あの日見た青年は、空虚でした   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

まだまだしばらくは本編を進めようと思います。アンケートはもう少し先になると思いますので、気長にお待ちください。

そして、データクラッシャーさん、otonaさん、ユウキ、さん、お気に入り登録ありがとうございます。この作品も、沢山の人に気に入ってもらえてると思うと、嬉しいです。その期待に全力で応えますので、これからもご愛読して下さると嬉しいです。

では、本編を開始します。



【本編】青年は、心配されていました

十数分後

 

 

「…ぅうん……ここ…は?」

 

 

「おっ、目が覚めたかな?」

 

 

あの一件から少し経つと、凪が起きる。

 

成ヶ谷 火煉(なりがやかれん)(保健の先生)は仕事が一段落ついたようで、ちょうど凪の方を確認しようとした時だった。

 

 

「……貴女…は?」

 

 

「そうだね……私は成ヶ谷 火煉だよ。…この学校の保健室の教員ね」

 

 

「……保健室…?……あっ…」

 

 

保健室というワードを聞くと、凪はあの一件で自身が倒れた事を思い出したようだ。思い出した凪に対し、その場にそぐわない一言が放たれる。

 

 

「君、随分と気に入られてるみたいだね」

 

 

「……?」

 

 

「君を運んできた時の紗夜さんの焦り様ったら…いつものクールさの欠片もなかったよ。彼女がああなる事なんて、私は初めて見たからね」

 

 

学校ではクールで有名なようで、それを崩したことはないとまで言われている。

 

しかし、可愛がってる弟が倒れたともなると、冷静さなんて二の次。そんな紗夜を花咲川の生徒が見た暁には、果たしてどうなるのか。……ちょっと気になってしまう。

 

 

「……今は…何時です…か?」

 

 

「ん~と……13:10だね。午後の授業はまだ始まってないと思うよ」

 

 

幸い、ここに運ばれてからあまり時間が経たないで目が覚めたようだ。それを聞き、凪も安心したように息を漏らす。

 

 

「…よかった……欠席に…ならない…」

 

 

「…似るもんだね」

 

 

「……?」

 

 

「いんや、何でもない。…行くなら急いだほうが良いと思うよ。まだ昼食も食べてないんだろう?」

 

 

そう、凪が連れてこられてから倒れるまでにはあまり食べれていなかったので、まだ昼食を十分に摂れていないのだ。その証拠に、凪の腹の虫が何度も声を上げる。

 

それを気の毒に思ったのか、優しい声色で凪に問いかける火煉。

 

 

「…早く行くといい。昼食を十分摂れなくてまたここに来るのも嫌だろう?」

 

 

「……はい。…失礼します」ペコリ

 

 

「うん、気をつけるんだよ」

 

 

律儀だなと火煉が思っている間に、凪は保健室を出ようとする。しかし、凪は扉を開けると火煉の方に向き…

 

 

「…ありがとう……ございました。…失礼します……」フカブカ

 

 

そう言い残し、保健室を後にした。それを目にした彼女は、驚いた後…

 

 

「……本当に、そっくりだね」

 

 

独り言のように、そう言った。学校の職員らは、予め凪らの事情についての説明がされているので、紗夜と凪が本当の姉弟でない事などは把握済みだが……

 

 

「…一緒にいると、自然に似てくるのかね…」

 

 

そう言いながら、彼女はコーヒーを啜っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[2-E]

 

 

「……ふぅ」

 

 

教室に戻ると、自分の席を見つけて座る。自分の席というのは、僕の中では落ち着く部類に入る。

 

…先の件について、ふと思い出す。……申し訳ないこと、しちゃったかな。若宮さんは、多分厚意でしてくれた事だったのに、あんな事態にさせてしまった。…後で謝ろう。

 

そんな事を考えながら、早雪さんが作ってくれたお弁当を食べる。……やっぱり美味しい。なんだか、落ち着く味だ。

 

 

「……お礼、言わないと…」

 

 

そんな事をポツリと呟く。……あそこの女子グループの方で何か黄色い声が聞こえる。……気のせいだろうか?

 

そんな事を思っているが、ふと思い出し、時計を見る。

 

 

「……もう…時間があんまりない……。少し…早めに…食べないと…」

 

 

考え事をして昼食を十分に摂れませんでしたでは、また姉さんと火煉さんに迷惑をかけてしまう。…それはダメだ、うん。そう言い聞かせて、昼食を食べ続けた。

 

弁当の味の余韻に浸れなかったのが、残念だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[放課後]

 

 

「じゃあたえちゃん、号令お願いねー」

 

 

「起立、礼」

 

 

『ありがとうございましたー』

 

 

無事に(?)一日が終わる。初日でまだ慣れない事もあるけど、次第に慣れて行こう、うん。…あ、片付けて帰らないと…。

 

 

「あ、あの……」

 

 

「……?」

 

 

教材をしまっていると、若宮さんが近づき、僕に話しかけてきた。……そうだ、謝らないと。

 

…いや、話を聞いてからにしようか。聞き手に回ることも大事だって、いつか読んだ本の中にも書いてあったしね。

 

 

「…お昼の時は、スミマセンでした!」フカブカ

 

 

「……え?」

 

 

……先に謝られた。…予想外すぎて、思わず声が出てしまった。……どうして謝るのか、イマイチわからない。

 

 

「まさか倒れてしまうとは思いませんでしたので……」シュン…

 

 

「……こっちも、すみません…でした。せっかく……若宮さんが…連れて下さったのに…」

 

 

「ヘ!?いえいえ!私も、後先考えないでやってしまったので……」

 

 

しばらく、こんな"どっちが悪かったのか決定戦"みたいなやりとりが続いた。どれくらい続いたのだろうかわからないが、結構言い合っていたような気がする。

 

 

「…ふふっ」

 

 

「……はは」

 

 

仕舞いには、自分たちのやり取りに、両方が笑ってしまう結果に。……若宮さん、良い人なんだな。

 

 

「…良ければ…また…連れて行ってもらえますか?…今度は、ちゃんと…皆さんとお話が…したいので」

 

 

「……ハイ!!」パァァ!

 

 

仲良く…なれたのかな?…なれたなら……良いな。若宮さんは満足したような顔をし、ハッとした顔をする。

 

 

「…あっ!私用事がありますので!また明日!」

 

 

「…うん、また…ね」

 

 

そうして、教室を後にした。……さて、姉さんも待ってるだろうし、少し急ごうかな…。

 

 

「ねえ、凪」

 

 

「…?」

 

 

「明日はさ、私達とお昼食べない?」

 

 

…正直驚いた。思ってもなかった頼みだった。……というより、何でだろう。誘い方が、どこかナンパみたいに感じるんだけど……。

 

でも、せっかく誘ってくれたことだし、というより、断る理由もないため、僕は了承した。

 

 

「…うん、いいよ。…寧ろこっちから……お願いしたい…くらい」

 

 

「わかった。忘れないでね?」

 

 

意外と素っ気無い返事を返されたなぁと思ったときには、もう花園さんの姿はなかった。……マイペース、なのかな?

 

 

「…そろそろ行こう。いい加減…姉さんに…心配をかけるわけにも…行かないし」

 

 

学校初日が、終わる。……何だかんだ、楽しかったな。……明日も、明後日も、こんな1日が続きますように……。

 




ということで、第7話が終わりました。

次回も学校回になるかと思われます。その後は、数話後に日常を書いていこうかと計画しています。そして、そろそろ設定集を投稿しないといけないと思ったので、近い内に投稿しようと思います。本編と設定集を同時に投稿する形になると思いますので、是非両方見て下さい。

次回『青年は、個性的な人達と出会いました』
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