みんな『俺の理想の魔道具』を書きたいよね?
私も書きたい。
だから書いた。そんな作品です。
・・・チチチ・・・
小鳥の鳴き声がする。木の葉がざわざわ揺れる音がする。
とても自然な音しかしない。
そんな森の中に寝っ転がる一人の男がいた。
のんびり寝転がりながら、
「凪げ」
その言葉と同時に小鳥の首が飛んだ。
「よし。晩ごはんに一品増えるな」
ムダにハイテンションになる事もなく。
でもどこか嬉しそうであった。
そこに嵐が現れる。
「ジャック!!今日の勝負の結果発表をしようぜ!!」
嵐はシン。
「了解。負けねぇぞ?」
「俺の今日の戦果は災害級12体だ!」
・・・え。ちくしょう。
「・・・負けた。俺は9体だ」
いったい何が原因なんだ?
制限時間の半分サボっていた事か?
木剣で何本木を切り倒せるかの実験で、一本目で木剣を折ってしまい、八つ当たりで何本もの木を殴り折ったことか?
災害級にやられるごっこをしていて、1時間遊んでいた事か?
それともあまりにもヒマ過ぎて、うつらうつらしていた事かな?
だめだ。さっきあげたのは全部必要不可欠なモノだ。
他に、不要な要素は・・・。
・・・特にないな。
純粋に僕の負けだ。
あぁ。自己紹介を忘れていたな。
僕の名前はジャック。ジャック・ウォルフォード。
ごくごく普通の
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僕の、イヤ。僕達の爺ちゃんは魔法使いだ。
・・・イヤ。別に魔法使いだからといって、三十年以上童貞とかではない。
文字通り『魔法が使える』と言う意味で。しかもめちゃくちゃ造詣が深い。僕達は爺ちゃんに昔、こう教わった。
「魔力がたくさん制御できないと、強い魔法は使えない。ある程度イメージで補う事もできる。だけど、根本的に強い魔法を使いたいなら、とにかくたくさんの魔力を制御できる様になりなさい」
と。
それを聞いた時、僕はこう思った。
・・・常に魔力制御してればいいんじゃね?
そして魔力制御を教わって、こう思った。
・・・ある程度なれなきゃムリだわコレ。
そこから特訓の日々よ。
もう毎日、朝から魔力制御をして、夜まで保つ。
もちろん最初はムリだった。
あなたは息を止めながらご飯が食える?
剣を振るいながら銃が撃てる?
右を見ながら同時に左にも意識が傾けられる?
・・・普通にムリだった。
魔力制御が何度も途切れる。何度も暴走しかかる。
それでも諦めずに修練を続けた結果、無事に常に24時間魔力制御ができる様になったのだ!!!
・・・三年かかった。
特に睡眠中の魔力制御が大変だった。
暴走こそしなかったものの、意識が途切れたら魔力制御が途切れる事が多かったからだ。
初めてできた時は小躍りしたね。
ばあちゃんに不思議がられたけど、なんとか誤魔化して。
・・・きっとシンを隠れ蓑にしなきゃ、バレてたと思う。シンにはマジで感謝だ。
イケメンだけど。イケメンは嫌いだけど。
その事には感謝してやってもいい。
あと、シンや爺ちゃんは詠唱の良さがわかっていない。
僕は本来は詠唱はいらない。だが、カッコいい詠唱は好きだ。
……仮面ライダーの変身ポーズのようなもの。
別に要らないけど、あったらカッコいいだろう。
カッコよさの為に、僕は詠唱をしている。
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僕の、イヤ。僕達のばあちゃんは付与術者だ。
ある方法で付与をするんだけど、僕には向かない。
わかりやすく言うと、イメージをしながら文字を書きこむのだ。しかもキチンと魔力を繊細に操作して。
書き込める文字数というのは、品物が上質であればあるほど増えていく。
・・・この繊細な魔力操作と言うのが、僕にとってはクセモノだった。
考えてみてほしい。
常に魔力制御をしているから、必然的に魔力が常に増えていくのが僕。しかもいつも常にぎりぎりいっぱいの魔力量を保っている。
そんな僕に余剰でキチンと魔力を操作しろと言うのか、と。
ヨユーでムリ。
シンは楽しそうだったけど。でも慣れたら案外できる様になった。
できたら楽しい。
色々作ってみた。この世界の文字はアルファベットの様に、複数の文字で1つの意味を示す。
そこでシンが
「漢字で付与してもいいんじゃね?」
って気付いて、漢字で付与したら成功した。
僕もそれにならって漢字で付与してみた。
『透過』って付与してみたり、『変形』って付与してみたり。
でも『透過』は布一枚の透過しかできなかったし、『変形』は同体積のまま形を変える事しかできなかった。
・・・当たり前か。
でも『透過』は成功だな。
布一枚しか透過できなくても、『魔道具の』布一枚は非常に意味がある。だから積極的に使っていこう。
でも失敗作も量産した。
例えば、常に魔道具の能力を使えたらいいなって考えて、『魔力吸収』って付与した魔道具を作ってみた。
でも失敗だった。考えてみたら、魔力制御している人の魔力を吸って魔道具って使えてる。
そこに『魔力吸収』って付与しても、
魔道具自動化がたち消えになった所で、常に魔力制御できたらいいなという意見が現実味を帯びた。
常に魔力制御していたら、常に魔道具が使えるからだ。
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僕の、イヤ僕達のおじちゃんは剣の師匠だ。
この人だけはミッシェルおじちゃんって呼ぶ。
で。ミッシェルおじちゃんなんだけど。
鬼だ。剣の鬼だ。
修行がたまに意図せずして厳しくなる。
ミッシェルおじちゃんが言うには、
「シンはこれくらい当たり前にこなすぞ?」
とか、
「シンの修行を今日厳しくしたから、お前の修行もシンと同等の修行とする」
とかよくほざく。
僕はシンじゃね〜よ!あんな天才と一緒にしないでくれ!
ちなみにシンとの勝敗は五分五分だ。
五分五分と言っても、こっちは不意打ち上等でやってるモンだから、正面から戦えばアイツの方が強い。
よそ見斬りや、投石。近くに寄ったら足を踏んだり関節技をかけたり。サブ武器を握るなんてよくやった。
それでも五分五分。マジでシンは強い。
・・・ガチの殺し技は使わない様にしているけど。
・・・使っても勝てないのがおじちゃんなんだけど。
おじちゃんには『鳶穿』や『冠剥し』『痛点指し』等、ホント使いまくってる。
鳶穿は、相手の内部に指を突っ込み、内臓を抉り取る技。
冠剥しは相手の目に指を突っ込み、頭蓋骨ごと脳みそを引っ掻く技。
痛点指しは相手の表面、しかも痛点が重なる所に正確に指を刺し、相手を激痛に悶えさせる技だ。
おじちゃんは初見で見破る。
きっと狂っているに違いあるまい。
痛点指しは2箇所喰らって平気な顔して斬りかかって来た。
・・・2箇所も喰らったら、マトモな人なら発狂するぐらい痛いのに。
ホント色んな所から攻撃を仕掛けてるのに。
こないだなんて真上から剣を落としたのに、アッサリ斬り落としやがった。アイテムボックスにいれてたから、簡単に投剣できるんだよな。
きっと人間やめてるんだな。そんな人に教わっているから、シンも人間やめてるんだな。
・・・でも僕は人間だから、お願いだから人間らしい修行させてください。
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「シンとジャックの剣の修行はどうじゃ?」
マーリンはミッシェルに聞く。順調だという事は知っているが、ミッシェルの口から直接進捗具合を聞きたい。
「シンもジャックも順調です。シンはジャックよりも圧倒的に才能がある。ただし、素直過ぎるのが特徴ですね。その代わり、ジャックにはシンにはない飽くなき闘争心があります。・・・
こないだ、直接
慌てて切り落としたけど。ホントにビックリした。
その後、かなり叱った。あんなエゲツない殺し技は誰も知らないと思う。
あの技は封じ技として、よっぽどの事がない限り使わない様に言った。
その他にも向けられる容赦ない殺し技の数々。
シンには剣の中での素手や、サブ武器を使うくらいしかやってないみたいだけど。
シンは強いけど、また戦いたくなる強さ。
ジャックは強くはないけど、二度と戦いたくない強さだ。
不意打ち毒ガスなんでも上等。搦め手を使い、まるで蜘蛛の様に弱るのを待ってから毒を打ち込むタイプの戦いをする。
そしてそれなりには強いため、シンとの勝敗は五分五分らしい。
「二人共修行を厳しくしても良さそうですね」
「ほっほ。お手柔らかにのう」
その日の晩。
修行が厳しくなったのをシンのせいにする、バカの姿があったらしい。
ちょっとずつ魔道具を出していこうと思います。
『極々普通の主人公』なので、話の展開がつまらないかもしれません。