A.筆者は作風が変わりやすいです。(察して)
「行ってきま~す!!」
私はそう言うと、勢いよく玄関の扉を開けた。
そして、"ドンッ!"と何かにぶつかる音と"むぎゃ〜!!"という叫び声が聞こえたのはほぼ同時のことだった。
「あちゃ〜……やっちゃった。」
ドアの向こうを恐る恐る見てみると案の定と言うべきか、杏樹が顔を抑えて蹲っていた。
咄嗟に私は"大丈夫?"と聞こうとしたが、その発言権は相手が話し始めたことにより強奪された。
「アンタねぇ!!急にドア開けるってのはどう言うこと!?頭ついてる?そもそも、人がドアの前にいるって事考えられないの!?というか人の話聞いてる?」
"(聞いて)ないです。まぁ多少はね。"的な事を言ったらば絶対に張り手されるに決まってますし、私は幼女のビンタがご褒美っていう人種でもないので、無難に返事を返す事にする。
「あーきいてる。きいてる。めっちゃきいてる。」
「それどう考えても聞いてないわよね?私をバカにしているの!?」
どう言う事であろうか?私が思うにとても素晴らしいショタロールプレイの完璧な返答の筈なのに。どこがいけなかったのだろうか?
「こら、進二、杏樹ちゃんに失礼でしょ。謝りなさい。ごめんね、杏樹ちゃん。うちの進二が。痛くなかった?」
そう言って、この口論を止めたのは私の母である。それを受けて、杏樹も引き下がったのか"私もいけませんでした"とほざく。だが、私は知っている。私と接する時はいつも高慢チキで全然しおらしくないという事を。
「じゃあ、行ってらっしゃい。楽しんで来てね。それと杏樹ちゃん、進二を宜しくね!」
そう言って、私の母は私達を送り出した。私達は図書館に遊びに行くという事になっているのだ。やはり日本という事もあり、治安はバッチリ。こんな事をしても許される。法治国家万々歳だ。
「「行ってきます!!」」
そう言って私達は家を後にした。
私達の息子は素晴らしい。他の子供達も優秀だが、あの子は特別だ。子供達には夫と共に英才教育を施して来たが、彼だけは他の子とはまるで違った。あの子は私達が何を教えるまでもなく、数学の問題をとき文字を書いた。彼は特別なのだ。土御門を取り込む為にやった事だったが、予想外の収穫だ。彼を我々の仲間にすれば我々はもっと飛躍する事が出来るようになるだろう。どうにかして、彼を我々の仲間にしなければならない。その為には…
ピンポーン!……ピンポーン!……ピンポーン!
あぁ、もう煩い。今出れば良いんだろう。夫も子供達も家にいるのだから、誰か出れば良いのに。考え事の邪魔になる。
「はいはい。今出ますよ〜。」
私はドアを開ける。そこには、ダンボール箱を抱えた郵便配達員がそこに居た。
「土御門さんのお宅はここであっていますでしょうか?」
宅配員はそう聞いてきた。全く、誰宛に来たのかくらい言えば良いものを。そう思いつつ、私は肯定の返事をする。
「わかりました。では、サインをここに。」
相手はサインを求めてきたので、事務的にサインを速記して行く。長男がまた何かを通販で買った様だった。後で説教をしなければ。
カチッ!
その音が私の聞いた最期の音であった。
その報せは私達が図書館で本を読んでいる時に訪れた。
私達が本を読んでいると、ガヤガヤと周りが騒がしくなった。チラとその中心となっている方向に目を向けると、手帳らしき者を持った人間数名に図書館の職員何かを尋ねられており、その職員がが私達の方を指さしていた。私は面倒事に関わるのはゴメンだからここに来るなと願っていたのに、どうやら彼らは私達が目的らしく私達の目の前で止まった。
「土御門進二君と杏樹アンゲルスちゃんだね。お話ししても良いかな?」
どうも、彼らは警察の様だった。私の知っている物よりは随分と手帳らしい警察手帳を取り出して彼らは私達に尋ねてきた。杏樹の方に目配せすると彼女は心底どうでも良さそうな顔をしていたので私は"なんでしょう?"と返事した。
彼らはとても悲しげな顔をした後に、高層住宅で爆発が起こり私達の家族や他の人が死んだ事、私達の家が消えた事などを話してくれた。
それ以上は何を言っていたのかは覚えていない。私は絶望と悲しみで心がいっぱいになっていた。私に取っては他人の様なものだったけれど、5年も過ごせば愛着も湧くし精神が体に引っ張られる感じもした。しかし、私は深い絶望をおった。
「大丈夫。まだ、私がいるよ。」
そう杏樹が慰めてくれた事はとても嬉しかった。恥ずかしながら、私は彼女に寄り掛かりながら号泣してしまった。
私は1つ耳にした。これは組織的なものであると。組織的な集団が用意しなければこの犯行は出来なかったと。
私は心に誓った。奴らを見つけ出し、私の平穏を安寧を壊した奴らに復讐をしてやると。
奴らを壊滅させてやると。
鉄槌を下してやると。
生き延びてやると。
地獄を作ると。
私達二人だけは何があっても生き残ってやると。