「…にゃんにゃんは自己特殊した場合、ゲームから除外される。ただ、にゃんにゃんはゲームから除外されると他の除外されているカード1枚をデッキに戻せる。これによって、俺は最初に除外されたにゃんにゃんをデッキに戻す。」
プレイングミスが無いように、カードを確認しながら効果を使っていく雷兎。
不安げな表情の雷兎に、仙々は尾を1つ近づけ、頬を撫でる。
「…よし、待たせたなみなもっちゃん!バトルフェイズ!」
仙々を眺めて数秒呆けていた雷兎だったが、気持ちを切り替えたのか水面に向き合い、バトルフェイズを宣言する。
「来るか、雷兎っち!」
セットの無い水面。白闘気海豚だけが頼みの綱である。
「シェンシェンの攻撃する時、シェンシェン自身の効果を発動。ゲームから除外されているモンスター一体を墓地に戻せる。
これによって、《電脳堺媛(でんのうかいえん)-瑞々(ルゥルゥ)》を墓地に戻す!」
「リソース回収…強いな。」
「シェンシェンの本当の強さはこれじゃない!シェンシェンが場にいる限り、お互いのフィールドから墓地に送られるカードは、墓地に行く事なくゲームから除外される!」
「んなっ!?マジかよ!?」
水面のデッキは墓地に水属性があってこその強さを持つ。
故に、シェンシェンは水面にとって大敵だ。
ザシュザシュザシュ!と幾多もの尾に貫かれる白闘気海豚。
哀しい鳴き声と共に、白闘気海豚は散っていった。
水面のライフ、6100。
「くそっ、まさか除外されるとは…」
「俺はこのままエンドフェイズに入り、ヂィヂィの効果処理を行う。墓地にいるルゥルゥを手札に加えてターン終了!」
盤面は無く、手札は1枚。
相手の場には大敵のシェンシェン。
絶望的だ。
だが、水面も簡単に諦める訳にはいかない。
「俺のターン、ドロー…来た!やっぱこのデッキは俺に答えてくれている!」
「マジか!」
決死のドローを見て、笑顔を取り戻す水面。
水面の逆襲が始まる。
「まずはスタンバイフェイズ、墓地にある《ブレイクスルースキル》の効果!このカード自身を除外して、シェンシェンを対象!効果を無効化だ!」
「やっべ!忘れてた!」
警戒を怠り、すっかり忘れていた雷兎。
なすすべなくシェンシェンを無力化されてしまう。
「メインフェイズ!俺は《揺海魚(ようかいぎょ)デッドリーフ》を召喚するぜ!」
ゆらゆらと揺れる魚。
水面が喜ぶのは、理由がある。
「こいつは召喚・特殊召喚時に魚族をデッキから墓地に送れる。これによって、俺は《伝説の白タウナギ》を墓地に送ろう。そして、今墓地に送った白タウナギを対象に、2枚目の《白の水鏡(ホワイト・ミラー)》を発動さ!」
「うげぇっ!なんつー引きだよ!」
墓地にある白タウナギを蘇生し、かつデッキから同名を手札に。
極限に手札は少ないが、ついに水面も切り札を呼ぶ用意が出来た。
「場にいる白タウナギとデッドリーフでチューニング…!」
2体の魚が地面へと潜り、姿を消す。
すると、そこから泡がコポコポ出てくる上、何かの鳴き声が響き、近寄ってくるではないか。
「待たせたな相棒!海よりいでよ!
その美しき姿、大いなる巨躯!シンクロ召喚!レベル8!
《白闘気白鯨(ホワイト・オーラ・ホエール)》!!」
ザッパーーーン!!
地面から白く美しき鯨が飛び出してくる。
すぐ地中に潜るが、その衝撃で大量の水が跳ね、会場の観客に水が掛かる。
「ぶへぇっ!濡れたぞ!?」「うそっ、しょっぱい!」「きゃー!びしょびしょ!」「きんもちぃ~…」「水面の野郎!」
水を被った観客達は非難轟々。
反対側かつ近くにはいなかった凛音達は深く安堵をする。
「ふふふ、凄いわね、彼の切り札。本物とはいえソリッドビジョンであそこまで影響を及ぼすなんて。」
「あっちにいなくて良かったです…びしょびしょになっちゃう…」
「びしょびしょ…////」
凛音がボソッと呟いた言葉を耳にした光夜。
少し耳が赤くなっている。
「…どうかしたのかしら、暁君?」
なんとなく、光夜をジト目で見つめる凛音。
「いや、なんでもない…向こうは大変だよなって…」
「ふぅ~ん…?」
騒ぎになってる方を見ながら答える光夜を、怪しげに見つめる凛音であった。
「ホエールのシンクロ召喚時!相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」
「くそっ、やられた!」
白闘気白鯨が口から放射した水のレーザーがシェンシェンを貫く。
なすすべなど無く、シェンシェンは破壊される。
「さぁ、バトルだ!いけ!ホエール!」
巨大な鯨が、雷兎に迫る。
「フィールドの永続罠《電脳堺門-朱雀(チュチュエ)》の効果を発動!フィールドの表側のカードを対象に取り、除外されている自分の電脳堺カード2枚をデッキに戻す事で、破壊する!戻すのは電脳堺姫-娘々、電脳堺門-青龍!」
門から飛んできた業火に焼かれる白闘気白鯨。
攻撃は止まった。はずだった。
「甘いぜ!白闘気白鯨は相手に破壊されると、墓地の水属性モンスターを除外して特殊召喚出来る!《白鱓(ホワイト・モーレイ)》 を糧に甦り、攻撃を続行しろ!ホエール!」
「うっそだろぉ!?」
再び姿を現した白闘気白鯨。
現れたその勢いで頭から雷兎に突撃。
体格差と衝撃で雷兎は吹っ飛ばされる。
雷兎のライフ、5200。
「ぐっ、やるな…」
「どうだよ雷兎っち!俺はこのままターンエンドだ!」
まだ墓地には水属性が3体。
余裕の表情のまま、水面はターンを渡す。
水面の手札、1枚
雷兎の手札、3枚
水面の盤面
モンスター 白闘気白鯨
魔法・罠 無し
雷兎の盤面
モンスター 無し
魔法・罠 電脳堺門-朱雀
「うわぁ、いったそうだなぁ…」
「何を呑気な!天童君大丈夫なのかしら!?」
白闘気白鯨に頭突きされた雷兎を見て呑気な発言をする光夜と、慌てる凛音。
だが、その場で慌ててるのは凛音だけだ。
「まあいくらソリッドビジョンだからといえど、衝撃はある程度伝わるからなぁ。まあ人体に影響及ぼす程では無いだろ。」
とは、辰覇の発言。
「まあ~あれだけ水しぶき生み出せるモンスターだからちょっと怖いけどねぇ。でも雷兎ちゃん笑ってるし大丈夫よ。彼を信じてあげなきゃ。」
「そ、それはそうですけど…」
辰覇、涅槃に促され、ハラハラしながらも静かに観戦する事にした凛音だった。
そして、視点は綺羅麗が真二の超融合によってモンスターを失った直後に。
「ふふふ、素晴らしい…えぇ、なんとも素晴らしいのでしょう!僕は今、デュエルをしている!」
それは、突然の事。
自分のモンスターを失ったはずなのに、綺羅麗は喜んでいる。
真二は理解出来るはずもなく、思わず引いた。
「お、お前大丈夫か?頭おかしくなったんじゃないのか!?」
心配するというより、気持ち悪がっている。
だが、綺羅麗は意に介する事なく、楽しそうに発言を続ける。
「ふふふ、失礼!しかし、君は自分で口にする通りのデュエリスト!良いプレイングを見せてもらっていますねぇ!しかし、僕はそれを乗り越えなければならない!お見せしましょう!『本当の僕』を!」
意味不明な発言だ。
誰しもが思う。
だが、そんな感情も、綺羅麗の見せたカード1枚で、覆る。
「手札からフィールド魔法発動!《呪眼領閾(じゅがんりょういき》-パレイドリア》!!」
「は…?じゅ、呪眼…?」
まさかの魔界劇団ではない、別種のカード。
真二は理解が出来なかった。
「パレイドリアは発動時の処理として、デッキから呪眼モンスターを1枚手札に加える!僕が手札に加えるのは、《呪眼の死徒(じゅがんのしと)-サリエル》!」
「う、嘘だろおい!なんで呪眼なんかが入って!?」
狼狽えるのは真二だけにあらず。
観客達もどよめきが広がる。
ペンデュラムデッキはその性質上、ペンデュラムカードの採用比率が多いために、他のテーマは入れにくい事があるためだ。
「はて、何をおっしゃるのか。僕はいつ『このデッキが魔界劇団』だと言いましたか?」
「えっ…?」
「僕のこのデッキは『呪眼劇団』!さぁ、召喚しましょう!サリエルを!」
貴族らしき男を召喚する綺羅麗。
その男、怪しく笑う。
「このサリエルは召喚に成功した時、デッキから呪眼カードを手札に加える!持ってくるのは、装備魔法《セレンの呪眼》!そしてこのセレンの呪眼をサリエルに装備しましょう!」
片目にモノクルのような、禍々しい物を取り付けるサリエル。
その眼が、紅く輝く。
「セレンの呪眼を装備しているモンスターは戦闘・効果では破壊されず!更に相手のカード効果の対象にもならない!そして、セレンの呪眼を装備したサリエルの特殊効果!特殊召喚されている、相手のモンスターを対象に、破壊します!」
「くっそぉぉお!僕のトリフィオヴェルトゥムが!」
切り札級の捕食植物トリフィオヴェルトゥム。
特殊召喚を無効には出来ても、耐性は無い。
サリエルの呪眼から放たれた光線が、トリフィオヴェルトゥムを消滅させる。
「くくく、装備モンスターの効果、もしくは呪眼魔法・罠が発動する度にセレンの呪眼によって僕はライフを500失う。しかし、その数値分、装備しているサリエルは攻撃力をアップ!さぁバトルです!サリエルでダイレクトアタック!」
「ぐぎゃあああああ!!!」
真二に飛び掛かり、その鋭い腕で切り裂くサリエル。
たまらず真二は悲痛な叫び声を上げる。
真二のライフ、5900。
「僕は手札を1枚伏せてターンを終了!エンド時に、ビッグ・スターの効果で伏せたカードは墓地にいきますが、まあ致し方ないでしょう!さぁ、あなたのターンです!」
強固な固さを持つサリエルと、伏せカードが1枚。
手札もフィールドもほぼ枯れた、真二のターンが来る。
綺羅麗の手札、2枚
真二の手札、1枚
綺羅麗の盤面
モンスター 呪眼の死徒-サリエル
魔法・罠 フィールド魔法 呪眼領域パレイドリア セレンの呪眼 伏せ1枚
ペンデュラムゾーン 魔界劇団-ワイルド・ホープ 魔界劇団-メロー・マドンナ
真二のフィールド 無し