に、敵も本懐を成し遂げる為にミラーの破壊に決死の覚悟で挑んでいる。

 ──だけど……ッ!

 

「目を覚ませ!こんなコロニー()を落としてまで平和を築けるなんて、本当に思ってるのか!」

 

 僕達があの時持った感情とは全く違う、自分達の生きる家であるコロニーを再び破壊の道具にする事はアンダーセン艦長が叫んだ悲憤と同じだ。二度と繰り返させはしない!

 

「連邦軍機!援護する!私はネオ・ジオン共和国代表キャスバル・レム・ダイクンだ!」

 

「……!?キャスバル代表!?」

 

「その声……リング・ア・ベル隊のグリムか!」

 

 かつて何度も死線を共にした人の声だ。広域通信は届いていたが、まさか戦場にまで来ているなんて……!

 

「何故貴方が此処に!?」

 

「コロニー落としは阻止しなければならないだろう、ならばミラー破壊に向かう敵は止めねばならん。」

 

「貴方がこんな所に来る必要は無いって話ですよ!昔もアンダーセン隊長がよく言ってたでしょう!?」

 

 そう、何かと言えば「そもそも総帥が前線立ってパイロットとか何考えてるんだ。」と愚痴っていた。数年前はその実力から頼もしいのだから頼れば良いだろうと内心思っていたが、今はパイロットとしての実力よりも、未来を築く為の政治家の能力を期待しているだけに思わず焦ってしまう。

 

「机の上だけが私の戦場では無いという事だグリム。道を示さなければ人は後を着いては来ない、それは君達のリーダーもそうだろう?」

 

「……確かにそうですね。みんな頭が固いんですから!」

 

 愚痴りながらも敵機を撃破していく、その光景には後輩2人も驚きを隠さないでいた。

 

「ねえセレナ……もしかして私達の隊長って相当凄い人なのかしら……?」

 

「そうね……会話の片手間で敵を撃破していくのも相当だけど、ネオジオンの代表相手でもあんな事を言ってるのは、もしかしたら私達のいる部隊って……とんでもない人達の集まりかもしれないわねベアトリス……。」

 

 そうは言いながらも自分達も精鋭揃いの敵に対して一歩も引いていない、その光景にはキャスバルも思わず感嘆する。

 

「良い部隊に育ったようだなリング・ア・ベル隊は。……もうすぐアンダーセンが来る、恥ずかしい姿を見せないようにするのだな。」

 

「アンダーセン隊長……やっぱり生きているんですね。それを貴方はずっと……!」

 

「それについては後で語るとしよう、そろそろ愚痴を言っている暇も無くなりそうなのでな。」

 

 赤いガンダムを視認した敵は、倒すべき敵と認識したのか此方へと押し寄せてくる。

 

「此処を……これ以上通すわけにはいかない!」

 

 敵を止める、もう二度と悲劇を繰り返さない為に……!

 

 

 

ーーー

 

 

 

「当たれぇぇぇ!」

 

 試作3号機から放たれたマイクロミサイルが多数の敵機を撃破する。

 

「レイ!ある程度の武装のコントロールは俺にも回すんだ!レイだけに任せっ放しにしておけない!」

 

「分かった!メガビーム砲のコントロールを回す!」

 

 強化人間の処理能力を持ってすら、この試作3号機の運用は困難を極める。

 その多種多様な武装のコントロールを2人で共有し試作3号機はまさに縦横無尽の動きを見せていた。

 

「何処だガトー……!お前は今何処にいるんだ……!」

 

 この局面、ガトーならコロニー落としを遂げる為に全身全霊を以て戦いに挑んでいる筈だ。なら嫌でも目に入る所に来るだろう、そう思っているとレイが声を上げる。

 

「ウラキ!回避行動を!」

 

「なんだ……!?クッ……!」

 

 突如放たれたビームを確認し回避する。ギリギリ間に合わず被弾するがIフィールド発生装置によって何とか無傷で済んだ。

 

『Iフィールドか!厄介な物を!』

 

「なんだ……!?あの機体……モビルアーマー……!?」

 

 試作3号機に劣らない程の巨体を持つ機体、そしてこの肌がひりつく様な感覚……まさか……!

 

「ガトーか!」

 

『我々の邪魔をするなぁぁぁ!』

 

 大型のビームサーベルが互いにぶつかり合う。

 

「ガトー!これ以上はやらせはしない!」

 

『貴様……!確かウラキ少尉とか言ったな、何度も私の邪魔をするなぁ!』

 

「黙れ!これ以上お前の好き勝手にはさせない!」

 

 距離を置きメガビーム砲で狙い撃つがあのモビルアーマーもIフィールドを搭載しているのかビームが弾かれる。

 

『腐った連邦に属さなければ、貴様も苦しまずに済んだろうに!』

 

「それはお前もだガトー!何故ジオン共和国やネオ・ジオン共和国に帰属しない!今のお前はただのテロリストだ!軍人じゃない!」

 

『知った風な口を聞くなぁ!』

 

「ウラキ!実弾で奴を仕留める!」

 

 マイクロミサイルポッドが射出されガトーに迫るが巨体を物ともしない機動力で回避していく、やはりパイロットとしての能力は何枚も上手だ。

 

「ガトー……!」

 

「ウラキ!奴を倒したいのは分かるが最優先はコロニーの破壊だ!奴を引きつけながら敵を迎撃するぞ!」

 

「分かった!」

 

 ガトーがミラー破壊に向かわない様に引きつけながらも、その移動の最中で敵を叩く。

 敵を密集させミサイルポッドを放ち、それは四方八方に拡散し敵を追尾する。

 

『しまった……!MS隊は回避行動を取れ!』

 

『ガ、ガトー少佐!ウワァァァァァ!』

 

『少佐……!星の屑を……!』

 

 MS部隊の数を減らすと、ガトーのモビルアーマーは完全に此方に狙いを定める。

 好都合だ、ソーラ・システムさえ狙われなければ3号機の力が無くてもコロニーは破壊できる筈。それならば厄介なこの機体をこちらが引き受けさえすれば……!

 

「決着をつけてやるガトー!」

 

『良いだろう!貴様を倒すべき敵として認識してやろう、ウラキ!』

 

 

 

 大型の機体が2機、宇宙を大きく駆ける。

 

 

 

ーーー

 

 

「無茶ですわアーニャ様!直接コロニーに乗り込むなんて!」

 

「彼女の言う通りだアンナさん!何も君が行かなくても良いじゃ無いか!それにソーラ・システムが放たれるのだろう!?危険だ!」

 

 サーシャとアルベルトさんがモニター越しに私を引き止める、アマテラスのカタパルトデッキで既に発進準備を終えた私は引き止める2人に告げる。

 

「ソーラ・システムと言えど確実な破壊方法ではない以上コロニーに直接乗り込み進路を変更すると言うのは有効な手段には変わりません。ミラーの破壊に向かっている敵が多数いる以上、ソーラ・システムの破壊力の低下はある程度は見越さないといけませんから。」

 

「それでも!アーニャ様が行く必要などありませんでしょう!?」

 

「いいえ、それは違いますサーシャ。私は皆を導きたい、だからこそ道を私が切り開かなくてはならないのです。未来のために。」

 

 戦いはこの一戦で終わることはないだろう。

 今回の騒乱でスペースノイドへの不満感情をアースノイドは持ち、アースノイドもまたスペースノイドへ恨まれていくだろう。

 

 負の連鎖をこれ以上増やさない為に、私が連邦軍……そして連邦政府での立ち位置を確立していかなければならない。その為には敢えて死地に乗り込み、良い意味でも悪い意味でも目立たなくてはならない。

 どの様な評価をされようと、私はこの世界をより良い世界に変えたいのだ。

 

(そう……彼と共に……。)

 

 胸の中に暖かさが蘇る、彼が……私の愛する人が近づいている。そんな予感がずっとある。

 

(お願い……彼を……()()()()を止めて……)

 

 かつて私が殺めた少女の幻影が再び現れる、彼女の言う()も止めなくてはならない。

 

「止めてみせます……今度こそ……。」

 

 機体の状態が全てオールグリーンなのを確認して発進する。

 

「アンナ・フォン・エルデヴァッサー、ガンダムルベド出撃します!」

 

 紅のガンダムが宇宙を駆ける。

 

「エルデヴァッサー大佐、援護に入ります。貴方は決して立ち止まらずコロニーへ。道中の露払いは私達とマリオンさんで行います。」

 

「ありがとうございますフィーリウスさん。……必ずコロニー落としは阻止してみせます。」

 

「アンナさん、大丈夫……きっと大丈夫です。そう思える何かが近づいて来てると、そう感じますから。」

 

 マリオンさんの気遣いに頷く。そう……もうすぐ……彼がきっと……。

 

 そう考えながら敵陣を突き進んでいると、とてつもなく強いプレッシャーが襲いかかる。

 

「この感覚……ッ!」

 

 その殺気を感じ取り回避運動を取った直後、高出力のビームが機体の横を掠めた。

 

『やはり……ニュータイプへの覚醒は終わっているという事かアンナ・フォン・エルデヴァッサー……!ここから先は通す訳には行かない!』

 

「ガンダムニグレド……!」

 

「エルデヴァッサー大佐!ガンダムは我々が!」

 

「しかし……!」

 

「今はコロニーの落下阻止が任務の筈です!どうか此処は我々にお任せを!」

 

『通す訳がねぇだろうが!』

 

 ニグレドから放たれた有線式の(ファング)がフィーリウスさんのガルバルディへと狙いを定める、しかしそれをマリオンさんの青いヴァイスリッターが止めに入る。

 

「お願い!これ以上マルグリットさんを悲しませないで!」

 

『その名を軽々と口にするなぁぁぁ!』

 

 ニグレドの攻撃は熾烈さを増す、このままでは如何にあの2人と言えど……!

 

「ここは我々に任せなさいエルデヴァッサー大佐!フィーリウス様も言っていたでしょう!」

 

「しかしバネッサさん……!」

 

「貴方には貴方のやるべき事がある筈だ大佐殿!我々もまたやるべき事を果たすまで!フィーリウス様とマリオン様の意志を無駄になさるな!」

 

「くっ……!」

 

 心の中でみんなに詫びると再び最大戦速でコロニーへと進路を取る、今はみんなを信じるしか無い。

 

 

 

 

『雑魚どもが……!邪魔をするなと言っただろう!』

 

 ガンダムニグレドは腕を振り何かを合図する、するとゲルググの戦隊が集まり攻撃を開始する。

 

「伏兵……!」

 

「付近の残骸に紛れ込んでいた様ですなフィーリウス様!」

 

「各機!フォーメーションを崩すな、敵のガンダムの狙いは我々の連携を崩す事だ。」

 

 戦力的には旧式の機体を使っている自分達と敵の差は殆どない、しかし練度と言う視点で見れば此方の方がはるかに上手だ。フィーリウスにはその自信があった。

 

『しかしなぁ、()()から見ればお前にも弱点があるってのは知ってんだよ!スタミナって言うなぁ!』

 

 フィーリウス機にだけ狙いを定めたニグレド、そしてそのカバーに入ろうとするマリオン達をゲルググの部隊が邪魔をする。

 

『ヒャハハハ!MS戦って言うのは集中すればするほど消耗して行くよなぁ!そろそろバテて来たんじゃあないか!?』

 

「戯言を……!」

 

 フィーリウスのガルバルディはニグレドに接近しビームソードで切り掛かる、並のパイロットであれば反応する事すら不可能な一閃だ、しかし……。

 

『流石だなぁ、俺も一瞬ヒヤッとした。』

 

「なに……!」

 

 ギリギリの所で回避される、その反応速度の高さにフィーリウスの脳裏には模擬戦で何度も同じ様に回避したマリオンが過ぎった。

 

「ニュータイプ……!」

 

『そろそろ終わりにさせてもらう!』

 

 多数のゲルググがフィーリウスだけに狙いをつける。

 ガイウス達を始め、救援に向かおうとする仲間達の健闘も虚しく1機のゲルググがガルバルディに向けてビームライフルを構えた。

 

 

ーーー

 

 

「ですから!アマテラスを急ぎMS隊の支援に向かわせるのです!」

 

「無茶だアレクサンドラさん!ガンダムニグレドの火力を知っているだろう!?すぐに砲火に晒されるだけだ!」

 

「しかしMS隊はこのままではジリ貧ですわ!せめて援護射撃の一発でも放たなければ!」

 

 アマテラスのブリッジで喧騒している2人にブリッジクルーも困惑していた。

 そもそも現在のアマテラスにはオペレーターや操舵手などのクルーしか連邦軍人は配置されておらず、指揮系統をほぼほぼアーニャに委ねていたので現在は遠くから艦砲射撃を行うくらいしか出来ていなかった。

 

『現在の状況でMS隊の援護に向かった場合、ほぼ100%の確率で待ち構えている敵に撃破されます。』

 

 戦場の環境データを読み取り、戦況を計算したアマテラスの人工知能メルクリウスはそう発言する。

 対MS戦闘を想定した艦ではあるが、多勢に無勢であるしMSの援護の無い状態では良い的になるだけである。

 

「どうすれば……!」

 

 焦る2人に更に緊急の報告が入る。

 

「宙域に急速して接近する飛翔体が確認されました!は……速い……!」

 

 オペレーターの報告に敵か味方かも分からず全員が慌てふためいた。

 

「飛翔体とはなんだ!?彗星か!?」

 

「確認不可能です!余りにも速すぎます!」

 

「メルクリウス!貴方は分かりませんの!?」

 

 叫ぶサーシャを意に介さず、メルクリウスは自身の莫大なデータからそれを予測する。

 

『目標物は隕石の類ではありません、推進剤の光を確認、更に当該目標から断続的に可視光を確認。原始的な通信方法ではありますが可視光通信と断定しました。』

 

「可視光通信……!?読み上げなさい!」

 

『了解です。』

 

 少しの間、可視光を読み取るメルクリウス。そして……。

 

『通信内容を受理。そして接近物の当該情報の確認が取れました。読み上げます。』

 

 

 

『ジェシー・アンダーセン、戦線に復帰す。繰り返します。ジェシー・アンダーセン、戦線に復帰す。機体コード《ガンダム アルベド》を確認しました。』

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