シンフォギアの消えた世界で アナザー 作:現実の夢想者
まぁきっと多くの方が予想してたとは思いますけど(汗
「へぇ、さっきまでマリア達が来てたんだ」
リビングのクッションに座ってこっちを見つめる奏。
どうやらマリア達とすれ違う事はなかったらしい。
「そうだよ。後ろ姿とか見なかった?」
「いや見なかったよ。どういう事だろうね?」
「うーん……やっぱりこことゲートの経過時間が違うのかもしれないな」
エル達が来た時、弦十郎さんは妙な事を言ってたのを覚えてる。
就寝すると言ったエルに対して、それを納得出来ない感じの言い方をしたからなぁ。
しかもエル達の話じゃ、こっちに来た時既に経過時間のズレがあったらしいし。
「じゃ、ここでの一分はゲートの中では三分扱いとか?」
「ないとは言えない」
「あるいはここでの一分がゲートの中では一秒とか?」
「それも有り得るかもなぁ」
「あたしとしてはそっちの方が助かるかな。っと、ちょっとごめん。旦那達へ連絡入れてみるから」
奏が手首にあるゲートリンクを起動させるのを見ながら、俺はぼんやりとある事を考えていた。
ズバリ、奏と二人きりっていうこの状況は不味い気がすると。
何せこれまでと違って俺の中で理性を強くさせる要素が皆無だからなぁ。
しかも相手が奏って、スタイルでいえばマリアとタメを張れる女性だし、積極的にエロを求めてくれるし……。
「でも、良い時に来たよ。二人きりで過ごせるんだからさ」
「奏……」
ちょっとだけはにかむ奏はとても乙女で可愛らしいと思った。
だから立ち上がってクッションを手に奏の隣へ移動する。
「仁志? どうしたのさ?」
「隣にいたくてね」
「っ」
そっと肩を抱くと奏が少しだけ驚いて、すぐに嬉しそうに微笑んでくれた。
そこからしばらく会話はなかった。ただ、俺と奏は黙って肩を寄せ合っていた。
会話はいらない。まるで何かのキャッチコピーみたいだけど、本当にそんな気分だ。
「あの、さ」
「ん?」
どれくらいそうしていたのか分からない、そんな心地良い沈黙を奏の声が破った。
何か言い出し辛そうな言い方に俺は何だろうと思って顔を奏へ向ける。
すると奏と目が合う。熱っぽい眼差しは、どこか男女な何かを期待しているように見えた。
「キス、して欲しいな?」
本当に、乙女な奏は破壊力が高い。
その要求に応えてまずはそっと頬へキス。
「ちょっ、そこぉ?」
それにくすぐったそうに笑う奏は可愛い。
言葉はともかく声は喜んでる。
次は口へ触れるだけのキス。
「んっ……ふふっ、まいっちゃうよね。これだけであたしは幸せだよ」
「そっか。俺も同じだよ」
嬉しそうに微笑む奏へ俺も笑みを返す。
っと、そこで奏が頭を肩へ乗せてきて、そのまま動かなくなる。
「どうした?」
「ん? なんか恋人っぽくない?」
これだ。ホント、マリアが妻っぽいなら奏は恋人っぽいな。
この辺りは二人の性質が出てる気がする。マリアは家庭的で奏は活動的って感じで。
いっそこんな感じでイチャついてるのも悪くないかもしれないな。
どうせ今夜は勤務だし、昼寝するまで奏とダラダラ過ごすなんてそれこそ恋人っぽいし。
「なぁ、奏」
「ん? 何?」
「俺、今日仕事があるんだけどさ、昼飯と晩飯、どっちを一緒に食べてくれる?」
俺の問いかけに奏は一瞬寂しそうな顔をしたけど、すぐに考えるように腕を組んで……
「ん~……」
なんて言いながら左手の人差し指を頬に当ててる奏はどこか可愛い。
その様子を眺めながら俺はその答えを待つ。
何て言うか、いつまででも眺めていられるな、これ。
時折こっちへ視線を向けて小さく笑うのが本当に可愛い。
可愛いも綺麗も両立させるのが奏やマリアの凄いとこだよなぁ。
「どっちもって、ダメ?」
おっと、まさかの答えが返ってきたぞ。
しかもさり気無く小首を傾げてる辺りがあざとい。
奏もニヤニヤと笑ってるので確信犯か。
「ったく、俺が夜勤だって知ってて言ってるか?」
「知ってるよ。昼ごはん早めにして、晩ご飯を遅めにすればいいじゃん」
「へぇ、と言う事は当然奏が作ってくれるんだろうな?」
「いいよ。むしろやりたいぐらいなんだから。あたしだって家庭的なとこあるって見せてやるよ」
そう言ってニカっと笑う奏はやはり姉御肌な感じがする。
だけど、それも彼女の一面だと知ってるので、その言葉に有難く甘えるか。
何も材料がないので、買い物へ行ってもらう事にして資金を渡す。
冷蔵庫の中身が飲み物と調味料しかないのを確認し、奏は苦笑してドアを閉めた。
「分かってはいたけど仁志らしいよ」
「男の一人暮らしなんてこんなもんだっての」
「もう少し食生活考えなって。どうせマリアにも似たような事言われたんじゃない?」
「まぁ……」
忘れてた。こう見えて奏も結構オカン属性持ちだった。
マリアが教育ママなら奏は肝っ玉母さんだ。
「さてと、じゃあ行ってくるよ。何か欲しい物とか食べたい物とかある?」
「そうだなぁ……シチュー?」
「時間かかるもんを言うね。じゃ、そっちは夜にしてあげるよ。他には?」
「何か甘いもんを頼めるか? プリンとか」
「はいはい」
「気を付けてな」
買い物袋を手に玄関へ向かう奏を見送り、俺はどうしたものかと考えたところで風呂掃除を中断していた事を思い出した。
奏がやってきた事に驚いて、軽く湯船を水で流しただけで終わっていたのだ。
なのでその続きをやろうと思って風呂場へと向かう。
「か、奏と混浴とかなったら不味いよなぁ」
そう言いつつ妄想は止まらない。
マリアとの事もあるから奏へも似たような事をしないと言えないんだよな。
そして、今回は俺の理性を強くしてくれる存在はいない。
結果どうなるかは火を見るより明らかである。
「……絶対スケベな事になる」
俺が何とか踏みとどまろうとしても、奏が相手だと簡単にその頑張りを無に帰す事が確定してるようなもんだし。
「掃除終わったら、以前翼が買ってきたアレ、寝室に準備しておくか?」
あの夜、ドライディーヴァと過ごした思い出。
そこで翼がマリアや奏の頼みを聞いて購入した例の物。あれは今、俺の手元にあるのだ。
まぁ、そもそもあの時の事は未来が泊まりでいなくなる事が前提にあったため、仮にアレを使用したとしても一晩で一箱使い切るのは無理というもの。
そうなるとアレの箱は残る訳で、それをもし未来に見つかれば面倒この上ない。
なので結局俺がアレを回収、代金を翼へ渡した上で正式に譲り受けた形となったのだ。
「よし、こんなもんか」
風呂掃除を終え、リビングへと戻ってみれば目に入るのはノーパソの画面。正確にはゲートとなっている部分だ。
「……時間の経過がズレてるのは、もしかすると悪意関係なかったんだろうか?」
上位世界なんて呼ばれてるここは、みんなが暮らす世界と色んなものが異なってるのかもしれない。
浦島太郎の竜宮城って、意外とこの世界と他の平行世界みたいな関係性だった?
だったら、あながちあの昔話は作り話じゃなくなるかもな。
「ん?」
なんて、そんな事を思いながら眺めてるとゲートが少しだけゆらっと動いた気がした。
で、そのまま見つめてると、そこから……
「はっ! ……到着、か」
青を基調としたギアを纏った女性が現れたのだ。
彼女は俺の事に気付くと、嬉しそうに微笑むなりこっちへ歩み寄ってきた。
「仁志さん……お久しぶりです」
「うん、久しぶりだね、翼」
「っ……仁志さんっ!」
「おっとっ!?」
感極まったように翼が抱き着いてきて、一瞬俺の視界を彼女の長い髪が遮った。
それと共にいい匂いがふわりと香る。こっちで嗅ぎ慣れていた匂いとは異なる、だけど翼らしいと感じられる匂いが。
壊れ物を扱うようにそっと抱き締めると、翼が顔を上げてくれた。
「仁志さん、会いたかった」
「そっちじゃあれから二か月ぐらい経ってるんだよな?」
「うん。雪音も近く留学のため日本を離れる事になってる」
「そっか。クリスが……」
知ってはいるし分かってもいたけど、実際聞くと寂しさを覚える。
こうなるとクリスと再会するのは当分先か。
「見送り、してあげて欲しい」
「それは……行きたい気持ちはあるけど……」
「大丈夫。その時になったら私が迎えに来るから」
若干経過時間のズレが怖いけど、クリスを見送れるのなら構わないか。
それに、ズレと言っても一年単位とかじゃないし、あの頃のズレも俺に都合よく起きてたし、ワンチャン向こうでの一時間がこっちでの一分の可能性もある。
「じゃ、その時はよろしく頼むよ」
「うん、分かった」
「でも、大丈夫なのか? 翼だって色々忙しいだろ?」
「ふふっ、その事なら心配しないで。しばらく私は日本に留まってるんだ」
「え?」
海外でも通用するアーティスト。それが風鳴翼のはずだ。
活動拠点も日本じゃなくロンドンになってるはずだし、どういう事なんだ?
そんな俺の疑問を翼も察していたのだろう。小さく微笑みながら教えてくれたのだ。
父親である八紘さんが亡くなった事と凱旋ライブでの惨事。
それによるゴタゴタもあって、翼は一時的に活動を休止したらしい。
それには、向こうでのアーティスト活動を心から楽しんでやれるようにするための時間が欲しいという翼の意向が大きく作用してるそうだ。
「やっぱり向こうでは、こっちのようには歌えない?」
「……難しい、かな。向こうではただの翼じゃ歌えない。アーティストとしての私で歌わないといけないから」
「そっか」
言わんとしている事は何となく分かる。
要するに趣味と仕事は求められているものが異なると言う事だ。
ただ歌えばいい個人と、その歌に商品価値を付けなければいけないアーティストという、その違いだろうな。
「そうだ。もう知ってると思うけど、ゲートリンクが出来てその実用性テストもクリアされたの」
「ああ、そうなんだ」
「うん。それで、これは仁志さんの分」
「え? 俺に?」
俺には必要ないものだと思うんだよなぁ。
依り代あるし、通信機能とか別に使わない……って、そういう事か。
「連絡用?」
「それもあるけど、一番は依り代がいつ使えなくなるか分からないから」
言われて納得。俺にはそういう考えが抜けてた。
突然得た物だけど、考えてみれば依り代は悪意の企みを阻止するために生まれたと思えば、それがなくなった今、いつ失われてもおかしくはないと言えるか。
「成程な。使い方はエルのと一緒?」
「うん。ただ、エルが音声案内が従来と違うって言ってたけど」
「へぇ、そうなのか」
と言う事は……キャロルボイスなんだろうか。よし、後で試してみよう。
「エルが自分用に作っていた物を仁志さん用に回してくれたんだよ?」
「そうなのか。じゃあ、今度直接会ってお礼を言わないとな」
「そうしてあげて。ここから帰ってきてから数時間で仕上げてたから、相当急いでたんだと思うし」
「数時間で、か……」
ただ、俺にはそれが凄いのか普通なのかが判別つかない。
多分だけど、翼の言い方や雰囲気から察するに割と凄い気がするけど。
そこからの話題は俺と別れた後の翼の話になった。
というのも俺が聞きたかったからだ。こっちで歌が好きな翼として過ごした後、彼女がどうしたのかを。
で、どうやら戻った後、翼は緒川さんへ先程の休業を申し出たそうだ。
アーティスト風鳴翼として歌えるようになるために、少しだけ時間が欲しいと、そう言って。
それを緒川さんはすんなり了承し、あの外国人のプロデューサーさんも納得してくれたらしい。
「大事にされてるんだな」
それが翼の話を聞いた俺の正直な感想だった。
「うん、私もそう思う。だからこそ、ちゃんとしたものを届けられるようになるまでは歌えない」
「それでいいと思うよ。何よりも翼が納得いくものが出せないなら、それはきっとファンが望んでいるものでもないはずだから」
「……ありがとう、仁志さん」
そう言って微笑む翼はとても綺麗で可愛く見えた。
お父さんの死に向き合って、受け入れたんだろうと思う。
もう歌を一番聞いて欲しい人はいないけど、歌手としての姿を一番見て欲しい人はいないけど、だからこそ風鳴翼としての全てを空へ、風となった八紘さんへ届けようとしているんだろうな。
「一度翼のライブを見てみたいもんだよ。最初から最後まで」
「私も、仁志さんに来て欲しい。新しい私の最初のステージは、貴方に見ていて欲しいから」
真っ直ぐな眼差しには確かな強さの輝きがあるように思えた。
少なくてもあの頃の、俺の胸の中で泣いてた彼女はもういないと思えるぐらいに。
「あっと、そうだ。実は今奏も来てるんだよ」
「奏が?」
「ああ。俺の食事を作ってくれる事になって、買い物へ行ってくれてる」
「そうなんだ」
「ただいま~」
「っと、噂をすればだ」
聞こえてきた声に立ち上がると翼も同じように立ち上がった。
「出迎えるか」
「うん」
揃って玄関へ向かうと奏がこっちを見て驚いた顔をする。
「つ、翼?」
「久しぶり奏」
「奏が買い物に出て少しした辺りで来てくれたんだよ」
「そ、そうなんだ……」
おや、若干奏が残念そうな顔をって、そうか、せっかく二人きりだと思ってたら翼が来てそれがご破算になったからだ。
これはフォローというか、補填じゃないけど何かするべきだな。
そう思って俺は翼をこの場から離すために一計を案じる事にした。
「えっと、翼、奏が買ってきた物をしまってもらえるか? ちょっと奏と話したい事があるんだ」
「いいよ。奏、買い物袋を渡して」
「あ、ああ……」
奏から買い物袋を受け取って翼はキッチンへと向かう。
その背を見送ってから俺は奏の耳元へ顔を近付けた。
「この埋め合わせはするよ。その、翼に帰れってのもさ」
「うん、分かってる。でも、あたしは二人きりで食べるつもりだったから」
「材料が足りない?」
「そんな事はないよ。ただ、多少量は減るかな」
「それぐらいなら構わないさ。奏の手料理はあの時以来だから楽しみだよ」
そう言って奏へキスをする。すっかり俺もこういうのが出来るようになってきたな。
された奏は軽く驚きながらも嬉しそうに笑ってくれた。
うん、やっぱりみんなには笑顔が一番似合う。
「美味い飯、作ってくれるんだろ?」
「……ああ、とびっきりの美味しいもの、作ってあげるよ」
「それは楽しみだ。じゃ、その時は手伝うよ」
「いいよ。翼にやってもらうさ。ていうか、きっと翼が手伝うって言い出すだろうし」
それもそうかと納得。
二人揃ってリビングへ入ると丁度しまい終わっただろう翼がキッチンの方からやってきた。
「しまい終わったよ」
「ありがとう。さて、じゃあどうする?」
「ちょっとあたしは翼と相談したい事が出来たから、仁志先輩は二階に行っててもらっていい?」
「別にいいよ。じゃ、終わったら呼んでくれ」
もしかしたら、こっちでまたツヴァイウィングとして歌いたいのかもしれない。
なら楽しみは後にとっておきたいし、二人だけにして寝室へと移動する。
「……布団、片付けた方がいいかもな」
俺の布団だけが敷かれた状態の寝室。今、ここに奏と翼が来ると嫌な予感がするからなぁ。
何せ響と切歌相手にした事を思い出すと、奏と翼相手じゃあれで止まれるとは思えない。
ないとは思うけど、最後の一線を超えないとも言い切れないんだよな、奏や翼は。
「あの頃でさえそういうのを願ってくれた訳だし……」
ドライディーヴァは成人していた事もあってか、エロ方面へ寛容と言うか寛大だった。
いや、今にして思えば、あれはどこか彼女達も興味があったんじゃないか?
だけど彼女達の場合立場があって、一般的な男女関係を望む事は難しかったはずだ。
そこで俺と出会い、関わり、想いを寄せ合って、交わってもいいと思った。
しかも、全てを終えたらもう会えなくなるかもしれないって、そういう気持ちがそれに拍車をかけた結果かもな。
「昨夜は本気で越えかけたし」
「「何を?」」
後ろから聞こえた声に弾かれるように振り返ると、そこにはニッコリ笑うツヴァイウィングがいた。
か、階段を上がってくる音に気付かなかったぞ……。
「えっと、天辺」
「「どうして業界用語?」」
「何となく日付って言うより伝わるかなって思って」
「「ふ~ん……」」
な、何か怖い。二人揃って声を合わせているのが特に。
それと、何故二人して俺の布団を見つめているんだろうか。
その眼差しが若干妖しい光を放ってる気もするし……。
「じゃ、とりあえず翼、よろしく」
「うん、分かった」
そこで翼だけ階段へと戻っていく。
そして下りて行く音を聞きながら、俺は目の前にいる奏を見つめる事しか出来ない。
「仁志、早速だけどさ」
「あ、ああ……」
「埋め合わせ、して?」
……やっぱり布団、片付けておくべきだったな。
そう思いながら俺は観念するように奏の体を抱き締めるのだった……。
「それで、仁志? どうやって埋め合わせしてくれるの?」
仁志の胸板を指で弄りながらそう尋ねる。
だけどあたしの心臓はドキドキしっぱなしだ。
何せ場所は寝室で、状況は二人きり。翼はいるけど、下でお昼ご飯の準備をしてるから邪魔をしにくる事はない。
ま、そもそもそのために話し合ったんだし。
――奏、話したい事って何?
――あのさ翼。昨日はここにマリアが来てたんだって。
――マリアが?
――そ。だからさ……。
ないとは思う。仁志がマリアと特別な関係になったなんて。
でも、あたしへの接し方が最初の頃よりも慣れてきてるのがちょっと怖い。
その裏に絶対翼を含むあたし以外の装者が関わってるからだ。
あたしだけでそうなって欲しかったけど、まぁ仕方ないよね。
何せあの頃仁志の周囲にはアタシを入れて十人もの女がいて、その相手を毎日していたんだから嫌でも女慣れしてくよ。
「そ、そうだな……」
こっちの問いかけに困ったように顔を背ける仁志だけど、あたしにはバレバレだよ。
さっきからチラチラと布団へ目をやってるの、どういう理由だろうね。
もしエッチしたいって気持ちなら、あたしは構わない。
翼にはバレるだろうけど、どうせ後で翼の時間を設けるんだからさ。
「何? 布団が気になるの?」
からかうようにそう言って、あたしは仁志から離れて布団へと横になってやる。
「か、奏?」
「ほら、どうしたのさ? ただ布団に横になっただけだよ?」
ふふんって感じで笑うと、それまで困った顔をしてた仁志が息を吐いてキッて感じの目付きを見せてきた。
その瞬間、胸の奥が高鳴った。仁志の男の顔だって、そう思うとドキドキする。
「あのな、今は悪意って言う厄介なもんがいないんだ。そんな中で分かり易い誘いすればどうなるか、分かってるんだよな?」
「分からないって言ったら?」
ドキドキが止まらない。仁志の強気な顔って、やっぱりあたし好きだって確信した。
だって、あたしがそう煽ったら仁志の表情がもっと険しい感じになって、目付きが鋭くなっていく。
やだ、どうしよ。あたし、今の仁志に迫られたら何でも許しちゃうね。
そんな事を思ってると仁志があたしの上に覆いかぶさってきた。
こんなに顔が近いのは初めてじゃないのに、何でか初めての時よりもドキドキしてる。
言葉が出したいのに出せない。唇だけが動いてて、声にならない。
そこへ仁志が耳元へ顔を近付けてきた。
――じゃ、教えてやるよ。
あっ、これ、ヤバっ……。
今のだけであたし、濡れた。
「あっ……ひ、仁志?」
「何だよ? まだ胸を触っただけだぞ」
服の上から仁志の手があたしの胸を強めに揉んできた。
ブラ越しだからそこまで快感はないけど、あの仁志が自主的に、しかも激しくあたしを求めてきた事が嬉しい。
「あ、あのさ、ブラ外そうか?」
「……じゃ、俺の見てる前で外してくれよ」
「う、うん、いいよ」
ダメだ。今の仁志、すっごくあたしのタイプかも。
乱暴じゃないけど、強気で押せ押せな感じ、好き。
それも、普段は優しくてそんな風じゃないから余計くる。
そこまであたしを求めてくれてるんだって、そう思えるからかな?
そんな事を考えながらあたしは体を起こして両手を背中へ回す。
こんな事ならフロントホックの奴にすればよかった。
それなら仁志に外してもらって、余計興奮させられたのにさ。
「これでどう?」
ブラを外して布団の近くへ置く。
だけど仁志の視線はブラへ一度として移動する事無くあたしの胸に集中してた。
「仁志?」
「……ああ、ホントに君って女はっ!」
そう言ったかと思うと仁志があたしを本当に押し倒してきた。
「んっ!?」
そのままキスを、しかも舌を入れるキスをしてきて、一気にあたしの頭の中がそういうモードになる。
更に仁志の手が服の上から胸を揉んできて、あたしが欲しいって叫んでるみたいに思えてヤバい。
舌を絡めながらあたしは仁志の事を抱き締める。
もっと強く求めて欲しくて、もっとあたしの事だけ考えて欲しくて、もっと激しく愛して欲しくて。
「奏、手を貸してくれ」
そう言われてあたしは右手を差し出す。すると仁志はそれをある場所へ持ってきた。
「これって……」
そこには、硬い物があった。生まれて初めて触る、男らしさの象徴みたいな物だ。
本当ならこんな感想は間違ってるんだろうけど、あたしはそれを触らされて嬉しかった。
だって、これは仁志があたしと一つになりたいって思ってる証拠で、あたしに子供を産んで欲しいって願ってる証拠だから。
だから無言で撫で続けた。仁志も無言であたしを見つめ続けた。
「ちゅっ……んっ……じゅるるっ」
途中から仁志がキスしてくれて、あたしは夢中で舌を絡めた。
仁志が胸を揉む間、あたしは硬い物を撫で続けた。
すると、仁志がキスを切り上げたかと思ったら、あたしの上着を捲り上げた。
「あっ、ちょっと仁志……ああんっ!」
とっくにピンピンになってたあたしの乳首へ仁志が舌を這わしてきた。
ヌメッとした感触と同時に好きな男があたしを男として求め始めたって思えて嬉しくて、そして気持ち良かった。
しかもあたしが感じた事で手を離したからか、仁志はあたしの上へ完全に覆いかぶさる形になった。
だけど、そこであたしは気付いた。仁志、あたしの下腹部にアレを擦り付けてきてるって。
「奏、凄い硬いぞ。そんなに俺にスケベして欲しいのか?」
「や、やだぁ……そういう言い方しないでよぉ」
悶えたいぐらい恥ずかしい。
なのに、何でだろう? 体の奥から熱くなってくる。
もっと仁志にいじられたいって、そう思うあたしがいる。
「それ、本音か?」
「そ、そうだよ。な、何でそんな事聞くの?」
咄嗟に誤魔化したけど、そんなあたしを見て仁志は野性的な笑みを浮かべた。
――気付いてないのか? 今、だらしなく笑ってるぞ?
そう言われた瞬間、あたしの体中に電気が流れたみたいになった。
ああ、あたしの気持ち、仁志に筒抜けだったんだ。
今、あたしの事、仁志はきっとこう思ってるはず。
マゾだって……。
「奏、正直に言ってくれ。俺にどうして欲しいんだ?」
「ど、どうって……」
「何を、どうして欲しい?」
ニタニタ笑う仁志を見て、普段なら嫌な気持ちが湧くはずなのに、今のあたしは何故かゾクゾクしてる。
「……い、言ったらしてくれるの?」
「まずは言うんだ。そこからだぞ、かぁなぁでっ」
「ああっ!? ち、乳首ぃ……」
指で弾く様に右の乳首へ痺れのような刺激が走った。
意識外からのそれは、頭の中が真っ白になるぐらいの快感になってあたしの中を駆け巡った。
「ほら、早く言ってくれよ奏」
「~~~~~っ!?」
乳首へ意識を集中していたところに与えられた新しい刺激。
その強烈な快感で目の前がチカチカする。
これ、一体どこからの刺激だって、そう考えていると口を塞がれた。
「んむっ……っぷは、ひ、仁志ぃ……んんっ!? ~~~~~っ!?」
ああっ! キスしながら上下から強い刺激を与えられてる!
息が苦しくて、辛いのに、今までで一番の気持ち良さを覚えてる!
あたしっ! ライブよりも何よりも、今仁志にされてるエッチな事が気持ちいいって思ってるっ!!
「ぇ……?」
なのに、急にその気持ち良さが消える。
触れ合っていたはずなのに、気付けば仁志があたしから距離を取ってた。
「仁志? 何で……」
やめちゃうの? そう言おうとした時、仁志が不敵に笑った。
「奏、やっぱりそっちの気があるんだな。もっとイジメてくれって顔してるぞ?」
その言葉であたしは認めるしかなかった。
ああ、あたしってこの人の前だとそういう女になるんだって。
「うん、もっとイジメて欲しい。あたし、仁志にイジメられるの、好きみたい」
「みたい?」
「っ」
ゾクっとした。仁志は笑顔なのに、声も冷たくないのに、何故かあたしは興奮してる。
少しだけ黙り込んで仁志と見つめ合う。
仁志が何を求めてるかは分かる。それを頭の中で思い浮かべるだけで顔が熱くなるけど、きっと言ったらあたしは後戻り出来ない気がしてくる。
でも、それを言ったら仁志の中であたしは特別になれる気もする。
「あ、あたしは……さ」
「うん」
まだ踏み止まれる。なのに口が勝手に動いてく。
「仁志に、イジメられるのが……ね」
「ああ」
ここが最終ライン。ここから先は、ダメなのに……。
「…………好き、なんだ」
あぁ、言っちゃった……。
「違うだろ奏」
「え?」
なのに、仁志は笑顔のままでそんな事を言ってきた。
で、そのままあたしの耳元へ顔を寄せると……
――好きなんだ、じゃなくて、好きです、だろ?
低い声で告げられた言葉に快感が走った事であたしは自覚した。
あたし、仁志に支配されたいんだって。
この人のものになりたい。全てを委ねてしまいたいんだって。
「……あたしは、貴方にイジメられるのが、好きです」
「よく出来ました」
そう言って仁志はあたしを抱き締めて優しくキスしてくれた。
うん、それで完全に分かった。
あたしがこういう感じになると仁志もこういう感じになってくれるんだって。
――あたしの前でだけ見せてくれる仁志、か。それだけで濡れちゃうね……。
「じゃ、晩飯期待してるからな」
「分かってるって。美味しいシチュー作ってやるさ」
時刻は午後一時を過ぎたぐらい、かな。
お昼を食べ終えた仁志さんは30分程散歩し、ついさっきまで汗を流していた。
そうしてさっぱりした仁志さんは、これから仮眠を取りに二階へ行くところだ。
「翼、後はごゆっくり」
「うん」
そして私も仁志さんと一緒に寝る事にしていた。
奏がお昼ご飯前に仁志さんと二人きりで過ごしてたから、次は私の番という事になってる。
階段をゆっくりと上がって寝室へ入ると、仁志さんがこっちを見て苦笑した。
「もしかして、次は翼のターン?」
「そういう事」
「あ~……今の俺、大分理性緩いけどいいのか?」
「い、いいよ。だって、その、あの頃、そういう事してもいいって言ったでしょ?」
あの頃から私の気持ちは変わらない。仁志さんになら、純潔を捧げてもいいと思っている。
ううん、この人じゃないと嫌だ。
私が初めて弱さを見せられた男性。お父様の喪失にちゃんと向き合わせて、涙を流させてくれた人だから。
仁志さんは私を少しだけ見つめたかと思うと、布団へ横になってその隣を軽く叩いた。
「じゃ、えっと、こいよ?」
「っ……うん」
生まれて初めて異性と同衾する。すぐ目の前には最愛の男性。
どこか照れくさいみたいで視線は泳いでるけど、それでも顔を逸らすような事はしないところに仁志さんらしさを感じて笑みが浮かぶ。
「これ、寝れないかもなぁ」
仁志さんの温もりを間近に感じてドキドキしているとそんな呟きが聞こえる。
視線を上げれば、そこには嬉しそうにだけど困った顔をしている仁志さん。
「私と一緒だから?」
「以外にないよ。でも、エロい事は出来ないんだ」
「理性が緩くなってるのに?」
少しからかうようにそう言うと、仁志さんは苦笑しながら頷いた。
「休みだったらそれこそかなりスケベな事をしただろうけど、生憎仕事があるからさ。疲れすぎると奏のシチュー食べられない可能性があるし」
「か、代わりに私が食べられるよ?」
あの頃は絶対ダメだった行為。だけど、それはもう過去の話だ。
今の私達は、もう交わっても構わない。だって、悪意はいない。私を操り人形へ変える存在は倒れたのだから。
「翼? 理性が緩くなってるからってそういうのにすぐ乗ると思うなよ?」
「で、でも、前と違って今ならダメな理由がないから」
「ダメな理由ならあるよ。大事な相手だし、お互い未経験だ。勢いや雰囲気だけでそういうのはまだしたくない」
真剣な表情で告げられた言葉に胸がときめく。
だって、まだしたくないってそう言ったから。
「それって、初めてじゃなくなったらそうじゃないって事?」
「以外に聞こえた?」
「……ううん」
優しい笑み、優しい声。だけど、私は知ってる。その奥に、この人はちゃんと男を秘めてるって。
それを見せて欲しいと、そう思う私はすっかり女になっているんだと思う。
この人の前では、私は剣ではなく女でいられるから。
「ならよかった。そういう訳だからごめんな。ああは言ったけど翼の望む事はまだ出来そうにない」
「じゃあ、どういう事ならしてくれる?」
「え?」
瞬きしている仁志さんの手を取り、私は少しだけはしたないと思いつつも自分の胸へ導いた。
「翼……」
「あの時は、貴方が優しさと強さで踏み止まってくれた。だから私も踏み止まった。だけど、今なら……」
「それは……あ~……もういいや」
「んっ……」
仁志さんの手がやわやわと私の乳房を揉み始める。
その手はすぐに服の上からじゃなく服の中へと入りこんできて、下着をずらすように再度乳房を触り始めた。
「仁志さん……嬉しい」
「翼、君って女性は本当に俺の前だけは娼婦になってくれるんだな」
「……はい。私は、貴方だけの娼婦です」
「っ! 翼っ!」
「んっ!」
妻のような気持ちで受け応えた瞬間、仁志さんが我慢の限界と言うように抱き締めてくれて、そのままキスをしてくれた。
「んちゅっ、っは……んむぅ」
舌を絡め合うような激しいキスと共に仁志さんの手が私の乳房を弄っていく。
もどかしいような、くすぐったいような、不思議な感覚に包まれる中、私は仁志さんにもっと求めて欲しくて背中へ回した腕へ力を込める。
「翼、気持ちいいか?」
「は、はいっ……ああっ、とても気持ちいいですっ」
仁志さんの指が私の乳頭を刺激する。その優しくも強い快感に私は声が震えてしまった。
その声を聞いて、仁志さんは嬉しそうに笑みを浮かべると更に強い刺激を私へ与えてきた。
「んああああっ!」
一瞬頭の中が白くなった。乳頭をおそらく親指と人差し指で挟まれたんだと、思う。
痛みにも近い快感が体中を駆け巡った。生まれて初めての、感覚だった。
そんな私を見た仁志さんは、手を乳房から離してしまった。
ああ、もっとして欲しいのに……。
「翼、大丈夫か? 痛かった?」
「へ、平気です。それより、その……」
「うん」
「えっと、今のを、ですね?」
「今のって?」
どこか笑う声で気付いた。今、仁志さんは私を辱めようとしているのだと。
でも、嫌とは言えない。何故なら、そんな仁志さんは初めてだったから。
目を向ければ、そこには私が淫らな言葉を言うのを待ち望んでいるような顔の仁志さん。
「……私の」
「私の?」
「にゅ、乳頭を……」
ああっ! 恥ずかしい!
それなのに、どうして私の体は熱くなり、私の胸は高鳴っているんだろう?
「翼、乳頭じゃなくて乳首って言ってくれないか?」
「っ……ち、乳首を」
「ああ」
「も、もっと強く刺激してくださいっ!」
い、言ってしまった……。
恥ずかしさで顔が熱い。両手で顔を隠してしまいたいけど、仁志さんから離れたくないので動かせない。
そんな私を仁志さんは見つめて、そっと触れるだけのキスをしてくれた。
「ありがとう翼。それとごめんな? その、恥らってる可愛い女の子って好きなんだよ」
「か、可愛い?」
こう面と向かって言われるとどうしても聞き返してしまう。
凛々しいとか格好が良いなら言われ慣れてもいるが、可愛いなんて男性からこんな風に言われた経験が皆無に等しいから。
「いつかも言ったけど、俺は翼を可愛いと思うよ。正確には可愛い面だってある、かな。凛々しくも愛らしい顔を持つのが君だと思うから」
「仁志さん……」
脳裏に甦るあの日の記憶。
ゲージを上げるために嘘の告白をと迫った私とマリアへ、貴方は嘘は吐きたくないと言って、正直な想いを告げてくれた。
あの時の事は、決して忘れられない。あの日、私は間違いなくこの人の妻になりたいと強く思わされてしまったのだから。
「えっと、翼、お願いがあるんだけどいいか?」
「はい、何でもおっしゃってください」
今の私は貴方の妻ですからと、そう心の中で付け足して微笑む。
「ありがとう。じゃあさ、俺に背中を向けて寝転がってくれ」
「背を向けて、ですか? 分かりました」
何をしたいのか分からないけど、それが仁志さんの望みならと背中を向けるように体の向きを変える。
すると、仁志さんが私に密着してきた。
あっ、これ、で、臀部に当たっているのは……。
「ひ、仁志さん?」
「このままでいたいんだ。その、これはさっきまでの行為でなったものだから。多分その内落ち着くと思う」
「そ、そうなの?」
そんな風には思えない程硬くて逞しい気がする。
こ、これがいつか私を母にしてくれると思うと、下腹部が熱くなってくる。
「ああ。正直興奮してはいるけど、若干眠くもなってきたんだ。翼の温もりを感じながら寝たいなって、そう思ってさ。駄目か?」
その声は、私の良く知る仁志さんの声だった。
優しくてあったかい、大好きな人の声だ。
「いえ、どうぞお好きなように。私も、貴方の温もりを感じながら眠ってみたい」
「そっか。じゃあ遠慮なく」
その言葉の通り、仁志さんはそこから私へいかがわしいような行為は一つもせず、ただ無言で私を抱き締めるように眠った。
ただ、その、抱き締めた手が乳房を触ったままで、そのもどかしい感覚がずっと私を襲った。
でも仁志さんの言葉が本当だったと私は実感する事になる。
何せ臀部に当たっていた感触が時間経過と共に薄れていったからだ。
それが少し寂しく思えて、私はそっと手を動かしてそこを刺激する。
「ぁ……ふふっ」
するとまた硬くなってくれて、それが私に興奮してくれてるみたいで嬉しい。
だから何度も何度も小さくなる度に撫でて大きくしていた。
そのまま私は眠る事もなく過ごした。
だからかもしれないけど、仁志さんが起きた時ちょっとしたお仕置きをされてしまった。
――翼のおかげでエロい夢見たぞ。まったく……。
そんな事を気だるげに言いながら仁志さんが私へ与えたのは、最初こそ優しく甘い快感。
だけど、それがどんどん強く激しくなっていき、最後には頭の中が真っ白になる程の快感へと変わった。
腰が砕けるかと思う程の、とても凄まじい快楽だった。
それによって涙目になってしまった私へ、寝起きで乱れた髪の仁志さんは頭を掻き回しながらこう告げてきた。
――俺が仕事休みじゃなくて良かったな翼。じゃなかったら、本当に腰砕けにしてたからな?
その低い声に、私はだらしなく体を横たわらせて仁志さんへ素直な気持ちを伝える事にした。
――砕いてください。旦那様の眠りを安らかざるものにした至らぬ私へ、しっかり躾をして欲しいのです。
結局私と仁志さんが一階へ下りたのは奏が呼びにきてからだった。
もし仁志さんが休みだったら私だけじゃなく奏まで巻き込んでいたと、そこで言われた。
奏が階段を上がってくる音で仁志さんが手を止めてくれたから気付かれずに済んだけど、その時の仁志さんは目が初めて見るぐらい鋭かったからきっと本心だったと思う。
「あの、仁志さん」
奏の後に続いて階段へ行こうとする仁志さんへ、私はそっと耳打ちした。
「ん? どうかした?」
「その、私はお手洗いを借りてからリビングへ行きます」
その瞬間、仁志さんがいやらしい笑みを浮かべた。
「りょーかい。でも、それより汗を掻いたからってシャワーを浴びる事をオススメするよ?」
「……なら、いっそご一緒しませんか?」
「…………奏がいなかったら頷いてたな」
散々悩んで告げられた答えに胸が疼いた。
ああ、本当に私はこの人に変えられていっている。
そう強く実感しながら私は離れて行く仁志さんの背中を見つめた。
次に来る時は、もっと下着を喜んでもらえる物にしようと思いながら……。
悪意、エルに次ぐ只野の抑止力、それが仕事です。
残念ながら今夜は彼が勤務のため、双翼は寂しく想いながらそれぞれの世界へ帰還しました。
次回は勿論彼女の出番。
問題はその後ですかね?