小咲 「桐崎さんがどうしてここに・・・」
小咲が驚くのも納得がいく、部屋を出てから数分もたたないうちにさっきまでいなかった千棘が辛そうにして寝ていたのだ
楽 「悪い小野寺、桐崎の具合が悪いんだ
大至急キッチンから温かいお湯とタオルを持ってきてくれ」
楽の表情は非常に険しく、楽の顔を見た小咲もすぐにただ事ではないことがわかった
小咲 「あ、うん!」
大急ぎでキッチンへと向かい、お湯とタオルを探しまわった
小咲 「お湯をこのたらいに入れて、あとはタオル タオル」っっっ
タオルを見つけた小咲はお湯をこぼさないように小走りで楽の部屋へと戻った
ガラッ
小咲 「一条くん頼まれたもの持ってきたよ!」
楽 「ありがと小野寺、ちょっとこっちに置いてくれ」
小咲 「うん!」
小咲は枕元にたらいとタオルを置いた
小咲 「一条くん、桐崎さんの具合どう?」
楽 「少しは良くなってきたみたいだ、呼吸も安定してきたし」
濡らしたタオルで汗を拭くと次第に顔色も良くなってきた
小咲 「そっかぁ、良かった・・・」
さっきはビックリしたょ
ほっと胸をなで下ろす小咲
そのあとも楽と小咲は、一生懸命千棘を看病した
二人の頑張りもあり千棘の体調は良くなりつつあった
小咲 もうこんな時間かぁ、こんな時に言いにくいけど言わなきゃ・・・
「ごめん一条くん!」
楽 「へ?」
いきなりごめんと言われてもいったい何が何だかわからない
小咲 「実は私、お母さんに夕方からお店の手伝い頼まれてて・・・」
楽 「げ、それはマズいな・・・
じゃあ早くお店の手伝いに行かないと・・・」
小咲のお母さんは楽もビビるほど怒らせると怖い、
特に約束を守らない人が一番許せないらしい・・・
楽 「店まで送ってくから小野寺行くぞ!」
小咲 「でも、まだ桐崎さんが」
楽 「ちょっとの間なら大丈夫だと思うけどな、」
小咲 「ダメだよ一条くん! 目が覚めた時、そばにいてあげなきゃ
でないと桐崎さん不安になっちゃうから・・・」
楽 「わ、わかったよ じゃあせめて門のところまで」
---一条家 門前ーーー
楽 「せっかく遊びに来たのに今日はごめんな」
小咲 「いいよいいよ、 さっ早く桐崎さんのところ行ってあげて」
楽 「あ、あぁ また明日な小野寺」
小咲 「うん、桐崎さんにお大事にって じゃあまた明日ね一条くん」
小走りで戻る楽の姿を見た小咲はちょっぴり寂しく感じた
小咲 「私も一条くんに看病されたいなぁ///
って私は何を言ってるの!!!///」
思わず本音がポロリと出てしまう小咲
その後すぐに楽は千棘の看病をしに部屋へと戻った
ガラッ
楽 「桐崎まだ目覚まさないか・・・」
はぁ、明日あたりあのメガネに抹殺されそうだな、
千棘 「 ん・・・・・」
数十分後、千棘はゆっくりと目を覚ました
楽 「桐崎! 大丈夫か?」
千棘 「・・・あれ、 なんで私布団で寝てるの?」
ふらふらしながら千棘は体をおこそうとした
楽 「まだ無理するなよ、 押し入れの中で倒れたんだ桐崎は」
体をおこそうとする千棘の背中を優しく支えた
千棘 「もう平気平気、 そっか、私 気失ったんだ・・・」
楽 「ごめん、俺が押し入れに入れって言ったばかりに・・・」
千棘 「あんた知らなかったんだからしょうがないわよ」
楽 「な、何を?」
千棘 「私が暗いところダメなのと閉所恐怖症のこと」
楽 「ごめん、それは知らなかった、」
また一段と表情が曇っていく楽
千棘 「だからあんたは気にする必要はないわ、」
楽 「でも」
千棘 「いーいー、もうそういうのいいから
あんた私のこと看病してくれたんだろうからおあいこよ」
楽 「あ、あぁ・・・」
楽は俯いたままなかなか千棘の顔を見ようとしない
千棘 「男のくせにいつまでも不貞腐れてるんじゃないわよ、それに」ぐぅ~
楽の部屋に千棘のおなかの音が鳴り響いた
千棘 「////////」
楽 「なんだ腹へったのか?」
千棘 「うっさいわね! お昼食べてないんだからしょうがないでしょ!」
楽 「それもそうか お昼の残りだけど、食べるか?」
千棘 「うん、食べる・・・」
楽 「ちょっと待ってな、今持ってくるから」
バタン
楽は焼きそばを炒めなおしにキッチンへと向かった
千棘 「はぁ、いいタイミングでお腹がなったものね、あんな暗いやつの顔なんか見たくないし、」
それにしてもあんなに暗いところ入ったの小さい頃以来だなぁ
昔は友達が必死で助けてくれたっけ、それに私毎日泥んこになって帰ったし
確か名前は・・・ 」
ガラッ
楽 「できたぞ桐崎」
炒めなおしとはいえ焼きそばから香ばしい香りが漂った
千棘 「いい匂いじゃない」
楽 「いいのは匂いだけじゃないからな」
布団のそばにテーブルを寄せ、焼きそばを置いた
千棘 「これ何?」
楽 「焼きそば知らないのか?」
千棘 「だってアメリカにかなり長い間いたんだから知らないわよ」
楽 「そういえばそうだったな、まぁ いいから食べてみな」
何も言わずに焼きそばを一口頬張る千棘
千棘 「っ!」
楽 「うまいだろ」
千棘 「普通よ、ふ つ う」
そうは言う千棘だが、黙々と焼きそばを食べ続ける
楽 「言ってることと行動が逆だな」
ものの数分で焼きそばを平らげた食欲旺盛な千棘
千棘 「おかわり!」
楽 「今のが最後だっての」
千棘 「ちぇ、」
楽 「なんだ、やっぱりうまかったか?」
千棘 「べ、別に」
楽 「へぇ~~」
ニヤニヤしながら顔を覗き込んでくる楽
千棘 「っ 私もう帰るから!」
慌てて立ち上がろうとするが、病み上がりのためふらふらする千棘
楽 「おいおいそんな急に動くなって、まだ病み上がりなんだから」
千棘 「大丈夫っていってるでしょ! じゃあさようなら!」
ガラッ
おぼつかない足取りで玄関へと向かおうとする千棘
楽 「ちょっと待てって」
千棘 「うるさい、ついてこないで」
楽 「ここ俺の家だし・・・」
千棘 「そうだったわねー、」
楽 「聞いてないだろ・・・」
千棘 「はいはい、また明日っと」
靴を履きながら楽に適当に返事をする千棘
楽 「それならせめて桐崎の家に連絡させてくれよ」
千棘 「はぁ? なんで? もやし何する気?」
楽 「変なことしねぇって、お前を迎えに来てもらうんだよ」
千棘 「あぁ、なるほど それもそうね、流石に家までは歩けないし じゃあよろしく」
玄関にちょこんと座り込み、足をぶらぶらと動かす千棘
楽 「番号は?」
千棘 「は?」
楽 「だから家の電話番号」
千棘 「・・・・・」
二人の間に5秒ほどの沈黙が流れた
楽 「桐崎、番号は」
千棘 「あーーーもう、 そんなの覚えてるわけないでしょ!」
楽 「え、自分の家の番号覚えてないのかよっ」
高校生にもなって自分の家の番号覚えてないって
口を押えながらなんとか笑いをこらえる楽
千棘 「それ以上言ったら殴るわよ」
楽 「それ以上ってまだ一言」
楽が言葉を発した瞬間、千棘は玄関の壁を力任せに叩いた
楽 「・・・・・
えっとあの携帯に登録とかは・・・」
千棘 「してない」
楽 ・・・はぁ、仕方ないか
「ほら桐崎」
そういうと楽は玄関前にしゃがみこんで千棘に背中を見せつけた
千棘 「なに、腰でも痛いの? まだ若いのにたいへんねぇ」
楽 「ちげーっての、家までおんぶしてやるってことだよ!」
千棘 「はーーー!? 冗談でしょ!?」
楽 「こっちは真面目に言ってんだよ、」
千棘 「もやしにおんぶされるくらいなら自分で這いながらでも帰るわ」
楽 どんだけ嫌なんだよ・・・
「そんな状態で帰ったら、流石にマズいだろ 俺は家の前まで送ったら帰るからさ
それに一様付き合ってることになってるし俺たち」
千棘 「・・・・・くっ
わかったわよ、でも変なところぜーったい触らないでよね!!!」
楽 「触んねーって、ほら乗れよ」
しぶしぶ千棘は嫌がりながらも楽の背中に自分の身を委ねた
楽 うわっ、こいつこんなに胸デカかったっけ 背中に柔らかい感触が・・・
千棘 「重いって言ったら殴るから」
楽 「重いというより柔らかいな・・・」
千棘 「は?」
楽 「なんでもない! 忘れてくれ!」
千棘 変な奴・・・
その後、楽と千棘は桐崎家へと向かった
楽は千棘をおんぶしているせいか吐息が時折楽の耳にあたる
はたから見れば楽と千棘は恋人そのものだった
楽 「そういえば小野寺も桐崎のこと看病してくれたんだぞ」
千棘 「え? 小野寺さんが?」
楽 「あぁ、小野寺がいてくれて助かったよ 俺一人だったら危なかっただろうし」
千棘 「小野寺さん優しいんだね、やっぱり」
楽 「優しすぎるくらいだよな小野寺って」
千棘 「そうね、」
楽 「明日ちゃんと小野寺にお礼言っとけよ」
千棘 「わかってるわよ、
それより小野寺さんには私がもやしの家にいた理由なんて言ったの?」
楽 「テンパってたから言ってない・・・」
千棘 「ちょっとどうするのよ、マズいじゃない」
楽 「小野寺はみんなに言いふらすような人じゃないから大丈夫だろ、
明日何とか説明しとくよ」
千棘 「わかった・・・」
「あれは・・・」ニヤニヤ
物陰で二人を見つめる影が一つ
千棘 「あ、もやしの友達のメガネの・・・ えっと舞子君だっけ?」
楽 「あぁ、集がどうしたんだ?」
千棘 「ひょっとしておしゃべりだったりする?」
楽 「あぁ・・・ 完全におしゃべりだな」
千棘 「大丈夫なの!? それ」
楽 「もしこんなところをあいつに見られたら一貫の終わりだな」
千棘 「は、離せーーーーーー! そんなの嫌だぁーーーーーー!」
後ろで千棘がバタバタし始めたせいで危うく落としそうになる楽
楽 「バカっ、急に暴れるなって」
千棘 「だって、だって!」
楽 「任せとけって、大丈夫だから
この道は集の家とは反対方向 ここらへんにあいつがいるわけがない」
千棘 「本当?」
楽 「あぁ、大丈夫大丈夫」
千棘 「そう・・・
あ、もうここまででいいわよ 家の前までついたし」
楽 「おう、わかった」
楽が屈んで千棘を下ろそうとしたその瞬間
鶫 「お嬢、こんな時間までどこに・・・」
千棘 「つ、鶫? なんで今日はここで出迎えなの?」
鶫 「夕方頃には帰るとおっしゃっていたのになかなかお戻りにならなかったので心配になって
それに携帯にお電話してもなかなか繋がらなかったので・・・」
桐崎家の門から鶫がゆっくりと二人に近づいていく
辺りは暗く鶫の表情は窺えない
千棘 やば、携帯の電池切れてた・・・
鶫 「あなたがお嬢のお相手ですか?」
楽 「ま、まぁ い、一様付き合わさせてもらってます」
鶫に軽く会釈をしながら答える楽
鶫 「一様だと?」
途端に鶫の目つきがガラリと変わった
楽 「あ、いや・・・」
ヤバい・・・
千棘 「まぁまぁ、鶫もそんな怖い顔しないで
ダーリンは体調の悪かった私を家まで負ぶってきてくれたんだから」
鶫 「お嬢、体調崩されたのですか?」
千棘 「ちょ、ちょっとね でももう平気よ! ダーリン頼りになるわぁ」
楽 すまない桐崎、恩にきる
鶫 「・・・・・
それはそれは一条様、お嬢を救っていただきありがとうございます」
楽 「いや、普通のことをしただけで・・・」
さっきと感じが違う気がするけど気のせいか、
千棘 「じゃあもう遅い時間だし、また明日ねダーリン
さっ鶫行きましょ」
鶫 「お嬢は先にお戻りになっててください、私は一条様と少しお話がしたいので」
千棘 「え、うん わかった」
どうしたんだろう急に・・・
千棘は鶫の呼んだギャングたちに体を支えられながら家(屋敷)の中へと入って行った