〈Infinite Dendrogram〉短編二次。 作:傘山
□2053年8月16日
2053年8月16日。
それは、とあるゲームの発売から8年の月日が経った日に、その『計画』は指導することになった。
その計画とはとある少女の救出だ。それも火星に一人取り残されて、20年近い年月を孤独のままに生きてきた少女の。
何年もの間技術的に不可能だからと先送りにされてきたその計画は、とある青年の尽力と熱意に動かされた人達によって始動した。
計画が本格的に建てられてから、ちょうど2年。彼らはついに広い宇宙へと向かおうとしている。
『準備は万端だよ、総司』
技術力の向上により火星までの移動時間は短縮され、安全性も数年前とは比べ物にならないほどに高い。
だが、現地についてから救出するための作業は途轍もない精密性と集中力を要する。
彼らが緊迫した顔をしているのも無理はない。
「信じてるよ。トミー」
世間は彼らに失笑を送った。世間は“彼”に微塵の期待もしなかった。
だがそれら全てを乗り越えて、今がある。
『そう言えば総司。計画も最後なんだ。いつも適当にはぐらかしていたアレを教えてくれても良いんじゃないか?』
“トミー”と呼ばれた白人の青年が総司と呼ぶ“彼”に緊張を隠すように笑いながら話を振る。
「アレ………。あぁ、僕が火星に行きたい理由かい?」
『そうそう! ずっと気になっていたんだよ!』
特に教えない理由もないか……と“彼”は思い、口を開く。
そして答える直前、何か思い至ったかのように口を閉じ笑った。
「そうだな………くくっ……」
『どうかしたのか?』
「いや、なんでもないよ」
『で、理由は教えてくれないのかい?』
「旧知。実は火星にやり残したクエストがあります」
“彼”は、今から救出しに行く少女の少しおかしな口調を真似て、楽しそうに言う。
『答えになっていないよ……』
「はは、答える気がなかったからね」
『なんだよそれ』
「くくく………。さて」
『はぁ……………。そろそろかな?』
暫く二人で笑った後、一瞬で彼らは切り替えてしまう。コレが直接会っての最後の会話にならないことを祈りながら、最後に別れの挨拶を交わすのだ。
……………別れの挨拶をした所で、数分後にはパイロットと管制官として話すことになるのだが。
『またな、総司』
「あぁ。…………それと」
『君がどうしてそう呼ばせようとするのかも教えて貰えてないけど…………仕方ないな……』
「そう呼んでほしいんだよ」
『分かったよ、ローガン。帰ってきたら飲みにでも行こうぜ』
その言葉に“彼”は、いや、“ローガン・ゴッドハルト”は、微笑んだ。
「僕はまだ未成年だよ、トミー」
彼の未だに幼さの残る顔が、真剣さを形作る。
「…………オーナーも、色々とありがとうございます」
「問題ありませんよ、ローガンさん。私もゼタさんを助けたいと言う気持ちはありますから」
「あのIFのオーナーの発言じゃありませんね」
「それはローガンさんもでしょう」
ニコニコと微笑み続けるゼクス・ヴュルフェルの真意を見抜くのを諦めた彼は、その雑念を頭を振ることで消す。
『…………ローガン、発射まで残り1分だ。ハッチを閉めてくれ』
「了解」
トミーからの通信に答えながらもかつてのオーナーに頭を下げ、宇宙船のハッチを手際よく閉める。
そして17歳の青年にとっては誰が見ても無茶である『計画』を、
「ゼタ、君を助けるなんて僕にとっては何の造作もないことだよ」
かつての彼のように己を信じた笑みを浮かべて、終わらせると『宣言』した。
デンドロのキャラで閣下が一番好きですね………特に最近ヤバいので活躍してほしい。