シンフォギアの消えた世界で アナザー   作:現実の夢想者

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姉妹揃ってエロに……なるのかならないのか。

ただ、今作のマリアとセレナと只野との関係性ってよくあるエロゲーな感じなんですけどね(苦笑


聖母の小夜曲が協奏する前夜に

 あのエル達との再会から二日後、俺は夜勤明けの体でシャワーを浴びていた。

 いや、本当は熱い湯に浸かりたい気持ちなんだが、眠くもあるのでさくっと汗を流したいんだ。

 

 寒い時期になったので、散歩はジョギングへと変えている。

 たった一人で走るのは勿論寂しいが、それでも奏や未来と走った場所を走る事でその時の事を思い出したり、その変化を感じる事でモチベーションは保てている。

 

「……後は飯食って寝るだけ、か」

 

 シャワーを止め、少しだけ髪をぐしゃぐしゃと手で掻き回して呟く。

 脱衣所兼洗面所へ出てバスタオルで体を拭いて、用意しておいた下着を履いてジャージに着替えてキッチンへ。

 そこにある折り畳みテーブルの上に置かれた廃棄のおにぎりを軽くレンジで温めながら、その待ち時間で冷蔵庫から紙パックのお茶を取り出してコップへ注ぐ。

 

「マリアや調の飯を食べてたのが懐かしいよなぁ」

 

 いつでも温かい飯があって、それを出してくれる優しい笑顔があった。

 たった一か月前なのに、もう一年前のような気がしてくる。

 

「最初の一人飯はかなり心にきたもんな……」

 

 レンジからおにぎりを取り出しながら呟く。

 何が堪えたかって、つい癖で廃棄のシュークリームを持ち帰ろうとしていた時に「あっ、もう必要ないんだ」って気付いた時だったし。

 

 それから一か月。俺の生活は響と出会う前に逆戻りした――ようで変化している部分も残った。

 毎朝の運動がまずそれ。次が夕食用の買い物だろうか。ま、それは休みの日だけの行動ではあるが。

 

「……味気ねぇ」

 

 いや、味はあるんだが、何て言うか、幸福感のようなものが皆無なのだ。

 マリアに飯を作ってもらえる前はこれでも十分美味いって感じられたはずなのになぁ。

 本当に人間って一度上がった生活レベルを下げる事が出来ないんだなと思う。

 

「あれ? お部屋が違うよ姉さん」

 

 と、そんな時リビングの方から声が聞こえてきた。

 しかも聞こえたその声に俺は反射的にその場から駆け出した。

 

「せ、セレナっ!?」

 

 リビングにいたのはギア姿のセレナだった。更にその後ろにはギア姿のマリアも立っている。

 

「お兄ちゃんっ!」

「仁志っ!」

 

 イヴ姉妹が揃ってこちらへ気付いて笑顔を向けてくれた。

 で、セレナはその場から駆け出してこっちへ飛び込むように抱き着いてきた。

 

「良かったぁ……また、またお兄ちゃんに会えて」

 

 若干涙声な辺り、セレナはきっとここへもう来れないかもしれないと思ってたんだと分かる。

 何せ世界に唯一の装者だ。何か起きた時に真っ先に動かないといけない存在だからな。

 

「俺も嬉しいよセレナ。元気そうで良かった」

 

 優しくセレナの事を抱き締めて噛み締めるように声をかける。

 

「仁志……」

 

 そこへ聞こえる優しい声に顔を上げれば、そこには微笑む美しい女性。

 

「マリア……久しぶり」

「ええ、久しぶりね」

 

 まるで単身赴任先に嫁さんが娘を連れて来てくれたみたいだな。

 って、そんな事を言ったらその気になるだろうから言わないでおくけど。

 

「む~っ、お兄ちゃん?」

 

 マリアと見つめ合ってると聞こえる拗ねた声。

 顔を下へ向ければ膨れ面のセレナがいた。

 

「ごめんごめん。でも勘弁してくれないか? 久しぶりに会ったんだからさ」

「……仕方ないから許してあげる」

 

 俺の腕の中で少しだけ膨れ顔をしながらセレナがそう言ってくれた。

 だから感謝するように優しくその頭を撫でる。

 

「ぁ……ふふっ」

「それにしても、引っ越したのね」

「そうなんだよ。エル達に聞いてないか?」

「え? エル達もこっちに来たの?」

「そうなの? いつ?」

 

 俺の言葉に小首を傾げるセレナとマリア。

 つまり二人はエル達の訪問を知らない訳か。でもどうして?

 

「俺の感覚だと二日前だけど……」

「「ああ……」」

 

 納得。そんな顔だ。

 

「今回、私エル達に会う前に姉さんとここへ来たから」

「私もさっきまで任務で外国に行っていたの。だからね」

「成程。つまり二人してエル達に会ってない?」

「正確には会って話しこむ暇がなかったわね」

「うん、私もゲートリンクをもらって軽く説明を聞いたぐらい。何でもエル、平行世界へキャロルのお願いで行く事になってたから」

 

 どうやら何かエルに動きがあったらしい。

 しかもエルの中のキャロルが希望しての事のようだ。

 向かった先は何と奏の世界で、随伴員として切歌と調がついているとの事。

 しっかりお姉ちゃんをしているようでほっこりするな。

 

 エルに関しての話が終わった辺りでもう一人俺の前に登場。

 

「おおっ、これは俺の寝床だったやつか」

 

 嬉しそうにリビングに置かれたクッションへ座るヴェイグ。

 そう、それはあの平屋で切歌がヴェイグへ買ってあげた“ヴェイグをダメにするクッション”だ。

 

「ふふっ、ヴェイグさん、それお気に入りでしたもんね」

「ああ。懐かしいな」

「向こうじゃやっぱりセレナの中なのか?」

「それが……」

「寝る時だけはセレナと一緒に寝てるぞ」

 

 これは意外だ。一体何があったんだろうと思わないでもないが、何となく理由は分かる。

 

「へぇ、セレナが一人寝が寂しいからって?」

「ああ」

「っ! ヴェ、ヴェイグさんっ!」

 

 あっさり認めるヴェイグと顔を赤くして慌てるセレナ。

 それに俺とマリアが小さく苦笑する。ホント、まるで家族だ。

 

「ヴェイグさんも、今更私の中で寝るなんてやだって言ったじゃないですかっ!」

「……だったかもな」

 

 恥ずかしそうにセレナから顔を背けるヴェイグに思わず笑みが浮かぶ。

 どうやら二人して一人きりが寂しくなったらしい。

 きっとあの平屋での暮らしが原因だろう。あそこはいつも誰かいて、孤独なんてものとは無縁の場所だったから。

 

「ははっ、とにかくヴェイグとも再会出来て嬉しいよ」

「俺もだ。タダノ、住家を変えたんだな」

「ああ。二階建ての借家だ。3LDKだぞ」

「嘘? そんな部屋を借りたの? 家賃、大変でしょ?」

 

 思った通りマリアが現実的な事へ気付いた。

 で、ここでエル達にもした話をすると三人揃って納得してくれたのだが、当然自分達の物語だったものを見てみたいと言ったので、スマホで“戦姫咆哮ギアヴァラヌス”の公式ページへ行き、キャラクター紹介を見せる事に。

 

「……あっ、姉さんだ」

「そうね」

「……俺やセレナはいないぞ?」

「えっと、それは作品の世界が根幹世界だからなんだ」

「そういう事か」

 

 ヴェイグを抱えたセレナを間に挟んでマリアとスマホを見つめるのは、本当に親子みたいでちょっとむず痒い。

 チラと視線を向ければそこには美しい横顔の美女。と、こちらへ目を向けてきた。

 

「何?」

「あっ、その、やっぱり美人だなって」

「そ、そう……。その、ありがとう」

 

 思わず本音を告げると向こうも戸惑いながら照れを見せる。

 何というか、新婚かよ、俺達。

 

「姉さん、本当にお兄ちゃんを旦那さんにしたら?」

「っ!? せ、セレナ!?」

「姉さんがそうしないなら私がお兄ちゃんを旦那さんにしちゃうから」

「タダノ、どうする?」

「えっと、その場合は出来ればこっちに来て欲しいんだけどなぁ」

 

 俺がマリアやセレナの世界へ行く事は可能だ。依り代が戻ってきた以上、俺もゲートを通過できる。

 だけど、だからって両親まで連れていける訳じゃないし、きっと二人もこの世界を捨てて俺と一緒に異世界へなんて言わないだろう。

 なら、俺はせめて両親を見送るまでこっちにいたい。きっとこの気持ちはマリア達も分かってくれるはずだ。

 

 そう思ってその気持ちまで理由として伝えると、イヴ姉妹は納得するように笑みを浮かべてくれた。

 

「仁志の気持ちはもっともよ。そうね、ご両親がご健在の内はこちらに留まりたいと思うのが当然ね」

「うん、お兄ちゃんのパパとママを大事にしたいって気持ちはよく分かるよ」

「ありがとう」

「そうなると何とかして今の立場を何とかしないといけないわね」

「私は……別の装者を見つける?」

「うん、気持ちは嬉しいけどあっさり出来ない事だろ、それ」

 

 マリアは裏取引みたいなものがあったはずだし、セレナはアガートラームと適合する人間を見つけないといけない上、装者なんて役割を引き受けてくれる強い心の持ち主でなければ無理という条件だ。

 

 どちらも簡単にはいかないし、そもそも可能かどうかさえも怪しい話だろう。

 

「出来たら私を妻にしてくれる?」

「出来たら私を妻にしてくれる?」

 

 からかうような笑みでこっちを見てくるイヴ姉妹。

 まったく、本気半分冗談半分とは性質が悪い。

 

「妻に出来なくても、こっちで姉妹仲良く暮らして欲しいぐらいだよ」

 

 なので本音だけで返す。すると姉妹揃って一瞬軽く驚いた後で嬉しそうに笑ってくれた。

 

「あれ? お兄ちゃん、ここにご飯粒付いてるよ?」

「え? あ、ホントだ」

 

 セレナに指摘されたので口元を触ればたしかに米粒が一つあった。

 

「食事中なの?」

「まぁ。廃棄のおにぎりだけど」

「ちょっと、私達がいなくなった途端に食生活を乱さないの」

「無理言うなよ。明けで帰ってきてから飯作るなんて、今も昔も出来ないメンタルだって」

 

 情けないが仕方ない。これが事実なのだ。

 

「もうっ、何か材料はある?」

「ない」

「即答だ……」

「まったく……この時間じゃスーパーも開いてないし……どうしようかしら?」

 

 言いながらリビングに新しく置かれた時計を見るマリア。

 と、そこで何かに気付いたように時計を見つめる。

 

「……やけに新しいわね」

「え? あっ、時計だ。お兄ちゃん、時計買ったんだね」

「え?」

「ああ、うん。エル達が来た事を受けてな。安物だけど」

「はい?」

 

 マリアだけがどういう事みたいな顔をしている。

 そういえば彼女は俺の部屋に来たの数える程だし、状況も普通じゃなかったから気付いてなかったんだろうな、時計がない事に。

 

「タダノの部屋には時計がなかったんじゃないか?」

「そうなの?」

「スマホがあれば事足りるからさ」

 

 そう答えて俺はキッチンへと戻ると、残りのおにぎりとコップを手にした。

 で、再びリビングへ向かうとまだ二人がギア姿でいたのでそれを指摘する事に。

 

「お兄ちゃんに会えた事で忘れてた」

「そうね。でも、仕方ないわ。それぐらい、私達には大きな出来事だったから」

 

 普通の格好へ戻った二人を見て、俺は何となくだけど嬉しさみたいなのが込み上げた。

 本気で俺ももう会えないとどこかで思ってたからだと思うし、あの頃の二人はギアを纏う事が少なかったからだろう。

 

 やはり、俺にとってあの暮らしを支えてくれた大きな存在は、エルとこの二人だったんだと思うから。

 

「ヴェイグ、悪いけどこれ、持っててくれ」

「ん? ああ、いいぞ」

 

 持っていた物をヴェイグへ手渡し、俺はイヴ姉妹へと歩み寄る。

 

「マリア、セレナ」

「「ん? 何?」」

 

 声とリアクションを揃える仲良し姉妹を、俺は優しく抱き締める。

 戸惑ってるだろう二人へ、俺はそのままこう告げる。

 

「えっと、とりあえずおかえり」

「「……ただいま」」

 

 その言葉と共に二人が抱き返してくれて、嬉しかった。

 と、俺の足へ軽く何かが当たる。

 何かと思って目を向ければ、ヴェイグがおにぎりとコップを手にやや呆れた顔を向けていた。

 

「俺もいるぞタダノ。忘れるな」

「あー、うん。ごめんなヴェイグ。えっと、おかえり」

「ただいまだ。それで、これ、食べてもいいか?」

「あははっ、いいよ。ただ、それ梅だから酸っぱいぞ」

「酸っぱいのか。分かった」

 

 ハムッとおにぎりを食べ始めるヴェイグに癒され、俺達三人は笑顔を浮かべた。

 きっと、今の俺達は本当に家族みたいに見えた事だろう。

 それぐらい、俺達の距離は色んな意味で縮まっているのだから……。

 

 

 

 こっちへ来た一番の理由であるゲートリンクの通信テストを終えて、私は姉さんと二人でこっちに一泊する事になった。

 マムや司令さんが言うには、やっぱり時間の流れがおかしいから、その調査も兼ねて滞在して欲しいって言われたからだ。

 

 何でもエル達がお泊りした時もそうだったみたいで、マムへ通信した時なんか、私が出発してまだ10分も経ってないって言われちゃった。

 

 今はリビングでお兄ちゃんや姉さんと一緒にお喋りして過ごしてる。

 ヴェイグさんは久々のお気に入りクッションでもう眠ってる。

 おにぎり食べて、こっちに来たって感じがしたって言った時は三人で笑っちゃったけど、気持ちは分かったから私も姉さんも同意はした。

 

「じゃあ、悪いけどお願いしてもいいか?」

「ええ、任せて」

 

 で、スーパーが開店する時間になるから、これから姉さんがお買い物へ出発する。

 そんな姉さんにお金を渡すお兄ちゃんを見てると、本当に二人が夫婦になったみたいに見えるなぁ。

 

「じゃあセレナ、留守番お願いね?」

「うん」

 

 お買い物袋を持って外へ出て行く姉さんを見送り、私はお兄ちゃんと一緒に二階へ上がる。

 そこに今のお兄ちゃんの寝室があるからだ。

 

「わぁ……」

 

 そこにはお兄ちゃんのお布団が一つあるだけで、あとは何もないに近い部屋があった。

 それに、まだお部屋が二つあるのが分かる。あのお部屋に比べると、本当に広くて大きい。

 

「お兄ちゃん、他の部屋も見ていい?」

「いいけど何もないぞ」

「そうなの?」

「ああ。その、正直趣味部屋にでもしようかと思うぐらい、俺一人じゃ部屋を持て余してるし」

「趣味部屋?」

 

 お兄ちゃんが教えてくれた話だと、要するに好きな物や事を楽しめる場所にする事らしい。

 もしそんなお部屋が出来たらエルや切歌さんはすっごく喜びそう。

 

 私もちょっと興味はある。

 お兄ちゃんは男の人だからか、私が全然知らない事や興味を持たない事に意識を向けてるから。

 

「ああ。でも、そっかぁ。エルとセレナの部屋って考えたら一つは使い道が埋まるな」

「私とエルの部屋?」

「そうそう。えっと、こっちかな?」

 

 そう言ってお兄ちゃんが戸を開けると、広さが翼さん達が使ってた寝室ぐらいのお部屋が。

 

「ここが私とエルの部屋?」

「うん。で、もう一方はマリアの部屋かな」

「あれ? お兄ちゃんの部屋は?」

「俺はいいよ。だって、きっとリビングが俺の物で溢れるだろうし」

 

 言われて見ればそうかも。

 きっとお兄ちゃんのマンガやDVDは、みんなの場所であるリビングに置かれるはずだ。

 しかもそこから増えてく可能性だってある。私もエルも、姉さんだってお兄ちゃんの好きな物は好きだから。

 

「そうなったらお休みの日はDVDを見て過ごすのかな?」

「あー、もしくは車で遠出かもな」

「車? また借りるの?」

 

 私がそう聞くとお兄ちゃんはニヤって感じで笑った。

 

「実はな? あの時話した通り、車を買ったんだよ」

「えっ!? ホント!?」

 

 驚きだ! お兄ちゃん、本当に約束を守ってくれたんだ!

 

「ああ。まだ納車……じゃ、分からないか。とにかく車自体は届いてないけど、駐車場は契約したから」

「それって前見に行ったとこ?」

「そうだよ。ここからだと歩いて五分じゃないけどね」

「お兄ちゃん大好きっ!」

「おっと」

 

 絶対エルにも教えてあげよう!

 あの時の事をお兄ちゃんが本当に覚えてて、しかも叶えてくれたんだよって!

 

 しかも、嬉しさで抱き着いた私をお兄ちゃんは小さく笑って受け止めてくれた。

 それもすっごく嬉しい。

 そのまましばらくお兄ちゃんに抱き締めてもらって、その後はお兄ちゃんと一緒にお布団に入った。

 

「前はダメだったのに、本当にいいの?」

「あー、うん。あの頃はほら、悪意っていう厄介なものがいたからな?」

「うん」

「で、俺やセレナが変な気持ちになるとそれを利用されちゃうだろ?」

「そうだね」

「だから、その、そういう事だよ」

 

 そこでお兄ちゃんが恥ずかしそうに上を向いた。

 よく分からなかったけど、多分お兄ちゃんは私も今は大人扱いだからって事なんだろうな。

 

「えっと、今の私と一緒に寝るとお兄ちゃんが変な気持ちになるって事?」

「まぁ……」

 

 照れくさそうに頬を掻くお兄ちゃん。何だか笑みが浮かんでくる。

 そっかぁ。今の私、お兄ちゃんを変な気持ちにさせられるんだぁ。

 

「えへへっ」

「嬉しいの?」

「うんっ!」

 

 力強くそう答えるとお兄ちゃんは小さく笑って頭を撫でてくれた。

 子供扱いみたいに感じるけど、嬉しいから別にいいかな?

 私も嬉しくてお兄ちゃんに抱き着いたままでいた。

 

「お兄ちゃん、大好き」

「ありがとう。俺もセレナの事、好きだよ」

 

 そこでチュッて額にお兄ちゃんがキスしてくれた。

 くすぐったいけどすっごく嬉しい。

 

「お兄ちゃん、私もキスしたい」

「いいよ。じゃ、お願いするな?」

 

 ニコニコ笑うお兄ちゃんだけど、分かってるのかな?

 私は額じゃなくてちゃんとしたキスするんだもん。

 だから私はニコニコしてるお兄ちゃんの唇へ自分の唇を重ねる。

 

「っ!? せ、セレナ? どうして口に?」

 

 ちょっと驚いてるお兄ちゃんへ私は舌を出した。

 

「てへっ、したかったんだもん」

 

 本当は一度だけしてもらった大人のキスがしたかったけど、お兄ちゃんに舌を出すのがちょっと恥ずかしくて出来なかった。

 

「やれやれ、すっかりセレナも小悪魔な子になっちゃったなぁ」

「こうしたのはお兄ちゃんだからね」

「だから嘆いてるんだよ。イノセントなままでいて欲しかったな」

「イノセント? 純白って事?」

「そ。俺のセレナの第一印象はそんな感じだから」

「そうなんだ」

 

 何だろう? 嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な気持ち。

 

「何だか俺が汚しちゃったみたいで申し訳ないよ」

「じゃ、じゃあ、責任取ってお嫁さんにして?」

 

 姉さんにはああ言ったけど、私だってお兄ちゃんを旦那さんにしたい。

 お料理だって頑張ってるし、お掃除やお洗濯だって続けてるんだもん。

 

 実は、戻ってからお兄ちゃん達に言われたようにマムへお野菜を使ったスープを出した。

 滅多に驚かないマムが大きく驚いて、私が一口だけでもってお願いしたら飲んでくれて、美味しいって言って全部飲み干してくれた。

 

――色々と信じられない話ばかりでしたが、それら全てが事実だと信じる事の出来る証拠でもありました。セレナ、貴方は本当に成長して帰ってきたのですね。

 

 少しだけ、少しだけだけど笑顔を見せてマムはそう言ってくれた。

 後でヴェイグさんが教えてくれたけど、その時のマムはとっても優しい匂いが出てたって。

 

 私の作ったスープを飲んで幸せになってくれたって分かって、本当に嬉しかった。

 

「わ、私ね? お嫁さん修行してるんだよ? お料理とかお洗濯とか、姉さんや調さんに教えてもらった通りに頑張ってるんだから」

「そ、そうか」

「うん。だから、マムのご飯は私が作ってるんだよ?」

「そうなのか? 凄いじゃないかセレナ」

 

 お兄ちゃんが目を見開いて私の事を撫でてくれた。

 まるでパパだ。大きくてあったかい手で撫でられる事は好きだから受け入れるけど、これってやっぱりダメなのかな?

 

「それでね、マムが少しずつ野菜を食べてくれるようになったんだ」

「へぇ、セレナが料理するから?」

「えっと、マムが言うには日本風の味付けが好きみたい。特にお味噌汁が好きなの」

「それは意外だなぁ。じゃ、野菜を使った味噌汁を?」

「うん。ほうれん草とおあげのお味噌汁とか、大根とお豆腐のお味噌汁とか、あっ、なめことわかめのお味噌汁も作ったよ」

 

 全部あの暮らしで覚えた味だ。

 姉さんや調さんの作ってくれた味。私にとっての、家庭の味。

 あったかくて、幸せで、笑顔になれる味。

 それをマムにも食べてもらいたい。知って欲しい。そう思って私は頑張ってる。

 

 マムもそう話すと少しだけ嬉しそうに食べてくれる。

 心なしか、マムは私が今みたいにお料理とかをやるようになったら小さく笑ってくれるようになった。

 

 どうしてだろうって思ってお兄ちゃんに聞いてみると……

 

「多分だけど、ナスターシャさんはセレナが精神的に自立し始めた事を感じ取ったんだ」

「精神的に自立?」

「要するに、セレナから未熟さというか甘えが減ったと感じ取ったんじゃないかな? だから今までみたいに厳しいだけじゃなくても、セレナが自分へ甘える事はないと思ってくれたんだ」

「そっか」

 

 マムは今の私なら優しくしても自分を甘やかす事がないって考えてくれてるんだ。

 少し大人に近付いてるって、そういう事だよね。

 

 じゃ、じゃあ、お兄ちゃんとも少しだけ大人になってもいいかな?

 

「あの、ね、お兄ちゃんにお願いがあるんだけど」

「ん?」

「そ、そのね? 大人のキス、したい、んだけど……」

 

 言っちゃった!

 

「セレナもすっかり女の子になったんだなぁ」

 

 お兄ちゃんはどこか遠い目をしてそう呟いて、私の事をそっと抱き寄せてきた。

 

「お兄ちゃん?」

「今の俺は頑張って自分を抑えられる大人じゃないんだ。それでも、いいか?」

 

 そうやって私へ問いかけるお兄ちゃんは、初めて見るような目をしてた。

 だけど、きっとこれがお兄ちゃんのおすの顔、なんだって思って頷いた。

 

「んっ……んちゅっ……んんっ」

 

 キスされたって思ったら、お兄ちゃんが舌を絡めて欲しいって言うみたいに舌を伸ばしてツンツンしてきた。

 だから私も舌を伸ばしたら前にした時よりも力強く抱き締められて、舌をいっぱい絡められた。

 

 お兄ちゃんは大人の男の人なんだって、そうすっごく分かるぐらい力強くて、ずっと胸がドキドキして、頭の中が真っ白になるぐらいポ~っとしちゃった。

 

「はぁ……はぁ……おにいちゃぁん……」

 

 キスが終わった後、フワフワした気持ちのままお兄ちゃんへ呼びかける。

 そうしたらお兄ちゃんの手が私の頬っぺたを優しく撫でてくれた。

 

「どう、かな? 今のが少しエッチなキスだ」

「そう、なんだ……」

 

 ずっと心臓がドキドキしてて、頭がボ~っとして何も考えられない。

 でも、エッチなキス、好き、かも……。

 

「お兄ちゃん、私ね」

「うん」

「えっと、さっきのキス……」

「ああ」

「その……好き、かも……んっ」

 

 好きって言ったらお兄ちゃんが優しく微笑んでくれて、またキスしてくれた。

 舌を一生懸命絡めようとして動かしてると、お兄ちゃんがイイ子だよって言うみたいに頭を優しく撫でてくれる。

 

 それが私も嬉しくて、もっともっと頑張ろうとキスをした。

 

 だから終わった時には気付いたらお兄ちゃんに抱き着いてた。

 お布団の中で、少し寒いはずなのに暑くて汗を掻いちゃうぐらいに。

 

「セレナ、汗を流しておいで。俺はこのまま少し眠らせてもらうから」

「……うん」

 

 お兄ちゃんの胸に顔を埋めたままで寝たかったけど、汗を掻いて気持ち悪いのも事実だから頷いた。

 髪が汗で張り付いてるし、下着の辺りにも汗を掻いちゃってて気持ち悪いもん。

 

「あれ?」

 

 お布団から出ようとした時、ふとお兄ちゃんの事を見て気付いた。

 何だかお兄ちゃんのズボンが一部盛り上がってるって。

 

「お兄ちゃん、そこどうかしたの?」

 

 腫れたみたいになってるところを指さして聞いたら、お兄ちゃんが恥ずかしそうに頭を掻いて……

 

――まぁ、その、俺がセレナの事を女性として魅力的だって強く思うとこうなるんだよ。

 

 って、そう教えてくれた。

 その言葉に私は嬉しくなって笑顔のままで階段を降りてお風呂場へ向かった。

 

 だって、私はお兄ちゃんにとって大人の女の人になれたって事だもん。

 脱衣所で服を脱いでいって、下着を脱ごうとした時に違和感を覚えた。

 

「これ、汗、じゃないのかな?」

 

 何だか汗が糸を引いた気がする。ちょっと怖いかも……。

 病気、じゃないよね?

 

 うん、姉さんが帰ってきたら聞いてみようっと。

 

 

 

 仁志が仮眠から目覚めたのは午後五時を過ぎた辺りであった。

 そこからフラフラと階段を下り、トイレを済ませてからリビングへと姿を見せた仁志を待っていたのは、何故か満面の笑みを浮かべるマリアだった。

 

 だが、その笑顔が額面通りの意味合いではない事が仁志には瞬時に分かったのだ。

 何故なら、マリアは静かに怒っていると分かる程の威圧感を醸し出していたからだ。

 

「えっと……?」

 

 しかも、その怒りは自分へ向けられていると感じ取り、仁志は寝惚けた頭で何か失態を犯しただろうかと考え始め、不意に顔を動かした時に見たセレナの申し訳なさそうな顔で何かを察した。

 

「仁志? ちょっと話したい事があるの。セレナ、ヴェイグと一緒に上へ行っててくれないかしら」

「う、うん……」

「タダノ、よく分からないが、まぁ頑張れ」

 

 セレナの腕の中から項垂れる仁志へヴェイグは声をかけてその場から去っていく。

 セレナが階段を上がる音を聞きながらマリアが静かにリビングのドアを閉め、仁志の前へクッションを一つ差し出した。

 

「そこ、座って」

「はい……」

 

 大人しく座る仁志と向かいで仁王立ちするマリアという、完全に悪さが露見した旦那を叱る妻の図が出来上がる。

 

「さて、仁志? どうして私が怒ってるか分かる?」

「……セレナ絡みって事だけは」

「そう、ならもう少し思い出してごらんなさい」

「…………ディープキス、しました」

「ええ、でしょうね。で、それだけ?」

「え、えっと……」

 

 例えるのなら、マリアの背後からゴゴゴゴゴッという擬音が出ているような気が仁志にはしていた。

 それぐらいマリアは怒りのボルテージが高まっていた。

 何せ彼女は買い物から帰ってきた後、冷蔵庫へ野菜などをしまっている時にシャワー上がりのセレナからある意味でとんでもない質問をされたのだから。

 

――姉さん、何だか粘ってる感じの汗が出たんだけど、これって病気かな?

 

 もうその時のマリアの精神状態はまさしく“赤ちゃんはどこからくるの?”と聞かれた時の親のそれと同じであった。

 

 とりあえず病気ではないと説明し、どうしてそうなったのかを聞き出して、マリアは仁志が起きるまで待っていたのだ。

 

 そこで起こさない辺りに彼女ならではの優しさと気遣いがあった。

 

「思い出せない? もしくは分からない?」

「…………え、エロいキスをしました」

 

 その言葉を待っていたとばかりにマリアが笑みを深くしてゆっくりと頷いた。

 

「よく言えました。じゃあ……もう分かるわよね?」

 

 ズイッと上半身を仁志へと近付け、低めの声で告げられた言葉。

 その迫力に仁志は身を震わせる。

 

「も、もしかしてセレナが性的な快感を?」

「以外にある?」

「ですよね……」

 

 ガックリと肩を落とす仁志へマリアは大きくため息を吐いた。

 

「そうなりたいのはこっちよ。あの子、まだ性教育が始まってもいないの。それなのに……」

「あー……それは本当に申し訳ない事を」

「まぁいいわ。問・題・はっ!」

「俺がセレナへいかがわしい行為をした事です……」

「そういう事よ。で? セレナはキスをしただけって言ってたけど?」

「そ、それは本当だって。本当にキスしかしてない」

 

 疑うマリアへ仁志はこれだけは信じてくれとばかりにはっきりと告げる。

 実際仁志は、響達と再会してから今までで一番いやらしくない行為と思っていた。

 ただ、故にやはりセレナ相手にする事ではなかったと反省もしていたが。

 

(ま、まさかセレナがキスだけで感じてくれるなんて……)

 

 響達には胸を触るなどのキス以外の刺激も与えたが、セレナにはそういう事をした訳ではない。

 それなのに快感を覚えていたという事実が、仁志には喜びではなく申し訳ない事にしか思えなかったのだ。

 

「……その様子だと本当なのね」

「ああ。その、悪意がいなくなっただろ? だから自制心がかなり緩んでるんだ」

「自制心がねぇ……じゃあ」

 

 ニヤリと笑ってマリアがゆっくりと仁志の横へ移動する。

 それに気付いて仁志が顔を動かしたところで、マリアはその場へ腰を下ろしてこう告げた。

 

――あの時の続き、してもらえるかしら?

 

 とても妖艶な微笑みと共に……。

 

 

 

「んむっ……っはぁ、んんっ」

 

 仁志に肩を抱かれてするディープキス。もうこれだけで頭の中が真っ白になるわ。

 こうして舌を絡め合うのは初めてではないけど、やっぱりまだ慣れない。

 あの夜、アルコールの匂いと味に包まれながらした時とは違う、ネットリと濃厚な男女の求め合い。

 

 今、仁志は私だけを見て、私だけを意識してくれている。それが、とっても嬉しい。

 

「マリア……」

「仁志……」

 

 互いの吐息がかかる距離で見つめ合う。

 私を見つめる仁志の表情は、今まで見た事があるようでどこか違う野性的なものだ。

 見つめられるだけで胸が高鳴り、今にも彼のもので貫かれたいと思ってしまう。

 

「あの時の続きは続きだけど、ある意味もどかしいかもしれないぞ? いいか?」

 

 告げられたのはある意味で期待を裏切る言葉。

 だけど、その、嬉しくなる言葉だった。

 

「お願い」

 

 そう返した瞬間、仁志の手が私の胸を触った。

 力強くて少しだけごつごつした手が、私の事を優しく愛撫してくる。

 

「マリア、ブラずらすよ」

「ぁ……」

 

 気付けば仁志の手が服の中へ入ってきて、そのまま私の胸を守る物をどかすように動いた。

 優しく揉む手付きは、いやらしいと言うよりは慈しむようなもので、それだけで私は嬉しくなってしまう。

 

「んっ……ちゅっ、っは……仁志……んぅ」

 

 ああっ、幸せ。今、私は女として彼に求められている。

 そう思うだけで心が弾み、下腹部が熱を持つ。

 舌を絡め合い、仁志の手で胸を触られる。それはこれまではなかった事だ。

 

「マリア、綺麗だ」

 

 息継ぎの際に囁かれる一言も、私の熱を上げ、私の中の女を悶えさせる。

 もっとそう言って欲しい。もっと求めて欲しい。そう思って私は仁志へ体を密着させる。

 すると、それを汲み取ったかのように仁志の手が私を求め、触ってくれる。

 舌を激しく絡め、窒息寸前まで求めてくれるのだ。

 

 気付けば私は無意識に何か硬い物を触っていた。

 それが何かは考えるまでもない。

 でも、嬉しい。私の手の中にあるそれは、とても逞しく、頼もしささえ感じる。

 これが、いつか私の中へ入るのだろうかと思うと、それだけで下腹部の熱が増して、その結果が下着を濡らす。

 

「仁志……これで終わり?」

「……セレナとヴェイグがいるんだぞ」

「いいのよ。セレナは私と貴方が夫婦になる事を望んでくれてる。ヴェイグだって、私達が仲良くするのは喜ぶわ」

「なかよく、か……」

「あっ……んんっ」

 

 仁志の両手の人差し指が私の左右の乳首を軽く弾く。

 もうそこは仁志の愛で主張する突起物と化していた。

 恥ずかしさもあるけど、私が与えられた刺激と快感に喘いだ瞬間、更に仁志はそこを摘んできた。

 

「マリア、もうこんなになってるぞ」

「いやっ、言わないで……ああ……クリクリしないでぇ」

 

 優しく与えられる快感は、とっても気持ち良くて幸せになるものだった。

 そのまま彼はキスをしてきて、私は上下で与えられる幸福感に酔いしれ、思考を止めた。

 

 このまま仁志と溶け合っていきたい。もっと深く繋がり、求め合いたい。

 優しい刺激もいいけど、強い刺激も欲しい。もっと気持ち良くなりたい。

 浮かんで消えるはずの欲求は、消える事なく残り続け、私の中で膨らんでいくばかり。

 

「んんっ!?」

 

 そんな時、私の中に電流が走った。

 目を見開けば、そこには少し怖い笑みを浮かべる仁志がいた。

 

「マリア、ここで終わりにしよう」

「な、なんで……?」

 

 荒い呼吸でそう尋ねる私へ、仁志は右手をゆっくりとこちらへ見せた。

 

「ほら、もうこんな風になってたよ」

「っ!?」

 

 仁志の人差し指が少し濡れているのが分かった瞬間、私は顔から火が出るかと思う程の恥ずかしさを覚えた。

 しかも、それに気付いた彼は、あろう事か人差し指を見せつけるように舐めたのだ。

 

「ちょ、ちょっとっ!」

「……これがマリアの味か」

「~~~~~っ!?」

 

 もう限界だった。けれど、嫌じゃない。

 その証拠に私の熱は増々温度を上げ、私の中の女は悶え喘いでいたのだ。

 仁志には、それを見抜かれたんだと思う。

 彼は赤面する私を見て、小さく苦笑すると息を吐いて触れるだけのキスをしてくれた。

 

「シャワー、浴びておいでよ。俺はちょっとしたらセレナ達を呼びに行くから」

「わ、分かったわ……」

 

 まるで夫婦みたい。そう思ったけど、口に出す前に……

 

――夫婦、みたいだな。今の俺達。

 

 仁志が少しだけ照れくさそうに言ってくれて、私は胸が一杯になった。

 本音を言えばもう少し仁志と触れ合っていたかったけど、今の言葉で満たされた気がしたので満足する事にする。

 

 リビングからお風呂場へ向かおうとすると、私の手を掴んで仁志が何故か引っ張ってきた。

 

「ちょっ!?」

 

 バランスを崩す形になって仁志の胸へ倒れ込む。

 文句の一つでも言おうと思って顔を上げると仁志が抱き締めてきた。

 それだけで私は何も言えなくなってしまった。だって、私の体の一部へ押し付けられた物が、仁志の気持ちを伝えてきたからだ。

 

「マリア、やっぱり一緒にシャワー、浴びてもいいか?」

 

 その言葉に私は言葉を発するのではなく、無言で腹部に突きつけられた物を撫でる事で返事とした。

 すると、仁志は私へキスをしてきた。そのまま私達は舌を絡めて互いを触れ合った。

 

 結局そのまま私達は時間も忘れてキスを続けてしまい、様子を窺いに来たセレナに見つかってしまう事になる。

 

――姉さんだけズルいっ!

 

 ……まさか姉妹で仁志に抱き締められるとは思わなかったわ。

 し、しかも、あんな事までされるなんて……っ!

 

――姉さん? どうかしたの? 何だか苦しそう……。

――ホントだなぁ。マリア、大丈夫か?

――へ、平気よ……っ。な、何でもないから……。

 

 仁志は、セレナへは普通に手を回して、私へはその手でお尻を撫でてきた時はもう声を出すのも辛かった。

 セレナが隣にいるのにいやらしい事をされているという事実が、私に強い快感を与えてきた事に戸惑い、それを仁志に見抜かれまいとしていたからだった。

 

 仁志がセレナと可愛らしいキスをするのを見ながら、私はお尻をサワサワと撫でるように触る手付きに声を出すまいと奥歯を噛み締めていた。

 

「お兄ちゃん、大好きっ!」

「ありがとな。俺もセレナの事大好きだよ」

 

 普段だったら微笑ましいと思う光景も、今の私には笑みを浮かばせてはくれない。

 仁志の手は私の敏感な場所へと移動していて、そこをフェザータッチで撫でていたから。

 

「わ、私、ちょっと汗を掻いたからシャワーを浴びてくるわ」

 

 もう無理。そう思って立ち上がってその場を後にする。

 心なしか仁志が少しだけ申し訳なさそうな顔をしてて、セレナは不思議そうに小首を傾げていた。

 

 脱衣所で服を脱いで下着へ手をかけた時、私は早く仁志に抱いて欲しいという自分の声を見せつけられてしまった。

 

「……いっそ全てを捨ててこっちへこれたらいいのに」

 

 そう呟いて私は重くなった下着を脱衣籠へ入れ、お風呂場へと入る。

 仁志に本当に責任を取らせようとそう思いながら、私は熱いシャワーを浴び始めるのだった……。




マリア達は、一つ間違えば親子風姉妹です。
しかもセレナがマリアと只野の仲を応援している始末。

……これが18禁じゃなくて良かったですねぇ(汗

セレナとは二人きりでもまだ可愛らしい感じの触れ合いを只野もしますが、その分マリアが……な感じです。

ちなみにヴェイグは、二人が只野とイチャイチャしてる間ずっと二階の寝室にある只野の布団でゴロゴロしてます。
(タダノの布団から、セレナだけじゃなくて未来やエルの匂いもするな……)
なんて思いながら。
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