あの日見た青年は、空虚でした 作:Cross Alcanna
今回からは学校回ではなく日常回に近いものとなっています(一応本編というくくりではありますが)。アンケート結果はすぐに反映出来ませんので、準備が出来次第日常タグを付けて反映させようと思います。
そして、☆10評価:妖魔 桜さん、お気に入り登録:妖魔 桜さん、444さん、月季さん、Kiriya@Roselia箱推しさん、ミクロ02さん、hozuhozuさん、Ray4さん、酒乱さん、黒鐵焔さん、ゴリパン先生さん、ありがとうございます。妖魔 桜さんにつきましては、紹介した気になっていました。恐らく、結構前に評価及びお気に入り登録して下さったと覚えています。本当に申し訳ありませんでした。尚、評価はどんなものであれ嬉しいので、高評価のみならず指摘や意見も是非して下さい(社会マナーに反しない範囲でお願いします)。
では、本編を開始します。
[氷川家 食卓]
「おかーさん!これ美味しい!!」
「あらそう?後でレシピしっかりメモしておこうかしら…?」
夕食。1日の中でも、僕が特に好きな時だ。そうなった背景には勿論の事、姉さん達がいるからなのだが。勿論これも、恥ずかしいから言えないけどね。
「そういえば紗夜、明日何時ごろ帰ってくるの?」
「確か…7時半くらいかしら」
「夜ご飯はどうするの?」
「…多分、ファミレスで反省会をすると思うから……」
「明日はそこで食べるって事で良いのかしら?」
「そうなるわね」
…ん?紗夜姉が夜までいないなんて珍しい。何かあるのかな…?ちょっと聞いてみよう。
「ねぇ、紗夜姉」
「?どうしたの?」
「どうして明日は帰るのが遅くなるの?」
「おねーちゃんはバンドやってるんだよ!私もだけどねー」
バンド……?聞いた事無いなぁ…。合奏とかとは違うのかな?
「バンド?」
「何人かで組んで色んな楽器で曲を演奏するのよ」
へぇ……それだけ聞くと、やっぱり合奏とかと似てるように感じる。
「…凪?行きたいの?」
「……興味…ある…」
知らない事は知りたい。というより、姉さん2人がやってるから興味が湧いた、の方が正しかったり。
…理由はどうであれ、気になってるのは確かだ。楽器の種類はある程度わかるけど、それがどんな音になるのか、そこまでは想像で補うのは難しい。聴けるものなら聴いてみたい。
「紗夜、凪を一緒に連れて行くのって出来そう?」
「……湊さんが了承するかがわからないわ」
知らない人の名前が出てくる。バンドっていう奴のメンバー…なのかな?
まぁ、そう易々と承諾して貰えることでもないのかもしれない。……そう考えると、結構無理を言ってしまったのだろうか。
「…無理言ってごめんね…?紗夜姉」
「~ッ!!」キューン!
「……紗夜姉?」
突然紗夜姉が悶え始めた。今のタイミングで悶える事、あったかな?すると紗夜姉は、スマホを持ち…
「今から黙らせ…ゴホン話をつけてくるわね、凪」
「……え?」
『…あちゃ~』
「え?……え?」
…急に紗夜姉の態度が変わった。いや、さっき物騒なワードが聞こえたのもそうなんだけど、どうしてこんなに急に態度を変えるんだろうか。
……正直、凄く驚いている。
現在進行形で。
今にも電話をする感じがしたので、せめてご飯を食べてからにした方がいい気がしたので、そう言ってみる。
「……紗夜姉、ご飯、食べ終わってからに…しよう?」
「ハッ!……それもそうね」
「……凪のためなら、何でもやりそうね、紗夜」ボソッ
……今のは、聞かなかったことにしよう、うん。
翌日
[CiRCLE 2番スタジオ]
「凪、大丈夫?」
「……うん」
昨日の件については、紗夜姉が説得できたようで、今僕はCiRCLEっていうライブハウスにやってきている。へぇ、近いところにこんな施設があったんだ…。
…そして、紗夜姉には大丈夫と言ってしまったが、内心ビクビクしている。見知らぬ女子が4人もいると聞いてから今まで、ずっとこんな感じだ。
いや、行きたいって言う前に想定しておくべき事なんだけど……多分想定しても変わらないと思う。
「開けるわよ?」
「…うん」
僕の返事を聞いた紗夜姉が、少し不安げな表情をしつつ扉を開ける。そこには……
「紗夜、貴女にしては少し遅かったわね」
「って言っても、集合時間ピッタリだけどね~」
「あ、紗夜さん!」
「こんにちは…」
4人の女子がいた。……いやまぁ、知ってたけど。……知ってても、緊張する。…僕が筋金入りのコミュ障だっていうのを、改めて痛感させられる。
「後ろの男の子って、昨日紗夜が言ってた弟君?」
「えぇ、ほら、凪」
「うん……はじめ…まして…。氷川…凪です。今日は…宜しく…お願いします」
やっぱりかと言わんばかりのブツ切れな自己紹介。いい加減、直せないものかなぁ……。練習方法とか、帰ったら探してみようかな…?
「よくできたわね、凪」ナデナデ
「あっ……どうしたの、紗夜姉?」ナデラレ
「…ハッ!何でもないわ」
撫でられるのは初めてだった。心地よかったから、止められるのは少し惜しいなと思ってしまう。……その一方で、他の4人はと言うと……
『…………え?』
大層、驚いた顔をしていた。と思ったら、隅の方に行き、何やらヒソヒソと話し始める。
「昨日の熱弁から可笑しいとは思っていたけれど…」
「紗夜さん、いつもと別人だね、りんりん」
「うん……初めて見た…」
「……もしかして、紗夜ってブラコンなのかな?」
会話の内容までは流石に聞き取れなかったが、紗夜姉か僕のことについての話だと気づくのには、十分だった。
紗夜姉はそれに気付いてないみたいだ。
「…どうしたんですか、皆さん?練習しますよ!」
「……そうね、時間も惜しいし、私達の自己紹介は次の休憩の時にしましょう」
仕切りなおすように言う。あの人がリーダーなのかな?あっ、立ってたら邪魔になるかな…?…あそこの椅子にでも座っておこうかな。
演奏後
「じゃあ休憩にするわよ」
何となく時計を見る。……2時間近く経ってた。……え?いつもこんな練習してるのかな?プロじゃんもう。
「凪、どうだった?」
「カッコよかったよ、紗夜姉」
「…そう、嬉しいわ」ナデナデ
あ、自然に流れるように撫でるのね。……ムフー
「あの~、紗夜?」
「……どうしましたか?」ナデナデ
あ、とうとう止めなくなった。開き直ったのかな。……あ、そういえば…
「いやぁ~、自己紹介、しなくて良いのかな~って」
「…………」メソラシナデナデ
すっかり忘れてた。どうやら紗夜姉も同じらしい。……目を逸らすのは肯定してるのと同じだって言ったほうが良いのかなぁ…。
「すみません…演奏に聞き入ってて忘れてました」
「良いよ良いよ!皆~自己紹介するよ~!」
優しい印象の人。……見た目はギャルだけど。
さて、少し離れたところにいた残りの3人が僕のもとに来ると、早速各々名前を言っていく。
「私は湊 友希那よ。宜しく、凪」
湊 友希那さん。とてもクールで、音楽に一途(そう)。個人的には、プロでも十分やっていけそうな技量を持っている……ような気がする。
後、猫が好きらしく、猫の前では性格が激変するんだとか(日菜姉談)。……ちょっと見てみたい。
「あこは宇田川 あこだよ!宜しくね、凪兄!」
宇田川 あこさん。言い方こそ悪いが、見てくれ相応の元気を持っている。年下に敬語って、変な感じするなぁ。タメ口で良いか聞けないかな…?
本人曰く、姉がいるようで、その姉を見てきたからか、カッコいいのが好きなのだとか。後、NFOっていうゲームもやってるんだとか。……凪兄?
「あたしは今井 リサだよ~、宜しく!」
今井 リサさん。皆のお姉さんって感じかして、優しい。偶然なのか、クッキーを焼いて持ってきているのが見えた。さっき食べたけど、美味しかった。
他の4人も信頼を寄せているのが、見てわかる。精神的支柱、といったところだろうか。
「し、白金 燐子…です。改めて……宜しくね」
白金 燐子さん。花咲川学園でも会ったことがあり、内気で人見知りしがちなところは、僕と似ている。因みに、ピアノを昔やっていたのだとか。
意外なことに、白金さんはNFOをやっているらしく、その中でも上位に位置しているプレイヤーとのこと。
「はい……宜しく…お願いします…」ペコリ
こうして一通り自己紹介を終え、各々何かをし始める。そんな中僕はというと……
「……ねぇ、紗夜姉」
「…?どうしたのかしら?」
「…さっきの曲、何か…変じゃなかった?」
『!?』
さっきの練習の中で1曲だけ、変な音の場所があった気がしたことを伝えた。……あくまで僕の感覚で、なんだけどね。
それを伝えたところ、全員が僕の言葉を聞いていたのか、驚いたような顔をする。…やっぱり、でしゃばりすぎたかな…
「…どこ?教えてくれる?」
「えぇと……楽譜、とかある?」
すぐに今井さんが持ってきてくれた。その楽譜の変に感じた箇所を指差す。
「…どう変だった、とかはわかる?」
「うぅん……ドラムの音が合ってないって言うか…」
「えぇ!?あこ、間違えてないはずだけど~!?」
う~ん、なんて言えば良いのかな…?こういう時に言葉が出てこないのは困るなぁ…
「……もしかして、
アレンジ……あっ、それだ。
「はい…ここ、こうした方が良いかと……」
思ったように楽譜に書き込む。……あっ、人のやつだ。どうしよう……?後で謝っておこう。
「……あこ、そこの部分、書き直した方でやってみてくれるかしら?」
「は、はい!」
休憩中だったのだが、急遽その部分を通しでやることにしたみたい。……休憩中にすみません…
「……凄く自然になった…?」
「…凪、どう?」
「…うん、こっちの方がしっくりくる」
やっぱりこっちの方が
「凪、たまにでいいからまた聞きにきてくれるかしら?」
「……え?」
…頭をトンカチで叩かれたかのような衝撃が走った。…え?どうしてこんないきなり…?
「凪兄、凄ーい!!」
「…あたしも気づかなかった……」
「はい…しかも、ほとんど聞こえないようなところ…」
そこまで?いや、気になるところを言っただけだし……寧ろ変なこと言ってないか心配なんだけど……
「貴方の意見があると、もしかしたら私達の音楽もより良くなるかもしれないわ。……それとも、迷惑だったかしら?」
「いえ…。ただ、少し…驚いたので。……時間が空いたらで…良いですか?」
「えぇ、構わないわ」
最終的に、また練習に来てもいいっていう風になった。……僕的には嬉しいから良いんだけど…
「…凪ったら、天使に加えて天才…?最高ね」
……聞かなかったことにしよう、そうしよう。
ということで、第9話が終わりました。
前回に続いてポピパの回…と思いきやRoseliaの回でした。これで本編が一段落ついた……わけではありません。次回も引き続き本編です。アンケート回はもう少し後になります。そして、今回からアンケートを新設します(新作についてです)。『羽沢家の長女』に貼ったアンケートと同じアンケートになっております。両方共関連性はありますので、是非両方回答していただけるとありがたいです。そして、活動報告をあげました。そこそこ大きなことですので、見て下さい。
次回『青年は、違和感を覚えました』