あの日見た青年は、空虚でした 作:Cross Alcanna
今回から日常編です。リクエストもいただいていますので、そちらも追って書ければなと思います。少し脱線しますが、評価やお気に入り登録だけではなく、コラボや指摘、リクエストも受け付けていますので、是非。
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もうすぐで登録者が100人に到達しそうです。そこまで愛読されていることに、大変嬉しく思います。
では、本編を開始します。
【日常】青年は、愛撫されました
[CiRCLE 1番スタジオ]
「そろそろ休憩にするわよ」
湊さんが告げたその一言によって、メンバーの皆(一部を除く)が羽を伸ばし始める。お菓子を食べたり、曲のミスを復習したり、座っていたりと、行動は様々だ。因みに僕は、湊さんとさっきの練習曲の改善をしている。
そうしてその作業も終わり、何をしようかと考え始める前に、湊さんに呼びかけられた。
「凪、ちょっと良いかしら?」
「…?どうか…しましたか?」
呼ばれたものの、どうして呼ばれたか心当たりがないため、内心一瞬戸惑ってしまう。が、別に変なことはしてないとも思ったので、顔には出さずに近づく。
「この後、私の家に来れないかしら?」
「……へ?」
湊さんから放たれた一言にたじろぐ僕の反応は、至って正当な反応だろう。何の脈絡も無く突然異性から「家に来れるか」なんて聞かれるなんて、誰が予想できようか。
そんな感じでフリーズしていた僕を見ている友希那さんが、心配そうに聞いてくる。
「…?どうしたのかしら、凪?」
「…いや、突然の事でしたので……」
「……?それで、どうなのかしら?」
この人、まさかそういうのを知らないのかな…?まぁ、あっちが気にしてないのにこっちが気にしてたらおかしいか。そう思い込むことにし、友希那さんの質問に答える。
「僕は…構わないんですけど…紗夜姉に聞いてみないと……何とも」
別にどこかに出かけることに紗夜姉がとやかく言う事はない…とは思うけど、何せ異性の家だから、一応断りを入れておかないといけない気がする。気にしすぎだ、なんて野次が飛んで来そうではあるが。
「そう…じゃあ紗夜に聞いてみるわ」
「…僕が聞きますよ」
「…なら、一緒に行くわよ」
「はい」
結局、湊さんと2人で承諾を得に行くことに。…といっても、すぐそこに紗夜姉はいるんだけども。
……っていうか、許可取りに行くのに2人もいらないような…と思ったのは、紗夜姉が不思議そうに僕らを見た時だった。
[湊家 友希那の部屋]
「私はお茶を持ってくるから、寛いでてちょうだい」
「…は、はい…」
そんなやり取りをした後、湊さんが部屋を出る。…といっても、いきなり女子の部屋に案内されて寛げ、と言われても無理な気がする。てか僕にそんな事できない。
「……どうしよう」
そんな僕は、ここでどうしようかわからず、寛ぐとは程遠い状態だった。そうして何分経っただろうか、友希那さんがお茶を持って部屋に戻ってきた。
「…どうしたの?凪」
「…ううん、何でもない…よ」
「そう」
本人に対して異性の家で寛ぐのは出来ないなんて言える訳も無く、何とも無いとしか言えない。…そういえば、どうして家に呼んだのかを聞いていなかった。
「…そういえば、どうして僕を…?」
「そうね、
「…うん」
あれ?それならここじゃなくても出来たような…うん?
「…♪」
「……あの」
さっき言った曲については少し前に終わった。…のはいいものの、今現在何故か笑顔の湊さんに膝枕されてながら優しく撫でられている。…いや、何で?
「み、湊さん…?」
「何かしら?」ナデナデ
やっと返事を返してくれた湊さんの声色は、どこか柔らかい。さながら、動物を愛撫するかのような。
「…この状況…説明して…欲しいんですけど」
さっきの発言の中に"まずは"ってあったから、何かあるとは思っていたけど…まさかこれの事だろうか。せめて、説明が欲しい。そう思ったので、友希那さんに問いかけてみる。
「…今から言うことは、他の人に言わないで欲しいのだけれど…それでも良いなら話すわ」
「…言わないですよ」
わざわざ人が言われたくない事を言うことなんて、甚だするつもりは無い。紗夜姉もそうしなさいって言ってたからね。
「…私、猫が大好きなの」
「……そうなんですか?」
意外だ。これが所謂、ギャップってやつなのだろうか。等と考えていると、湊さんが続ける。
「えぇ。それで……凪を見てると…猫の様にしたくなるのよ。…どうしてかはわからないけれど」
「……因みに…どうしたくなるんですか…?」
「撫でたり、膝枕したり…後は頬を撫でたり……とかね」
…絶句した。それだけ聞くと、僕がまるで猫みたいだ。…いや、ちゃんと人間だけれども。ここまでくると、最早別人を相手してる感覚だ。
…というか、どんだけ撫でたいの、湊さん。2回も撫でたいって言ったよね?等と考えている中、湊さんから衝撃の頼みが。
「……良ければ、それらを…させて欲しいの」
「…良いですよ」
「……本当?」
「はい」
猫の様にしたいとの依頼に、一瞬たじろぐけど、別に嫌でもないため、そして何より友希那さんの頼みなので、僕は承諾した。
「…それじゃあおいで、凪…」
「ふふっ♪」ナデナデ
あれからどれくらい経ったのかはわからない。でも、結構経ったような気がした。因みに今は、頬を撫でられている。この人、手慣れてるのか撫でるのが凄く上手い。
「湊さん…撫でるの上手です…ね」
「そうかしら?…凪は気持ちいいかしら?」
「はい、とても落ち着きます」
「それは良かったわ…♪」
どこか甘々新婚夫婦のようなやり取りが今も続いている。僕も満更でもないと、正直思っている。湊さんもそうなのだろうか…?
「ねぇ、凪?」
「…?」
そんな空気の中で、湊さんが尋ねてくる。何だろう?
「…たまにで良いから、こうさせてもらえないかしら?」
そんな主旨の頼みだった。僕としては、断る理由もないし、結構気に入っているのが本音だ。
「…良いですよ。空いてる時になりますけど…」
「大丈夫よ。寧ろたまにでも受けてくれるだけで嬉しいわ」
密かに、そんな2人だけの約束を交わし、僕達はまた、愛撫し愛撫されを続けていた。
ということで、第11話が終わりました。
次回も続けて日常回となります。アンケートのキャラ回でもありますが。そして、小説全話の修正が終わりました。所々台詞も変わっていますので、是非再読してみて下さい。
次回『青年は、巡りました』