遊戯王‐creator‐   作:月花撩乱

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3話~圧倒するは炎剣の乱舞~

「…俺は、手札から《不知火の影者》を召喚する。」

 

光夜がようやく通常召喚を行う。

不知火の影者は、攻撃力は500しか無いものの、自分のアンデッド族をリリースし、デッキから守備力0のアンデッド族チューナーモンスターを特殊召喚するという強力な効果の持ち主。

その能力を知っている凛音、ここぞとばかりに手札からカードを切る。

 

「手札からエフェクト・ヴェーラーの効果、不知火の影者を対象に、効果を無効化させます。」

 

冷静さを取り戻した凛音は、最初に青き眼の賢士でサーチしてきたエフェクト・ヴェーラーの効果を発動する。

エフェクト・ヴェーラーは、対象に取ったモンスターの効果を1ターンの間無効化させるカード。

しかし…

 

「墓地に存在する《不知火流 才華の陣》の効果発動。不知火の影者を対象にし、このターン影者はカードの効果を受けなくする。」

 

光夜はエフェクト・ヴェーラーを手札に持っていることを知っているため、焦ることなく、淡々と対処する。

墓地に才華の陣があるにも関わらずエフェクト・ヴェーラーを使用した凛音の行動を怪しんだり、嘲笑う声が少しばかし聞こえてきた。

 

(対処される事くらいわかっているわ…でもね、もし切り札となりうるアンデッドモンスターが出てきた場合、才華の陣が墓地にあってはいざという時に困るのよ。)

 

当然ながら、凛音は対処される事自体は想定の範囲内であった。

それでも構わず使ったのは、ここが使いどころだと"普通なら"思うであろう場所で使う事によって、光夜を油断させる事が出来ると考えたから。

そして、凛音の手札にはもう1枚のエフェクト・ヴェーラーが握られている。

厄介なモンスターにたいしてこの2枚目のエフェクト・ヴェーラーを使えば、おおよその場面はどうにかなると考えているからだ。

 

(それに、いざとなればセットしている2枚のカードを使えば流石に止まるはず。おおよその不知火モンスターの除外された場合の効果は使い終わったのだし、よしとしましょう。)

 

1ターン目に、可能な限りの妨害カードを構えていた凛音。

先攻で自分の望んだ盤面を作り上げるその引きの強さ。

やはり白皇家の実力は伊達では無いのだ。

 

 

「不知火の影者の効果発動。自身をリリースして、デッキから守備力0のアンデッド族チューナーを特殊召喚する!来い、《ユニゾンビ》!」

 

「…やはり来たわね、ユニゾンビ。」

 

現れたのは、2人組のゾンビ。

名前と見た目にちなんで、効果を2つ備えている強カードだ。

ユニゾンビ、攻撃力1300。

 

「ユニゾンビの効果発動。ユニゾンビを対象に、デッキからアンデッド族モンスターを墓地に送り、レベルを1つ上げる。」

 

「…通すわ。」

 

まだ2枚目のエフェクト・ヴェーラーを撃つタイミングではない。

そう考えた凛音は効果の発動を許した。

すると、ユニゾンビのかたわれは歌いだす。

ガラスを引っ掻いたような、嫌な歌声であった。

 

「…オーケイ。ならば、デッキから墓地に送るのは…《馬頭鬼》だ。」

 

「っ!馬頭鬼…!」

 

光夜がユニゾンビによって墓地に送ったのは、墓地のアンデッド族モンスターを特殊召喚する強力な効果を持つ馬頭鬼。

これにより、光夜が展開する手段が増えた事になる。

 

「墓地の馬頭鬼の効果。馬頭鬼自身をゲームから除外し、不知火の影者を対象。特殊召喚する。」

 

「…通します。」

 

雑魚の展開を止めるのは無駄な事。

そう考えた凛音はなにもしない。

 

「…ならば、俺はフィールドの不知火の宮司と、レベル4となったユニゾンビでチューニング。シンクロ召喚…現世に舞い降りてその力を示せ…《戦神-不知火》!!」

 

2体のモンスターが炎に包まれる。

やがて、その炎は人の形を成していき、1人の戦士が降臨する。

 

「素晴らしい召喚口上だわ。…それが貴方の切り札…かしら?」

 

凛音の言葉に光夜はおどけたようにはにかむ。

 

「この戦神-不知火は特殊召喚成功時に墓地にあるアンデッドモンスターをゲームから除外して、そのモンスターの攻撃力分、自身の攻撃力を高める。俺が除外するのは、今シンクロ素材にした不知火の宮司だ。」

 

不知火の宮司の攻撃力を加算すれば、戦神の攻撃力はなんと4500。

青眼を破壊した上で1500ものダメージを与えられる。

だが、

 

「残念ね。私はリバースカード《迷い風》を発動。戦神-不知火の効果を無力化するわ。せっかくのカッコいい切り札だけど、残念だったわね。」

 

ここにきて、凛音はセットされていた迷い風を発動。

戦神の効果を無効にするだけでなく、攻撃力を半減されてしまう。これではせっかくの攻撃力も無駄になってしまった。

 

「…仕方ない。俺は、手札から《真竜皇アグニマズドV(バニッシャー)》の効果を発動する。」

 

「っ!?」

 

唐突に使われたのは、特定の属性を含むモンスター2体を手札、フィールドから破壊する事で特殊召喚出来る大型モンスター、《真竜皇》。

しかも、アグニマズドは炎属性2体を除外して特殊召喚したなら、相手のフィールド、墓地からモンスター一体を対象を取る事無く、ゲームから除外する恐ろしい効果を持っている。

使えるカードを大量に除外されている凛音。

ここはついにセットカードの使い所と決意し、宣言する。

 

「リバースカード、《神の警告》!アグニマズドの特殊召喚効果を無効にし、破壊するわ!」

 

ここまで温存してきた神の警告。ライフを2000消費してしまうが、アグニマズドの出現を阻止。

現在凛音のライフ 6000。

 

「…ふふふ、少し危なかったわ。ここまで私を戸惑わせたのは褒めてあげる。でも、これ以上戦えるかしら?」

 

 

余裕の表情を見せる凛音。

セットカードは無くなってしまいはしたが、優位なのは自分だと確信出来ているからだ。

 

「…なら、俺は手札から《強欲で貪欲な壺》を発動する。」

 

「そのカードは…!」

 

強欲で貪欲な壺。効果は、デッキからカードを2枚ドローする強力な効果。

その代償としてデッキの上から10枚ものカードを、裏側で除外してしまう。

必要なカードが使用不能になってしまう可能性はあれど、『その先』へと光夜は走り抜ける。

 

「2枚、ドロー…よし!」

 

「っ!?」

 

少し険しい表情をし続けていた光夜。

ドローしたカードを見て、笑顔になった。

ここまで封じたのにも関わらず、楽しそうで生き生きとしたその顔を見て、凛音は心穏やかではいられない。

だが、

 

(くっ…い、いえ。何をしているのよ

白皇 凛音…貴女は負けないのよ…!こんな、こんな名もない、ただ引きが強いだけでしか無い雑魚相手にいつまで振り回されているの!…まだ私には手札にもう1枚の《エフェクトヴェーラー》がある!彼が次にやりそうな事は…)

 

流石は白皇家の一人。

今まで光夜に振り回されていた自分を戒め、正し、かつ次の光夜の行動を予測する。

 

「続けて、手札から《異次元からの埋葬》!

ゲームから除外されている《馬頭鬼》《妖刀-不知火》《不知火の武士》を墓地に戻す!」

 

「やはり異次元からの埋葬…」

 

凛音の予想していた通り、光夜は異次元からの埋葬を使用してゲームから除外されているモンスターを墓地に戻した。

 

「そして、墓地に存在する馬頭鬼の効果。不知火の武士を墓地から攻撃表示で特殊召喚!そして墓地に存在するユニゾンビをゲームから除外し、不知火の武士の効果!自身の攻撃力を600ポイントアップする!」

 

不知火の武士はその効果を使えばレベル4にしては高いステータスになる。

だが、それ以上に恐ろしいのは、戦闘を行ったモンスターを除外する事。

いくら耐性を持っている今の凛音の青眼達も、その効果の前にはかなわない。

そのため…

 

「読めていたわ。手札からエフェクト・ヴェーラー!不知火の武士の効果、無効にするわ!」

 

起死回生にも見えたせっかくの効果を無効にされてしまう。

凛音の手札、セットの妨害カードは無くなってしまったが、耐性とステータスの高いモンスターを2体従え、

俯く光夜。彼を責める者は誰もいなかった。

よく頑張った。

誰しもが彼の健闘を称えていた。

というよりも、同情していた。

 

「くっ………」

 

「ふふふ、とうとう観念したみたいね。よく頑張ったわ。この私の守りをここまで崩そうとするなんて対戦相手はとても珍しいの。でもね、これが事実。同世代ど私を倒せる人なんて、数える程。貴方程度ではお役ごめんよ。」

 

思わず笑みを浮かべつつ、光夜を蔑む凛音。

もう、彼女の中では彼とのデュエルは終わっていた。

だが…

 

「くくく…ははは…はははははははは!!!」

 

「!!??」

 

唐突。

いきなり大笑いし始めた光夜。

ざわめく野次馬達、憤る凛音。

 

「あ、貴方何を笑っているの!?この現状でこれ以上何が出来ると!?」

 

そう、光夜は手札もフィールドも、デッキもほとんど残っていない。

現状、不知火ではこの場を返すのはとても難しいだろう。

そう、『不知火』だけならば。

 

「…あんた、俺の何を見ていたんだ?流石に4枚もの妨害を抱えてるのは俺も驚いた。でもな、俺はまだ『本当の切り札』ってのを見せていないんだぜ?」

 

「「「!!!???」」」

 

光夜の言葉に、一同騒然。

てっきり切り札は戦神-不知火か、その後に出現しようとしていた真竜皇アグニマズドVだと、一同は思っていた。いや、思い込まされていたのだ。

 

「う、うそ…ここから先に何を…?」

 

凛音はただ、恐怖した。

目の前にいる男は、確かに無名なのだ。

それなのに、名高き白皇家の、それも天才と言われた凛音ですら、実力の底が見えない相手が、確かに目の前にいるのだ。

 

「見せてやるよ白皇お前の『知らない世界』をな…俺は、フィールドの戦神-不知火と、不知火の武士2体を墓地に送る!」

 

「っ!2体を墓地に!?」

 

せっかくの不知火モンスター2体を墓地に送る光夜。

もったいないが、これはその『先』へと歩みを進めるための犠牲。

 

「…来たれ…数多の贄を糧とし、我が手に暴力的なまでの勝利を…!完膚なきまでの勝利を!現れよ…《破壊竜―ガンドラ・ギガレイズ》!!!!」

 

黒き、幾多もの鎖に閉ざされた門。

けたたましい咆哮と、遠くの観客の心臓にすら響く、扉を叩く音がそれぞれ三度。

咆哮と叩く音が響く度に扉は壊れていき、三度目に、扉は吹き飛ばされる。

そして、身体中に赤く光る珠がおびただしい程装着されている黒き竜が、降臨した。

 

 

 

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