あの日見た青年は、空虚でした   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回もアンケート回となっています。前回に引き続き、今回もホンワカした話となっています。…誰が出てくるのかは、タイトルを見たら一目瞭然だとは思いますが。

そして、お気に入り登録:another keyさん、rio7757さん、もも助さん、ゆず菜さん、お気に入り登録ありがとうございます。更新頻度が落ちても尚、こうしてお気に入り登録が増えている事が、大変嬉しいです。

では、本編を開始します。



【日常】青年は、パン少女と出会いました

[商店街]

 

 

「う~ん、何かここ最近買い出しに行く事多いような……?」

 

 

某日某所。商店街にいるのは、毎度お馴染みの凪である。今日もどうやら買い出しにきているようで、その手にはある程度の物が入ってる。差し当たり、ある程度買い物は終えたのだろうか。今の彼はとある店に向かって歩いており、そろそろその店も見えてきた頃合いだろうか。

 

 

「最近皆ここのパンにハマってるみたいだからなぁ……いや、確かに美味しいけど」

 

 

そこまでハマるものかな、と身内に対して返答を期待できない問いを投げかける凪。しかし、考えたところで仕方ないとふんだのか、彼はその店の扉を開け、香ばしい香りが立ち込めるその店に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[山吹ベーカリー]

 

 

「凪君、最近よく来てくれるよね~、美味しい?ここのパン」

 

 

「美味しいですよ。…ただ、姉さんたちが凄くハマってるみたいで……」

 

 

あははと、苦笑いを浮かべながら語る僕を見て、お気の毒に、などと笑いながら返す山吹さん。ここ最近、こんなやり取りを毎回している気がする。まぁ、仲良くしてもらえてるみたいだし、別に良いんだけどね。何だかんだ言って悪い気はいないしね。

 

それから僕らは他愛ない会話を交わし、会計までしばしの別れを告げる。さてと、買うパンは僕に一任されてるから、さっさと選んでしまおう。何気にここのパンはすぐに完売するからね。…ここに通ってから、チョココロネとメロンパンが完売してない状態をあまり見ないのが、良い例だろう。

 

 

「…ん~?あれ~、噂の凪君じゃ~ん」

 

 

と、僕を見かけるなりそう話しかけてきたのは、僕の知らない人だった。……高校生かな?

 

 

「…噂、とは?」

 

 

「あたし達の学校で噂になってるんだよ~、日菜先輩の弟ってね~」

 

 

「…日菜姉かぁ」

 

 

想定していたものの、こっちとしてはやはり気疲れするものがある。あんまり注目されるのも慣れてないからね。そう思っていたからか、僕は無意識のうちに顔を手で覆いながら溜め息を零していた。そんな僕にもお構いなしに、目の前の女性は話を続けていく。

 

 

「あ、あたしは青葉(あおば) モカだよ~」

 

 

何かと思えば、自己紹介だった。このタイミングでの自己紹介って、前にも自己紹介した気がするんだけど…。…花園さんに似たタイプだろうか。…相手がしてるんだし、僕も一応、自己紹介しておこうかな…?

 

 

「…氷川 凪です。日菜姉の弟で間違いないです。…宜しくお願いします」

 

 

「…むぅ~、堅~い」

 

 

…僕なりに普通に挨拶したのに、何故か頬を膨らませる青葉さん。…堅いったって仕方ない、僕はこういう人間だから。…腕掴まないでもらえるかな?何だか気恥ずかしいし……

 

 

「モカ、って呼んで欲しいなぁ~。あ、敬語もなしでね~?」

 

 

「……わかったよ、モカ」

 

 

「宜しい~♪」

 

 

ここで粘っても良い事ないだろうし、素直にそうする方が早い気がしたから、ついそうしたけど…どうしてそこまで満足気なんだろう…?鼻歌までしだしてるし……もしかして、そんなに畏まって話されるのが嫌だったとか?…うーん。

 

 

「そ~いえば凪君もパンが好きなの~?」

 

 

「まぁ、好きっちゃあ好きだけど、それ以上に家族がハマってて…」

 

 

「ほ~、日菜先輩はともかく、紗夜さんまでハマってるんだ~」

 

 

…あれ?紗夜姉の事、知ってるんだ。学校も違うのに…?……あ、日菜姉の事だから、きっと学校でも紗夜姉の事喋ってるんだろうか。だとしたら納得だね、うん。…にしても、紗夜姉がポテト以外にもハマるなんて……今更だけど、結構凄い事なんじゃあ…?

 

 

「そうだ~、せっかく会ったんだし、どこかで話そうよ~」

 

 

「良いけど…先にこれを家に置きに行っても良い…?」

 

 

勿論~、とゆったりとした口調で答えるモカ。…やっぱペースが掴めない。まぁいいかと開き直り、僕は会計の方に踵を返すことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[羽沢珈琲店]

 

 

「いやぁ~、まさか凪君がここを知ってたとは~」

 

 

「日菜姉と紗夜姉が案内してくれたからね。まぁ、私用では初めて来たけど。…ていうか、最初ここで会ったよね?」

 

 

「…あ~、そうだったね~」

 

 

「忘れてたんだ…」

 

 

買い出しの荷物を置いてやって来たのは、前に案内されてから来れてなかった、羽沢珈琲店。案内されていた時から、1回は来てみたいと思っていたから、こうして来れたのは良かった。

 

 

「あっ、凪君!久々だね!!」

 

 

向こうで接客をしていた羽沢さんが、僕とモカの会話を聞いたからか、僕らの元に駆けつけてきた。……犬に見えてくる僕はおかしいんだろうなぁ。

 

 

「やっほ〜つぐ〜、凪君と来たよ〜」

 

 

「…どうも、羽沢さん」

 

 

軽くモカと、羽沢さんに挨拶を交わす。凄く嬉しそうな表情をしてる気がする羽沢さんに、テーブル席を案内され、僕達はそこに向かっていった。

 

……羽沢さんから、羨ましそうな目で見られてる気がするのは、気のせいであって欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学校の日菜姉はどうなの?何かやらかしてない?」

 

 

「ん〜、確か文化祭を花咲川と合同でやるとか聞いたね〜」

 

 

「……日菜姉、相変わらずだなぁ」

 

 

そんな厄介事かの様に心配しながら溜め息を漏らす僕に、向かいのモカはニヨニヨと笑みを浮かべている。

 

 

「…凪君、日菜先輩と紗夜さんの話する時、何か楽しそうだよね〜」

 

 

「……そうなの?」

 

 

そうだよ〜、何て僕をからかいながら笑い続けるモカに、何だか恥ずかしさが浮かぶ。

 

 

「……モカ、笑うの止めて…」

 

 

「え〜?ヤダ〜」

 

 

…恥ずかしさでモカの顔もまともに見れない僕の姿を、こうなった元凶のモカは、ずっと僕を見つめていた。

 




ということで、第22話が終わりました。

今回はモカ回でした。前半までは沙綾だと思った方もいたのでは無いでしょうか?話の展開上、沙綾は出さざるを得ないと踏んだので、こうした次第です。次回もアンケート回です。

次回『青年は、意気投合しました』
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