がっこうぐらし!『深き夜を廻った少女』使用RTA   作:ハッピーエンド大好きお兄さん

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 原作組と合流まで書いたら長くなって、どうして……(現場猫)となったので初投稿です


三日目

 そろそろ夜がヤバいことになってくる!なRTAもう始まってる!

 

 前回は帰宅して終了したところだったのですが……なーんで二人とも一緒に寝てるシーンから始まってるんですかね?まあ尊いので良しとしましょう(スクショ保存完了)

 

 ハルちゃんとるーちゃんを起こしまして時刻の確認をしましょう。部屋の暗さから察するに夜ですね。もう少し早く起きてれば夕方頃には行動できたでしょうに痛いですねこれは痛い……

 

 まあ嘆いたって過去に戻れるわけでも無いのでテキパキ動いてモールにイクゾー。そのための準備としてまずはお着替えですね

 制服に血を付けたまま行ったらみーくんと圭ちゃんに警戒される上に好感度がダウンします。いきなり至るところに血を付けた奴が来たら警戒するのも当たり前なんだよなあ

 

 選ぶのは深夜廻の時の服をそのまま大きくしたやつですね。ある意味勝負着と言えるのでしょうか

 それとポシェットって言うんですかね?右側に羽根が付いたリュックみたいなやつも付けたいところですがサイズが……ね?るーちゃんに背負わせますけど

 

 次は鞄の中の教科書を抜いて代わりに缶詰めやレトルト食品を詰めます。丈夫な紐もお忘れ無く。これを入れ忘れたせいでみーくんと圭ちゃん救出の難易度が上がりました(ギリギリ無敗)。さて準備完、いやまだですね。クーラーボックス君どこ?

 

 ありました。にしてもなんで冷蔵庫前にあるんですかね?それに少し重いような?まま、ええわ

 クーラーボックス回収ついでに棚から食器類を取り出してるーちゃんに背負わせたリュックに突っ込みます

 

 鞄を背負ってクーラーボックスを肩紐で抱えてるーちゃん引き連れのフル装備で出発です。夜だから帰宅してる彼ら君達が居ますね。ペンライトと戯れてこい

 

 えー、現在キャンピングカー運転中なんですがT字路で立ち往生してます。いや別に動かなくなったわけじゃないんですよ?動けないってだけで

 原因は深夜廻に出てきた赤い触手を装備した黒くてデカい(意味深)お化けです。夜廻にも出てましたっけ?

 

 ハルちゃん使用時の二日目から夜になると深夜廻のお化け達が出てくるんですよ。昼は彼らが多くて夜はお化けが出るとか狂いそう(静かなる怒り)。こんなところで深夜廻感出さなくていいから、ユイちゃんだして?

 お化け達は学校やモール等の敷地内には出現しないし入らないのでそこは救済ポイントですかね?

 

 まあ大抵は車があれば撥ね飛ばすので無視できますがあの複眼巨人お化けと多脚お好み焼きお化けとクソデカ魚類お化けだけは無視できません。だから夕方に出発する必要があったんですね。はーつっかえ!微ロスですわ

 

 複眼巨人お化けが道を開けたのでアクセル全開!これから通るルートでは足止め系は無いので安心して走れます

 お化けを初めて見て正気度が減ったるーちゃんには会話で正気度を保ちつつ後でジュースを上げましょう。もちろんキンキンに冷やしてからですよ

 

 鉈持ちお化けや彼らや単眼犬っころを撥ね飛ばしながらモールに到着です。ちなみにお化け達を撥ね飛ばしても車の耐久値は減りません

 減らない理由は……(知ら)ないです。ハルちゃんが乗ることによってお化け特攻でも付与されたんじゃないんですかね?(適当)

 

 モール内に入ったらまずは食料品フロアに行きます。ジュースをゲットしてるーちゃんの正気度を回復させるためですね。スニーキングしながら移動したので特に見つかることもなく到着です

 

 入ってすぐの場所に目当てのジュース棚があるのでまずは適当なペットボトルをリュックに入れつつるーちゃんを横目で見ましょう

 ある一ヶ所を凝視してますね。苺ジュースをご所望かな?ここは私の奢りだ、買いたまえ(代金100%OFFセール中)

 

 さて苺ジュースを入れたら次は肉類もクーラーボックスに……ふぁっ!?既にアイスと冷凍食品で埋まってる!?ちょ、ちょっと待って!?ジュース入れるためのスペースが入ってないやん!?どないしてくれんのこれ!

 

 いや一本ぐらいなら入りそうですね、一本だけですか……。今日の昼頃からモール内の電気が使えなくなるので今がギリギリセーフのラインだったのですが今から中身を減らすなんてできませんし肉類は諦めるしかありませんね

 

 想定外のことはありましたが無事ジュースを確保したので彼らに襲われないうちに幼稚園に行きましょう。着きましたら初日と同じくハサミをはーつっかえ!棒にします

 

 本来のチャートであればジュースが冷えるまで待つのですが何故かクーラーボックスにアイスが入ってたのでそれをるーちゃんにあげます、ついでにハルちゃんも一本食べて精神力を回復させましょう

 アイスアイス!冷えてるか~?大丈夫ですよ、バッチェ冷えてますよ!ジュースも冷えましたよ!

 

 さてもう後は寝るだけですし明日の昼は服選びをするだけなので明日の夜まで36(倍速)、普通だな!

 

 夜になったので適当に理由付けてるーちゃんを連れて五階に行きましょう。は?幼稚園にお留守番させたらいいダルルォ!?と猛る少女大好き兄貴達は落ち着いてください、これにはちゃんと理由がありますから

 

 るーちゃんを幼稚園に置いて外に出るとハルちゃんが恋しいのか勝手についてきて噛まれます(6敗)。その上どうやってもお留守番してくれませんでした、なんで?(キレ気味)

 ですのでるーちゃんを連れていく必要があるんですね

 

 階段を上って五階と四階を繋ぐ階段手前辺りに着くと何かが燃えてる音が聞こえてきます、派手にBBQしてんなあ。この時間だと既にみーくんと圭ちゃんは避難部屋に籠って上階立て籠り組が全滅した頃ですね

 

 段ボールで構築されたバリケード越しに唸り声が聞こえたらるーちゃんに作戦を伝えて出入口端に待機と丈夫な紐の端を持ってもらいます

 そしてハルちゃんにも端を持ってもらってるーちゃんの反対側に移動した後紐を置いてハサミで床を強く叩きまた紐を持ちます

 

 すると音に釣られて彼らがやってくるのでバリケード出入口にるーちゃんとハルちゃんで紐をピンと張ります。こうすることで愚かにもやってきた彼らは足を取られて階段を転げ落ち勝手に逝ってくれます

 (踊り場に)落ちろ!……落ちたな(確信)

 

 無惨にも壊れちゃった……なバリケード内の彼ら全員の処理完了を確認したら中に突撃ー!奥の避難部屋に誰かいそうですね(棒読み)

 ガンガンガン!開けろ!巡ヶ丘市警だ!

 

「だ、だれですか……?」

 

 めぐねえとりーさんの胸部装甲に包まれながら一睡したい一般ノンケです!こっちは癒し枠のるーちゃん!さあそっちも早く自己紹介するんだよ、私もやったんだからさ?(同調圧力)

 

「私は夜廻さんと同じ二年の祠堂圭、こっちは直樹美紀とペットの太郎丸」

「わんっ!」

 

 (鳴く回数は)三回だよ三回。ゲーム版の太郎丸はアニメ版準拠でみーくん達と合流してるので回収が楽で助かるわ~

 それはそうと自己紹介ありがとう圭ちゃん。んじゃ高校に行きませんか?行きましょうよ!ここより設備あるし学園生活部いるし行った方が良いと思うんですけど(迫真説得)

 

 二人を説得したらキャンピングカーに向かいます。道中で大きめのリュックの調達と缶詰めとペンライトの確保もお忘れ無く

 

 ちゃんゆきの好物の大和煮やら麻婆豆腐愉悦味とか書いてる缶詰めや常温保存の菓子パン等々を回収したので彼らをペンライトで誘導してから二日目未明の焼き増しだー!

 

 おっと前方に白靄人影君と彼らがいますね、撥ね飛ばします

 

 右側から白い赤ちゃんお化けがハイハイしてきますね、撥ね飛ばします

 

 次は左側から発狂ギザギザ棒人間が何か叫びながら来てますね、撥ね飛ばします

 

 前方にガソリンスタンドが見えますね、撥ね飛ばし……撥ね飛ばせませんよ?とりあえず給油、しよう!(提案)

 

 このガソリンスタンドは確率で他の生存者に占拠されてる場合がありますが今回は占拠されてませんね。占拠されてたら食料の一部を渡す必要があったので助かりました

 では駐車して下りましょう。ん?ハルちゃんレーダーが反応してる?

 

 あ~、頭クルクルお化けが居ますね。と言っても道路を挟んだ向かい側ですし無視です

 給油を済ませたら直ぐ再出発したいところですがハルちゃんの疲労回復とみーくんと圭ちゃんの正気度を回復させないといけませんね。疲労が貯まったまま運転したら事故る可能性が高まります(2敗)

 ちなみに疲労度はパラメータに表示されずキャラの表情から読み取るしかないです。なんだこの仕様!?

 

 と言うわけで休憩入りまーす、うちはブラック企業じゃないからね(MTTN)。嘘つけバガパン兄貴には優しくないブラック企業だゾ、ホモは嘘つき

 

 みーくんと圭ちゃんにアイスを振る舞いながらお化けの説明をしつつるーちゃんを人形みたいに抱き締めて癒されます。可愛いなあるーちゃん

 

 休憩が終わったらまた出発です。これから先、高校に着くまでただただお化けを撥ね飛ばす絵面しか無いので倍速にします。その間空き時間が生まれて暇になる

 

 み な さ ま の た め に ~

 

 めぐねえについて、お話しします

 今更りーさんとトップの座を争う母性を持つめぐねえについて語る必要ないだろとお思いの兄貴姉貴達がいるかもしれませんがウチのめぐねえはちょっと違うんですね。どこが違うのかと言うと最初から覚醒状態です

 その恩恵か初日夜には三階を確実に制圧してて二日目にはチョーカー姉貴こと柚村貴依を救出してます。たまげたなあ……

 

 私ががっこうぐらし!を始めた頃は要介護キャラという認識だったのですが今ではバリバリに前線を任せられる佐倉先生に昇格しました。しかし呼び名はめぐねえのままだ!

 ただ一つ不可解な事がありまして、なんで毎回初日から覚醒してるんですかね?最初の頃は覚醒してなかったはずなんですが

 それに初日に固定で起きる覚醒イベントなんてKRM姉貴のだけの筈なんですがね?KRM姉貴の代わりに倒した可能性も考え試しに私が倒してみても覚醒状態だったんですよね。そこが唯一の不思議ポイント

 

 お、めぐねえ語りをしてたら高校が見えてきました。太陽の位置的に6時頃と言ったところでしょうか。彼らの登校時間までまだ余裕がありますね

 

 エンジン音でこちらに気付いたのか三階からりーさんとめぐねえとチョーカー姉貴とKRM姉貴が手を振ってくれてますね。ゆきちゃんは寝てるんやろなあ

 

 小学校の時と同じく入口横に車を停めまして彼らに囲まれる前に校内に突入です。一階を駆け抜け……あれれ~?なんで一階と二階を繋ぐ踊り場にバリケードがあるんですかね?

 

 本来なら二階と三階を繋ぐ踊り場にあるはずなんですが……とりあえずめぐねえとKRM姉貴が朝早くなのも相まって数少ない彼らを倒してくれたので慌てず騒がず落ち着いてバリケードを越えれますね。少しは急いだ方が良いんですけど

 

 無事避難完了したのでここら辺で終わりにしますかね。次回は日常回だから見とけよ見とけよ~

 

 

 

 残酷(幸せ)な夢を見た。私と同じくらいに成長したユイと一緒に学校に通って笑いあったり勉強を教えあったり、そんな何気無い日常だった。絶対に叶うはずがない日常だった

 

 気付けば夢から覚めて起き上がっていた。寝る前はあんなに明るかった部屋も月明かりだけが光源の暗い部屋になってしまっている

 

 寝起きの頭でこれからの事を考える。ずっとこの家で暮らすのは多分無理だ。いずれ電気は来なくなるだろうし水の貯水だってしてない。なら場所を移す必要がある

 でもどこへ?そう考えて一つの場所が思い浮かんだ。巡ヶ丘高校だ

 

 パンフレットを見たときにあまりにも設備が揃ってると驚いたから印象に残っている。浄水装置や貯水槽、太陽光発電パネルなんかも置いていてパンフレットに書いてあった通り一つの街みたいだ

 

 そうと決まればやるべきことが見えてくる。まずは一度モールに戻って他の食料を頂こうか。高校に食料があるとは限らないしできるかぎり用意しておいた方が良いよね

 

 でもその前に服を着替えなきゃ。返り血が付いてる制服を着続けるのはちょっとね

 

「ん?どうしたのるーちゃん?」

 

 私と一緒に起きたらしいるーちゃんはノートに文字を書いていた

 

『どうしてないてるの?』

「……え?」

 

 指先で目元に触れてみると確かに濡れていた。きっとあの夢を見たからだろう

 

「だ、大丈夫だよ、気にしないで!それよりるーちゃんにこれあげるね。私が昔使ってたんだけどもうサイズが合わなくなっちゃったやつなの」

 

 涙を拭って誤魔化すようにベッドの側に置いていたリュックをるーちゃんに背負わせる。その後あの街で着ていた服をそのまま大きくしたような服に着替えた。この服はある意味勝負着みたいなものだ

 

 鞄から教科書とかを抜いて代わりに自室に置いてた缶詰めやレトルト食品とかを詰めてるーちゃんを連れて一階に置きっぱなしにしたクーラーボックスを回収した。ついでに食器類をるーちゃんが背負ってるリュックに詰めて準備完了

 

「……行ってきます」

 

 玄関から外に出てみると所々にゾンビ達の気配がする。やっぱり帰宅してたんだね

 キャンピングカーの周りに居るゾンビ達をペンライトで誘導してその隙に乗って直ぐに出発した

 

 10分ぐらい走ってT字路に差し掛かった時、ふと悪寒がして車を停めた。るーちゃんが不思議そうな顔でこっちを見てるけどそれを無視して車のライトではなく懐中電灯で前を照らすと視えてほしくなかった者が浮かび上がる

 あの夜の街、夜本一(よもといち)市でよく見たお化けの一つ、沢山の目をギョロギョロ動かして一定の場所だけを歩くお化けだ

 

「──!?」

「大丈夫だよるーちゃん、あのお化けはただ歩いてるだけでこっちから突っ込まなければ無害だよ」

 

 目に見えて怯えてしまったるーちゃんを撫でながら軽く説明をすると少し表情が和らいだ。あのお化けが道を開けた瞬間にまたアクセルを踏む。巡ヶ丘の夜は昨日の夜とがらりと変わってゾンビ達の群れにお化けが加わっている。まるで夜本一市みたいだ

 あっ、鉈を持ったお化けを撥ねちゃった

 

 時々出てくるお化けやゾンビ達を撥ねながらモールに到着。駐車場はゾンビ達が居るだろうからモールの正面に車を停めた

 

 ゾンビやお化けが周りに居ないことを確認してモール内に入った。まず目指すのは食料品フロアにある飲み物だ

 ゾンビ達に気付かれないようこっそりと歩いて食料品フロアに着いたらすぐ横に飲み物コーナーがある。適当に何本か掴んでるーちゃんの背負うリュックに入れる作業を4回繰り返した時、るーちゃんがある一点を見つめているのに気付いた

 

 その視線の先には苺ジュースが。もしかして好物だったりするのかな?

 

「これも持っていく?」

「(力強く頷く)」

 

 ジュースだからクーラーボックスに入れた方が良いよね。スペース的に一本しか入れられないけど

 

 飲料用水は確保したしこのまま高校に行きたいけどるーちゃんが眠そうだし今晩はあの幼稚園で過ごそう。実を言うと私も少し眠たくなってきてるし

 

 上に上っていく程にゾンビ達の数が少なくなるのを感じながら幼稚園に着いた。この騒動が起こった初日みたいに鋏で扉の開閉を封じる

 

「アイス食べよっか。るーちゃんは何味にする?」

 

 本当はダメなんだけど寝る前にアイスを食べることにした。るーちゃんは予想通り苺味のアイスを選んで私は抹茶味を選ぶ

 

 アイスを食べ終えていざ寝ようと思ったら重大な事に気付いた。布団が無い。途中で確保しておけばよかったなあ……でも今はまだそんなに寒くないしるーちゃんの体温が高いからるーちゃんで暖をとりながらまた一日が終わる

 

 朝になってモールから出ようと思ったけど一階のゾンビ達の数が多くて諦めた。私一人なら行けるかもしれないけどるーちゃんを連れて、となると無理かな

 

 仕方ないので100%引きセール中の服屋でるーちゃん用の服を選んだりるーちゃんに無音で歩く技術を教えたりして昼間を過ごした

 ──そして夜が訪れる

 

 念のため一階のゾンビ達の数を確認するとしっかりと減っていた。今なら脱出できそうだけどその前に元々の目的、大きいリュックを手に入れて食料品フロアの缶詰めを頂いてから脱出しよう

 

 るーちゃんを連れて四階をゾンビ達から隠れながら回ってみたけどリュックは無かった。じゃあ上かな?と思って五階に繋がる階段に差し掛かった時何かが燃えてるような音が聞こえてきた。もしかして火事!?

 

 階段を上っていくと段ボールで出来たバリケードがあって耳を当てるとバリケード越しに燃える音、そしてゾンビの唸り声が響いてくる

 

 パッととある作戦が思い付いた。後ろには階段、この出入り口には向こうからは見えないであろう場所があるこの場だからこその作戦だ

 

「──っていう作戦なんだけど、手伝ってくれる?」

「(ゆっくりと頷く)」

 

 るーちゃんに作戦を話して協力を得られたから鞄から紐を取り出してその端っこを渡した

 

 出入り口の端っこに移動したるーちゃんと同じく私も端っこに移動して大きくした鋏を思いっきり床に叩きつける。すぐさま紐を持ってゾンビ達が出てくるのを待つ

 

 バリケードが崩れて残骸になって踊り場に落ちて少し後にバリケード内から出てきたゾンビが私とるーちゃんで張った紐に引っ掛かって落ちていきバリケードの残骸に赤い華を添えていく

 

 数分程してゾンビ達の気配が無くなったのを感じたらるーちゃんへの合図として紐を手放した

 

「中に誰か居るかな……?」

 

 そう言ってみたものの生存者は居ないと思っていた。避難所と書かれた紙が張ってあるドアをコンコンとノックするまでは

 

「だ、だれですか……?」

 

 ドアの向こうから掠れ気味だけど声が聞こえた。生存者は居ないと思ってたけど生き残ってる人がいたんだね

 

「私は夜廻春、巡ヶ丘高校に通う二年生です。事情があって喋れないけど若狭瑠璃っていう子もいます」

 

 そう答えたらドアがそっと開いて二人の女の子とワンちゃんが一匹顔を出した

 ワンちゃんが数年前に寿命を迎えたチャコにどことなくそっくりで思わずチャコ、って呼びそうになっちゃった

 

「私は夜廻さんと同じ二年の祠堂圭、こっちは親友の直樹美紀とペットの太郎丸」

「わんっ!」

「祠堂さんと直樹さんに太郎丸だね。ねえ、提案なんだけど一緒に高校に行かない?ここより設備整ってると思うし」

「高校……ですか?確かにパンフレットを見た限りではかなりの設備があったと思いますが……どうやって高校まで行くつもりですか?徒歩は距離的に厳しいでしょう?」

 

 大丈夫、キャンピングカーがあるから!そう返すと直樹さんは暫く考えた後高校行きに賛成してくれた。祠堂さんと太郎丸も付いていくことにしたようだ

 

「じゃあ夜が明ける前に動こう。ここから出る前に食料品フロアの缶詰めとか入れたいから大きいリュックとか無いかな?」

「それなら何個かあったと思うけど残ってるかな……」

 

 今だ燃えている火事現場の近くを探すと大きいリュックが一つだけ見つかった。ちょっと煤けてるけど十分だ

 

 食料品フロアで缶詰めとかペットボトルとか小分けされたドーナツとかを詰めれるだけ詰めたらモール正面に停めた車に乗ってリバーシティ・トロンを後にする

 

「あの、ライトは消した方がいいと思うんですけど」

「ごめんね、ライトを消しちゃうと見落としちゃう事があるかもしれないから消せないの」

 

 私の言葉にハテナマークを浮かべてそうな表情をする直樹さん。多分すぐにさっきの言葉の意味を知ると──あ、いつも唸り声を上げてる白い人型のお化けだ

 

「ひっ!な、なんですかさっきの!?」

「お化けだよ。昨日からこの巡ヶ丘にも現れ始めたの。詳しい説明は後でするね」

 

 数々のお化け達を撥ねながら進む道中にガソリンスタンドが見えたから寄っていこう。車の燃料も少なくなってきたしね

 

 道路を挟んだ向かい側に頭が回転してるお化けが居る。周りにゾンビは居ないしお化けは多分こっちに気付かないしそそくさと給油を済ませたら車内に戻って休息することにした

 やっぱり片腕で運転をするのは疲労が貯まるなあ

 

「さっきから出てくるゾンビ以外のあれは何なんですか?お化けって言ってましたけど」

 

 クーラーボックスから取り出したアイスを舐めながら直樹さんが訪ねてきた。るーちゃんみたいに素直に信じてくれるかな……いや、現にその目で見ただろうし信じてくれるよね

 

「そうだよ、あれはお化け。多分捕まったら死んじゃう類いのやつ。夜本一市にしかいないと思ってたんだけど昨日から現れ始めたの。理由は分かんない」

 

 お化けの種類と性質を一通り話した後休息を終えてまた走り始める。それから1時間ぐらいお化けやゾンビ達を撥ねながら進んでようやく高校に辿り着いた

 

 三階の窓から四人の人影が手を振ってるのが見えた。ここにも生存者がいたんだ。良かった

 

 ゾンビ達を何体か撥ねながら校舎入口近くに停めて直樹さんにクーラーボックスを、祠堂さんに大きいリュックを持ってもらって校舎内に入った

 

「お前ら!こっちだ!」

 

 校舎に入ると手を振っていた人影の内二人、紫色の髪にツインテールでシャベルを持った女の子と薄ピンク色の髪に所々ウェーブがかかったロングヘアーで先の尖った棒を持った女性がゾンビ達を倒しながら私達を案内してくれた

 

 一階と二階を繋ぐ踊り場に机と紐で出来たバリケードがあって最初にるーちゃん、次に直樹さんと祠堂さん、その次に私とツインテールの女の子とロングヘアーの女性の順でバリケードを越えた

 

 こうして私達は一先ずの安全圏と呼べる巡ヶ丘高校にたどり着いた。この騒動が始まってからもう四日目になる。世界ががらりと変わってしまって、それでも私達は生きている




そういえばユイちゃんってハルちゃんと縁を切られてもその存在まで無くなった描写は無いんですよね

あっ、ふ~ん(察し)

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