あの日見た青年は、空虚でした   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回から本編が再始動します。ここから物語が動き始めますので、臨場感が出るように私も書くよう全力で努めます。

そして、☆10評価:ゼーローさん、☆4評価:ハーフシャフトさん、お気に入り登録:takenoさん、ブラックブラックさん、stktさん、KAITONONAMEさん、波人@さん、ポンポコさん、てぃけしさん、ヨーソロー24さん、ルーシーさん、春採 慎吾さん、蓮魂さん、レール・ブリテンさん、栗んとんさん、評価及びお気に入り登録ありがとうございます。バンドリ小説の作者様方にも登録されているのが、非常に嬉しい限りです。が、まだまだ精進していきますので、どうか宜しくお願いします。

では、本編を開始します。



本編2 手繰らるる者、手繰る者
【本編】青年は、鉢合わせました


[花咲川学園 2-E]

 

 

「ふぅ…今日も終わったかな…」

 

 

某日、今日も何事もなく一日が終わろうとしている。クラスの皆も帰りの支度をしたり、部活に行く準備をしている。その中僕はというと、生徒会室に向かおうと思っている。…別に、何かやらかした訳じゃないからね?言ってなかったけど、僕生徒会に入ったから、今日は僕が仕事で呼ばれてるだけだから。

 

 

「…今日の仕事、何だっけ…?」

 

 

そう呟きながら、ファイルに入ったプリントを取り出す。えぇと……あぁ、今日はアンケートの集計と学校生活状態の報告、保健委員会の健康週間の結果のまとめか…。これはちょっと骨が折れそうだなぁ…。まぁ良いや、行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[生徒会室]

 

 

「白金さん…まとめ終わりました」

 

 

「…ありがとうね、凪君。後で確認するから…そこに置いておいて…ね?」

 

 

「…わかりました」

 

 

保健委員会のやつをまとめ終わってから白金さんに報告して、指示通りの場所に置く。次は…アンケートの集計作業か…。因みに、今日は僕と白金さんしかいないし、白金さんも仕事をしているため、助力は見込めない。…他の人、サボったのかな……?

 

 

「…白金さん、5分程…休憩しても良いですか?」

 

 

「あ…もうそんなに経ってたんですね……良いですよ、凪君」

 

 

白金さんにも許可を貰ったので、僕は一度ペンを置き、大きく体を伸ばし、ふぅ…と声を1つ漏らす。チラッと見ると、白金さんも休憩を取っていた。白金さんも沢山の仕事をこなしていたので、正直あのまま仕事をしていたら、間違いなく次の日に響くと思ってたから、ちょっと安心。

 

残りの量を見て、もう一息だなぁと思っていると、「…凪君」と、小さな声で白金さんの声が。とりあえず「どうしましたか?」と返してみる。すると白金さんは少し迷った顔をし、やがて決心したような表情をして、こう尋ねてきた。

 

 

「…名前で…呼んで欲しい…の」

 

 

「…へ?」

 

 

…小説とかに、親しくなったら名前で呼ぶようお願いするみたいな展開がよくあるけど、まさか自分がそう言われる日が来るとは思ってもなかった。というより、そう言われても…これ癖みたいなものだしなぁ……

 

 

「…すみません、これ癖みたいなものでして…いきなりは厳しいかと」

 

 

「…そうだよね、ごめんね」

 

 

ショボーンとかいう効果音でも付きそうな具合に凹んでる……そんなに名前呼びが良いのかな…?とりあえず、仕事に戻ろうっと。

 

 

「…いつか、呼んでもらうから…ね、凪君」

 

 

ボソリと、僕に言ってるわけではない一言を聞いて、一瞬悪寒が走った気がした。…気を付けた方が良いのかな…?とりあえずは仕事の方を…と考えるうちに、僕の脳内から、その話題は失せていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[帰り道]

 

 

「…遅くなっちゃったなぁ」

 

 

あれから仕事が終わるのに結構な時間がかかってしまい、結局今18:25になってしまっている。一応家には連絡したけど、電話の奥で紗夜姉が心配してるような声を出してた。…僕一応高校生なんだけどなぁ…。

 

 

「…そこの君」

 

 

…辺りに人がいない事から察するに、恐らく僕の事を言ってるのだろうか。不審者がいるとかは聞いてないけど、一応警戒しておこうかな。

 

 

「こう言うのも変な話だが、警戒しないで欲しい。君に質問したいことが何個かあるだけだ」

 

 

「…そう言われて、はいそうですかって言えるとは思いませんけど?」

 

 

「…まぁ、普通はそう思うだろうし、別にそれでも良い」

 

 

いつ逃げようかと思っていると、あっちがトントン拍子で話を進めてくるせいで、逃げる事について考えるのも億劫になってきた。…策略か何かか?だとしたら、生まれてくる時代間違えてるって言える程凄い人そうだ。

 

 

「…1つ目の質問だ。"淵光孤児院(ふちみつこじいん)"を知ってるか?」

 

 

「…?知らないけど…」

 

 

「…そうか」

 

 

普通に知らないと答えはしたけど、質問の意図がわからない。道を聞くのに、最初のやり取りは要らないし…何が知りたいんだろうか。等と考えていると、次の質問が飛んでくる。

 

 

「…2つ目だ。10年前の──市の火災事件を知ってるか?」

 

 

「…っ」

 

 

これも知らない。だから、そう答えれば良いはずなのに、頭が痛くなって…それどころじゃない。割れそうなくらいに痛い。調理実習の時と言い、今と言い…僕は火に何があるんだ?…ダメだ、わからない。とりあえず、質問には答えないと…

 

 

「…知ら…ない」

 

 

「…そうか、じゃあ最後の質問だ」

 

 

未だに痛い頭を抱えながら、僕はその人物の方を見やる。どうも、その人物は淡々と話を進めているように感ぜられた。

 

 

「…神那(かんな) (うらら)を、知っているか?」

 

 

神那……麗?氷川家に引き取られてからそんな苗字と名前を聞いたことはない。これも必然的に「知らない」と答える事になる。……はずなのだが…

 

 

「……聞いたことは…ある……ような…?」

 

 

気が付けば、僕はそんな事を口ずさんでいた。知らないし、聞いたこともないはずなのに。()()()()()()()()()()のではないか、とでも言わんばかりに、その名前が引っかかって仕方がない。

 

 

「……そうか。じゃあ」

 

 

そう言って、その人は足早に去っていく。一方の僕は、未だに脳の整理が出来ておらず、立ちっぱなしだ。神那……わからない。…ここで考えても仕方ないか、帰らないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[???]

 

 

「…との事です」

 

 

「…ひとまず安心ですね、生きているようで…ホント良かった」

 

 

太陽が姿を消し、月が空を陣取っている時間帯、とある建物内で会話する声が2つ。片方は淡々とした声で、片方は心配したような声で話している。

 

 

「話がしてみたいけど…やめておいた方が良い気がしますね」

 

 

「あの様子だと、記憶を閉じ込めているようにも感じますし、下手に刺激はしない方が良いでしょうね」

 

 

「……麗君…」

 

 

月空の下、そんな声が無機質の部屋に小さくこだまする。その者の目には、誰かを慈しむようなナニカがあった。

 




ということで、第17話が終わりました。

今回から、色々と動き出してきました。勘の良い方や、設定集を見た方ならば、ある程度何がどうなのか、把握できたかもしれませんね。ここから、少々シリアス味が増しますので、是非小説の情景を頭の中で想像しながら見て下さい。

次回『青年は、憂いました』
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