Be the one 〜盾と仮面のベストマッチ〜   作:春風駘蕩

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「天、才! 魔導科学者であるこのオレ、セントはついについに憎っくき諸悪の根源であるクソ王とビッチ王女を断罪し、盾の勇者ナオフミとともに新たな一歩を踏み出す事に成功したのでありました! わーぱちぱちー!」
「いやぁ、本当に長かったよなぁ。見ていてずっとヒヤヒヤしてたぜェ?」
「はっ!? てめっ、毒蛇野郎! 何してやがんだテメェ!!」
「オレの登場が語られてねぇじゃねぇか……手抜きはダメだぜ、セント」
「うるっせぇし! 割り込んでんじゃねぇぞコラァ!」
「そんなみみっちい事言うなよ。俺達だって出番が待ちきれないんだからよ」
「そうですよ、独り占めなんてしないでください」
「えっ!? ちょっ……誰!? いきなり出て来たお前らは誰!? え、ちょ、やばい時間が……あぁもうどうなる第5章!」
「チャオ~」


第五章 鍛錬&バカンス
慰労会


Side:Sento

 

 オレの前には今、豪勢な料理が並んだテーブルがいくつも置かれている。

 なんか……懐かしいな。前にここに来た時は、居心地は悪かったし、途中で槍の勇者のやつが決闘騒ぎなんて起こすし、満足に食えもしなかったしな。

 

 ……まぁ、そのおかげでナオフミと絆を深められたわけだけども。

 

 その後もいろいろあった。

 ナオフミの冤罪を晴らしたり、バカ女とクソ王にきっちり仕返ししたり、もうマジでいろいろあったわけだ。

 

「ひゃー、やっぱすっげぇ豪勢な宴。前の波の後のやつもだが、国が主催する催しは金かかってんなー」

 

 この間のは、あのクソ王が主催だったよな。

 今回は女王が開いてて……ああ、なんか違和感があるって思ってたら、ちょいちょい亜人の冒険者が混じってんだな。

 

 ふーむ、ほんとにあの女王様、亜人に歩み寄ろうとしてんだなぁ……お、噂してたらちょうど本人が来やがった。

 

「今回の騒動を鎮めてくださった皆様へのささやかな慰労です。どうぞごゆるりと、戦いの疲れを癒してくださいませ」

「ああ、そうさせてもらう」

「ご厚意に甘えさせてもらいまーす」

 

 女王に言われるよりも前に、リュウガとフィーロちゃんは料理の山に飛びかかってた。

 おお、あんだけ乗ってたのがみるみる消えていく。どんだけ腹減ってたんだ……ってか、マジでよく食うな、お前ら!!

 

「ねぇごしゅじんさま、メルちゃんはどこかな?」

「どっかで貴族達のご機嫌取りでもしてるんじゃねぇか。また後で会う時間もできるだろう、それまで飯でも食って待っとけ」

「うん、わかったー!」

 

 ナオフミに聞いてきたフィーロちゃんは、そのまま料理を平らげるのに戻る。

 今日までいろいろあったもんな。ちゃんと食えなかった分、たらふく食っとけばいいよ。幸いビュッフェっぽい感じだから量は大したもんだし。

 

 ……そっちはべつにいいんだけどよ、おい。

 

「……逆にお前は遠慮ってもんを覚えろ」

「腹減ってんだよ! 次の戦いに備えてたらふく食っとかねぇと体がもたねぇだろうが!」

「リュウガさん、女の子なんですからもっと外聞を気にしてください!」

「見た目気にして強くなれるか! 次持ってこい次!」

 

 口の周りを汚しまくったリュウガの奴は、ラフタリアちゃんの制止も聞かず、料理を食う口も手も止めない。

 ナオフミも呆れてんぞ……女王も。

 なんかラフタリアちゃん、お母さんみたいに口元ハンカチで拭ってるし。

 

 しっかし、あのちっこい体のどこに入ってんだろうな。

 ……若干、乳がでかくなってる気配を感じるような、気のせいか?

 

「……こいつも急成長したりすんのかね」

「アオタツはクラスアップが40から可能で、レベル限界が60だからな。体が成長するにはもうちょい必要なんだろ」

 

 ナオフミがやや引いた目で呟いてるのに、オレもだいたいおんなじ気持ちになる。つーかまだ食ってるし、こいつ。

 

 ……うーん。

 こいつのレベル的に、60に行くまでもうちょっとぽいんだよな。

 

 もうじきあの島でアレが起こるし、女王に頼んで連れてってもらえば、すぐにクラスアップにも行けそうだな。

 

「イワタニ様、少しお時間をよろしいでしょうか?」

「何だ?」

「前回の波で、決して少なくない数の犠牲者が出ました……なのでその反省を踏まえ、勇者様方にはお互い情報交換をする場を儲けさせていただきたく思っております」

 

 女王がそんなことを頼んでくる。要は反省会って奴だろ?

 

 情報交換か……オレも結構気になってることが何個かあるんだよな。

 ナオフミの盾は結構調べ尽くしたと思ってるし、他の勇者の聖なる武器もいろいろ調べておきたいし……ああ、やばいヨダレが。

 

「……たしかに、俺もあいつらも力が足りなさすぎる。向こうの知識が食い違ってることもあったしな……」

 

 ……確かにな。

 そういや、あのグラスとバットローグとかいう奴らが出てくる前、ソウルイーターを倒すのに揉めてたしな。こうするのが正攻法だのなんだのって。

 

 自分の知識が正しいって、どいつも覚えてるような……いや、思い込んでるようなそんな感じだった。

 まぁ、そこらへんはナオフミに聞いてきて貰えば……って、あれ?

 

 ナオフミさん? なんでオレの方見てんの?

 

「行ってくる。セント、お前も来い」

「え!? 何でオレも!?」

「どうせあいつら、お前のことで知りたがってることがたくさんあるだろうしな……ごねる前に連れてっとこうと思ったんだ」

「あー…うん、そうか。そうだな」

 

 ごねそうだなぁ……最悪よこせとか言ってきてもおかしくないよなぁ。

 オレ、自分で言うのはなんだけど、記憶喪失なんていうなかなか怪しい経歴だからな……そこらへん絶対突かれそうだよな。

 

 しゃーねぇ、文句言われんのは多少覚悟していくか。

 

「つーわけだから、また後でな。リュウガ、フィーロちゃん、たくさん食べておくんだぞ」

「はーい!」

「どうぞ、お気をつけて」

「お袋か、お前は」

 

 ラフタリアちゃんは心配そうにしてくれて、フィーロちゃんは元気よく返事をしてくれるけど、リュウガはボソッとツッコミを入れてくるだけ。

 

 このやろう……あとで覚えてろよ。

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