あの日見た青年は、空虚でした 作:Cross Alcanna
今回で一旦本編に区切りをつけます。次回からは日常タグの回になります。まだ前々回以前にアンケートがありますので、回答したい、という方はお急ぎください。
そして、☆10評価:SIORIさん、☆8評価:あんどぅーサンシャインさん、お気に入り登録:あんどうーサンシャインさん、深山木秋さん、からまるさん、蒼燐焔さん、流離いの旅人さん、すみえさん、カバジさん、ダースケさん、おぱはさん、Miku39さん、託しのハサミさん、鳳空神さん、丸。。。。。。。さん、ヴィオレットさん、北野真桜さん、マッツォリーニさん、すじ肉さん、ありがとうございます。こうして見ると、この作品がどれだけ多くの人に読んでいただいてるのかがわかります。嬉しい限りですが、同時にプレッシャーも感じています…wまだまだ未熟ですが、どうか温かい目で見ていただけると、嬉しいです。
では、本編を開始します。
[花咲川学園 2-E]
「ライブ?」
「うん」
2限目の授業が終わり、さて次の授業の準備をしようと思い机の中に手を入れた時、花園さんが話しかけてきた。
何かと思えば、何やらライブについてのことらしい。花園さんは続けて話す。
「皆と話してライブすることになったんだ」
「…ちなみに、いつなの?」
「土曜日」
「…明後日だね。大丈夫…なの?」
「問題ないよ」
随分急ピッチな日程だなぁ…いや、前々から計画してたのかな…?そんな小規模な考察をしていると、1つ疑問が浮かんでくる。
「…どうして、僕に…話したの?」
そう、それを僕に話すことの意味が掴めない。花園さんのバンド…ポピパでいいっか。
ポピパの皆とは、この前の件があっただけで特段ライブに関わる程の関係はない。仕事云々に関してではないのはわかる。ただ、そこまでなのだ。
結局、何がしたいのかの根本がわからずじまいなのだ。
「そのライブに、凪も来てもらおうってことになったんだ」
……そういうことね。深く考えすぎただけだったみたい。
「土曜は予定ある?」
「…ううん…ないよ」
「じゃあ、はいこれ」
そう言って花園さんが、一枚のチケットを渡してきた。話の流れからして、ライブチケットだろう。それを受け取るのを見届けると、更に続けて言う花園さん。
「それ、特別なチケットだから、私達の楽屋に行けるんだ」
「…そんなの貰っちゃって…良いの?」
「うん。皆で話し合って決めたから」
「……ありがとう」
うん、何か嬉しいなぁ。ふと、チケットを見る。…どうやら、本当に特別なもののようだ。右上に"Special ticket"と書いてある。
裏側も見てみる。
さっき花園さんが言ってたことと、それの詳細が書いてあった。…これ、何枚作ったんだろう。流石に一枚だけじゃないよね…?
「……あ、授業の準備しないと」
さっきまで次の授業の準備をしていたことを今更思い出した僕は、気持ち焦りながら準備に取り掛かった。…花園さんは、いつの間にか寝てたけど。
ライブ当日
[CiRCLE ライブ会場]
「…凄い人数……人によっては、酔いそうだなぁ」
ライブ会場に着いてから、思いもしなかった人の多さに、そんな独り言をボソリと呟く。
余談にはなるけど、ライブを観に行ってくると言った時、紗夜姉と日菜姉も行くと言い出した。お母さんに止められたけど。
「貴女達は過保護過ぎるのよ!それとも自分の欲に忠実なのかしら!?」だとかなんとか。
「こんにちは!」
『Poppin'Partyです!』
と、時間通りに始まった。戸山さんの声に続いて皆で挨拶をする。あの時と今とじゃあ皆雰囲気変わるんだね。
僕の周りの人達も、歓声を上げていた。僕も一応ライブのマナーを予習してきたから、どうすれば良いのかはわかっている。
「それじゃあ、早速一曲目行きます!」
元気ある掛け声と同時に、演奏が始まった。…何分初めてだから、楽しみだなぁ。
「今日はありがとう!」
どうやらこれで終わりみたい。今しがたアンコール曲も終わり、観客が余韻に浸っていたり、帰り始めていたりしている。僕はというと…
「…そういえば、本当に楽屋行けるのかな…?」
疑問に思いながらも、楽屋に行くかどうかを考えていた。…行ってみよう、かな。せっかく貰ったんだし。よし、楽屋の方へ行こう。
…あ、飲み物も、一応買っておこうかな。
そう考え動き出そうかと思っていると、ふと2人の女性が目に映った。…あ、白い髪の人と目があった。…なんだろう、初めて見た人のはずなのに、そんな気がしない。…まぁいいや、行こうっと。
「ましろちゃん!今日のライブ凄かったね!」
「うん…そうだね、つくしちゃん」
私達は、ポピパさんのライブを見に来ていた。今さっきライブが終わって私達も帰ろうかと思っていた。…思っていたのだが、
「……え?」
「?どうしたの?ましろちゃん」
…その時の私は、一体どんな顔をしていただろうか。口を開けていただろうか、あるいは驚きを隠せていない顔だろうか。そんな自分の事でさえわからない状況に、今まさになっていた。
「…
私達から少し離れた所にいる私達と同じくらいに見える1人の男性。…間違いない、麗君だ。
確信した私は、すかさず近づこうと思ったが、麗君がこっちを向いたので、私と目が合う。私はというと、緊張してしまい、その場で動けなくなってしまった。
そして、麗君は足早にどこかへ行ってしまった。…もしかして、覚えてない……?
と、私らしくも無く思考に明け暮れていると、いつの間にか出口のほうに向かっていたつくしちゃんに呼びかけられる。
「ましろちゃーん?行くよー?」
「あ…うん!」
私は今日の間ずっと、この事が頭から離れずにいた。
[氷川家 凪の部屋]
「ふぅ、今日は楽しかったなぁ」
部屋のベッドに腰掛け、ふと今日の事を振り返る。
ポピパの曲に、皆の盛り上がりに、初めてのライブ。どれも良い経験になった。
あの後楽屋に行ってお礼を言ったら、また花園さんに膝枕されそうになった。市ヶ谷さんに「おたえ!今は止めとけぇ~!」って言われてた。
…思い出すと、微笑を零してしまう。
…ただ、1つだけずっと引っかかってる事があった。……そう、あの2人組の事だ。
「…あの白の髪の人……」
隣の黒髪の人は普通に初めて見た人、で良いのだが…いかんせん、白い髪の人は何故だか初めてじゃない気がした。それに加えて、
「……寝よう」
夥しい数と質の情報を対処することを放棄するように、僕は眠りにつくことにした。
──…ねぇ、君の名前は…?
──……
──…僕?僕の名前は……
ということで、第10話が終わりました。
先にお伝えしますが、最近の方のアンケートは8/31いっぱいで締め切らせていただきます。ご了承下さい。
さて、学校編が終了しました。次回からは日常編になります。誰を登場させるかのアンケートはもう1つ別に用意する予定です。もしかすると、私が決めて書く事も想定されますので、先に連絡しておきます。
次回『青年は、愛撫されました』