あの日見た青年は、空虚でした 作:Cross Alcanna
どうやらこの小説、思っていたよりも皆さん見てくださっているようで、嬉しい誤算ですね。投稿頻度が遅くても、失踪はしないので、気長に待ってくださるとありがたい限りです。
では、本編を開始します。
[氷川家 リビング]
「……お母さん」
「何かしら?」
引き取ると決めてからすぐ、おかーさんは手続きをさっさと終わらせ、彼の容態も良くなった頃に退院、そして帰宅。彼は今ソファーに座ってボーっとしているようだ。
私はというと……
「……この子の名前、どうするの?」
「そこなのよね~」
この前から気になってた疑問をおかーさんにぶつけた。家族になるんだし(そうでなくてもなんだけど)、名前を決めないと色々大変な気がする。
「……ねぇ」
『………?』クビカシゲ
おねーちゃんが私達に呼びかける。突然のことだったので、思わず首を傾げる。そんなのにはお構いなしと言わんばかりの勢いで、おねーちゃんは続けて言葉を放つ。
「……私達で名前を決めるのは……どうかしら?」
「…それよ!」ガタッ!
「…………!?」ビクッ
「あっ……ゴメンね?」
おかーさん…………(呆れ)
しかし実際、悪くは無いようにも感じる。…が、1つ問題が生じる。…彼がそれを良く思うか、だ。
「ねぇねぇ、あたし達が名前を決めても良いの?」
「……うん」コクリ
…どうやら、杞憂に終わったみたいだ。心配のし過ぎだったのだろうか。
…そういえば、思ったよりしゃべってくれるみたい。てっきり無口なのかと思っていたんだけど……心を開き始めてくれたのかな?
そうなら、私としては嬉しいんだけど。
「じゃあ、今から決めるから…君の部屋に案内するね?」
「……うん…………宜しく…ね?」
「うん!こっちだよ!」
……可愛い!!何かこう、庇護欲と愛撫欲が湧き出てくる感じ!いつかお姉ちゃんって呼ばれたいなぁ~!!
「じゃああの子の名前、決めよっか!」
「ええ」
「は~い!」
こういった経緯で、家族会議が始まった。といっても、お父さんは出張でいないわけだけど。
……にしても、どうして名前がないのかしら?聞いたら答えて……いえ、やめておきましょう。こういった部類は地雷になることが多いわ。
そう1人で完結していると、お母さんが元気良く声をあげた。
「じゃあ良い案が浮かんだ人から手を挙げて!」
「どれもるん♪ってこないなぁ~」
人の名前なんて初めてつけるし(お母さんは例外だが)、まぁ、難航するのは当然。ペット等よりもずっとハードルが高い。…我ながら、ペットと比較するのは失礼ではないか?
そんなくだらないことから思考を戻そうとすると、とある言葉が思い浮かぶ。
「…………凪」
「紗夜?」
……どうしてこの言葉が出てきたのかしら。何度考えてもわからない。ならば考えるのを止めよう、そう結論づけたところで、日菜が一言。
「凪……うん!るるん♪ってきた!」
「そうね、私も凪って響き、なんかしっくりくるから彼の名前は『凪』に決定ね!」
それにしても…凪……いい響きだわ。……自分で言うのも何だけど。2人の賛成も得たようで、彼の名前がこの瞬間、
「というわけで、今日から貴方は氷川 凪よ!この名前は紗夜がつけたものよ!」
「……そんな大声で言われると恥ずかしいわ……」
まだ家だからいいものを……いや、家でも十分恥ずかしい。私を持ち上げるのは止めてほしい限りである。
「……紗夜……さん、ありがと……う……ござい…ます。……日菜さん……も、……早雪……さんも」
「そんな大したことしてないから、そこまで気にしなくて良いよ!」
「うんうん!」
「気に入ってくれたら、私も嬉しいです」
「とても……嬉しい……です、紗夜…姉……さん」
「……ふふっ」
姉さん……何か、嬉しい。どこか新鮮な感じがする。弟っていうものは、いいものね。
「おねーちゃんだけズルい~!!あたしにもそう呼んで~!!」
「……日菜………姉」
「~~~!!」パァァ!!
……むっ、私は"紗夜姉さん"なのに、日菜は"日菜姉"なんて少し距離感の近い呼び方……ズルいわ。
「凪、私も"紗夜姉"って呼んで欲しいわ。そっちの方がより姉弟っぽいわ」
「…………」( ゚д゚)ポカーン
「日菜?」
「ううん、おねーちゃんが感情剥き出しなのって何か珍しいなーって」
……確かに。でも、凪を前にすると何故か感情が出てしまうのよね。
なんと言うか……庇護欲というか、愛撫欲というか……。どうしてだろうか?
「……紗夜………姉?」
「~~~!!」パァァ!!
「……貴女達……」ハァ
こうして今日、私達に弟が出来た(歳は私達の方が1つ上らしいので)。
[氷川家 凪の部屋]
「と、今日はここまでにするわね」
「………うん」コクリ
今私は、凪に中学の勉強内容までを教えるために、各教科の基礎を教えている最中だ。もうすぐで凪を高校1年生として入学させるため、そして授業についていけない、という事態を避けるために私が教えることになった。
凪は元が良いのか、一回教えた事はおおよそ理解する。
因みに、入学先は花咲川の方である。
「本当に大丈夫かしら?もしわからないことがあれば、言ってくれて構わないのよ?」
「……わかり……やすいから…………大丈…夫」ニコッ
「……そう、なら良かったわ」ホッ
……何なのかしらこの可愛い生物は?天使かしら?キュン死しそうだわ。……とと、いけない。今は勉強の指導をしてる真っ最中。姉として、しっかりしなくては。
「次までに、しっかり復習しておくのよ?」
「……うん」コクリ
後で抱きしめましょう、そうしましょう。(尊死)
ということで、第2話が終了しました。
若干文量が少ないのですが、これからは無理に文字数を多くする事は控えようかと思います。クオリティを上げるには、こっちの方がやりやすいと思いましたので。
ただ、無理に文字数を多くするのをやめるだけですので、話題によっては普通に文量が増える時もあるので、悪しからず。
それと、この小説と『幸せになって欲しくて』の投稿頻度を入れ替えることにしました。これに関しての意見は、『幸せになって欲しくて』の方で次話にアンケートを貼るので、そちらでお教え下さい。
次回『青年は、街に繰り出しました』