おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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ちゅうせいのぎ……今回おっさんからすればブチ切れ案件
異常事態だと話して各階層点検、おっさんも動き回る
な・の・に……
部下達「忠誠の儀を」
おっさん「てめぇら異常事態発生中だっつってんだろ」





episode.3 「忠誠の儀」

 俺はパンドラに続き大量に出てくるレイドボス達からドロップしたあるイベントのアイテムをかき集めて、そのアイテムが何を示しているのかを知る。

 

『たしかドラゴンクエストとのコラボイベントのアイテムですね。懐かしいなぁ』

 

 確かに俺からしても懐かしいアイテム群ではある、あるのだが足りないアイテムがあることに気が付きそれの名前を思い出す。

『太陽の石』がそのアイテム群にはなかったのだ。

 

「パンドラぁ!ルベドからカロリックストーンを持ってこい!足りないのはそれだぁ!」

 

「わっかりましたぁ!リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン、お借りしてもよろしいでしょうかぁ!?」

 

『なにしてんだあんたはぁっ!?』

 

 それぞれのシリーズごとにアイテムを仕分けしていく。ラスボスに関係する、または其処に辿り着く為に必要なアイテム……その組み合わせで合成、変化することが発見することができた。

 

「おそらく全てのアイテムを掛け合わせることで、『種族を変える』アイテムに変化するはずだ……」

 

 ドラクエ4のラスボスが求めた力の在り方、そのキーアイテムである進化の秘宝は原作では未完成で使用され理性無き化け物となった。

 だが、完成させたなら、求められた進化が望める。

 太陽の石はナンバリングの始まりになった1のラスボスへと向かう為に必要となるアイテムの材料。

 

「お?カロリックストーンは消費されないのか、こいつは僥倖だな」

 

『あんた!なに勝手にワールドアイテム消費しようとしてんですかぁぁぁぁぁ!?』

 

 出来上がった新たなアイテムを更に物語の区分ごとに分けて合成していく。先のアイテムでさえ伝説級のランクでしかなかったが、重ね合わせることで神話級にクラスを上げる。

 

「こいつは中々にマニアじゃないとわからねぇよな。時代ごとの合成順だとか」

 

 例として3→1→2という流れがある様に時代がナンバリング通りではないシリーズがあるのを悟君の時代で知っているのは稀だろう。

 情報も規制していたようだしな、ほんと『くそ運営』らしい。

道具上(オール・アブレイザル)位鑑定(・マジックアイテム)を使い最終的に出来上がったアイテムを調べてみれば、笑いを抑えることができなくなった。

 ワールドアイテム『進化の世界珠』という『転生を行なう事で力を保ったまま種族を上位の物に作り替えるアイテム』だった。

 

「ふはははははは!俺はオーバーロードをやめるぞぉ!さとるぅ!」

 

 有名なセリフを真似て、進化の世界珠を使用する。悟君のやめろぉ!という叫び声は無視して……というか、もう一式造れるから問題ない筈なんだが、どれだけ狩りまくったんだこいつらは。

 選択する大種族は当然人間種、小種族は幾つかあるがランダムで選ばれるらしい。頭で思い浮かべたものが選ばれるといいんだがな。

 

『マジで、なにやってんだぁぁぁ!あんた!」

 

「もちろん!これで切り替えができるか試しているのさ!』

 

 喋っている最中に光に包まれ、セリフの中ほどで俺と悟君が入れ替わるのが感じられる。

 やはり人になることが入れ替わるスイッチだったか……さて、ステータスはどうなってるのか。

 そんなことを考えていると空を切る鏑矢のような音と何かが破裂する音、左右からなぜか火薬の炸裂する軽い音と共に色とりどりのテープやら紙吹雪が放たれるエモーションが悟君の周りで起きた。

 

「は?」

 

 悟君の記憶によれば胸部に装着していたモモンガ玉———今は体内に収納されてるっぽいが———を手に入れたときにも同じことが起きたらしい。

 

『は?』

 

「うっそだろ!?おい!?」

 

 つまり、一番最初にワールドアイテムの入手条件を満たしたときに起きる現象なんですよ。連荘でワールドアイテムゲットとか驚くのは当たり前だよ。

 

「おぉ……これが噂に聞くワールドアイテムの新生……まさかこの目で見られるとは」

 

 透き通る虹色のシャボン玉の中、とある本が悟君の元に降ってくるんだが、題名がさぁ、うん……

 

『とりあえず、そろそろ集合時間じゃないかね?あ、あと元のオーバーロードの姿に戻れるはずだからできれば戻ってほしい』

 

「モッモォォォンガ様!」

 

 喜んでいるのかスピンしているパンドラが居る。悟君はそれを見てすっぽんぽんだったのもあってか無言でオーバーロードになり俺に主導権を渡してくれる。

 

「お、問題なく戻れるな。しょんぼりしてるところ悪いがパンドラにも顔見せの為についてきてもらうぞ?その上で他の階層守護者たちを見てほしい」

 

「はっ!了解しました!つきましてはモモンガ様の服を用意した方がよろしいでしょうか?」

 

「そうしてやってくれ、できれば普段着は無難なものがいいだろうな」

 

 悟君状態で新たに加わったレベルはわりかしぶっ壊れたものばかり、全武器装備可能『傭兵(マーセナリー)』魔法の全効果を上げる『神仙(チャイニーズ・マイナー・ゴッド)』こいつがないと始まらん全ステータスの上乗せ『超人(オーバーマン)』しかも神仙の影響か300個ほど信仰系と自然系の魔法が増えて……四系統に加えて1000以上の魔法を覚える、があのワールドアイテムの条件か?

 ここまで連絡がないセバスにメッセージを繋げる。

 

「<メッセージ>セバスか?様子はどうだ?ふむふむ……結構、後は階層守護者たちと共に報告してもらう。二人にも戻る様に伝えろ」

 

 こちらから連絡しないと報告すらしないとは、何のために他プレアデスまでつけたと思ったのか、何を考えているのかそれとも何も考えてないのか。

 

「準備が整いましたぁ!服は一旦アイテムボックスに入れております!部屋に戻られて着替えられますか?」

 

「アッシュールバニパルで傭兵召喚しておくからそこで着替えさせる」

 

『鬼ですか!?』

 

「んん!裸でも鍛えられた筋肉と!股間にそそり立つビィックマグナム!実に雄々しいものではないかと!愚考いたします!ぶっちゃけ至高の御方々であれば恥ずかしがる部分はございませんかと!」

 

 こいつらには何が映っているのだろうか、シズもなぜかうんうんとパンドラの言葉に同意しちゃってるし、俺には一八歳のやせ型のひょろい身体と確かに大きなイチモツは見えたが、ストリーキングはやっちゃダメだろ。

 

「お前らは悟君を変態にでもしたいのか?」

 

「「すみません」」

 

 二人して同時に謝るが、息があってるなぁ。

 やばい、こいつらが悟君に着せようとしてる物がどんなものか分かったものじゃない。確か部屋の隣がドレスルームだったな……そっちで着替えた方がいいかなぁ。

 とりあえずハンゾウ呼び出してパンドラと一緒に影に潜ましておくか。

 

 

 

 

 

 闘技場に辿り着けばシズを除いて、階層守護者たち、セバスを含む戦闘メイド達すべてが揃っており、一斉にこちらを向く。

 

「至高の御方に忠誠の儀を」

 

「「「え?」」」

 

 一斉に俺を除いて整列しだしアルベドを前に出し階層守護者たちが一列に、さらに後ろにセバスとメイド達が一列に並び、表情は引き締まっている。

 パンドラ達は俺の影の中にいるが……

 一番端だったシャルティアから順にそれぞれの守護する階層、名乗り、臣下の礼を行いプレアデス達も似たようなことを行っていく。

 第四階層守護者であるガルガンチュアは喋れない為、エモーションだったが。

 

『うわぁ……こいつらマジだ……』

 

『うわ……こいつらマジか?』

 

『なんでこのタイミングなんですかねぇ……統括様ぁ?』

 

 悟君は驚愕と怯えに、俺はむしろ呆れる方向の結果となった。

 パンドラどころかシズとハンゾウまでドン引きしてるのだが。

 忠義を誓うのは構わない、それはそいつらの自由だ。そしてそれを受け取るかどうかもまた自由だ。いくら忠を誓おうともこちら側にはそれを受け取るだけの理由がなければ、それはとても気持ちの悪いものだ。

 

(つら)を上げろ」

 

 一糸乱れずに上体を起こし、こちらを向くのだがその目は期待に満ち満ちと染まっているように見られる。

 

「さて、全員集まってもらったが誰も異常は無かったか?」

 

 それぞれがそれぞれにこれといった異常は無かったと報告してくるが、ガルガンチュアだけエモーションで他の階層守護者やセバスらには伝わらなかったようだが、何かに気が付くようなエモーションを見せてくる。

 セバスの報告からはナザリックの外は草原となっており、一時間捜索していたが夜が明けることはなかったという事。

 二四時表記のMMOであればおかしなことではないのだが、ユグドラシルでは昼夜の概念を取り入れており昼と夜が一時間ほどで切り替わる様になっていた。

 せわしないと思われるかもしれないが、リアルを考えればむしろ二四時間ぶっ通しでログインできるようなのは金を稼ぐ必要がなくなるほどの大富豪な富裕層位なものだろう。

 少なくとも今あげられた報告から判断できるのは、NPCたちを積極的に使うのは危険だという事だな。

 とりあえず好き勝手出来ないように楔を打ち込んでおくか。

 

「大体のことはわかった。最後にお前たちに聞いておきたいことがある」

 

「何なりとお聞きくださいませ!」

 

 俺の質問の言葉にアルベドが代表して元気よく返事をする。

 

「お前たちは俺をどう思っている?あぁ、シズとパンドラ、ハンゾウは答えなくていい」

 

 シャルティアに目をやれば

 

「美の結晶。まさにこの世界で最も美しいお方であります。その白い————」

 

 ガルガンチュアに目を向ける。

 

「【砦】【盾】【喜び】【落ち込み】【プレゼント】」

 

 次々と目を向ければ

 

「守護者各員ヨリモ強者デアリ、マサニナザリック地下大墳墓の————」

 

「慈悲深く、深い配慮に優れたお方です」

 

「す、すごく優しい方だと思います」

 

「賢明な判断力と、瞬時に実行される行動力も有されたお方。まさに————」

 

「わたしのようなよわきものにもいしきをむけてくださるじあいあふれるおかたでございます」

 

「至高の方々の総括に就任されていた方。そして最後まで私達を————」

 

「至高の方々の最高責任者であり、私どもの最高の主人であります。そして私の愛しいお方です」

 

 プレアデス達に視線を送るが特にガルガンチュア以外に収穫となる発言は無かった。

 

『ガルガンチュアは何を言いたかったんですかね?』

 

『多分だが、『このナザリックを長い間守ってくれたことをうれしく思うが、自分は何もできなかったこれから少しでもその恩を返していきたい』といったところだろう。セバスも似たようなことを言っているが、どうにもニュアンスが違う気がするな』

 

『わかるんですか!?』

 

「ペロロンチーノ-25、武御雷-30、ぶくぶく茶釜-50、ウルベルト-50、死獣天朱雀-10、たっち-20、タブラ-80、やまいこ-15、獣王メコン川-15、二式炎雷-15、へろへろ-15、源次郎-30……しかし、これはまたひどい結果になったものだな」

 

 俺は新しく手に入れたワールドアイテムをぱらぱらとめくりながら今回得られた結果を口に出して全員に知らせる。

 

「あ、あのそれは……いったいなにの……けっかなのでしょうか……」

 

 震える声で聞いてくるアルベド、全員が全員青ざめた顔を向けてくる。

 

「ん?あぁ、ギルメンが先ほどの言葉を聞いて、俺に忠誠を誓ったゆえにナザリックに帰りたいという思いの反映だが?どうした?そんなにも青ざめて……お前たちは俺に忠誠を誓うのだろう?それを受け取る気は全くないがな」

 

「「「「な!?」」」」

 

「宿題だ。何故受け取ってもらえないか、なぜ帰りたくないと思われているか、それがわかるまで俺の命令以外でお前たちを外に出すつもりはない。あぁ、解けても他の者に教えないように、それでは通常の業務に戻ってくれ、以上だ」

 

 俺はそれだけ言葉を残すと指輪の力を使い、その場を後にする。

 

 

 

 

 

 モモンガの居なくなった広場では阿鼻叫喚のありさまだった。シャルティアは虚ろな瞳でぶつぶつとつぶやき続け、コキュートスは頭を両手で押さえ絶叫していた。

 

「わからない、わからない、わからないわからないわからないわからないわからないなんでなんでなんでなんで……」

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 マーレは蹲り「早く目を覚まさなきゃ」同じ言葉を繰り返し、アウラはそんなみんな見て涙を流しながら正気に戻そうと肩を揺すったりしていた。

 

「みんなしっかりしてよ!私どうすればいいの!?どうすればモモンガ様に認めてもらえるのか考えてよ!教えてよ!」

 

 デミウルゴスは忠義を受け取ってもらえなかったことを受け入れ自傷行為に走っていた。セバスは顔を死蝋のようにしながらもふらふらとモモンガを探すためにその場を後にしようとする。

 

「失態だ失態だ失態だ失態だ……アアアアアァァァァァ!!!何たる失態を!この身を捧げればいいのか!?この命を捧げれば……」

 

 アルベドはへたり込みただ虚空を見つめていた。

 ユリをはじめとしたプレアデスのメンバーは言われたことが信じられないのか、ユリは健忘症を患い、ルプスレギナはモモンガの言葉を無かったことにした、ナーベラルはそこにモモンガがいるかのようにふるまっている、ソリュシャンはその恐怖から動くことすらできなくなり、エントマは気絶していた。

 ガルガンチュアはそんなメンバーたちを見ながら、涙のエモーションを出し第四階層へと帰っていく。モモンガの言った通常の業務に戻る為に。

 

「命があるまで、いつもと変わらない……いつもと変わらず、いつものように命令に忠実に……」

 

 そんな中、シャルティアは瞳の色は虚ろなまま据わった眼をして自分の階層へと戻っていく。

 

「シャルティアぁ、まってよ……みんなをどうにかしてよぉ」

 

 アウラが縋り付いてくるが、シャルティアは据わった瞳のまま

 

「知らない分からない私は馬鹿だから。次は間違えないように次は間違わないようにすることしかできない。邪魔をしないで」

 

 冷たい言葉でアウラを振りほどく。

 

 

 

 当然そんなことになっているとは知らない俺たちは部屋に戻り、服を着て食堂に来ていた。

 料理長から出されたものは、日ごろから食事をないがしろにしていた悟君の食事事情と深夜という時間帯という事もあっておかゆと浅漬け、麦茶。

 

「うま!?」

 

 塩加減は絶妙、漬け具合も程よく悟君のリアルでは食べることはできない美食そのものだった。

 

「手抜きも良いところなんですがね、おかゆも本来でしたら生米から作るところですが……今回は既に炊いていたご飯で作らせていただきました。なによりもモモンガ様は胃腸も弱っているご様子、消化吸収の良いものにさせてもらいましたよ」

 

「いやいや、うまいよ。本当にうまい、リアルでもこんなにおいしいもの食べれたのかなぁ」

 

 れんげでおかゆを掬いもきゅもきゅと食べる姿は、本当においしそうに食べると思えてしまうが、リアルでは第一次産業が壊滅的な状態、農業は大地が死に、漁業は海が腐っているような状態。

 それに伴い畜産業もまともに回っていなかった。飼料がまともに手に入らないような状態で飼育する必要の出てくる畜産業が廃れるのは当然と言えば当然だろう、肉関連の市場は紀元前後期紀元後初期のようなもの……いやそれよりもひどいものだろう。

 

「いえ、無理でしょう。おかゆはお米はもちろん大事ですが、何よりも水が味の決め手となりますので……あまのまひとつ様のこぼされていた言葉から推測するに」

 

 悟君の食べる姿見て普通に全員こっちに来たいというのがプラスに傾いてるのを知れるはむべなるかな。

 

「そうか……そういえば、料理長は私達に忠誠はあるのか?」

 

 浅漬けをポリポリと食べながら、今更なことを聞いてみる。

 

「私や鍛冶長は元々販売NPCですから。職を頂けることに感謝はありますが忠誠と言われると違う気もしますね。ですが……作ったものを食べてもらい『美味しい』と言われる言葉こそが何よりの褒美です。ナザリックのメイド達はここにある食材、調理器具、ピッキーのような料理人がいるここの味が当然としているのか、おいしいと顔をほころばせることは少ないですから」





傭兵(マーセナリー):種族の限定条件を除いた総ての武器を装備が可能、限定条件、呪い、カルマ値、性別、職業を問わない。逆を言えば男性が女性装備をすることもできる(変態の出来上がりである)。
 上記の全武具装備が特徴的だが、クエスト(依頼)受注中はすべてのステータス向上と交渉成功率のUPが付いているためにユグドラシルでは割とポピュラーな職業、但し人間種しか取得不可。
 武器スキルも豊富で、バッシュ(強撃)、ブランディッシュ(振り回し)、クイックドロー(早打ち)、ダブルアタック(連撃)、コンボマスタリーと武器を問わないものばかりである。
 ガゼフやガガーランも取得しているがこれはユグドラシルの物とは別物なのであしからず。
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