あの日見た青年は、空虚でした   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

今回から本編の進行が再開します。そして、ここいらから終盤に近付いていきます(もしかしたら、この章で終わる可能性もあります)。タグに新情報が追加されましたが、はてさて、この物語はどう終結するのでしょうか。お楽しみ下さい。

そして、☆5評価:Lankasさん、☆4評価:SL20さん、お気に入り登録:雨季同家さん、輪廻転生さん、Mig-21@0さん、はなまなさん、遥風さん、waon3000さん、ちぇーろさん、NEGICOさん、桜翼さん、理亜さん、リーリエさん、テト・ストラトスさん、成瀬光人さん、ツナジンさん、ねこかみさん、シャナ0518さん、エルナ・スカーレットさん、菊山雄介さん、ユーさんさん、フタバさん、評価及びお気に入り登録ありがとうございます。前回からの空きでここまで増えていることに、正直驚いてます。

では、本編を開始します。



本編3 辿り着き、笑う者
【本編】青年は、思考しました


[花咲川学園 中庭]

 

 

「……ん〜」

 

 

某日、学校の中庭にて。僕はずっと心に残っている事について、思考の限りを尽くしていた。如何せん、授業にも集中出来ていない現状を鑑みると、早急な解決が必要になりそう。…ただ、解決の目処が一切つかないのが現在。

 

 

「一旦、整理してみよう」

 

 

雑多に事柄があちこち動き回る脳だったなら、思考もまたごちゃごちゃになりかねないと判断し、一旦脳の体裁を整えてみる事に。

 

まず大前提として、あの光景を見た事があるか否かの前に、僕にはあんな記憶はない。ここは絶対前提。そうなってくると、あれが見覚えのある光景だと言うなら、僕が失った記憶の1つにあの光景があった事も確実。つまるところ、あの光景は()()()()()()()()()()()()()()1()()だという事で間違いない。

 

次に、あそこに……いや、たまに夢で聞く麗とましろという名前。勝手な推測にはなるけど、恐らくましろという名前は僕自身ではないだろう。恐らく女性の名前と考えて良い……と思う。実際、あの時も女の子の方がましろって呼ばれてたしね。で、麗って呼ばれてた方は男の子だった。麗が僕の名前の可能性は捨てられない。と言うより、ここが核心に迫るものだと、僕の直感が訴えている。ここはましろって人と会うまではどうしようも無いだろう。一旦保留で。

 

 

「…そもそも……」

 

 

今ここで、僕は気にしていなかった事に、しかし重要でありそうな事に疑問を生じさせた。

 

 

──僕は、どうして記憶が無くなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここさえ解れば、反動で記憶も戻る……?」

 

 

記憶喪失というのは、核心に迫る時に苦痛と共に記憶が想起されるのが、二次創作においてはベターな展開。…ただ、僕は二次元を生きてる訳でもない。それに、記憶喪失についてわかっている事も少ないと聞く。

 

正直、確実味が無いものに縋るのはナンセンスだし、無意味に終わる可能性が高いだろう。今の状態だから藁にもすがる思いで、なんて考えるのも良いかもしれないが、記憶に関しては慎重に動く必要があるだろう。何せ、思い出す記憶が苦痛だったり、記憶を思い出す事に伴う苦痛を味わうのは、僕だしね。僕だって味わう必要の無いかもしれない苦痛を味わうのはゴメンだし、そも僕は積極的に苦痛を味わうマゾとかでも無い。ここも保留になる。

 

…考えて思ったのは……これ、僕が動いたところであんまり手がかり掴めなくない?ましろなんて名前の人は日本に多いだろうし、そも国内にいるかも分からない。他に関しても、他の人が知っていても、僕は知らない事だらけ。まず聞くべき人が分からない。

 

冷静に考えても、行き着く結果は一緒か……外的要因からのアプローチを待たないといけなさそう。…ん?待てよ?そう言えば……

 

 

「僕、あの時も初めてじゃないって思ったっけ」

 

 

ふと、とある出来事がフラッシュバックする。…そう、()()()()()()()()だ。僕はそこで確かに、()() ()()() ()()と言う名前に反応したのを覚えている。いや、正確に言うなら、今思い出した。今は別にどうって事は無いけど……もしかしたら。

 

 

「……あの2人が、何か知っている?」

 

 

別に根拠なんてありやしない。でも、僕の反応するワードを言うくらいだし、ましてやあの時、2人は()()()()()()()()()()んだ、それについて詳しいんだろう。

 

これは、姉さん達にも話しておかないといけなさそうだ。そう思いながらようやく昼食に手を付けた僕だった。

 

 

「…あそこに行けば……まだいるのかな?」

 

 

僕のそんな呟きは、誰に届く事もなく、虚空に消えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ましろちゃん、どうしたの?どこか上の空だけど…」

 

 

「…へ?ううん!何でもないよ、つくしちゃん」

 

 

いつものようにバンドの皆でお昼を食べていると、つくしちゃんが私の心配をする。つくしちゃんには大丈夫と言ってるものの、私自身そうとは思っていない。所謂空元気っていうものなのかな?そういうのにも根拠があって、勿論の事、麗君についてなんだけど。

 

私なりに考えた事なんだけど、麗君が私の事を忘れているのは、間違いないと思う。ここからは全部憶測になるけど、私の事以外にも忘れてる事があると、私は推測している。これにも一応の理由があって、まず私の事だけを忘れているなら、他の関連性の強い出来事から何かを掴めるはず。それが一向に見られないのが、私の憶測を正当化させるのには十分だろう。それに、私が散歩をしている時にたまたま通りがかった廃墟から、聞き覚えのある声が聞こえてきた事が過去にある。

 

…私の覚え間違いじゃないとすると、あの声は()() ()さんと()() ()()さんの面影があった。あの人達がここにいるなんて思わなかったから、とても驚いたのを今でも覚えている。…その時に急用がなかったら、私も聞きに行こうかとは思ったけど。

 

ただ、聞きに行こうにも危険の方が大きい。私は力も無いし、辺りに人の気配がなかった。もし私の思い違いとかで、全く別の人がいたりしたら、私はどうしようもないから、軽率に行動は出来ない。…お父さんお母さんにも心配かけるだろうし。

 

 

「……はぁ」

 

 

そんな思考を巡らせているうちに、無意識にも溜め息が零れてしまう。幸いにも(つくしちゃんは皆の方に戻っている)4人には溜め息は聞こえていないようで、私は安堵した。また心配させるところだったしね。ここまで考え込んでいる私とは対称的に、他の4人は楽しそうに会話していた(瑠唯さんは静かに昼食を摂っていたけど)。私もそろそろお昼食べないと時間なさそうだし、食べないとなぁ。

 

 

「シロ~!シロも食べようよ~!」

 

 

「うん!今そっち行く!」

 

 

さっきまでの考えを頭の片隅に追いやり、私は皆のところに行く事にした。…いつか、思い出してくれるといいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[氷川家 リビング]

 

 

「…それ、本当なの?凪?」

 

 

「あくまで僕の推測ではあるけどね」

 

 

かくして、ああして考えてから学校も終わり、今は考えた事を皆に話しているところ。あまりにも突拍子もない事を言われたからか、母さんが真偽を尋ねている。その後ろで紗夜姉と日菜姉も少し懐疑の表情を浮かべている。それが驚きなのか不信なのかはわからないけど。

 

 

「…凪は、どうするとかは考えているのかしら?」

 

 

「そこなんだよね…不確定要素が多いし、動きにくいからどうしようか悩んでるのはある」

 

 

「その話を聞いて、動いちゃおうよ!とは言えないかな~」

 

 

動きづらい事を直で伝えると、皆が確かにと言わん表情でいる。皆僕と似た事を考えてるのかな?…失礼ながら、日菜姉がそう言う事に驚いたのは、ここだけの話。

 

そして、ここで僕は爆弾投下を試みる。

 

 

「…正直、前の件の廃墟に行ってみるのもアリかと思ってる」

 

 

『……っ』

 

 

僕の投下に、皆の表情が歪み始める。姉さんらは否定的に思ってるのか、止めた方が良いと暗に言っているけど、母さんは黙ったまま何も言わない。…何を考えてるんだろうか。そう思っていると、母さんが口を開いた。

 

 

「…そう思う根拠はあるの?」

 

 

「無かったら言わないよ」

 

 

どうやら否定的と言うよりは考えを聞いてから、って感じみたい。こういう時冷静に判断するのが母さんなんだよね。頼もしい限りだ。だからと言って、姉さん達が頼りにならない訳では無いんだけどね。

 

 

「あそこにいた2人の言動が、何かを知ってる様なものだったし、核心に迫るものばっかりだったし、何よりそれしか手がかりに繋がりそうなものが無いから……かな」

 

 

「……当人が一番冷静なのも、変な話ね」

 

 

僕が聞かれた通りに持論を展開していると、母さんが不意にそんな事を言った。…まぁ、確かにそれはそうだけど。でも、当人が一番状況を知っている事が多い以上、当人が冷静でないと良くないのもまた事実。そうは言っても、僕が結構切り替えの早い性格なのも原因の1つとも思えるが。

 

 

「…で?凪としては、そこに行ったら何か掴めると思ってるの?」

 

 

「そうだね。と言うより、そこしかアテがないからそこにって言う方が近いかも」

 

 

「なら、そう焦る事でもないんじゃないの?凪1人は流石に危険すぎるわ」

 

 

「そーだよ!凪君が行くって言うなら、あたしも行く!」

 

 

僕と母さんの話し合いに、ここぞとばかりに必死そうに割り込む姉さん達。…ホントに必死過ぎるんだけど、そんなに僕が頼りなさそうに見えるのかな。それはそれで凄いショックなんだけど。

 

ただ、日菜姉の案は賛成できる。正直、女性にこんな危険な事を頼むのも気が引けるけど、だからと言って僕1人でそこに向かうのが、それより危険な事なのかはわかる。前回はかなり運の要素が強く働いたけど、2度目もそうなるとは限らない。寧ろ、そうならない方が普通だろう。僕だって、逆の立場だったら姉さん達と同じ事を言ってるだろうし。

 

 

「貴女達ねぇ……って言いたいけれど、今回はそうした方が良いわね。これに限っては本当に危険と隣り合わせと言っても申し分ないだろうし。私もついていきたいところだけど、そんな大所帯で行くのもおかしな話だし、今回は紗夜達と一緒に行く事を条件に、行く事を許可しようかしら」

 

 

まるで軍師のようにつらつらと話す母さんが、今までで最も頼もしく見えた瞬間だった。…さぁ、これで何かが掴めると良いんだけど。

 




ということで、第25話が終わりました。

両者がとうとう核心に迫ってきましたね。それに向かって、動き始めようともしていますが、果たして何が彼/彼女らを待っているのでしょうか。シリアス味が増してきまして、それに合わせて文量も増やしています。それに関連して、アンケートがありますので、そちらもご確認下さい(活動報告も同時に確認していただけると早いかと思います)。

次回『青年は、真実に至りました(前)』
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