シンフォギアの消えた世界で アナザー   作:現実の夢想者

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スイパラVS只野、となるのでしょうか?


三人娘(スイーツ)は食べられたい

「いらっしゃい」

「「「お、お邪魔します」」」

 

 その日、勤務明けの俺の部屋に三人の来客があった。時刻は午前八時とそれなりに早い時間だが、俺からすれば仮眠を取っているはずの時間である。

 まぁ軽い打ち合わせのようなもので終わるだろうと思ったのでこうしたのだが、何故三人は妙に緊張しているのだろう? そんなに凄い提案をするつもりなんだろうか?

 

「適当に座ってくれていいよ。今お茶を」

「い、いえ、お構いなく」

「そ、そうそう。それよりも只野さんに相談したい事があるんです」

「相談?」

 

 動こうとした俺を寺島さんと安藤さんが制止するように声をかけてきた。

 相談、か。一体何だろう? スイパラ関係だとすれば……やっぱり今後の活動内容だろうなぁ。

 

「そ、そうなんです。え、えっと、只野さんにしか出来ない相談でっ!」

「うおっ!? そ、そう?」

 

 板場さんが勢い良く身を乗り出してきたものだがら驚いた。普段から元気っ子な感じだけど、今日はそれが過剰な気もする。

 

 とにかくそういう事ならばと、俺はソファに座った三人の向かい側に座布団を置いて腰かける。

 

 すると三人は妙にそわそわとし始め、互いの顔を見合ってひそひそと話を始めた。何というか微笑ましい。微かに漏れ聞こえる中に「誰が切り出す?」との言葉があったのもそれに拍車をかけた。

 

 そうやって二~三分は経過した辺りで三人がこちらへ向き直った。その表情は一様に緊張しているように見える。

 

「あの……」

「うん」

 

 まず口を開いたのは板場さん。だけどすぐに口を閉じてしまった。しかも俯いて。

 

「実はですね、あたし達を……えっと……」

「君達を?」

 

 それを見て安藤さんが言葉を紡ぐけど、そちらも結局は言い辛そうに横を向いてしまった。

 

 そんなにも言い辛い事なんだろうか。そう思っていると寺島さんが黙り込んでしまった二人を見て一度だけ深呼吸するのが見えた。

 

「抱いていただけませんか?」

「へ? 抱く?」

 

 抱いてって、それってハグの事だろうか?

 

「はい。その、性行為と言う意味ですわ」

「……は?」

 

 性行為って……

 

「ええっ!? し、しかも何で俺と?」

「実は弓美さんも創世さんも只野さんが立花さんや小日向さん以外の女性と関係を持っている事を知ってしまったのです」

「はぁっ?!」

 

 どういう事だよ。響と未来の事は気付かれても仕方ないと思ってたけど、何でそれ以外の事を板場さんと安藤さんが気付けるんだ?

 あの二人がその事を喋るとも思えないし、寺島さん以外の二人がいる時にそういう事をした事はないぞ。

 

「じ、実はぁ……」

「キネクリ先輩の誕生日会の夜に……」

 

 板場さんと安藤さんの話を聞いて俺は頭を抱えたくなった。

 何をやってんだよみんなは……。女性の方が性体験を話す事に抵抗ないって聞いた事あるけどホントなのか。それも、多分だけど割としっかり話してる気がするぞ、これ。

 

「……そ、それで、只野さんだったら安心かなぁって」

 

 黙り込んだ俺へ板場さんがそう告げたので思わず顔を向ける。そこには顔を赤くしながらこちらを見つめる板場さん達がいた。

 

「俺なら安心って……」

「そ、その、経験豊富だし?」

「ビッキーやヒナがすっかり夢中みたいだし?」

「そして、複数の女性と関係を持っている事をオープンにしても立花さん達と関係を持ち続けられている事。それが一番の大きな理由ですわ」

「だからって……」

 

 みんなは装者という特殊な立場とあの悪意との戦いで過ごした時間があったからこそ、俺と今のような状況を受け入れているし続けてもいける。

 だから、装者という存在を知ってるだけの一般人である板場さん達はそれとは同じにはならないしなれないと思うんだけど……。

 

「そ、それにあたし達スイーツパラダイスはアイドルだから恋愛禁止っ!」

「いやそんなルールはないよ?」

「か、体だけなら恋愛じゃないから」

「うん、そっちの方が不味くない?」

「只野さんから見て、私達は魅力がないでしょうか?」

「そういう事じゃないから」

 

 あー、これはあれだ。男で言えば早く童貞を卒業したいって気持ちが先走ってるようなもんだろう。

 彼女達はセックスってものへの興味が強くなってしまって、それを手早く、安全に且つ丁寧にしてくれる相手として俺を選んでくれたのだ。

 

 ……これを吉報と思うか凶報と思うかは微妙なとこだなぁ。

 

「とにかく、一度落ち着いて。君達の気持ちは分かったし理解も出来る。けど、男の初体験と違って女の子の初体験は早ければいいってもんじゃない。それに、君達はこっちではアイドルかもしれないが本来の場所ではそうじゃないだろ? ならちゃんと恋愛を」

「只野さんだから、私達はこんな事が言えるんですっ」

 

 その声は、何故かやけにハッキリと俺の耳へ届いて鼓膜を揺らした。

 視線を動かせば、寺島さんが恥ずかしそうに顔を赤めながらもこちらを見つめている。

 

「弓美さんも創世さんも只野さんだから経験してみたいと思えたんですっ。勿論私もですっ」

「寺島さん……」

「えっと、あたし達の周りってあまり男の人っていなくて、そんな中で只野さんとこうして仲良くなって……」

「最初こそ年上っぽくなくて付き合い易いなって、そう思ってました。でも、それは違うって段々感じてきたところに響達の事があって、完全に意識させられました。只野さんは大人で、男の人だって」

 

 安藤さんも板場さんも顔は赤いままだけど眼差しは真っ直ぐこちらを見つめていた。

 それはこれが単なる妥協じゃないと告げていた。俺がいいからこう言い出したのだと、そう強く訴えるような眼差しだったのだ。

 

「……ありがとう。君達の気持ちは本当に嬉しい」

 

 なら、俺もちゃんと向き合って応えよう。真剣な想いには真剣な答えを返すべきだと思うから。

 

「それでも、俺は響達を裏切れない。たった一度だろうが何度だろうが、彼女達が知らない女性関係を持つ事はしたくないんだ」

「「「っ」」」

 

 そう目を逸らす事無く言い切ると三人が同時に息を呑んだ。

 所謂ハーレムなんてものを許容してもらっているからこそ、俺は九人の女性を大事にしたい。他の女性からどれだけ言い寄られても、それを断り続ける事が出来ないようなら彼女達との関係は終わりにするべきだと思うし。

 

「だからすまない。この事は」

 

 諦めて欲しい。そう言おうとした瞬間だった。

 

「っと、ひっとしっさ~……ん?」

「あれ? 板場さん達がいる……」

 

 響と未来が現れたのだ。で、それに板場さん達が揃って気まずそうな顔をするもんだから二人の表情が不思議そうなものへと変わる。

 

「な、何だか歓迎されてない?」

「……だね」

 

 若干悲しげな響と困惑する未来へ、俺はさっきの事を下手に隠すよりも言うべきかと考えていると寺島さんが意を決した表情をしたと思った瞬間……

 

「実は、私達只野さんへ大人の女性にして欲しいと頼んでいたんです」

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

 見事に寺島さん以外の反応がかぶった。まさか自分の口で言うとは……。

 さすがの未来もその発言には驚いていたし、響は予想通り。ただ板場さんはともかく安藤さんもこういう時は普通の反応を見せるんだなとどこかで意外に感じたけど。

 

「ですが、只野さんはそれをやんわりと断りました。立花さん達の知らない女性関係を持つつもりはないと」

「仁志さん……」

「只野さんらしい……」

 

 こちらを嬉しそうに見てくる二人に妙な気恥ずかしさを感じて頬を掻く。俺としては当たり前の事だと思っているんだが、やはり受け取り手が変われば感想が変わるんだろうなぁ。

 

「ですからここでお二人に明かしました。それでもダメでしょうか?」

 

 まさかの考えが飛んできた。つまり先程の発言は諦めたのではなくむしろ実現へ向けての布石だったらしい。

 これには板場さんや安藤さんが絶句し、響が目を見開いた。でも未来だけは真剣な表情で寺島さんを見つめている。

 

「本気?」

「冗談で言える事ではありません」

「許可するとしても私と響だけじゃ不十分なんだけど?」

「だからこそ、まずはお二人の了解を得ておかねばいけませんわ」

「そう……。だって、どうする響?」

「うぇっ!?」

 

 突然のパスに乙女が出していい声じゃない声を上げる響。完全に油断してたなこれ。

 未来からのキラーパスを受けて響は僅かな間逡巡していたが、何かに気付いたように顔を動かしてって、思いっきりこっち見てるな。

 

「何?」

「えっと、仁志さんはどうしたいんですか?」

「俺?」

 

 正直言わせてもらえば、男としては当然三人といたしたいという気持ちはある。ただ人としてはやはり出来ないというのが本音だ。何せ彼女達は俺でなければいけない理由が弱すぎる。

 響達は装者という立場とそれぞれの抱えている過去や傷などがあり、それを俺が知っているというのが大きい。だが板場さん達はそれらがないからだ。

 

 なら、ちゃんと彼女達だけを見つめてくれる相手と巡り合い、寄り添っていける方がいいに決まってると思う。

 

 ……思うんだけども、それはあくまで俺の主観であり、本人達がそう思えないなら仕方ないとも思わないでもない。

 

「正直俺は現状でさえ容量オーバーだと思ってるからなぁ。実際しがないコンビニ店長が片手で足りない数の女性を囲うなんて論外だし」

「「え?」」

「ん? どうかした?」

 

 俺の言葉を聞いて板場さんと安藤さんが不思議そうな顔をした。で、何故か寺島さんが“しまった”みたいな顔をしてる。

 

「か、片手で足りないって……」

「ビッキーにヒナ、切歌ちゃんと調ちゃんの四人じゃないんですか?」

「…………あぁ、そういう事か」

 

 二人の聞き方と寺島さんの反応。それで俺はぼんやりと自分の失態を悟った。

 

「えっと、うん。実は俺、九人の装者全員と関係してるんだ」

「「「ええっ!?」」」

 

 今度は寺島さんまで驚いた。これはどうしてだ?

 

「あのぉ、仁志さん? 寺島さんはセレナちゃんの事は知らなかったんだと」

「あっ……」

 

 やらかし二回目。しかもかなりのものだ。いかんな、俺の悪いとこが出てる。

 まさかのセレナとそういう関係だと知って板場さん達がさすがに引いて……

 

「せ、セレナちゃんまでなんて……」

「ロリコン? いや、違うか。多分だけど只野さんの性格的に受け止めてあげただけだね」

「おそらくそうですわ。あの子もたった一人で装者をしていますし、色々と甘えられる相手が欲しかったのかと」

 

 ない? むしろ何だか深読みされてる。まぁセレナが俺に甘えてるのは事実だし、それを可能な限り受け止めてるのも本当だけども。

 

 まぁ、今はそれよりも、だ。

 

「で、そんな俺で本当にいいのかい? その、こう言いたくはないけど、響達はここで過ごした時間で俺との関係を深めて現状みたいになったんだ。君達はそうじゃないし、そもそもリディアンに入学してから異性と距離を取る形になっただけだろ? そんな中で視野が狭くなってると言えないかな?」

 

 出来るだけ優しく問いかける。三人の気持ちを否定したい訳じゃなくそれを見つめ直してみてと感じてもらえるように。

 

「それは……」

「ないとは、言えないかもしれないね……」

 

 板場さんと安藤さんは俺の言葉に複雑な顔を見せた。でも……

 

「そ、それはありません。少なくても、私は只野さんだから、いえ只野さんがいいんです」

「詩織……」

「テラジ、そこまでなんだ……」

 

 まさかの言葉だが俺にはその理由がおぼろげにだが察しがついた。何せ彼女は俺と響達学生組の5Pを見ている。つまり俺のモノもしっかり見ているのだ。

 

 ……ようするにモノの大きさが分からない相手よりも分かってる俺に抱かれたいって事だろうなぁ。俺のってそこまで小さくないけど大きいと胸を張れる訳じゃないんだが……。

 

 で、何で寺島さんの言葉を聞いて響と未来が小さく笑ったんだろう。若干怖いんだけども。

 

「そっか。寺島さんはそこまでなんだね」

「只野さん、どうしますか?」

「どうしますかって……」

 

 二人はそれでいいの? そう聞く事は出来なかった。何故ならそう聞いてきた時点で答えは明白だからだ。

 だからと言ってマリア達の事もある。大体二人が許可したからと言って寺島さんといきなり行為に及ぶなんて……なぁ。

 

「あっ、ねぇねぇ未来、ここはさ、ちゃんと板場さん達にアレ、見せてあげるべきじゃないかな?」

 

 俺が答えあぐねていると響がそんな事を言い出した。しかも小悪魔的な笑顔で、だ。

 あれってのは……行為だろうか? いや、モノの方かもしれない。

 

「そっか。だって板場さん達“は”ちゃんと見た事ないもんね」

「「ええっ!?」」

 

 板場さんと安藤さんが驚く中、寺島さんは驚く事もなくむしろ顔を紅潮させて目を見開いていた。

 

「あの、響? 未来? 一体何を考えて」

「あの夜、私達は仁志さんのアレを見て赤ちゃんの部屋がウズウズしたんです」

「それと同じ事が板場さん達にも起きれば只野さんも覚悟、決まりますよね?」

 

 告げられた言葉はある意味でとんでもなくエロい事だった。聞いていた板場さん達が赤面して黙ってしまうぐらいに。

 ただ、その反応から拒否感や嫌悪感のようなものは感じられないのが不思議だった。もしかして、本当にそういう事への興味が強くなっているんだろうか?

 

「だからってな、やっていい事と悪い事が」

「「即答出来なかった癖に……」」

 

 俺の反論はその拗ねるような一言で即座に潰されてしまった。たしかに答えあぐねた俺が悪いんだけども、だからってクラスメイトの仲良しトリオへ何て事をと思わない訳じゃない。

 だがしかし、残念ながら今の俺の言葉には二人を説得できる程の力がないのも事実。本当にみんなだけでいいと思っているのならさっき即答出来たはずなのだから。

 

 ……やっぱり人の欲望ってのは限りがないんだなと実感する。板場さん達とスケベ出来るけどどうするのと、そう響と未来に改めて問いかけられただけで少しとは言え揺らいだんだからなぁ。

 

「それで、どうする? 仁志さんの見てみる?」

「そ、それは……」

「興味、あるんでしょ?」

「まぁ……ないとは言えないけどさ……」

 

 想像以上に板場さんと安藤さんの反応が悪くない。えっと、やっぱり女の子にも男程じゃないけど性欲ってあるんだな。

 

「あのっ、只野さんっ」

「へ?」

 

 気付けば寺島さんが近くにいた。その表情は真剣だけど、どこか恥ずかしさのようなものが感じられる。

 

「わ、私、本当に貴方がいいんです。彼女にしてくださいなんて言いませんから、貴方の手で私を大人の女性にしてくださいっ」

「寺島さん……」

 

 どこかかつてのセレナに近しいものを感じる。何ていうか、どうしてもそういう事をしたいというような雰囲気だ。

 なら、俺が取るべき行動は決まってる。少なくても性的な行為じゃなく、焦りにも似た彼女の気持ちを静める事だ。

 

「寺島さん、ありがとう。君の気持ちは本当に嬉しい」

「只野さん……」

「だから……」

「え? あっ……」

 

 そっと寺島さんの体を優しく抱き締めると、その瞬間ふわりと香るイイ匂いに頬が緩む。寺島さんもやっぱ女の子だけあって柔らかいな。

 

「いきなりエロい事なんてしたくないし出来ないんだ。それとも、君はそういう方がいい?」

「でも、こうされてしまうと余計に」

「好きになっちゃう?」

「……はい」

「ならこう思えばいい。自分を抱き締めてる相手は複数の女性と関係している男だって」

「…………そんな方だからこそ、私は意識してしまったのかもしれません」

 

 そう言って寺島さんは小さく笑った。その声が俺のよく知る彼女のものだと分かり、内心安堵した。これで少しは焦りのようなものが薄れたと思えたからだ。

 

「テラジ、乙女の顔してる……」

「そうね……。て言うか只野さんの行動もマンガやアニメみたい……」

「仁志さんらしいけど……」

「あれ、逆効果じゃないかなぁ……」

 

 周囲から聞こえる声を無視するように俺は寺島さんを抱き締めた。心なしか彼女も嬉しそうに抱き締め返してくれた気がする。

 

 それに気を良くして、じゃないけどこんな事を板場さんと安藤さんへ言ってみた。

 

「何なら板場さんと安藤さんも同じ事、経験してみるかい?」

 

 その結果本当にやる事になるとは夢にも思わなかった。いや、さすがにそれはって言われると思ったんだよ。

 

――な、何だか恥ずかしいなぁ……。でも、うん、悪くない、かな。

――う、うわっ、あ、あたし、今、男の人と抱き合ってる、のよね? ううっ……ヤバいぐらいドキドキするわ……。

 

 まぁ、それぞれに初々しい反応や可愛い表情を見せてくれたおかげでエロい空気がかなり消し飛んでくれた。

 

 ただ……

 

「む~っ、仁志さん?」

「私と響がいるの、忘れてません?」

 

 響と未来にジト目でそう言われ冷や汗を掻く羽目にはなったけども……。




続きはあちら……ですが、更新は未定(汗

気長にお待ちいただけると助かります。
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