Be the one 〜盾と仮面のベストマッチ〜   作:春風駘蕩

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「仮面の戦士ビルドにして、天・才魔導科学者であるオレ、セントは盾の勇者として召喚されたナオフミと奴隷の少女ラフタリアちゃんのため、災厄の波に立ち向かうこととなる。国王と姫による卑劣な試練をくぐり抜け、凍りついたナオフミの心を溶かすことに成功したオレたちは固い絆で結ばれ、世界を救うための第一歩を踏み出すこととなったのであった…!」
「おいバカウサギ、なんだこの脚色しまくりのあらすじは」
「脚色ってなんだよ。メンタルやられたお前が母性全開のラフタリアちゃんの豊満おっぱいに抱きついて泣いて喜んでたのは周知の事実だろ?」
「その言い方はやめろ! 俺が変態みたいだろうが!!」
「などと本人は供述しており〜」
「いい加減にしろよてめぇ!!」
「ナオフミ様もセントさんももうやめてください! もう時間ですよ!?」
「え〜もうちょっとナオフミいじりやっておきたかったのに〜」
「お前…あとで覚えてろよ…!」
「はてさてどうなる第2章!!」


第二章 カースの目覚め
二つの出会い


Side:Naohumi

 

 元康が勝手に起こした決闘騒ぎが終わった翌朝。

 あのクズ王からの報奨金が無くなりそうだったり、ビッチ姫がまた騒いだりしたが、ラフタリアがいろいろと言い返してくれたおかげで、気分はそこまで悪くなかった。

 こんな気が楽なのは、ラフタリアのお陰だろうな。

 

「……お、戻ってきたか」

「ああ、待たせたな」

 

 城を後にし、城門まで出てくると、そこで暇そうに待っていたセントが俺たちに気づいた。

 そこですぐに…いやそうな顔になる。

 ああ、お前耳いいからな。あの騒ぎも聞こえてたのか。

 

「なんか揉めてたみたいだな。またなんかちょっかいかけられたか?」

「ああ…だがラフタリアがいい感じに返してくれてな。ちょっとスッキリした」

「やるねぇ、ラフタリアちゃん!」

「な、ナオフミ様…」

 

 なんか照れてるラフタリア。

 いいじゃないか、かわいい娘が見せてくれた武勇伝を聞かせるぐらい。

 セントも何か察したのか、ニヤニヤとラフタリアを見ている。

 普段はウザく感じるが、今だけは許してやろうじゃないか。

 

「んじゃ、行くか!」

「ああ。だがまずは何をするか…」

「いやいや何言ってんのさ」

 

 少し悩んだところで、セントが呆れ顔で俺に言う。

 なんだ?何か先にやる事があったか?

 そう思った俺に、セントはチッチッと指を立てて告げた。

 

「最初にやることがあるだろ?」

 

 

「…本当に良かったのか?」

 

 意味深な様子のセントに連れられてやってきたのは、奴隷商のテント。

 そこで二人は…再び俺の奴隷になる契約を結ぼうとしていた。

 

「何がだよ」

「もう、わざわざ奴隷になる必要なんかなかったのに」

「いいんです。……ナオフミ様のものだという証が欲しかったんですから」

 

 …こんな事をしなくても、お前達が俺を信じてくれていることはわかっているのに。

 ん?セントがまたなんかニヤニヤラフタリアを見てる?

 

「ラフタリアちゃんはあれだよな。意外とムッツリだよな」

「なっ、ななななんですかいきなり!?」

 

 このウサギ、いきなり変なことを言いやがった。

 ムッツリ?何で今の話の流れでそんな結論に至るんだ?

 

「身も心もこの人のものになりたいの♡ …ってアピールしときたいんだろようするに」

「わーわーわーわー!!」

「照れるな照れるな、ういやつめこのこの!」

「セントさん!」

 

 ラフタリアが顔を真っ赤にしてセントに飛び掛かった。

 何だコレ、バックに百合の花が咲き誇っているように見えるぞ。

 …別におれは、娘がそっち系であっても差別しないけどな。

 

「なんだかナオフミ様に変な勘違いをされている気がします!!」

 

 ハッとしたラフタリアがすぐさまセントから離れる。

 セントはまだニヤニヤしたままで…なんか耳打ちしてはラフタリアを恥ずかしがらせている。

 姦しいが、年頃の娘らしくていいんじゃないか?

 

「しかし災難でしたな。奴隷紋の修復はたやすいものでしたが、一方的に破棄させられるとは」

「あれがこの国のトップとか、終わってるだろ」

 

 タイミングを見計らったのか、奴隷商が俺の近くに寄って話しかけてくる。

 まったく、まっとうな金で買ったものを取り上げられるとは思いもしなかったぞ!

 

「あんなのがいる国じゃ、この商売もやりづらいんじゃないか?」

「この国も一枚岩ではありませんからな、そう簡単に需要は下がったりはしませんです、ハイ」

「そんなもんか」

 

 まぁ、どんな国にも闇はあるものか。

 むしろ清廉潔白な国なんか逆に怪しくて関わりたくもない。なんか抱えていそうで怖いしな。

 とか思ってたら、セントがなんか訳知り顔でため息をつき出した。

 

「確かに厄介な敵かもしれないけど、まぁ、実際はナンバー2なんだよな」

「それはどういう……」

 

 ん?ナンバー2?あのクズが?

 詳しく聞こうと思ったら、何やら興奮した様子の奴隷商がラフタリアをまじまじ見つめだして邪魔をされた。

 おい、あんまり寄るな。俺の娘だぞ。

 

「しかしあのやせっぽちがこんな上玉になるとは……非処女でも金貨7枚で買い取ってもよろしいですぞ! ハイ!」

「誰がそんな話をしましたか! というかまだ処女です!」

「なんと! では金貨15枚で!」

「ですから!」

「おいちょっと待て! オレより高いじゃないかどういうことだ!!」

「セントさん!?」

 

 なんかセントまで騒ぎに参加して聞くどころじゃなくなってきた。

 まぁいいか……あのクズの話なんてどうでもいいし。

 そう思って、騒ぎが落ち着くまで待っていた俺の目に、別の気になるものが目に入った。

 

「…おい奴隷商。あれはなんだ?」

 

 なんかテントの入り口近くにあるなにか…あれは、卵か?

 

「ああ、あれは私どもの表の商品です、ハイ」

「表?」

「奴隷商は裏の顔で、表向きには別の商売してるってことか」

 

 まぁ…隠れ蓑にもなるだろうし、そういう形もあるのか。

 そうだ、俺も勇者という事を隠して別の仕事をすれば多少は稼げるかもしれないな…。

 

「魔物の卵か…」

「魔物って……人が持ってても大丈夫なのか?」

「訓練された魔物ならな」

「馬車を引いている生き物も魔物ですよ。見たことありませんか?」

「…そういえば」

 

 あれって普通の動物かと…って言うか、普通の生き物がいないのか、この世界は。

 生物=魔物って事なんだな。

 よく見ると、卵の表面に奴隷紋に似た模様が描かれている。これで刷り込ませる感じか。

 

「こちらの商品は銀貨100枚で一回挑戦! 魔物の卵くじですぞ!」

「当たりは騎竜か……金貨20枚相当ってところだな」

「コンプガチャかよ…」

 

 知ってるぞ、こういうのは元々採算がとれるようにできてるんだ。

 騎竜とやらも本当に入ってるのかどうか……でも、最初から否定するのもどうかとは思う。

 

「…一つ、買ってみるか」

「ナオフミ様!?」

 

 俺がそう言うと、ラフタリアが驚いた様子で振り向いてきた。

 そんなに意外か……確かに、すぐに役立たないものを買ったことはないし、効率ばかり重視してきたけど。

 

「気分転換だ。役に立つ魔物ならいいし、最悪ウサピルなら売ってもいい」

「もう…あまり無駄遣いしても」

「いーじゃないのさ」

 

 難しい表情になるラフタリアの肩に手を回し、セントが耳打ちする。

 お、今度は聞き取れそうな声量だな。

 

「……ナオフミに余裕ができてきたってことだろ?」

「それはそうかもしれませんが…」

 

 …あのバカウサギに気を遣われるとはな。説得してくれるなら助かるが。

 俺は奴隷商に金を渡し、卵を一つ受け取る。

 うん、ほんのりあったかいな。

 孵化のための容れ物を受け取りながら、俺は奴隷商を睨みつけた。

 

「もしも孵化しなかったら違約金とかを請求しに来るからな」

「ハズレを掴まされたとしてもタダでは転ばない勇者様に脱帽です! ハイ」

「ナオフミ…」

 

 セントが呆れた目を向けてくるが……大事だぞ、こうやって釘をさすのは。

 ついでだ、にやりと笑いながら、後ろに立つ二人に親指を差した。

 

「その場合は覚悟しておけ。オレの凶暴な奴隷どもが暴れまわるからな」

「おい!」

「ナオフミ様ってば!!」

 

 さすがに冗談なんだが、二人同時に怒鳴られてしまった。

 いや、でもお前ら今ならそれぐらいやれるだろ。頼りにしてるって伝えたかったんだがな。

 

「さて、じゃあそろそろいくとする…」

 

 予定はまだ決まっていないが、まずは何か始めるかテントを後にしようとした時だった。

 その声が響き渡ったのは。

 

 

「ぐるあああああああああああああああ!!!」

 

 

 まるで凶悪な魔物の咆哮のような、どこか悲痛さを感じさせる少女の叫び声が聞こえてきたのは。

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