Be the one 〜盾と仮面のベストマッチ〜 作:春風駘蕩
Side:Filo
フィーロだよ!
槍の人がつけてきたわっかをごしゅじんさまに外してもらえて、ものすごくごきげんだよ!
でも槍の人ぜったい許さない。
こんど会ったらいつもよりもっとける!
「ほれ、できたぞ第二王女」
今はみんなで逃げるのをお休みして、晩ごはんのとちゅうだよ。
きょうのはサンドイッチ! 中身がたっぷり入ったおいしいのだよ!
でもごしゅじんさま、ラフタリアお姉ちゃんやセントお姉ちゃんに先にあげて、フィーロにはまだくれないの。
あ! でもメルちゃんのはフィーロが先にゆずったんだよ!
「ごしゅじんさまー、フィーロにもー」
「わかったわかった…お前にはちょっと大きめに作ってやるから」
わーい!
ん~、やっぱりごしゅじんさまのごはん、おいし~♪
「どうした、リュウガ。システムに不調でもあったか?」
「ん? あ、いや…むしろすげぇしっくりきた。けどな…」
ぱくぱくどんどん食べてるフィーロのうしろで、セントお姉ちゃんとリュウガちゃんがなんかはなしてる。
どうしたの? 食べないならフィーロ、もらっていい?
「すげー力だった……だからこそ、ちょっと怖くなった。あれは、認証すりゃあ一応は誰でも使えるんだろ?」
「まぁ、オレがそう設定したらな」
…むー、なんかむずかしそうなお顔で話してるから、おじゃまできない。
いつもお姉ちゃんたちが使ってる……あのへんなきかい?を見てお顔にしわをよせてる。
「…向こうがこれを使えてたら、苦戦するだろうなって思ってよ」
「…そうだな」
「お前が俺になかなか持たせなかった理由が、痛いくらいによくわかったよ……」
なんだかよくわかんないけど、リュウガちゃん、なんだか大人になってきたね。
ごしゅじんさまにガウガウかみついてた時より、なんだか丸くなってきた気がする。
…あれ?
メルちゃん、どうしたのかな。ぜんぜん食べてないよ?
「どうした、第二王女。疲れたんなら早めに寝ろよ。しばらく歩きづめだぞ」
「まぁ、身内に命を狙われちゃあ落ち着かんわな。…なんでこっちの王女様はこんないい子なのに、姉はああなんだか」
「まったくだ。王女さんと血が繋がってるとは思えねぇよ」
ごしゅじんさまたちがみんなで心配してるけど、メルちゃんはうつむいたまま何にもいわないの。
しかもなんだか、ごしゅじんさまが話しかけるともっとうつむいてる。
「メルちゃん、どうしたの?」
「とにかく飯は食っておけ、明日動けなくなるぞ」
メルちゃんの手がぷるぷる震えてる……どうしたんだろ。
お腹痛くなっちゃったかな?
「どうした、第二…」
「第二王女って言わないで!!」
わ! びっくりした!
きゅってくちびるをかんでたメルちゃんが、急にごしゅじんさまに向かってさけんだ。
ど、どうしたの!?
「私にはメルティって名前があるんだから、ちゃんとそう呼んでよ!」
「…お前だって俺を盾呼びだろうが」
「じゃあ私もあなたのこと、ナオフミって呼ぶわ! だからナオフミももう第二王女って呼ばないで!」
…あ~、そっかぁ。
ごしゅじんさま、前にメルちゃんとケンカした時からずっとメルちゃんの名前、よんでなかったもんね。
メルちゃん、なかまはずれがさびしかったんだね。
「今は…苦楽を共にする仲間なんだから!」
「…わかったよ、メルティ」
おっきなため息をついたごしゅじんさまが、メルちゃんをよんだよ。
そしたらメルちゃん、ちょっと恥ずかしそうにほっぺを赤くして、サンドイッチをパクパク食べきっちゃった。
きょうは、いっぱいたいへんなことがあったもん。
おなかも空くよね。
「大丈夫だよ、メルちゃん! こんど槍の人達がきたら、フィーロがこんどこそぶっ飛ばしてあげるから!!」
「フィーロちゃん…」
フィーロが元気づけたくていうと、メルちゃん嬉しそうに笑ってくれたの。
よかった!
フィーロ、ぜったいやくそくは守るからね!
「…あの、フィーロ?」
「たのむから…やり過ぎて殺しちゃうなよ?」
「槍だけに?」
「うっせぇ!」
ラフタリアお姉ちゃんたちも、なんだかさっきより元気になった気がする。
なんかいや~なことがいっぱいあって、たいへんだと思うけど、ごしゅじんさまやみんながいたら、きっと大丈夫だよね!
フィーロ、がんばっちゃうぞ!
「……最悪の場合、この切り札を使わなくちゃいけないかもな」
そんなことをセントお姉ちゃんが言ってたのに、フィーロは気づいてなかった。