Be the one 〜盾と仮面のベストマッチ〜   作:春風駘蕩

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「天っ才魔導科学者であるオレ・セントは、盾の勇者ナオフミと共に、災厄の波に立ち向かうため日夜戦いつけていた! しか~し! ビッチ姫とクソ王、そして三勇教の策略により、王族誘拐の冤罪をかけられ追われる身となってしまった! 果たして天才と勇者一行は、この危機を乗り越えられるのか…!? そして、狙われる王女・メルティとナオフミの恋の行方はいかに―――」
「ちょっと! 誰と誰が恋仲だっていうのよ!? やめてよ、へんなこと言うのは!!」
「えー? ほんとでござるかぁ~?」
「ほんとにやめなさいよそのなんか腹立つ話し方!」
「セントさん……あとで話がありますからね」
「えっ、ちょっと何……ラフタリアちゃんのそのマジな感じ」
「あーあー……セントの明日は一体どうなるのか! はてさてどうなる第4章!?」
「不吉なことを言うんじゃねぇ!!」


第四章 弾けるニューパワー
領主の元へ


Side:Filo

 

「あのクソ王女があああああああああ!!」

 

 めらめら森がもえてる中をはしりながら、リュウガお姉ちゃんがものすごくおこってる!

 フィーロもおこりたい!

 あつーい!

 

 ごしゅじんさまとメルちゃんにいじわるする人たちから、フィーロたちはがんばって逃げてたんだよ。

 それでちょっときゅうけいちゅうしてたらね、気がついたら森がぼうぼうもえてたんだよ!? ひどいよね!?

 

「アホなのか!? 王女もアホならそれに従う兵士もやっぱアホなのか!? そしてやっぱりあの勇者は頭ん中真っピンクのクソバカ野郎なのか!?」

「あちっ…あっちぃって!」

「けむーい!」

 

 いっぱいけむりが出てて、ちゃんと息ができなくてたいへん。

 ラフタリアお姉ちゃんもリュウガちゃんも、むせてげほごほいってるし。

 

 もう!

 やっぱり槍の人もあのギラギラした女の人もきらい!!

 

「ここじゃ丸焼けになる! 早く逃げるぞ!」

「わかってる!」

 

 おにもつもって、火のちかくからはなれようとしたんだけど、あっちこっちもえてて逃げられそうにないの。

 そしたら、セントお姉ちゃんがまたあのどうぐを持ってまえに出てきたよ。

 

「道はオレが作る! どいてろ!」

【消防車!】【ラビット!】

 

 いつも使ってるおいしそうなジュースのビンをどうぐにさして、ハンドルをぐるぐる回すお姉ちゃん。

 そしたらへんなくだがいっぱい生えてきて、ガシャンガシャーンってあわさって、お姉ちゃんの鎧にかわったよ!

 

 そしてセントお姉ちゃんは、ぼうぼうもえてる火に向かって思いっきりお水をかけはじめた。

 あのお水、どこからもってきてるんだろ。

 

「爆裂的に鎮火じゃあ!!」

「なんでそのネタ知ってんだよ…!」

「私も手伝うわ、ツヴァイト・アクアレイン!」

 

 セントお姉ちゃんと一緒に、メルちゃんも魔法をつかって火を消そうとがんばってる。

 がんばれー! メルちゃん、セントお姉ちゃーん!

 

 でもぜんぜん消えそうにないよ~!!

 

「焼け石に水だな、ちくしょう!」

「ないよりマシだ、行くぞ!」

 

 でも、メルちゃん達ががんばったおかげで、フィーロたちがとおれそうな道ができた!

 ごしゅじんさまがいそいでそこを通って、火のそとに出ていく。

 

 待ってよごしゅじんさまー!

 

 

Side:Melty

 

 セントさんの尽力で、私達はどうにか燃え盛る森の中から脱出できました。

 

 ですが……森はもう、目も当てられない惨状になっています。

 こんな風になると想像もできないのでしょうか、あの方々は……。

 

「……付近の住民が何とかしたみたいだな」

「危うく戦場と全く関係ないところで死ぬところだったぜ…」

 

 繁みに隠れながら、セントさんとリュウガちゃんが見ている方を見ると、確かに何人もの人影が見えます。

 斧や桶を持っているのを見てわかる通り、懸命に消火活動に当たっていたことがよくわかります。

 

 …私達が原因、というわけではないのですが。

 どうしても申し訳なさを感じてしまいますね……。

 

「姉上…まさかこんな手段を取ってくるなんて」

「そんでこの山火事もオレ達のせいにしてたりな」

「なっ…それは、あるかも」

「身内の信用ねー…」

 

 メルティちゃん、こう言うのは何ですが……別の方の家に生まれていれば、こんなにも苦労することはなかったのではないでしょうか。

 あの方が血の繋がった姉だと思うと、同情を禁じ得ません。

 

 ふと、その時私はある違和感に気付きました。

 焼けた森を確かめている住民の方々、どう見ても人間ではないような……。

 

「…何だか、亜人の方が多くありませんか?」

「そういえば…」

 

 私の違和感は、勘違いではなかったようです。

 人間の方もいるにはいますが、獣人や亜人の方の方が多く見えます。

 

 すると、それを見たメルティちゃんがハッと目を見開き、ナオフミ様の方に振り向きました。

 

「ねぇ、ここの領主ならかくまってくれるかもしれないわ!」

「あ? 何でだよ。この国は亜人に対して排他的だろ」

「中には友好的な貴族もいるのよ。セーアエット領みたいに……あ」

 

 言いかけてメルティちゃんは、口を押さえてから申し訳なさそうに私の方を見ます。

 

 …お気づきなのですね。私が波で滅んだセーアエット領の出身であることは。

 気を遣わせたくなくて話していませんでしたが、やはり気にしてしまったようですね。

 

「ご、ごめんなさい」

「そうか…セーアエットってのは確か、ラフタリアの故郷だったな」

「…はい」

 

 ナオフミ様やセントさん達も、私に案じるような目を向けてくれます。

 つい数ヵ月前の事ですけど……自分でも、もう何年も前の事のように思えます。急成長したせいでしょうか。

 

「セーアエットは、人と亜人の架け橋として動いてたらしいな。あと、女王の右腕だったとか」

「ええ…でも、波で亡くなってから、父上は亜人に友好的な貴族をみんな左遷させてしまって…」

 

 セントさんが言うと、メルティちゃんはまた俯いてしまいます。

 メルティちゃんが悪いわけではないのに……こういった義務感が強い所も、あの方々と似ていない箇所ですね。

 

 少しだけ…救われた気がします。

 

「…ラフタリアを奴隷にしたのも、この国の兵士だってな」

「…はい」

 

 今でも思い出せます。

 お父さんとお母さんを失くし、せめて自分を支えるものが欲しくて、村の生き残りのみんなと一緒に、村を復興させようとした矢先のこと。

 暴徒と化した兵士達が、私達を捉え、売り飛ばした日の事を。

 

 私の気持ちを察してか、ナオフミ様が手を握ってくれます。

 セントさんもリュウガちゃんも、フィーロもメルティちゃんも……みなさん、心配してくれます。

 

「…父上の暴走は必ず止めなくちゃ、ううん、止めてみせる!」

 

 顔を上げたメルティちゃんが、そう決意を固めます。

 ナオフミ様もそれを見て、顔はぶっきらぼうなままですが、少し安堵しているように見えます。

 

 味方が一人でもいてくれるというのは、こんなにも心強いんですね。

 

「さて…だったらどうやってそいつに会うか。街中にはオレ達入れねぇしな」

「…私が行きましょうか? 同じ亜人の私なら、話を聞いてもらえるかもしれません」

 

 私がそう提案しますが、ナオフミ様は首を横に振ります。

 手配書が出回っている以上、亜人に協力を申し出たとしても、果たして本当に味方してくれるかどうか……という事だそうです。

 

 確かに、国の兵士に脅されていたとしたら、私達の事を伝えざるを得ませんからね。

 

「うーん…どうしたもんか」

「ご心配なく、普通に屋敷にお迎えしますよ」

「ああ、そう? 助かるわ……」

 

 ふと、聞こえてきたありがたい言葉に、セントさんが応えます。

 そして少しの間を開けて、セントさんとその隣にいたリュウガちゃんが、ギョッと目を見開いて後退りました。

 

「おお!?」

「誰だお前! 敵襲か!?」

 

 いつの間に居たのでしょうか、黒髪の優しい顔立ちの男の方が、ニコニコと私達に笑顔を見せています。

 上品そうな衣服や装飾品から見ても、かなり高い地位にいる方だという事がわかります。

 

 すると、男の人の顔を見たメルティちゃんがあっと声を上げ、ナオフミ様に振り向きました。

 

「ナオフミ、この人よ! 今言ったここの領主は!」

「お前が…?」

「お久しぶりです、メルティ王女。そして盾の勇者様」

 

 ぺこりと頭を下げる男の人……メルティちゃんが言うには、このあたりの領主の方を、思わず凝視してしまいます。

 どうやって会おうかと考えていたら、まさかご自分の方から来て下さるとは。

 

 ですが、何でしょうか……ナオフミ様と面識があるご様子で?

 

「俺…? あ、そうかお前、前に俺が作ったアクセサリーを買っていった優男…!」

「相場より五倍ほどの値段でしたが、他ならぬ盾の勇者様のデザインでしたからね。いい買い物をしたと思っていますよ」

 

 ああ、そういう事ですか。

 納得はしましたが……ええと、何というか、申し訳ないとしか言いようがないですね。

 

 セントさんもリュウガちゃんも、メルティちゃんもナオフミ様に呆れた視線を送っています。

 本人が気にしていないようなのえ、私達からは何も言えませんが。

 

「…まさか、本当に助けてくれるのか」

「それはもちろん…まぁ、詳しい話は私の馬車で道中にでも」

 

 そう言って、領主様はご自分の乗ってきた馬車を示します。

 …これで少しは、逃げる事に付かれたこの身体を休める事ができるでしょうか。

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