「まぁ!本当にデカイ鎧が歩いていますね!月さんの2倍くらいないかしら?」
「もう、楼杏さん!そんな事を言っては相手の方に失礼になりますよ!」
アルフォンスが荷台から立ち上がり二人へと会釈をした。立ち上がった姿を見た楼杏は月に対して冗談を言って見せた
「えっと・・・翠さん、この方々が私達の護衛をしてくださるのかしら?見たところ異国の方のようですけれど?」
「あぁ、楼杏さん、すまないがこの二人に頼む事にした。仙術みたいな奴なんだっけか?れんきんじゅつ?ってのを使うらしい」
するとエドワードがおもむろに楼杏へと近づく
「あんた達も武将なのか?失礼を承知で言わせてもらうが、見た感じ全然強そうには見えないんだが・・・」
「そうですね、腕にはそれなりに自信は有るつもりですけれど、私の場合は人を使った武力が得意ですね。ただの力くらべをすると私よりは月さん、となりの董卓さんの方が私より強いわよ?」
楼杏に振られた月は恥ずかしそうに袖で赤くなった顔を隠した
「マジかよ・・・うちの整備士のウィンリィの方が強そう・・・」
「兄さん・・・それ絶対に本人の前で言わないでね・・・殺されちゃうよ・・・」
「さて、鶸、蒼、蒲公英、お前達は母様の所に戻って、部隊の編成に加わってくれ。あたしもこれが終わったらすぐに向かうから」
「わかりました」
「はーい」
「あー疲れた!早く帰って馬も休ませなきゃ」
それぞれ返事をし去って行く3人。それを見送りながら話ができる場所へと移動した
「でわ、護衛を務めてくれると言うことで改めてご挨拶を!私の名前は皇甫嵩、字は義真と申します。」
「わ、私は董卓、字は仲穎(ちゅうえい)と申します。よろしくお願いします」
「俺はエドワード・エルリック」
「僕はアルフォンス・エルリックと言います。弟です」
お・・・弟・・・逆じゃなくて?と言わんばかりの空気が女性陣の間に流れた
「んんっ!で!こっから洛陽までってどれくらいかかるんだ!?」
少し怒り気味のエドワードが話を進めた。その陰で偉いよ兄さん!とアルフォンスが心の中で呟いた
「何もなければ、歩きで遅くても20日くらい、馬だとその半分くらいかな」
翠が腕を組み首を傾げ、道のりを思い出すかのように答えた
「大陸のデカさ舐めてたね兄さん・・・」
「あぁ・・・ここじゃ鉄道とかも無い見たいだしな」
はぁ~とため息を吐き、どうしたもんかと悩むエドワード
「今回の護衛は無事に洛陽にまで付ければいいわ。もし道中でなにかあった場合私達を見捨てて貰っても構わない」
楼杏が不意にそうエルリック兄弟につげた
「この国の問題を他国の方々、ましてや子供のお二人にまで迷惑をかけるわけにはいきませんから。ね!月さん」
「そうですね!それで構わないです!」
月と楼杏の問いに対して翠が声を上げた
「おいおい!そりゃないぜ?二人には絶対に洛陽へと行ってもらわなきゃ困るんだよ!」
「自己責任って事で自分の身は自分で守れます!それに私達だってそれなりに強いのは翠ちゃんだって分かってるはずよ?」
「わかっては居るんだが、保険て事でこの二人を護衛に着けたんだ、それに報酬として手形を渡す約束もしちまったしな」
「あら?翠ちゃんは手形をエサにこの二人を護衛にと雇ったのですね・・・」
楼杏から不穏は空気が流れるがすぐに収まる。翠が誤ったからだ
その空気は前に翠から出た殺気と同じような体を締め付けて動けなくなるほどの物だった
「・・・この人もやばい奴かよ」
ボソっとエドワードが小さな声で漏らした
「今回は正規の順路は使わず楼杏さんの地元の住民達がしかわからない場所から洛陽へと向かう予定ですので安心できるかと思いますよ」
穏やかな笑顔で武とは無縁そうな月がそう答える
「楼杏が使う道ってことは安心して良いと思うぜ。ほら、先にこれ渡しとくな!今度は無くすなよ?」
馬超から渡された手形は木製で出来ておりいくつかの署名が彫られていた。
「ありがとうございます!馬超さん」
アルフォンスが二人分受け取り腰のカバンへと詰めた
「道のりは楼杏が案内できるだろうし、馬車も用意させてある。今日はもう日が暮れちまうから休んで、明朝から出発すりゃ良い!二人を頼んだ!」
腰を上げお尻をはたきながら翠が立ち上がり、エドワードへと手を伸ばした
「等価交換だな!わかった!任せろ!とは正直言えないが、頑張ってみるよ!な?アル」
「うん!董卓さん皇甫嵩さんよろしくお願いします」
エドワードは翠の手を握り返し、その手を翠は引っ張って立たせた
その後ろでアルフォンスが二人に対し頭を下げて改めて敬意を表す
「じゃあ明日は早いからさっさとご飯食べて寝ちゃいましょう!月さん手伝ってくれるかしら?」
「はい、喜んで」
こうして翌日出発することになったエルリック兄弟。ご飯を食べて部屋へと案内されアルフォンスとこれからの事を相談した
ゴザを引き雑魚寝をしながらつぶやく
「ねぇ兄さん。あの馬超さんって人凄いね・・・かなり強いよ。うちの先生かそれ以上じゃないかな」
「馬超だけじゃなくあの皇甫嵩って人も見た目に反してかなりデキるな。武将って呼ばれる人達はみんなあーなのかね?」
「でも董卓さんはいかにも令嬢って感じの女性だったけど皇甫嵩さんが言うには私より強いって・・・」
「わっかんねー!あのお人形さんみたいな感じでどう戦うのか見当もつかねーよ。でも取り合えず手掛かりは掴めたな」
「黄巾党?」
「あぁ!どんな病気も直すってそんなことまず無理だろう?もしかしたらなんだが賢者の石を使ってる可能性があるな」
錬金術における至高の物質。卑金属を金に変え、癒すことのできない病や傷をも瞬く間に治す神の物質とされる。無数の名前を持ち、形状についても諸説がある。
薬として飲めば不老不死を得るとされた。またあらゆる病とけがを癒す万能薬・エリクサーの正体ともされる。
因みに、賢者の石そのものが欲に駆られた人間を誑かす悪魔であるという話もある。
色は赤。これは錬金術において赤は完全を表す色と言われており、賢者の石もまた作成プロセスを経て赤になれば完成と言われていた。
「もしこれが本物ならやっと、お前をもとの体に戻してやれるからな」
「うん。その時は兄さんも一緒にだからね」
「あぁ!もちろんだ」
その後も大陸についての話をしながらいつしか眠りに着くエドワードであった。