軽く実力を見ようって事になったらしい。
シンは暴れてたけど、僕は控えめにした。
やっぱシンって隠れ蓑にはちょうどいいや。
シンが恨みがましい目で睨んで来たけど、そんな事は知ったこっちゃないし。
一応、『五龍天滅』までは使える。
けど、それをわざわざ使う意味もないし、疲れるから赤火砲までにしたのだ。それも詠唱破棄の。
それなのに、皆からは『自重しろ』って言われちゃうし。
半径10メートル超のクレーター。それを僕は作っただけなのに。それもだいぶ加減して。
え?でも僕は?まだ?可愛い方だと思うよ?
シンなんて直径50メートル超のクレーター作ってたし。
作ろうと思えば作れるけど、作る意味ないよねぇ・・・。
結局二人共自重するっていう結論に至ったらしい。
・・・あ。ばあちゃんが爺ちゃんを締め上げてる。
頭が上がらない男性陣だなぁ。
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「シン君はもの凄かったですけど、ジャック君も大概でしたね」
ディゼウムはそうため息をこぼした。
シンやジャックにはディスおじさんと呼ばれている。今日知られたが、『現国王』である。
「そうじゃな。ジャックはシンほど、ド派手ではない。ド派手ではないが、時折、シンよりもエゲツない。魔法に関しては完全にこのワシを超えたしの」
ジャックのエゲツなさは『勝つ』という事に特化している。
『勝つ』ためには手段を選ばないのがジャックなのだ。
特に剣術ではそれが顕著に現れる。
ジャック的には、『緋弾のアリア』の技を試しただけである。
あの作品は、一般人の主人公がドンドン人間を辞めていく話である。
とても面白いので、是非読んでほしい(露骨なステマ)。
「『魔道具』に関しても私を超えたさね。二人共。でも特に、ジャックの使う魔道具は意味がわからない事が多いねぇ」
メリダもまた嘆息する。
それでいて二人共まだまだ15歳。発展途上というのが恐ろしい。
「シンも、ジャックも強すぎる。それなのに若すぎる」
謀略渦巻く王城に、連れていきたくはない。
「……なので、私の国の魔法学院で預かりましょう」
「お主の国に取り込むという事か?」
久しぶりに聞いた、『賢者マーリン』としての声。
……そう聞こえてしまったのか。
「いえいえ。甥っ子の様に思っている二人をそんな風に扱ったりしませんよ。私にも情くらいあります。せめてそこで、同世代の『常識』というものを知ってほしいんですよ」
「……まぁそれがベストじゃろ」
「……よくわからないんだけどさ。シンはともかく。一般的な僕まで必要?」
そんな事をほざくクソガキは、メリダ様に締め上げられてた。
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お引越し、らしい。THE一般人の僕すらも常識を知らない、なんて非常識な人達だ。そのまま馬車に揺られた。フツーに寝た。
「シン、ジャック。ここが王都じゃ」
そう言って起こされると。そこには。
かなり立派な門がそびえ立っていた。
「…凄く、大きいです…」
若干ネタに走ったのはさておき。爺ちゃんが聞く。
「王都で行きたい所はあるかの?」
シンは、
「特にないかな」
と答え。僕は、
「図書館に行きたい」
と答えた。
本は人類が積み上げて来た歴史の集積である。そこに行かないのはバカの所業だ。
屋敷についたら(マジモンの屋敷をここに見た)、僕は自分の部屋をさっさと決めた。
そこで王都の散策に移る。とりあえず、図書館にレッツラゴー。
ちなみに、シンとは別々だ。
……というのも、僕は明日魔法学院の受験をする。その事にあたり恥ずかしくない点数を取らねばならぬ。恥ずかしくないかつ、できるだけ目立たない点数を取らねばならぬ。……目立つのはシンで十分なんだよな。
過去問があったら、過去問にざっくり目を通したい。
ていう話を図書館の受付でしたら、若干可哀相な顔で見られた。
……まぁそうだろうね。明日の試験なのに、過去問今日見たトコで意味ないよね。
……いいんだよ。知りたいのは問題の傾向だから。
で、成績順に上から10人がS。それ以降、30人ごとにA、B,Cと分けられて行くらしい。
……目指すはAクラス主席だぁ!
で、軽く問題を見た所。
……割と難しくはなさそうという結論に至った。
点数も、目指す目標は、
・・・ちょっと多めに間違えて、実技で頑張ろ。
そんな事を考えながら、試験当日を待った。
帰って来たら、シンの顔が真っ赤になってた。
どうやら、シシリーというめっちゃ可愛い女のコに会ったらしい。
チッ。イケメンはぼやぼやしててもイケメンめ。僕よりもイケメンは、皆死ねばいいんだよ。
……そうなったら、チンパンジーやゴリラが謎の変死を遂げるな。
イケメンなんて皆死ねばいい。
霊長類が変死を遂げようが私には関係ないからな!