「しっかしあちーなーもうどんだけ歩いたかわかんねーよ」
「仕方ないだろ!兄さんが通行所燃やしちゃうから」
「俺じゃねーよ!あの袁紹とか言うクルクル頭のねーちゃんのせいなんだよ!!」
見渡す限りの砂の真ん中で赤いコートと鉄の鎧の二人が文句を言いながら歩いていた。
関所から通常のルートを通って入れば1日弱で着く場所を彼らは通行所を燃やした為、不法入国を余儀なくされた。
関所が合った場所から北上し涼州と益州の国境付近を歩いていた。
「それにしてもよーこうも暑いと腕も足も焼けちまうぜ!どっかに川か湖でもないものか・・・」
「僕はこの体だから全然平気なんだけど兄さんの場合は付け根が熱を持っちゃうからね・・・」
そんなやり取りをしていると後方から砂塵を起こし馬に乗ってくる三人の少女の姿があった
「アル・・・あんな速さで馬って走れんのか?」
「凄いねあの人達!!こんな足場の悪いところであれだけのスピードを出せるなんて・・・」
そうこうしているうちに馬に乗った三人はエルリック兄弟の目の前まで来ていたそして馬上から話しかける
「私の名前は馬岱!あんた達が最近ここをうろうろしている賊なの!?さっさと答えて!」
「ちょ・・・ちょっと蒲公英(たんぽぽ)様!いきなり過ぎますって!まずは話を聞いてみないと」
「馬休は黙ってて!あの賊達はさっさと処理しておかないと近隣の村が迷惑しちゃうんだよ!」
「まぁまぁ!蒲公英様も少しは落ち着いてくださいよぉ!」
「もう!馬鉄じゃあ!あんたに任せた!」
「えぇ!私ですか!こういうのは鶸(るお)ちゃんが得意だよ!ねぇ鶸ちゃん!」
せわしなく三人の間でのやりとりを唖然として見ている兄弟を馬休、真名は鶸が質問をしてきた
「えっとですね!貴方たちにいくつか質問があります!嘘偽りなく答えてください!」
「・・・お、おう」
エドワードがそう答える
「まず名前は?」
「エドワード・エルリック、あっちが弟でアルフォンスだ」
「この国の者ではないな?出身はどこ?」
「ここから西にあるリゼンブールって村だ」
「なんの目的があってここ涼州にやってきた」
「う・・・さ、探し物があって華陀って医者を探している」
「・・・探し物?それは何?」
「賢者の石と呼ばれている物だ・・・」
質問は終わったのか、鶸は馬を進め馬岱の所へと行き話しかけた
「蒲公英様、この二人は情報から推測するに此度の賊達とは違うと思われます。恰好や特徴とも全然一致しませんので」
「そう、でも翠ねー様に合わせた方が良いと思うな。それにここに居たらあんた達死んじゃうよ?」
「じゃあ、近くの村まで来て詳しいこと話してもらおうかぁ?」
馬鉄は馬をエドワードへと近付けた
「まぁ・・・確かにいくら歩いても砂だらけで死んじまう・・・アルここはおとなしくついていこう」
「そうだね!えっと・・・馬鉄さん?よろしくお願いします」
「うんうん!素直なことは良いことだよ!それにしてもでっかい鎧だね~」
「鶸、蒼!あんた達は二人を村へ!私は翠ねー様を呼んでくるから!逃がさないでよね!」
二人に連れられてきた村は、お世辞にも栄えていると言う雰囲気では無かった。
戸は壊れていて柵もボロボロ、家畜の牛や馬だって痩せ細っている。その村の村長さんの家へと案内された
「さて!蒲公英様が馬超様を連れてくるまではすこし時間がかかります。それまで少し休んでてください」
「逃げようなんて考えないでね?その時は・・・切っちゃうから」
席へと案内した鶸と先ほどまではのほほんとしていた馬鉄の殺気に兄弟は驚いた
「あのねーちゃんもヤバいな。おとなしそうな顔しといて隙がまったくないな」
「逃げてもあの馬の速さじゃ直ぐ捕まっちゃうからね。ここは穏便にすまそうよ」
重い空気の中、話が始まった。
とは言っても本格的な話が始まるのは馬超が来てからになるので話を始めたのはエドワードからだった
「なぁ、ここは大陸の涼州って所なんだよな?実は俺達、江東の建業って場所へ行きたいんだがここからだとどれくらいかかるか教えてくれないか?」
「建業へ?ここからだと私達の馬を使っても相当な日数がかかるわね。歩きで行くとなると無謀ね・・・いくつもの関所と山を越える必要があるわ」
村長が馬休と馬鉄にだけお茶を持ってきた。それで喉を潤しながら鶸は話を続けた
「建業もそうだけど、今現在、少しやっかいな事が起こっていて、ダダでさえめんどくさいのにそんな所まで何しに行くのかしら?」
「めんどくさいことってさっき言っていた賊のことですか?」
アルフォンスが鶸へと質問を返す
「えぇ、その賊を捕まえるために私達は動いているの、さっき会った場所で変な格好をした二人組が居ると聞いて行ってみればあなた達だったってわけ」
「その賊の特徴とかって分かってるんですか?」
アルフォンスの言葉に蒼が殺気を出しながら答えた
「黄巾賊・・・黄色い布を身にまとった奴等」
普段おとなしいはずの馬鉄がここまで怒りをあらわにする様にこの大陸では今、黄巾党と呼ばれる者達が問題になっていた
怒りを殺せないまま、湯飲みの中を覗き込んでいる馬鉄、すると部屋の扉が開かれた
「いやー参っちまったぜ。あっちこっちで黄巾賊増えちまって馬を休ませる時間が全然ねぇーじゃねぇーか!っよ!二人ともお疲れさん!」
軽いノリで扉を開け入ってきた者は馬超であった