遊戯王‐creator‐   作:月花撩乱

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22話~第一陣、決着~

「悪いなみなもっちゃん。これが、俺達のラストターンだ。」

 

突如として、ラストターンを宣告する雷兎。

確かに手札はまだ枚数はあるが、時期尚早ではないのか。

誰しもそう思わずにはいられない。

 

「…その言葉、もしその通りにならないなら恥ずかしい思いしちゃうぜ雷兎っち。」

 

「…しねぇよ。だって、今この手札だけで、勝つすべは決まってるからな。」

 

「…なんだって?」

 

水面の盤面は白闘気白鯨のみで、破壊には強く、攻撃力も高い程度。

だが、どうするのだろうか。

 

「俺のターン、ドロー…

俺は手札から、《電脳堺媛-瑞々(ルゥルゥ)》を、フィールドの《電脳堺門ー朱雀(チュチュエ)》を対象に取って発動する。デッキから《電脳堺姫ー娘々(にゃんにゃん)》を墓地に送り、ルゥルゥを攻撃表示で特殊召喚。更に、デッキから《電脳堺都ー九龍》を手札に。続いて墓地にある《電脳堺門ー青龍》を除外してその効果。デッキから《電脳堺悟ー老々(ラオラオ)》を手札に加えて、もう1枚のルゥルゥを墓地に送る。そして、ラオラオの効果。チュチュエを対象に、デッキから更ににゃんにゃんを墓地に送りつつ特殊召喚。更にラオラオの効果。墓地にいる《電脳堺豸-豸々(でんのうかいち-ヂィヂィ)》を特殊召喚する。レベル3モンスターの特殊召喚時、墓地にあるにゃんにゃんが効果を発動。チューナー扱いで特殊召喚。にゃんにゃんは攻撃表示で出す。」

 

『これは凄い!僅か2体のモンスターの効果から、4体も展開したぞ!さぁここからどうなる!』

 

怒濤の勢いで展開した雷兎。

その展開は、まだ終わらない。

「墓地にあるチュチュエの効果。ゲームから除外し、ヂィヂィを対象にして、そのレベルを3上げる。レベル6のヂィヂィ、ラオラオの2体でエクシーズ!再びいでよ、《電脳堺凰ー凰々(ファンファン)》!」

 

再び現れる凰々。

今度は止める手段は、無い。

 

「ファンファンの起動効果。エクシーズ素材を2つ取り除き、そっちのフィールドの《白闘気白鯨》と、墓地の《白棘鱏 ( ホワイト・スティングレイ)》をゲームから除外させてもらおう。」

 

「くそっ、ホエールが…」

 

フィールドも墓地も奪われ、切り返す事さえも困難な水面。

だが、雷兎はそれでは終わらない。

 

「最後に、墓地に存在する《電脳堺狐ー仙々》の効果を起動。墓地の種族、属性の異なるモンスター2体を除外し、特殊召喚ができる。《電脳堺獣ー鷲々》、《電脳堺豸-豸々》を除外。甦れ、シェンシェン。」

 

切り札級の性能を持ちながらも自身で蘇生するシェンシェン。

これによって、全モンスターの攻撃力が、水面のライフを上回った。

 

「バトルフェイズ!にゃんにゃん、ファンファン、シェンシェンの順にダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁぁあ!!!」

 

電脳堺姫ー娘々 1500

電脳堺凰ー凰々 2600

電脳堺狐ー仙々 2800

計6900。

水面のライフ、6100→ー800。

 

勝者 天童 雷兎。

だが、勝利したはずの雷兎はどういう訳か、とても悲しい表情をしていた。

 

 

そして、綺羅麗の方は…

 

 

「ふふふ、行きますよ!僕のラストターン!まずは再び《呪眼の死徒サリエル》を召喚!

このカードの召喚成功時、デッキから呪眼カードを手札に。僕は再びの《セレンの呪眼》をサーチして、サリエルに装備します。そしてサリエルの効果。そちらの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》を破壊します。」

 

「くっ、スターヴ…!」

 

前のターンと同じ行動。

だが、それは的確に真二に多大な痛手を食らわせた。

サリエルの呪眼から放たれた光線。それはスターヴを撃ち抜き、破壊した。

 

「処理後、セレンの呪眼によってライフを糧に、サリエルの攻撃力を500上昇します。」

 

少ないライフだが、更に削っていく綺羅麗。

残りライフ、2500。

 

「そして、魔法カード《眷現(けんげん)の呪眼》!呪眼トークンを1体特殊召喚!セレンの呪眼があるなら、更にもう1体、計2体特殊召喚!」

 

「呪眼モンスターが3体…だと…」

 

手札2枚しか使用していないのに、強烈な展開。

スターヴ・ヴェノムは破壊されると特殊召喚された相手モンスターを全滅する効果を持っていたのだが、通常召喚されたサリエルに破壊され、恐れる必要は無くなった。

 

「そして、呪眼魔法が発動したのでまたセレンの効果でライフを500消費し、攻撃力を500上昇…

さぁ!僕は呪眼の死徒サリエルと呪眼トークン2体をリンクマーカーにセットするとしましょう!」

 

「リンクマーカー…まさか!」

 

「出番です!呪眼に秘められたその力、全てを解放せよ!リンク召喚!リンク3!《呪眼の王 ザラキエル》!」

 

2体のトークンを糧に姿を変えた、元サリエル。

その姿は完全に化物と化していた。

その攻撃力、2600。

 

『おぉっと!これは珍しい!リンクモンスターの、しかも高ステータスモンスター!これこそが繰崎の切り札なのだろうか!』

 

 

「ザラキエルのリンクマーカーは下側に2ヶ所。それにより、EXデッキから2体のペンデュラムモンスターを呼ぶ事が可能です。」

 

リンクモンスターは、基本的にEXモンスターゾーンにしか出せないモンスターだが、そのカードに記されているマーカーの先にEXデッキから出るリンクモンスター、ペンデュラムモンスターを出す事が出来るようになる。

これによって、EXモンスターゾーンから一体しか出せないペンデュラムモンスターを、2体出せる。

その差は明白であり、もちろん強力だ。

 

「そして、僕は手札から《魔界劇団-メロー・マドンナ》を設置。ライフを1000支払って効果を発動。デッキから《魔界劇団-デビル・ヒール》を手札に!」

 

ついにライフの残りが1000にまで下がった綺羅麗。

だが、用意は既に終わっている。

 

「そして、もう片方のペンデュラムゾーンに《魔界劇団エキストラ》を設置し、自身の効果により特殊召喚。その後、エキストラをリリースして《魔界劇団ワイルド・ホープ》を設置。ワイルドホープのペンデュラム効果を起動!メロー・マドンナのスケールを9に変更!」

 

これによって、綺羅麗は3から9の魔界劇団モンスターを特殊召喚可能に。

そして…

 

「再び揺れるは魔の振り子…陽気な劇団最後の登場!

ペンデュラム召喚!僕が呼ぶのは、3体のモンスター!

手札から魔界劇団-デビル・ヒール!EXデッキから《魔界劇団-ビッグ・スター》と《魔界劇団-メロー・マドンナ》!」

 

ズラリと並ぶ、そうそうたるメンツ。

特にデビル・ヒール。

その攻撃力は、脅威の3000。

そして、メロー・マドンナ、攻撃力1800。

ビッグ・スター、攻撃力2500。

 

『で、出たーー!凄まじい展開!凄まじいパワーの羅列!これがペンデュラム召喚の強さだ!相浦、この状況をどう突破する!?』

 

(くっ、トリフィオヴェルトゥムが特殊召喚を無効に出来るのは融合召喚されている場合のみ…奴め、やっぱりわかっていたか…!)

 

そう、トリフィオヴェルトゥムは1度場を離れ、墓地から蘇生されている。

それ故、厄介な特殊召喚封じは、今は持って無いのだ。

 

「そして、ビッグ・スターの特殊召喚成功時には貴方は魔法・罠を発動出来ない!それだけではなく!デビル・ヒールは特殊召喚成功時、自分の魔界劇団モンスターの数につき1000、モンスター一体を弱体化出来る!僕はこれでトリフィオヴェルトゥムの攻撃力を3000ポイントダウン!」

 

「なっ!し、しまった!」

 

トリフィオヴェルトゥムの攻撃力は、0。

ダメージが素通りしてしまう。

 

「そしてさらに!ビッグ・スターの効果を起動!デッキから魔界台本カードをセット出来る!これにより、僕は《魔界台本オープニング・セレモニー》をセットし、そのまま発動!フィールドの魔界劇団モンスターの数につき500のライフを回復します。今は3体存在するため、合計1500回復!」

 

わずか1000から、2500に巻き返す綺羅麗。

さらに…

「魔界台本の効果を発動したため、メロー・マドンナの効果も誘発。デッキからレベル4以下の魔界劇団を特殊召喚出来ます。僕はデッキから《魔界劇団-ファンキー・コメディアン》を特殊召喚。」

 

メロー・マドンナが呼んできたのは、太っちょなモンスター。攻撃力、僅か300。

このモンスターを呼んだのは、もちろん理由がある。

 

「このコメディアン、特殊召喚成功時に自分フィールドの魔界劇団モンスターの数につき300、自身の攻撃力を上昇。4体存在するので、攻撃力は1500に。そして、コメディアン起動効果。自身は攻撃出来なくなるものの、自分の他の魔界劇団モンスター一体に、自身の攻撃力を加算してくれます。デビル・ヒールの攻撃力をアップ!その攻撃力、なんと4500!」

 

お目に掛かる事すら珍しい、高攻撃力。

圧巻である。

全てのモンスターで攻撃する必要もなく、真二のライフは0になるだろう。

 

「これで最後。墓地にある《セレンの呪眼》の効果を発動。ライフコストを1000払いつつ他の呪眼魔法・罠を1枚墓地から除外して、フィールドにセット出来る。《呪眼領域パレイドリア》を除外して、セレンの呪眼をセット。そして、そのままザラキエルに装備!」

 

呪眼が妖しく鮮烈に光り、咆哮するザラキエル。

 

せっかく得たライフではあるが惜しくはない。

綺羅麗のライフ、残り1500。

 

「さて、それではバトルフェイズ!デビル・ヒールで攻撃力0のトリフィオヴェルトゥムを、攻撃!」

 

ドシン!ドシン!と音を立てて動くデビル・ヒール。

 

だが、それを聞いた真二は、笑ったのだ。

 

 

「掛かった…掛かったよ…へへへへ…このデュエル、僕の勝ちだ!」

 

突如、勝ちを宣言した真二。

綺羅麗の表情が、変わる。

 

「セットカードオープン!!《捕食計画(プレデタープランニング)》!!デッキから《捕食植物コーディ・セップス》を墓地に送って発動!フィールドの全てのモンスターに、捕食カウンターを乗せる!」

 

捕食カウンター。

捕食植物の扱うカウンターであり、これが乗ったレベルを持つモンスターは、全てのレベルが1になる。

だが、今発動した理由は、そこではない…

 

「トリフィオヴェルトゥムは、捕食カウンターの乗っているモンスター全ての元々の攻撃力を追加する!」

捕食植物オフリス・スコーピオ 1200

呪眼の王 ザラキエル 2600

魔界劇団-デビル・ヒール 3000

魔界劇団-ビッグ・スター 2500

魔界劇団-メロー・マドンナ 1800

魔界劇団-ファンキー・コメディアン 300

その合計数値、11400。

攻撃力0のトリフィオヴェルトゥムに、その数値が上乗せされる事になる。

このままなら、反射ダメージで綺羅麗は敗北する。

しかし…

 

「…えぇ、貴方ならそのカードを握っていると、思ってました。ザラキエルを出していて、本当に良かったです。」

 

「…なんの話だ?」

 

話が繋がらない。

真二にはそあ感じたらしく、首を傾げる。

 

「僕は、その捕食計画の効果に、ザラキエルの効果をチェーン発動!フィールドのカード1枚を対象とし、破壊出来る!破壊するのはもちろん、トリフィオヴェルトゥム!」

 

「な、なんだとぉ!?」

 

捕食計画も、トリフィオヴェルトゥムも効果を把握していた綺羅麗。

トリフィオヴェルトゥムを破壊しに掛かり、真二には防ぐ手立ては無い。

ザラキエルの呪眼が強い光を放つ。

と、トリフィオヴェルトゥムは朽ち果て、消滅した。

 

「さて、捕食計画の効果でお互いのモンスター全てにカウンターが乗り、レベルを持たないザラキエルを除けば全てレベル1に変更ですか。まあ良いでしょう。

ザラキエルの効果の処理後、セレンの呪眼によってライフを500失い、ザラキエルの攻撃力を500上昇。その攻撃力、3100!」

 

せっかく増えたライフだが、惜しげもなく削る綺羅麗。

残りライフ、1000。

 

「攻撃宣言時に相手のモンスターの数が変動したので、デビル・ヒールは攻撃対象を切り替えられる。デビル・ヒールでオフリス・スコーピオに攻撃!」

 

「させるかよぉ!墓地にいる《捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ》の効果!捕食カウンターを乗せたモンスター一体をリリースして、このモンスターを特殊召喚!デビル・ヒールを食ってなぁ!」

 

「おっと!?」

 

現時点最強攻撃力のデビル・ヒールを食い破りながら現れたそのモンスター。

守備力2300と、かなり高い。

 

「ならばザラキエルで今現れたドロソフィルムを攻撃しましょう!」

 

「ドロソフィルムは、墓地の捕食植物を除外して、モンスターの攻撃力を500下げる効果を持つ!墓地にある《捕食植物ダーリング・コブラ》を除外して、ビッグ・スターの攻撃力をダウンする!」

 

セレンの呪眼を装備したザラキエルはカード効果の対象に取る事が出来ない。

そのため、真二は現状最も攻撃力の高いビッグ・スターを弱体化。攻撃力2500→2000

そして、ドロソフィルムはザラキエルによって粉砕される。

 

「続いてビッグ・スターでオフリスに攻撃。」

 

「ぐっ、壁が…」

 

手札も魔法・罠もモンスターも、これで全て無くなった真二。

あるのは、その身一つ。

ライフ5400→4600

 

「メロー・マドンナ、ダイレクトアタック!」

 

「ぐぎゃああああ!!」

 

綺羅麗は残されたモンスターで猛攻を掛ける。

ライフ4600→2500

 

「ふへへへへ…どうだ、耐えたぞ…僕は次のターン、お前の盤面を潰せるぞ!ラストターンだなんてカッコつけやがってよぉ!ははは、はははははは!」

 

たまらず大笑いしてしまう真二。

観客も、カッコつけすぎだと綺羅麗の事を笑う。

そして、笑われている綺羅麗も、笑う。

 

「素晴らしい!えぇ、なんて素晴らしいセンスをお持ちなのでしょう!僕の読み通りです!」

 

「ははは…は?」

 

歓喜の声を上げる綺羅麗。

真二も歓喜も、ポカン。

 

「言ったではないですか、これがラストターンだと。ザラキエルには隠された効果があるのです。それは…

攻撃力2600以上のモンスターを素材にしていた場合、もう1度攻撃する事が出来る。」

 

「2600…?何をいって…はっ!」

 

「そう!サリエルはセレンを装備し自身の効果、眷現の発動、それぞれで攻撃力を500ずつ上昇、攻撃力を2600に上げていた!つまり、このザラキエルは「2回攻撃」を持っている!」

 

計画通り。

ザラキエルは、狂気に満ちた笑顔を真二に見せる。

 

「や、やめろ…おい、嘘だろ…僕は奴等とはちがう…」

 

「さぁ幕引きです!ザラキエル!彼にとどめを!」

 

「やめろぉぉぉぉぉぉお!!!」

 

叫ぶ真二を嘲笑う、ザラキエルのダイレクトアタック。

2500→-600

繰崎 綺羅麗VS相浦 真二

綺羅麗の勝利。

 

ギリギリだと言っておきながら、なんだかんだで綺羅麗は余力があった。

真二も水面も、とても良いデュエルをしていた。

だが、雷兎や綺羅麗達超天星は、それ以上だった。

その事実を、このデュエルを見ていた者達に深く刻みこむデュエルとなったのであった。

 

 

 

 

 

 

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