「…それにしても、あんたと同じクラスとはねぇ…ほんと因果なもんだ。」
あれから少しして、それぞれが教室に入る。
光夜と凛音、そして辰覇はまさかの同じクラスで、1-A組。
心は1-Bで、雷兎は1-D。影善が1-E。綺羅麗は1-F。
全6クラス、1クラスに40人の計240人。
学力面等の入学難易度に比べたら多い人数と言えるだろうか。
その中でも光夜と凛音が同じクラスとは、なんとも数奇な運命か。
「う、うるさいわね…昨日の時点でわかっていた事じゃない…それとどうして私に話し掛けるのかしら…」
わざわざ自分の隣の席に座って話し掛けてくる光夜を鬱陶しく、それでも強く返せない凛音。
ちなみに、教室は大学のように教壇をとり囲う階段状になっており、一つの長テーブルにつき3席。
凛音は中央列のど真ん中にあるテーブルの、更に真ん中に座っており、光夜はそのすぐ左にて凛音に話しかけている。
当然目につく2人。他の生徒からは注目を浴びまくっている。
「これでも仲良くしようと思ってるんだぜ俺は?少しくらい会話に乗ってくれよ。」
そう言われても…と困る凛音。
2人きりで会話をするなんて、昨日の今日で出来る程光夜への好感度は高くない。
「そうだぜ白皇。同じ寮生のよしみだ。仲良くいこう。」
「わわ、坂本君!?」
光夜からすこーし距離を取っていた凛音の横から辰覇が現れてドカッと席に座る。
その図体のデカさに驚いて光夜側へとズレる凛音。
「おいおい、そんな慌てて逃げるこたぁないだろ。」
「に、逃げた訳じゃなくて!あまり男性と近くで接した事なんてないから…その…」
「お、おう…なんか悪かった…」
急によそよそしくなる凛音に、辰覇も戸惑う。
「もしかして俺に気があるのか?」
と一瞬思うが、よくよく考えたら貴族の令嬢が男2人に逃げ場を無くされているのだ。
借りてきた猫のように大人しくもなろう。
「よーし、話は終わったか?なら少し早いが挨拶から授業入るぞー。」
凛音達の会話が途切れたすぐ、教壇から声が聞こえ、皆そちらに注目する。
そこには黒い肌にドレッドヘアの男性の姿。
「…ん?あの人見覚えあるな…」
「見覚えあるっちゅうかよ…」
「見覚えくらいあるに決まってるじゃない。だって、《プロデュエリストのギーガー・ティケッド》ですもの。」
そう、そこに立っているのは、元プロデュエリスト。
プロから引退し、講師をしている。
大物の登場に、生徒達は興奮を隠せない。
「いらないだろうが一応自己紹介だ。ギーガー・ティケッド。元プロデュエリスト。今はこの学校で英語教師だ。元プロって事で君らが俺の事を必要とする事もあるだろう。それと、この学校の授業において昨日説明されてるだろうがおさらいだ。
この学校では、授業45分、休憩15分。
二時間同じ学科を続けて行う。
校舎が広い故の移動等の負担軽減が主とされている。
また、午後の二時間は全てデュエルに関する授業となる。
本来ならば今日はフェイズごとの流れのおさらい等になるはずだったが…
そこのお前達。獅子神 王牙の弟子達がデュエルを挑まれている事、それによるデュエルフィールド複数の使用が許可されたため、午後はそのデュエルの観戦に変更された。今さら知ってるであろう事をダラダラと解説するよりもその方が身に付くだろう。」
昨日に説明されていた事の復習。
そして午後の内容の開示。
「文句、質問が無ければ授業に移るとしよう。」
ギーガーが話を切り、授業の準備へと移る。
教科書を持ち歩く必要はなく、USBメモリーを机に然るべき場所に差し込む。
するとモニター、キーボードが机に浮かび上がる。
直接触れる必要も持ち歩く必要もなく、宿題もデータ送信しておけば済んでしまうため、この学園では当たり前のシステムとして活用されている。
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「…ふぅ…」
一時間目の準備が滞りなく終わり、トイレにいる凛音。
鏡の前でため息をつく。
「あ、あの!凛音様!」
「ひゃっ!」
ふと後ろから凛音を呼ぶ声。
緊張しているのかやや大きな声を出され、凛音はビクッ!と身体を震わせる。
「あ、ご、ごめんなさい!私驚かせるつもりは…!」
「え、えぇ、いいのよ。私もぼーっとしてしまって…何か用かしら。音乃木 之音(おとのぎ ののん)さん。」
そこにいたのは、今日の午後に心とデュエルする事が決まった少女、音乃木 之音。
朝は3人組だったが、今は1人だけのようだ。
「い、いえ…あの…いきなり寮を去ってしまったので…せっかく、仲良くなれるかなと思っていたので…」
不安げな表情。
声も弱々しく、次第に消えていきそうだ。
「べ、別に寮が変わったからといって、こうして話す事は出来るじゃない?気にしすぎよ?」
当たり障りのない言葉。
凛音からはそれくらいしか言えない。
だが、之音にはそれでは駄目なようで…
「凛音様…私、今日心ちゃんを倒して、貴女に戻ってきてもらいたい…私、負けませんから…!」
「之音さん…」
身体を震わせ、涙を浮かべながらも、之音は力強い、決意の眼差しを凛音にぶつける。
凛音が何かを言うよりも早く、之音は出ていく。
「…私は………」
戻りたいのは事実。
だが、いまいち決意の固まらない凛音はうつむき、その場から動けなかったのだった。