あの日見た青年は、空虚でした   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

無事『羽沢家の長女』が完結しましたが、こちらはしっかりと進めていきますので、新作が投稿されるまではこちらをお楽しみ下さい。…いつ投稿するかはわかりませんが。

そして、お気に入り登録:ゆん兄さん、秋雷さん、だるま12345さん、とろとろトマトさん、セイランさん、お気に入り登録ありがとうございます。

では、本編を開始します。



【本編】青年は、仮初に至りました

[謎の建物 正面]

 

 

「…不気味な感じ」

 

 

あれから恐怖半分興味半分で、地図にない建物の正面までやってきたけれど、近くで見ると益々不気味さを増している気がする。建物の壁に伝っている蔦に、ヒビが入った外観、整備されていない土地等々…諸々が、不気味さを掻き立てているようにも感じれる。

 

 

「…大丈夫……かな?」

 

 

答えるにも曖昧過ぎる為に、返ってくるはずもない自問自答をしたところで、僕は結局建物内に向かって歩を進める。…こうした後に思うのも変だけど、人の興味って怖いよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[謎の建物 廊下]

 

 

「……そこそこ歩いた気がするんだけど…」

 

 

あの後僕が中に入ってからしばらく歩いてるけど、一向に大きい部屋に着きそうにない。小部屋だったり倉庫だったりはあったけど、どこも目立ったものは見当たらなかった。…そう言えば、()()()()()()()()()()気がしたなぁ。…誰かいるのかな?どうなんだろう?

 

 

「────」

 

 

「────」

 

 

…ん?何か声が聞こえるような……ここからじゃ聞こえない…かな?……近付いて大丈夫かな、これ。…足音と呼吸音、その他諸々も消さないと……

 

なんて思っていると、足音が1つ、少し響いた。そして少し経ってから、その音の発生源が僕に他ならない事がわかった。話し声が聞こえた方に目を向けると、その声は消えていて、僕は自身の身の危険を察知した。

 

 

「……逃げないと…!」

 

 

そう本能が感じてからは早かった。僕は日頃でないような速度で駆け出していく。人間って恐ろしいなって、変な場面で感じさせられる。

 

…そうは言っても正直、不安もある。何かはわからないけど、もしもあれが大事な場面だったらと考えると、必ず口封じだの何だのをしてくる筈だろう。そうだと考えると、そうするのに最も可能性が高いのは……

 

 

「……ダメ、か」

 

 

()()()()()()と答えを出す前に、僕は声しか知らない2人が立っている玄関に着いてしまう。片方はそうではないものの、もう片方は臨戦態勢に入っているように感じる。やっぱり、口封じのために……

 

 

「…一思いに、やって下さい……」

 

 

そう覚悟を決めた直後、僕の意識は遠のいていく。あれだけ走ったからか、はたまた気絶させられたのかもわからないままに。

 

…ごめんね、紗夜姉、日菜姉──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[謎の建物 大広間]

 

 

 

「……ぅうん…」

 

 

…あれ?どうしてここに…?想定していた事と違う事が起こっている事に、僕は驚きを隠せない。起きて辺りを見渡すと、まず僕がソファーに寝かされていた事に気付いた。次に、向こうの方で音がしている事にも。

 

 

「…あら、お気づきになりましたか?」

 

 

「……っ!!」

 

 

そんな僕に話しかけてきたのは、紛れもないさっき玄関にいた2人の片方の人だった。さっきの事があったから、警戒は怠らない。すると、その人は意外にも少し焦りだし、こう切り出してきた。

 

 

「…さっきの事もあったので、こう言うのもおかしいですが……落ち着いて下さい。私達は別に貴方に危害を加えようとは思っていません」

 

 

「…………」

 

 

…今の段階で、本当とは思えない。この人は臨戦態勢じゃなかったにしろ、もう片方がそうじゃないとは限らない。少なくともあっちの意思が確認できない事には……

 

 

「…目が覚めたか」

 

 

「……っ!!」

 

 

「…あぁ~…まぁ、そうなるか」

 

 

やって来たソイツに、僕は警戒レベルを最大に上げる。しかし、返ってきた反応は思っていたものとは随分とかけ離れていて、何だかやらかしたような表情を浮かべている。

 

 

「……敵意は?」

 

 

「ないない。確かに物音は気になったがな」

 

 

じゃああの反応は何だったんだ…?別の何かと思ったとか?……考えても仕方ないか。そう思ってソファーに座ると、女性の方から話を切り出してきた。

 

 

「…まず、どうしてここに来たんですか?」

 

 

「いや、ただ気になったので…地図にも載ってないみたいだったので…」

 

 

「地図に?ここがか?」

 

 

「はい……ほら、載ってないでしょう?」

 

 

そう言って、僕は例の画面を見せる。それを見た2人の反応はと言うと……

 

 

「ホントだな……」

 

 

「だからここに誰も来なかったんですね」

 

 

「かもしれませんね」

 

 

そんなやり取りをしていた。今の会話から察するに、何となく予想していた通りだったかもしれない。そして、地図に載っていないのは、多分偶々だったんだろう。今まで変に思ってた事が次々に合点が行く。

 

 

「…どうして、そんなに音に過敏なんです?」

 

 

『…………』

 

 

ふと疑問に思っていた事を聞いてみるが、成る程。恐らくここが本命か。…とはいっても、会って間もない他人には教えてくれそうにない。…自分から振っておいて何だけど、この話題は終わりにしよう。

 

 

「……君に、質問したい事があるんだけど…良いかな?」

 

 

「……?はい」

 

 

話をどう切り替えようかと考えていたところに、女性の方から話し出してきた。…何だろうか。…そういえば、この前にもこんな展開あったような……?

 

 

「……()() ()()() ()()って名前に、聞き覚えない?」

 

 

「……阿達……景華………っ!?」

 

 

この前みたいに、頭が割れそうになってきた。……痛い。

 

 

「柊さん!寝床の準備を!!」

 

 

「…承知!」

 

 

……あぁ、意識が…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──…麗君、体調はどう?

 

 

 

──……別に…

 

 

 

──出来ましたよ、ご飯

 

 

 

──わかったわ。……行こ?麗君?

 

 

 

──……うん

 




ということで、第19話が終わりました。

今更ではありますが、今作には回想シーンが多数あります。恐らく、これからも出てきますので、そこはご了承下さい。次回は若干本編味が薄いかもしれませんので、そうならないようにはこちらで最善を尽くします。

次回『青年は、打ち明けました』
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