遊戯王‐creator‐   作:月花撩乱

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19話~数多の壁を乗り越え、彼らは笑う~

視点は綺羅麗の方へ戻り、綺羅麗がペンデュラム召喚をした直後から始まる。

 

 

「ふふふ、さぞ聡明なる貴方には必要ないと思いますが、念のため説明しておきましょうか…この魔界劇団ビッグ・スターは登場に成功時、相手は魔法・罠を発動出来ません。つまり、貴方が先程持ってきた超融合も、登場時には発動不可能!悔しいでしょうねぇ!」

 

ビッグ・スターの効果によって安全に着地させる事に成功し、綺羅麗は真二を煽る。

それはもちろん効果覿面。真二の顔は怒りからかヒクついている。

 

「うるせぇ!だがお前が行動を取った時には発動出来るようになる!大した違いは無いだろうが!」

 

そう、それはその通りなのだ。

綺羅麗が何かしら動きを見せれば、真二は即超融合が使える。

事態は未だピンチだろう。

だが、綺羅麗はそれさえ、愉快そうに笑うだけである。

 

「えぇ、それはそうです。なので、僕は手札からこのカードを発動しましょう。魔法カード《魔界台本-魔王の降臨》!」

 

「!!そ、そのカードは!」

 

綺羅麗が見せたカードに、真二は狼狽える。

なぜならそのカードは…

 

「そう!この魔王の降臨!レベル7以上の魔界劇団がいる時、発動時に相手はチェーンが出来なくなるのです!」

 

立て続けに超融合を対策した動き。

まさか手札に持っているなんて思わなかった真二の精神には大ダメージだ。

 

「この魔王の降臨は自分の魔界劇団モンスターの種類だけ、表側のカードを対象に取り、破壊します。そちらのキメラフレシア、プレデター・プランターを破壊するとしましょう。」

 

「くそっ、なんて事しやがる…!」

 

何も出来ぬまま、真二は大事なカードを破壊されていく。

プレデター・プランターを破壊されてしまっては、この後の立て直しにも響いてくるだろう。

 

「ふふふ、キツイでしょう?

更にビッグ・スターの効果を発動するとしましょうか。ビッグ・スターは、1ターンに一度魔界台本カードをセット出来ます!僕がセットするのは2枚目の魔王の降臨!」

 

「まただと!?」

 

場に残るオフリス・スコーピオまで潰しにかかる。

真二は精神を揺さぶられる。

そして…

 

「なら僕はここでセットカードを発動する!手札の捕食植物コーディ・セップスをコストに《超融合》を発動!!僕のオフリス・スコーピオと、お前のモンスター2体、闇属性3体で融合する!」

 

真二の発動した超融合により、敵味方問わず3体のモンスターが織り交ぜられていく。

そして…

 

「喰せ!お前ならば全てを喰らう事が出来るだろう!

融合召喚!《捕食植物トリフィオヴェルトゥム》」

 

3体の闇属性モンスターを元に生まれ落ちたのは、竜の姿をした化物。

攻撃力3000。

攻撃力の基準だけで見るなら、このカードが恐らくは真二の切り札。

 

「あはははは!こいつは攻撃力3000!しかもお前の特殊召喚を無効にする効果を持っている!お前のペンデュラム召喚はもう!怖くなんか無いんだよ!どうだ!悔しいだろぉ!」

 

対策を取った行動も、結局は無意味。

こうなっては真二の方が有利。

誰もが、そう思う。

綺羅麗を除いては。

綺羅麗はまだ、笑ったままだ。

 

真二の盤面

モンスター 捕食植物トリフィオベルトゥムのみ

魔法・罠 無し

手札 1枚

 

綺羅麗の盤面

モンスター 無し

魔法・罠 魔界台本-魔王の降臨(セット)

ペンデュラムゾーン 魔界劇団-ワイルド・ホープ 魔界劇団-メロー・マドンナ

手札 4枚

 

 

 

そして、雷兎と水面に視点は移る。

除去効果を持つシンクロモンスター電脳堺獣-鷲々(でんのうかいじゅう-ジュジュ)》の効果を無効にされ、そのコストに墓地のモンスターまで削ってしまった雷兎。

水面に煽られ、焦りの表情を浮かべている。

 

 

「おっ、いいとこかな?絶好の席座ってるじゃんか。」

 

中央モニターを観ていた凛音、涅槃、聖のすぐ近くから声がして、3人が振り替えると、そこには光夜と辰覇の姿。

 

「あ、暁君!?貴方なんでここに!」

 

「俺達最後になったし、腹減ったって辰覇が言うからさ。まあどうせならこっちで観戦しようと思って。

涅槃さんに席聞いてたから見つけるのは楽だったよ。」

 

凛音達のすぐ後ろの席に座る2人。

辰覇はお盆に売店から購入したであろう食べ物をすぐに食べ始める。

 

「昼飯はどうした辰覇。食べなかったのか?」

 

「いや、食ったよ。デュエルするんだしパワー入れとこうと思ってな。」

「パワー…?」

 

「こいつの特殊体質だから気にしなくていいぞ白皇。」

 

ほんとにご飯食べたの?と凛音が疑問に思うくらいの辰覇の食べっぷり。

光夜は呆れながら答えてくれる。

 

「ふふふ、それにしても、雷兎ちゃんピンチみたいね。どう思う?」

 

「というか、あの電脳堺ってカード達…私も知らないのだけど…どういうことなの…?」

 

涅槃、凛音が光夜に問い掛ける。

凛音ですら知らないテーマはそうそう無い。

 

「…電脳堺は、今試作段階の新テーマだ。そのテスターとして雷兎が選ばれて、あいつが世界でおそらく初めての所有者だ。」

 

「えぇっ!?」

 

新テーマが出てくるのはまぁわかる。

が、そのテスターにただの高校生、しかも王牙の弟子とはいえ無名人だ。

驚くのは当然。

 

「まあその辺りは俺も詳しいわけじゃないからあとは雷兎に聞いてくれ。で、涅槃さんの問いについては…わからない。」

 

「えっ…?」

 

光夜がわからないと言うとは思わなかった。

凛音は呆ける。

 

「実をいうとさ、俺もあんまりやりあえて無かったんだ。受験勉強の真っ只中で雷兎が電脳堺受け取って、俺達が知ったのは受験に合格してからだから。」

 

「そ、それなら天童君は元はなんのデッキを使っていたの…?」

 

「…それはいつか、な。」

 

凛音からの問いを、光夜は含むを持たせながらうやむやにする。

それ以上は話すつもりが無いのがわかり、凛音はモニターに顔を向ける。

そして、雷兎がちょうど次の動きへと入ろうとしている所だった。

 

「…俺は、墓地にある《電脳堺門-青龍(チンロン)》をゲームから除外し、その効果を発動。デッキから電脳堺モンスターを手札に加え、その後手札を1枚、墓地に送る。デッキから加えるのは、《電脳堺麟(でんのうかいりん)-麟々(リィリィ)》。そして手札からは《電脳堺門(でんのうかいもん)-朱雀(チュチュエ)》を墓地に送る。」

 

「墓地で使える効果があるのか…すげぇな…」

 

 

手札枚数は変わらずとも、動きやすくはなった。

雷兎は動きを続ける。

 

「今加えたリィリィの効果!対象はチュチュエ!デッキから《電脳堺姫(でんのうかいき)-娘々(にゃんにゃん)》を墓地に送り特殊召喚!更に!デッキからまだ選んでいない種類、つまり魔法カードを墓地に!《電脳堺門-青龍》を再び墓地に送る!」

 

麒麟の姿をしたレベル6のモンスター。

デッキの回転力を上げ、その存在は新たな召喚への架け橋を作る。

 

「フィールドにいるジュジュ、リィリィは共にレベル6。これで準備は出来た!」

 

「レベル6が2体…!」

 

『来るぞお前ら!!!」

 

「『エクシーズ召喚!!』」

 

同じレベルのモンスターを複数使用して行うエクシーズ召喚。

それが今、ジュジュさえも素材にして行われる。

 

 

「舞えよ電子の不死鳥!ジュジュをも越えるその力、ここに示せ!エクシーズ召喚!《電脳堺凰(でんのうかいおう)-凰々(ファンファン)》!」

 

2体のモンスターが光の粒子となって分解。

流れ星のように光を放つ光球が地面を回り、門を作る。

ピィーーー!!という甲高い鳴き声と共にその門から飛び出したのは、不死鳥。

門を作っていた2つの光球はその不死鳥の周りを漂い、エクシーズ召喚が成功した事を告げる。

 

『ついにお出まし!エクシーズ召喚!これが天童 雷兎の切り札か!?』

 

水面を見下ろす赤き鳳凰。

観客はその圧倒的な姿に、心奪われる。

 

「このファンファンはエクシーズ素材を2つ取り除く必要はあるが、強力な効果を持つ。いくぞ、ファンファンの効果発動!相手の表側表示のカードと相手の墓地を1枚ずつ対象!それらを、除外する!」

 

「!!?」

 

水面のカードを根こそぎかっさらうつもりの雷兎。

だが、水面もそれを許しはしなかった。

 

「くぅ~仕方ない!セットカードオープン!カウンター罠《神の通告(つうこく)》!モンスター効果の発動を無効にし、破壊するぜ!!」

 

水面がセットしていたのは、2枚ともモンスター対策。

《強欲なウツボ》のドローで引いて来たのは信じられない程に強かった。

ライフを1500も失うが、モンスターへの対抗策としては最高峰。

水面のライフ6500。

だが、雷兎のモンスターは空になった。

 

『おっと!せっかく出した切り札があっさり対処された!これはピンチかー!?』

 

不安を掻き立てるギーガーの解説。

普通はその通りなのだろう。

だが、雷兎はここで笑った。してやったりと言わんばかりに。

 

「いいや、むしろありがたい!みなもっちゃんが引き強くて良かった!」

 

「なん…だと」

 

明るくなる雷兎。水面は身構える。

が、自分を守るカードは今は無い。

 

「ファンファンは相手によって破壊された場合、種族・属性が同じ電脳堺モンスター2体を特殊召喚出来る!」

 

「なっ!?」

 

不死鳥の名を体現するかのような効果。

灰になったファンファンの亡骸から2体のモンスターが。

 

「俺はデッキから《電脳堺豸-豸々(でんのうかいち-ヂィヂィ)》を2体特殊召喚!」

 

「同じモンスターを2体…?またエクシーズか…?」

 

「いいや、違うね!レベル3モンスターが特殊召喚されたタイミングで、墓地にある《電脳堺姫-娘々》が効果を発動!自身をチューナーとして特殊召喚する!来い、にゃんにゃん!お前の本当の力、見せてくれ!」

 

四つ足の獣、ヂィヂィ2体の間に現れた機械少女。

側にいるヂィヂィ2体の頭を撫でている。

 

「チューナーになったにゃんにゃんと、2体のヂィヂィの3体をチューニング!」

 

にゃんにゃんが高く飛翔。

それに連なって2体のヂィヂィも飛翔する。

にゃんにゃんの身体が電子へと分解し、その粒子はヂィヂィを包み込む。

ヂィヂィ達は一つになり、強い光を放つ。

そして、その光は九つの尾を持つ獣へと、姿を変えた。

 

「九つの尾をなびかせて 天より来るは気高き神。

シンクロ召喚。《電脳堺狐(でんのうかいこ)-仙々(シェンシェン)》。」

 

神々しき九尾の狐。

静かに、そして気高く。

その狐は、何を見ているのだろうか。

 

 

電脳堺狐-仙々 レベル9

攻撃力、2800。

 

水面の手札、1枚

雷兎の手札、3枚

 

水面の盤面

モンスターゾーン 白闘気海豚

魔法・罠ゾーン 無し

 

雷兎の盤面

モンスターゾーン 電脳堺狐-仙々

魔法・罠ゾーン 電脳堺門-朱雀

 

 

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