あの日見た青年は、空虚でした 作:Cross Alcanna
最近、こっちの小説の方がアイディアが浮かぶようになってきて、1作目が若干迷走しかけている今日この頃です。こっちは比較的スローペースで進めていく予定なので、それも関係しているのかなと思ってます。キャラのアンケートをとった方が良いかを今回からしばらく貼っておこうと思います。
では、本編を開始します。
[北沢精肉店]
「凪、ここが私達の知り合いがいる場所の1つよ」
まず先に来たのは北沢精肉店。この商店街で人気を誇る店の1つでもある。
そして、2人が会わせたい人物はというと…
「おっ!氷川さんとこの2人か!……ん?そっちの男は……」
……先に言うと、この男性ではない。彼はこの店の店主であり、目的の人物の父にあたる人だ。
「はぐみちゃんに会わせようって話になったんだ!おじさん!はぐみちゃんいる?」
「そういうことか!なら少し待っててくれ!」オーイハグミー!!
少し経つと、オレンジ色の髪を持つ活発的に見える女の子が店の奥から元気良く「おーい!」という声と一緒に出てきた。
そう、彼女が2人が凪に会わせておきたかった人の片方、
「あっ!紗夜先輩に日菜ちゃんだー!どうしたのー?」
ご覧の通り、かなり元気な性格である。言ってしまうと、彼女はハロー、ハッピーワールド!のメンバー(ベース担当)であり、バンドという接点で2人は知り合ったのである。
余談にはなるが、ご覧の性格故紗夜とは中々馬が合わない面があったりなかったり。日菜とは気が合うようで、たまに一緒にいるとかいないとか。
「はぐみちゃんに紹介しておこうって思って!ほら、この子!」
「……どう…も。…氷川…凪……です」オドオド
「なーくんだね!はぐみは北沢 はぐみだよ!宜しくね!」ニコッ
お互い、印象が真逆な挨拶もとい自己紹介を交わす。いきなり愛称のようなもので人を呼ぶのは、彼女の特徴の1つとも言える。
しかし同時に、凪が少々困っているのを紗夜は見逃さなかった。
「……北沢さん、凪は他人との会話に慣れてないので、そこだけ注意してくれると助かります」
「そーなの?わかった!」
紗夜自体もはぐみを信用しているが、だからと言って凪が大丈夫かどうかを判断するのは早計である、との考えの下、こうしたのだ。
決してはぐみを信じてないといったことは無いので、そのあたりは間違えないでもらいたい。
そうして凪の紹介を終えた彼らは、次の目的地へと足を運んだ。
[羽沢珈琲店]
「……という訳で、ここにも連れてきた方が良いかと思ったんです」
「そういうことだったんですね……あっ、凪君、私は
ところかわって羽沢珈琲店。
ここも、商店街でかなりの人気を誇っており、わざわざ遠くから来る人もいるそうだ。来た人曰く、「店内の雰囲気と店員の人柄が良い」「コーヒーも料理も美味しい」とのこと。
その辺の珈琲店と比べても良い評価であり、ほぼ毎日大盛況なのだとか。
「…うん……宜しく…ね」
「私からも宜しくね!つぐちゃん!」
その後、紗夜がはぐみと同じことをつぐみに伝え、釘を打った。
そろそろ出ようかと氷川姉妹が考えていると、店の扉が開く。4人客のようだ。
「つぐ~!来たよ~!」
「あっ!皆!いらっしゃい!」
どうやらつぐみの知り合いらしき人物らが入店した。つぐみの顔がより明るげになるのがわかる。髪色から背丈、性格まで十人十色だ。
「ひまり、うるさい。他の客に迷惑かかるでしょ…。……紗夜さんに日菜さん、こんにちは」
「ええ、こんにちは」
「Afterglow勢揃いだね!」
聞き慣れないワードと弾丸のように進む会話の応酬に、凪は困惑。声にはしていないものの、行動に出てしまっている。
「……あっ、ごめんなさい、凪」
「…?紗夜先輩、その人誰なんですか?」
4人の内の1人が疑問に思ったのか、紗夜に尋ねる。
「訳あって私達の弟になったんです。凪、自己紹介を」
「……氷川…凪……です。……宜しく…お願いします」
やはりぶつ切りになっている。まだ慣れていないのだろうか。そう思う紗夜と、店員さんに注文をしている日菜。
…せめて凪のほうに注意を向けたほうが良いのではないのだろうか。
「……まだ他人と話すのに慣れないかしら?」
「……」コクリ
他人と話すことに慣れるのが難しいor時間がかかる人はいるだろう。程度が激しいだけで、それは凪も例外ではない。似たもの(もしくは同じもの)に、コミュ障が挙げられるだろうか。
「ふぇひぃれふぁふぃをふふぇへふぅへふほふぁふはふふぁは!(出来れば気を付けてくれると助かるかな!)」
「……日菜、口に食べ物を入れながら喋らないで」ハァ…
日菜の行儀の悪さに、怒りを通り越して呆れを露にしている紗夜であった。
かくして、自己紹介を終えた一同(自己紹介は長くなりそうなので割愛)。因みに、Afterglow一同の名前は以下の通りである。
Vo.&Gt. 美竹 蘭
Gt. 青葉 モカ
Ba. 上原 ひまり
Dr. 宇田川 巴
Key. 羽沢 つぐみ
少し雑談をした頃、そろそろ出ようかと思っていたその時、つぐみを除いた4人の方から、こんな言葉が聞こえてきた。
「……モカはこの後どこ行くの?」
「山吹ベーカリーに行くよ~」
「アハハ!ほんっとモカはパンが好きだな!!」
"山吹ベーカリー"というワードが出てきた途端、氷川姉妹がはっとする。見てくれで、それが焦りを露にしていることは、すぐにわかるだろう。それを見たつぐみが2人に聞く。
「……忘れていたんですか?」
「…………はい」
「完全に忘れてたね~」アチャー
「……?」
そう、氷川姉妹達の知り合いの店は2つではないのだ。あと1つ、山吹ベーカリーが残っている(ますきのところはすでに挨拶済み)。
山吹ベーカリーも、この商店街では人気店の1つであるため、忘れることは中々ない…はずなのだが。
「そうとわかったら、急がないといけないわ。日菜、凪、行くわよ」
「はーい!じゃあつぐちゃん!バイバーイ!」
「はーい!お二人とも、また!」フリフリ
2人が店を出る……が、凪はまだ残っている。2人はまだ気づいていないようである。
「……羽沢…さん」
「……凪君?お姉さん達、もう行っちゃったよ?」
何故姉達についていかなかったのかと思考に暮れているつぐみに、凪が思いもしなかった事を言った。
「……今日は…ありがとうね…」ニコッ
「~ッ!///」カァァ
たった一言(笑顔付き)を告げ、凪は店を出る。一方のつぐみは、顔を真っ赤にしながら固まっている。
「……可愛い///」ボソッ
そんな1人の少女の小さな呟きは、誰にも届かなかった。
[山吹ベーカリー]
「…本当にごめんなさい」
「気にしなくていいですよ」アハハ…
氷川姉妹が山吹ベーカリーの看板娘である
そんな中凪はと言うと、自己紹介を終えた後、紗夜から「食べたいパンを選んできなさい」と言われ、沙綾の父に色々聞きながら選んでいる。
紗夜曰く、パンの種類はおろか、パンについてもさほどわかっていないらしい。……逆に、何ならわかるのだろうか。こっちまで気になってくるものだ。
「ほんっとに頭から抜けてたよね、私達」
「…どうしてかしら」
「うちに来ることも少なくはないですよね…」
何故山吹ベーカリーの事を忘れていたのか、というしょうもない事を議論している最中、紗夜の視界に凪が映る。
とっても眩しい笑顔だ。
そんな凪を見た紗夜はというと…
「日菜、あれが可愛いっていう事ね」
「…おねーちゃん……」ハァ
流石に場を弁えて欲しいのか、はたまた今は抑えてるのかわからないが、珍しく日菜と紗夜の立ち位置が逆転している。
いつもなら(紗夜が正常な時に限る)、日菜がそういう事を言うのだが、紗夜の耐えれなかったのだろうか。
それを目の当たりにした沙綾はというと…
「……へ?」
そりゃそうだ。
バンドで知り合った氷川 紗夜はクールなイメージだった。そんな彼女が急に可愛いを語りだすことが、どれだけの衝撃を与えることだろうか。素っ頓狂な声を上げても、無理は無い。
そうして呆けている沙綾のもとに、パンを選び終わったのか、凪がやってくる。
「山吹…さん、お会計……お願いします…」
「~ッ!!」
堕ちた。というより、また凪が無意識に堕とした、といった方が正しい。無意識というものは、時に大変なことを引き起こす。今回のように。
「…何……これ…?」
「……山吹…さん?」クビカシゲ
「…はっ!ごめんね!会計ね!?えっと……」
顔を真っ赤に染める沙綾を心配するような目でみつめる凪。それを見て、益々顔を紅くする沙綾。そんなループは、凪達が店を後にするまで続いた。
[帰り道]
色々あったものの、商店街の店を一通り紹介し終えた氷川姉妹。今は帰りの途中。夕焼けも、直に沈むような時間になっていた。
「凪くん、今日は楽しかった?」
「……よく…わからない」
「…そっか」
凪が浮かべた少し悲しい表情。その表情は、本当に楽しくなかったのではなく、少し戸惑っている事を暗に示している表情にも見て取れるが、2人はそうとは思っていないようである。その表情を見た2人は、凪に言う。
「やりたいことがあったら、私達に言うのよ?」
「叶えられる範囲でなら叶えてあげるからね!」
「……うん」
姉妹は、自分らの言葉が届くことを祈りながらも、凪をずっと見つめながら、凪の手を握っていない方の手を強く握っていた。
ということで、第4話が終わりました。
こうして小説を書いていると、学校の国語をしっかり勉強していて良かったと実感します。特にこういう情景を書く時には、かなり助けられていますかね。それはさておき、前書きで言ったアンケートを貼っておきますので、ご回答お願いします。
次回『青年は、学び舎に行きました』